名詞

森 博嗣 : 幻惑の死と使途 (講談社文庫, 2000) p.510.

動詞を切り離して、目的物だけを抽象化することは、極めて難しい。名詞は言葉の中で、格段に高レベルな概念なんだ。名詞の概念を理解するためには、桁違いに高い分解能を有する頭脳が必要になる。人類だけがそのレベルに到達した。それが偉いとか、高等だといっているんじゃないよ。ただ、分解能が高い、ビットが多い、という意味だ。色を識別できるのも同じ理由だね。この高分解能に支えられた人間の思考だけが、名詞を作り出す。それは、概念を拡張したり、縮小したり、あるいは分解したり、統合したりして、次々に新しい言葉を作り出す。名詞の独立によって、動詞や形容詞は統合され、あるいは分化される。これが、組織化された言葉だ。人は、ついには、その名詞のために生きることになるんだ

@atene_gakudoログ 2018/09/26

RT @TAKAHIRO3IURA: ある調査によると、人間は動詞よりも名詞で動くらしいよ。
「加入してください」よりも「会員になってください」の方が獲得効率が高い。「寄付する」よりも「寄付者になる」方が選択効率が高くなる。
人間はなんとなく何かになりたいという気持ちを抱えているのかもしれないね。