多様な未来製作所 TAKAGI-1 みくすと

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2019/11/21

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彼の著作によれば、

「人は、出された質問が難しいと、それを簡単な質問に置き換えてしまう」

という、人間の脳のつくりに依る。

例えば、「現在の生活はどのくらい幸福か?」と聞かれた人がいるとする。

正確に回答をしようとすれば、「幸福」の定義を行い、過去の幸福度を算定し、現在の幸福度と比較して算出しなければ回答できないはずだ。

ところが、それはとても面倒で難しい。

だから多くの人は、脳内で勝手に「いまの自分は気分がいいか?」という質問に置き換え、

「まあまあ幸福です」

などと回答してしまう。これが「ヒューリスティックス」と呼ばれる、脳の働きだ。

「事実」と「意見」を区別できていない人は、無意識にこれを行ってしまっている。

上の会話の事例では

「お客さん、ウチに依頼するか、決めてくれた?」という質問に対して、

本来であれば

「その場では決めてくれませんでした。金額について「交渉の余地はあるか」と聞かれましたので。ただ、金額の折り合いさえ付けば、残りの課題は解決しているので、受注可能です。」

と回答しなければならない。

だが、そのような回答は「考えるのがとても面倒くさい」。

だから彼は、質問を

「お客さん、ウチに依頼するか、決めてくれた?」から、「受注できるかどう思う?」という質問に勝手に置き換えて、

「大丈夫だと思います」

という、自分の気持だけを答えたのだ。

これが「事実」と「意見」の切り分けができない人の正体である。

では、このようなコミュニケーション特性は直るのだろうか。

個人的な考えでは「直すことは可能」である。

というのも、これは「賢さ」というよりも「注意力」の問題だからだ。

ダニエル・カーネマンによれば、ヒューリスティックは脳の「早い思考システム」(≒直感的なもの)が担当している。

だが、それを口に出してしまうと「意見」を言ってしまう。

だから、それが「意見」か「事実」かを検証するために、脳の「遅いシステム」(≒論理的なもの)の方を使えば良い。

つまり、注意力を働かせて、「回答しようとしたことをチェックする訓練」を受ければ、直すことは可能だ。



- なぜ「事実」と「意見」を区別して話せない人がいるのか。 | Books&Apps

[ Posted Thu, 21 Nov 2019 06:59:46 ]

 

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