戸部 良一, 寺本 義也, 鎌田 伸一, 杉之尾 孝生, 村井 友秀, 野中 郁次郎「失敗の本質―日本軍の組織論的研究」

     

評価・状態: 得られるものが秀逸・多量な本★★★


購入: 2008/ 5/13
読了: 2008/ 7/ 7

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この本からの引用、または非常に関連する記事

全 12 件

伝わる文章の効用

記事ページ 発行: 2008年08月24日

伝わる文章は、

1. 辺境を開拓する者に後方連絡線を与え、

2. 普通において生まれる者に前方連絡線を与え、

3. 人類に進歩の道を開く。

1. 辺境を開拓する者に後方連絡線を与える


辺境を開拓者は孤独である。そして、時に、孤独が判断を誤らせる場合がある。それを防ぐ手立てを自ら高じる必要がある。

戸部 良一, 寺本 義也, 鎌田 伸一, 杉之尾 孝生, 村井 友秀, 野中 郁次郎 : 失敗の本質―日本軍の組織論的研究 (中公文庫, 1991) p.210.

> では一体なぜ栗田長官はこの最終的な反転を決意したのであろうか。それは次のような判断によるものであった。

(1) 基地航空隊の協力が得られず、また通信不達のため小沢艦隊の牽制効果も明らかでなく、自分たちだけが孤立して戦っている。


2. 普通において生まれる者に前方連絡線を与える


「学習の高速道路」論に関連する。

なお、「普通」という言葉は、辺境に対する語として用いた。中央と書くと辺境よりも勝っている感がある。平凡と書くとポテンシャルがなさそうな気がするから。普通には、その後に変容して普通でなくなるという期待が感じられる。

上遠野 浩平 : ブギーポップは笑わない (電撃文庫, 2008) p.112

>普通というのは、そのまま放っておいたらずーっとそのままだということだ。だからそれが嫌なら、どこかで普通でなくならなければならない。


3. 人類に進歩の道を開く


人間が一生かけても、その分野の先端にたどり着けないならば、その分野をそれ以上に発展させることはできない。低いコストで伝わるようにすれば、若い頭脳によって活力をもって学問を発展させることができる。

 

志ある者が知っておくべきこと――高度の平凡性 --- 作戦目的を単一化する

記事ページ

 

記事ページ 発行:

 

「黙れ」と言ってはならない

記事ページ 発行: 2009年11月03日

戸部 良一, 寺本 義也, 鎌田 伸一, 杉之尾 孝生, 村井 友秀, 野中 郁次郎 : 失敗の本質―日本軍の組織論的研究 (中公文庫, 1991) p.388.

>日本軍の最大の特徴は「言葉を奪ったことである」(山本七平)という指摘にもあるように、組織の末端の情報、問題提起、アイデアが中枢につながることを促進する「青年の議論」が許されなかったのである。



 

「意識高い系」を、私は支持する

記事ページ 発行: 2016年04月02日

「意識高い系」で失ったもの ボランティア・政治参加、阻む無力感 - withnews を受けて。

カタカナ語を乱用するような(修辞だけの)、という意味ではない「意識高い系」を、私は支持する:

理由:

低成長の時代は、2つの事柄を示唆する。

1つ目は、毎年の成長の積み重ねが、大きな成長を生むということだ。

よって、普通であってはならない:

上遠野 浩平 : ブギーポップは笑わない (電撃文庫, 2008) p.112

普通というのは、そのまま放っておいたらずーっとそのままだということだ。だからそれが嫌なら、どこかで普通でなくならなければならない。

2つ目は、成長率0%を単純化して言い換えれば、競争率2であり、2人のうち、1人は成長組に入り、もう1人は衰退組に入る、ということだ。

「意識高い系」によって、自らの能力は高まる。すなわち、「意識高い系」は、成長組に入り、生存するための、ひとつの方法なのだ。

補足1:

ただし、いくつか注意しておくべきことを挙げる:

● 評価は総合的にされる。「意識高い系」が全てではない。

●「意識高い系」の人が、他者の意見に対して不寛容ならば、その人は排除されるであろう。不寛容は、知性的でなく、良くない。

他者、及び他者の意見を、罵倒してはいけない:
関連: ネットで他者と交わる、対応する際の推奨指針

● 「意識高い系」の人は、現実に抗い、声をあげるのは良いが、現実はベストではないが、ある前提において合理的であることを意識すべきである:

立川談志が弟子に教えた、醜い嫉妬の解消法。 : ある編集者の気になるノート
(立川 談春=著「赤めだか」からの引用。立川 談志の言葉:)

よく覚えとけ。現実は正解なんだ。時代が悪いの、世の中がおかしいと云ったところで仕方ない。現実は事実だ。そして現状を理解、分析してみろ。そこにはきっと、何故そうなったかという原因があるんだ。現状を認識して把握したら処理すりゃいいんだ。その行動を起こせない奴を俺の基準で馬鹿と云う

そして、前提を覆すという革命は、人を殺す:

フランス革命ほど血生臭い話はないと思うが : パチンコ屋の倒産を応援するブログ

日本の教科書ではフランス革命をものすごく良い事のように書き続けてきて、都合の悪い事は書いて居ません。

市民の暴力革命によって王族を抹殺したという点で日本のサヨクが夢見る革命思想の見本のようにしたいのでしょう。

そのために都合の悪い部分はちっとも教科書に書きませんし書かせないのでしょう。

また、フランス革命によって革命政権が樹立されると革命政権は徴兵制を敷きました。30万人募兵令なんて言っていましたが強制的に各地で割り当てられた志願兵を出さなければならない内容でした。

この革命政権の横暴にヴァンデ地方の農民達が蜂起するとフランス革命政権はこれを鎮圧。この反乱だけで30〜40万人の死者が出たと言われています。

ジャコバン派は反対派を次々にギロチンにかけていきました。そして革命政権は内ゲバを繰り返してジロンド派を粛正、フイヤン派粛正、ダントン派粛正、エベール派粛正と、少しでも対立があれば片っ端から殺していきました。これで残された人達が危機感を抱かないはずがなく、クーデターでロベスピエールらジャコバン派がギロチンで処刑されました。

日本の教科書なんかでは非常に肯定的に書かれているフランス革命は虐殺の歴史であり、フランスが自ら王室という権威を殺して潰してしまった事で王室を頂く他の欧州諸国からは下に見られてたりするわけです。

また、国の形としての軸をぶっ壊した事は現代にも尾を引いていてその後も体制がころころと変わり、いまのフランスは1958年から始まる第五共和政です。

見方を変えれば激しく歴史の浅い国だと言ってよいでしょう。

志ある者が知っておくべきこと――高度の平凡性

補足2:

社会は、「意識高い系」の人々を、孤立させてはならない。孤独は、時に、判断を誤らせる:

戸部 良一, 寺本 義也, 鎌田 伸一, 杉之尾 孝生, 村井 友秀, 野中 郁次郎 : 失敗の本質―日本軍の組織論的研究 (中公文庫, 1991) p.210.

 では一体なぜ栗田長官はこの最終的な反転を決意したのであろうか。それは次のような判断によるものであった。

(1) 基地航空隊の協力が得られず、また通信不達のため小沢艦隊の牽制効果も明らかでなく、自分たちだけが孤立して戦っている。



 

事故は体系的、戦略的に対策を打てば減る

記事ページ 発行: 2008年08月15日

山之内 秀一郎 : なぜ起こる鉄道事故 (朝日文庫, 2005) p.305.

>事故は体系的、戦略的に対策を打てば減るのである。

山之内氏の文章は、「体系的、戦略的」で一つの意味を為している。

「体系的、戦略的」とは、トップダウン形態であることを意味する。

それには、以下の3項目が必要だと考える。

  • マスタープランやロードマップを策定する。 *1
  • 上級管理者を資源 *1 として投入する。
  • 資源を集中投入する *2 。

*1 :
戸部 良一, 寺本 義也, 鎌田 伸一, 杉之尾 孝生, 村井 友秀, 野中 郁次郎 : 失敗の本質―日本軍の組織論的研究 (中公文庫, 1991) pp.344-345.

>組織の戦略とは、外部環境の生みだす機会(opportunities)や脅威(threats)に適合するように、組織がその資源を蓄積・展開することである。

>そのためには、まず組織はその戦略的使命(ストラテジック・ミッション)を定義しなければならない。つまり、軍事組織として環境要因のなかにいかなる機会・脅威が潜在的に存在するかを主体的に洞察し、彼(敵)と我(味方)の強みや弱みを相対的に分析し、いかなる方向と領域で我の資源を最も効果的に展開するかについての基本的なデザインを描かなければならない。

*2 :
クラウゼヴィッツ=著 篠田英雄=訳: 戦争論 (上) (岩波書店, 1968) p.314.

>戦術と戦略との差異に関する結論は、―― 戦術は兵力を小出しに(継続的に)使用しても差支えないが、戦略は兵力を必ず同時的に使用せねばならない、ということである。


 

孤立させない、孤立しない

記事ページ 発行: 2008年08月15日

  • 機動部隊を孤独にさせない。
  • 基地部隊を孤立させない。
  • 指揮官が孤立しない。


機動部隊を孤独にさせない


戸部 良一, 寺本 義也, 鎌田 伸一, 杉之尾 孝生, 村井 友秀, 野中 郁次郎 : 失敗の本質―日本軍の組織論的研究 (中公文庫, 1991) p.210.

> では一体なぜ栗田長官はこの最終的な反転を決意したのであろうか。それは次のような判断によるものであった。

(1) 基地航空隊の協力が得られず、また通信不達のため小沢艦隊の牽制効果も明らかでなく、自分たちだけが孤立して戦っている。


基地部隊を孤立させない


堀 栄三 : 大本営参謀の情報戦記―情報なき国家の悲劇 (文春文庫, 1996) pp.81-82.

堀氏の記憶による、寺本 熊市 中将(第四航空軍司令官)の1943年12月 3日の言葉。堀氏は、これを「点と線」という言葉にまとめた。

>みんな点(孤島)になってしまって、線ではない。線にするにはそれぞれの点(孤島)が、船や飛行機で繋がって援軍を送れなければいけない。... 大事な国防圏というものが有機的な線になっていないから、米軍は自分の好きなところへ、三倍も五倍もの兵力でやってくる。日本軍はいたるところ点になっているから玉砕以外に方法がない。あとの島は敵中に孤立した点だから米軍は放っておく、

堀 栄三 : 大本営参謀の情報戦記―情報なき国家の悲劇 (文春文庫, 1996) p.194.

> 島嶼防衛の地上軍の最大の泣きどころは、自分の欲しいものを見る目を持たないことである。つまり点化孤島化(たとえ比島のような大きな島であっても)されているのであった。


指揮官が孤立しない


戸部 良一, 寺本 義也, 鎌田 伸一, 杉之尾 孝生, 村井 友秀, 野中 郁次郎 : 失敗の本質―日本軍の組織論的研究 (中公文庫, 1991) p.103.

> 司令長官の出撃――また、山本連合艦隊司令長官自らが主力部隊を率いて出撃したため、逆にかえって適切な作戦指導を行うことができなかった。奇襲攻撃を企図したため、主力部隊旗艦(戦艦「大和」)も無線封止となったのである。



 

志ある者が知っておくべきこと――高度の平凡性

記事ページ 発行: 2008年09月03日

この進んだ現代に、志ある者は、背伸びして成功をつかもうと思うことだろう。

しかし、成功は背伸びではなく、誰もが行う歩みによって得られる。

つまり、成功は、あなたが持つ突出したものではなく、平凡なものによってなされる。

戸部 良一, 寺本 義也, 鎌田 伸一, 杉之尾 孝生, 村井 友秀, 野中 郁次郎 : 失敗の本質―日本軍の組織論的研究 (中公文庫, 1991) p.220.

>巨大で複雑な、組織化された現代戦の作戦で成功を勝ち取るのに必要不可欠な「高度の平凡性」(フィールド『レイテ湾の日本艦隊』)

志ある者にとって、背伸びしてはならないとは、何たる不条理であろうか。恨むならば、現代の複雑さ *1 を恨め。

以下に分けて示す。


脚注:

*1: マーチン・ファン・クレフェルト=著, 佐藤 佐三郎=訳 : 補給戦――何が勝敗を決定するのか (中公文庫, 2006) p.390.

>機構中の摩擦――人間であれ機械であれ――は、その部品が多くなればなるほど増すからである――これは収益逓減の法則の代表例だ。


 

それは彼らもわかっているでしょうし、それで何も連絡がないということは問題なかったんでしょう

記事ページ 発行: 2008年09月13日

「それは彼らもわかっているでしょうし、それで何も連絡がないということは問題なかったんでしょう」。

彼らは「わかって」おらず、問題があっても、それに気づいていない、という可能性がある。

● 彼らは「わかって」おらず

戸部 良一, 寺本 義也, 鎌田 伸一, 杉之尾 孝生, 村井 友秀, 野中 郁次郎 : 失敗の本質―日本軍の組織論的研究 (中公文庫, 1991) p.159.

>方面軍の意図は第一五軍に通じておらず、第一五軍はむしろ、あいまいな表現を自案に有利な意味に解釈してしまったのである。

● 問題があっても、それに気づいていない

若松 義人 : トヨタ式「スピード問題解決」 (PHPビジネス新書, 2008) p.82.

本田宗一郎の「見」と「観」

>同じものを見ても、目的が違うと見え方が違うわけだ。ものごとは、見学の見ではなく、観察の観で見ないと本質はつかめないというのが本田氏の話の趣旨であった。



 

使命感や個人としての自分を前面に出さない

記事ページ 発行: 2013年07月27日

使命感を帯びて、先頭に立って当事者として行動するも、使命感や個人としての自分を前面に出さないようにしよう。

戸部 良一, 寺本 義也, 鎌田 伸一, 杉之尾 孝生, 村井 友秀, 野中 郁次郎 : 失敗の本質―日本軍の組織論的研究 (中公文庫, 1991) p.30.

...強烈な使命感を抱く個人の突出を許容するシステムの存在が、失敗の主な要因として指摘される。


姜尚中 : 悩む力 (集英社新書, 2008) p.37.

その彼[:精神病理学者で哲学者のカール・ヤスパース]がこう言ったのです。「自分の城」を築こうとする者は必ず破滅する――と。



関連:
使命感
http://takagi1.net/ezhtml/ezh/my_0811223.html

(当事者らしく行動せよ、)
http://takagi1.net/blogja/archives/210

感覚の哨戒線と自発性・当事者意識によって、知性が可能になる
http://nhm.blog75.fc2.com/blog-entry-505.html

 

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