知的ネット社会 TAKAGI-1 みくすと 火曜版

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2015/09/08

 

 

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“この本のなかには、こんな話が出てきます。
「テストでよい点を取ればご褒美をあげます」
「本を1冊読んだらご褒美をあげます」
 右のうち、子どもの学力を上げる効果を持つのはどちらでしょうか。
 ハーバード大学のフライヤー教授は「ご褒美が子どもの出席や学力にどのような因果効果を持つか」について精力的に研究をされているそうです。
 フライヤー教授が実施した実験は、大きく分けると2種類ありました。
 ひとつは、ニューヨークやシカゴで行われたもので、教育生産関数でいうところの「アウトプット」、すなわち学力テストや通知表の成績などをよくすることにご褒美を与えるというものです。「テストでよい点を取ればご褒美をあげます」は、こちらに該当します。
 もう1つは、ダラス、ワシントンDC、ヒューストンで行われたもので、教育生産関数における「インプット」、すなわち本を読む、宿題を終える、学校にちゃんと出席する、制服を着るなどのことにご褒美を与えるというものです。「本を1冊読んだらご褒美をあげます」は、こちらに該当します。
 この2種類の実験のうち、子どもたちの学力を上げる効果があったのはどちらでしょうか。
 インプットにご褒美を与えると、子どもたちは本を読んだり、宿題をしたりするようになるのでしょうが、必ずしも成績がよくなるとは限りません。
 一方、アウトプットにご褒美を与えることは、より直接的に成績をよくすることを目標にしているのですから、直感的には、アウトプットにご褒美を与えるほうがうまくいきそうに思えます。
 しかし、結果は逆でした。学力テストの結果がよくなったのは、インプットにご褒美を与えられた子どもたちだったのです。
 とくに、数あるインプットの中でも、本を読むことにご褒美を与えられた子どもたちの学力の上昇は顕著でした。一方で、アウトプットにご褒美を与えられた子どもたちの学力は、意外にも、まったく改善しませんでした。どちらの場合も、子どもたちは同じように喜び、ご褒美を獲得しようとやる気をみせたにもかかわらず。
 なぜ、こんな結果になってしまったのか?
 「いい点を取ったら、ご褒美をあげるよ」のほうが、効きそうなのに。
 なぜ、「テストでよい点を取る」というアウトプットにご褒美を与えることは、子どもたちの学力に影響を及ぼさなかったのでしょうか。
 鍵は、子どもたちが「ご褒美」にどう反応し、行動したかということにありました。
「インプット」にご褒美が与えられた場合、子どもにとって、何をすべきかは明確です。本を読み、宿題を終えればよいわけです。一方、「アウトプット」にご褒美が与えられた場合、何をすべきか、具体的な方法は示されていません。
 ご褒美は欲しいし、やる気もある。しかし、どうすれば学力を上げられるのかが、彼ら自身にわからないのです。
 ああ、そういうことなのか……
 言われてみれば、子どもにとっては、そうだよなあ、と。
 こういうのって、「ご褒美目当てに勉強させるのはよくない」と考えてしまったり、どちらかの選択になった場合、結果が出ないと意味がないからと「テストで良い点を取ったらご褒美」にしてしまったりしがちですよね。
 親が手抜きをせずに、ちゃんと子どもに具体的なやりかたを示すことが大事なのです。”

- 【読書感想】「学力」の経済学 - 琥珀色の戯言 (via odakin)

[ Posted Sat, 05 Sep 2015 07:49:25 ]

 

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