ヘンリー ペトロスキー「橋はなぜ落ちたのか―設計の失敗学」

     

評価・状態: 得られるものが秀逸・多量な本★★★


購入: 2008/ 2/20
読了: 2008/ 3/29

中尾 政之 : 失敗百選 41の原因から未来の失敗を予測する (森北出版, 2005) p.335.

>著者は大型橋梁の失敗を「設計者は大きなものに挑戦したくなる」「大きなものが壊れたときに、人間は新たな現象を理解する」という2,000年間も続いた歴史的な失敗シナリオを論じた。



関連: 
中尾 政之「失敗百選 41の原因から未来の失敗を予測する」
http://star1ban.blog18.fc2.com/blog-entry-1464.html

ブクログ - web本棚サービス


この情報は2024年6月現在の情報です。現在の状態はこちら

この本からの引用、または非常に関連する記事

全 11 件

中尾 政之「失敗百選 41の原因から未来の失敗を予測する」

記事ページ 発行: 2007年08月21日


購入: 2007/ 8/31
読了: 2008/ 2/17

 

ラチェットの精神

記事ページ 発行: 2008年04月02日

社会人になって丸2年がたったが、いま思うのは、いかにして社会を逆戻りさせないか、ということである。

そのためには、成果を確実に刻み付けていかねばならない。

そうでなければ、社会は錆び付いていってしまう。我々は社会を研ぎ澄まさねばならないのだ *。

 * この文章の発想の元:
ヘンリー・ペトロスキー=著, 中島 秀人・綾野 博之=訳 : 橋はなぜ落ちたのか―設計の失敗学 (朝日選書, 2001) p.211.

>こうして、技術の失われた偉大な教訓のいくつかが再発見され、未来の技術者の中で、技術的思考と判断は、錆び付くどころか研ぎ澄まされることになるだろう。

中学生になったら自らの手で人を殺せることを認識すべきだという話を聞いたことがある。

私は社会人になってから、自らの死を想定しなければならないと感じている。

古来よりある事柄について纏めようと文章を書いていた人間が、纏め終わる前に死んでしまうことがある。

例えば、クラウゼヴィッツ「戦争論」は、クラウゼヴィッツの死後、夫人 マリー・フォン・クラウゼヴィッツによって刊行された。よって、少なくとも推敲の面で、「戦争論」は未完成の作品なのである。

いろいろな思索をいつか纏めるために頭のなかにしまっておくだけでは、自らの死によって、その情報は消滅し、社会を逆戻りしてしまう。

随時、成果を確実に刻み付けていかねばならない。

関連:
小林 一三 : 私の行き方 (PHP文庫, 2006) p.32.

> 慶大の卒業生で、宝塚の大劇場で座席券の売りさばきやその取り扱いの仕事をしていたMという青年は、...いつもいつもその残務がキチンとして、その晩当人が仮に死んだとしても、翌日誰にでも分かるように片付けている。



関連:
「後につづく者たちが、我々よりも苦しまない世の中」にするためには
( (1) 生産性の向上 手段2: 前例の創出 )
http://www.h5.dion.ne.jp/~wing-x/ezhtml/inw3/za_0803200.html#1

スペシャリストとは対極にいる私がやるべきこと
http://www.h5.dion.ne.jp/~wing-x/ezhtml/inw3/za_0709170.html#1

考えを集積していく
http://mkynet.hp.infoseek.co.jp/webcic/lib/inw2/za_0404180.html#4

言葉にする努力
http://mkynet.hp.infoseek.co.jp/webcic/lib/inw2/za_0405180.html#4

メメント・モリ
http://star1ban.blog18.fc2.com/blog-entry-1600.html

 

技術者の書き物

記事ページ 発行: 2008年04月05日

ヘンリー・ペトロスキー=著, 中島 秀人・綾野 博之=訳 : 橋はなぜ落ちたのか―設計の失敗学 (朝日選書, 2001) p.164.

>このような技術者達が構造物の設計と同じくらい多産で率直に報告書を書くとき、彼等は橋の花崗岩ほども長もちする遺産を文字として残したことになる。

ここで、気をつけなければならないのは、科学をそのまま技術にしてはいけないということである。

ヘンリー・ペトロスキー=著, 中島 秀人・綾野 博之=訳 : 橋はなぜ落ちたのか―設計の失敗学 (朝日選書, 2001) p.201.

>しかし、ビラーやスキャンランが最近指摘したように、もしタコマ海峡橋の崩落に関する議論が物理学の教科書や応用数学者達に委ねられるようになると、崩落の技術的意義が技術者が望む以上に実践から離れてしまうことをおそれないわけにはいかない。



関連:
ラチェットの精神
http://star1ban.blog18.fc2.com/blog-entry-1814.html

 

朱鷺メッセ連絡デッキ落下事故

記事ページ 発行: 2008年04月12日

朱鷺メッセ - Wikipedia [2008年2月16日 05:24 の版]

>2003年8月26日夜、朱鷺メッセに隣接する県営万代島立体駐車場と佐渡汽船万代島ターミナルとを結ぶ連絡デッキが、何らかの原因で突如崩壊した。深夜で通行人、車両ともなく、幸い死傷者はなかった。崩壊箇所は朱鷺メッセから佐渡汽船ターミナル方面へおよそ40m先から50m近くにも及び、一歩間違えば大惨事に成りかねなかった。



黒沢建設株式会社


関連:
ペトロスキー「橋はなぜ落ちたのか―設計の失敗学」
http://star1ban.blog18.fc2.com/blog-entry-1730.html

 

新規の設計を過剰評価するな

記事ページ 発行: 2008年10月31日

ドナルド・C・ゴース, G.M.ワインバーグ=著, 木村 泉=訳 : ライト、ついてますか―問題発見の人間学 (共立出版, 1987) p.65.

> 本のような昔ながらの確立した解決策にそんなに多くの不適合があるのだとすれば、われわれのまだ実地に試していないアイディアが完璧であるという、どれほどの望みがあるか? 大してあるわけがない。だからかなり自信を持って、こういっていいのだ。

新しい視点は
必ず新しい不適合を作り出す

ヘンリー・ペトロスキー=著, 中島 秀人, 綾野 博之=訳 : 橋はなぜ落ちたのか―設計の失敗学 (朝日選書, 2004) p.22.

>というのは、彼[:ロバート・スティーヴンソン]は、一八四七年、北西イングランド、チェスターのディー橋で犯した自分の失敗(...)から、設計が通常のやり方から離れるときにはとりわけ注意深く進めるべきであるとの教訓を得ていたからである。



 

設計技術発展の方法(2) : 実機を作り、機能させる

記事ページ 発行: 2010年05月01日

戻る

技術者が作った実際に機能を果たす機械を目の当たりにして、科学者が研究に参画するようになる。

そのような科学者は、科学を大いに発展させ、加えて、設計者への科学の技術移転の橋渡し役を果たすようになる。

補足:
機械には設計技術と操作技術がある。操作技術は実機がないと獲得できない。また、操作技術は制御・操作系の設計技術に活かされる。


発想の元:

いずれもJr.,John D. Anderson=著, 織田 剛=訳 : 空気力学の歴史 (京都大学学術出版会, 2009)から。


オットー・リリエンタールの「標準型グライダー」を購入したニコライ・ジューコフスキー(p.207)。なお、ジューコフスキーはリリエンタールを訪問して、彼の飛行を見ている。(p.208)

ルイ=チャールズ・ブレゲは、1908年にフランスで行われたウィルバー・ライトの飛行実演に刺激された(p.416)。

p.340

クッタ、ジューコフスキー、プラントルは飛行機に夢中になっていた。19世紀と比較すると何という違いだろうか。当時は、尊敬される学者達はいかなる飛行機との関わりを持つことも避けていた。その結果、19世紀には科学から動力飛行機の設計への技術伝達が全く欠けていた。
 学者達の考え方を変えたのは何だったのか。それはリリエンタールとライト兄弟の小さな実績であった。


関連:
ヘンリー・ペトロスキー=著, 中島 秀人・綾野 博之=訳 : 橋はなぜ落ちたのか―設計の失敗学 (朝日選書, 2001) p.110.

 数学者や科学者達が必ずしも思い出したがらない事実だが、技術の相当数はまず成功した後にその理論的理解が生まれたのである。もちろん古典的な例は蒸気機関であり、熱力学の工学が成立するはるか以前にそれは発明され、高度の信頼性にまで発展した。実際、動く蒸気機関という人工物自体が、その動作についての理論を呼び起こしたのである。



補足の発想の元:

p.5.

1914年7月にロンドンで開催された王立航空協会でイギリス人飛行士 B・C・ハンクスが行った講演...「私は今日の飛行の水準は機械類の改良よりも操縦技術の向上によるところの方がはるかに大きいと考えている。」


p.208

ラングレーは動力飛行を試みる前に飛行技術を学ぶことの価値を認めていなかった。...リリエンタールは動力飛行を試みる前に空中飛行を経験しておく必要があると確信していた。...そしてライト兄弟のやり方でもあった。


 

科学技術の段階を考える上での4つの対立軸

記事ページ

 

テイ橋(スコットランド)の崩壊

記事ページ

 

哲学と現実、科学と技術

記事ページ

 

記事ページ 発行:

 

記事ページ 発行:

 

↓下に表示している「関連書籍・記事」だけを新しいページに表示する:

|


© TAKAGI-1