燃料電池ワールド Vol.2148 (2016/07/08 08:30)

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□燃料電池ワールド Vol.2148
■2016年07月08日発行

                    ◆燃料電池NPO pemdream

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■世界のヘッドライン(05月25日)
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2016/05/25 ハイパーソーラー社、商業的に可能なソーラー・ツー・水素の効率改善に躍進と発表〈PT〉

〔訳注〕サンタバーバラ(SANTA BARBARA、カリフォルニア州)発:ハイパーソーラー社(HyperSolar, Inc.)は本日、太陽光や水を使って再生可能エネルギー水素を生成する画期的な技術を開発したと発表した。それは、独自のナノ構造を持つ太陽電池材料からほぼ100%の水素生産のために光電流の達成を改善させることができたということである。水素製造量、太陽電池の材料から発生する光電流の量に直接関係している。当社は、光電流を向上させることで、市場の需要を満たすための水素製造をシステムに向かって進んでいる。

2016/05/25 ロングビーチ市の艦隊に水素燃料電池自動車が追加〈PT〉

〔訳注〕ロングビーチ市(City of Long Beach)はこのほど、市販されている初の水素燃料電池車トヨタ(Toyota)「ミライ(Mirai)」を購入した。市長ロバート・ガルシア(Robert Garcia)は、「市は持続可能性のリーダーとして、環境への影響を減らす新技術を提供することを誇りにしている」と語った。

2016/05/25 水素燃料電池バス、オレンジ郡の通りで大成功〈PT〉

〔訳注〕オレンジ郡交通公社(Orange County Transportation Authority)は、環境に優しい交通システムを広げ、改善するための継続的な取り組みの一環として、5月23日(月)に初のゼロ・エミッション水素燃料電池バスを発表し、除幕式を行った。プロジェクトの資金は、国立燃料電池バス・プログラム(National Fuel Cell Bus Program)のもとで連邦交通局(Federal Transit Administration)によって提供された。バスは、オレンジ郡交通公社の職員が新技術を体験できるようにルート53とルート145に沿って運行される。

2016/05/25 バラード社のモジュール、オレンジ郡交通公社の最初のゼロ・エミッション燃料電池バスで発電〈PT〉

〔訳注〕バンクーバー(VANCOUVER、カナダ)とオレンジ郡(ORANGE COUNTY、アメリカ)発:バラード社(Ballard)の代表は5月23日、カリフォルニア州のオレンジ郡交通公社(Orange County Transportation Authority)で初めてのゼロ・エミッション燃料電池バスの式典に出席した。オレンジ郡交通公社のバスは、第6次アメリカ燃料電池バス配置(6th American Fuel Cell Bus (AFCB) configuration)としてカリフォルニア州に配車された。

■2016年07月07日のWEB LINK NEWS
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2016/07/07 日産の新型バイオ車、業界全体に波紋(Business Journal)
●突然起こった驚きの発表

 日産は6月14日、車体のなかに貯蔵したバイオエタノールを燃料とする燃料電池車「e-Bio Fuel-Cell」を発表した。バイオエタノールを車内で改質することで発生する水素によって、燃料電池で発電する。その燃料電池には、すでに量産されているトヨタ自動車「MIRAI」やホンダ「クラリティ Fuel Cell」が使うPEFC(固体高分子形燃料電池)と比べて、より高温で高い発電効率を得ることができるSOFC(固体酸化物形燃料電池)を搭載する。また、燃料となるバイオエタノールは純度100%、またはエタノールと水をそれぞれ50%混合させた溶液で対応する。

 このシステムを搭載した車両を、日産は2017年までに量産。それに伴い、これまで開発してきた水素を燃料とするPEFCの開発を凍結するという。

 だが、e-Bioについて、技術系のメディアや自動車専門メディアの多くが「SOFCを車載用で量産するのは世界初」として絶賛する一方、業界の一部からは日産の決断に対して疑問の声が聞こえてくる。なぜなら、日産の新しい方式では、水素ステーションが不要だからだ。
●フェーズ1で失速しかねない

 政府は14年4月、新しい「エネルギー基本計画」を閣議決定した。そのなかで「水素社会の実現に向けた取り組みの加速」を明記し、これに伴い同年6月、経済産業省・資源エネルギー庁は「水素・燃料電池戦略ロードマップ」を発表。そのなかで、普及に向けたキックオフとなる期間をフェーズ1とし、運輸部門の柱として燃料電池車の積極的な普及を強調した。

 そのロードマップは、16年3月に改訂されたばかり。具体的な目標として、燃料電池車を20年までに4万台程度、25年までに20万台程度、そして30年までに80万台程度という販売台数を掲げた。

 つまり、国が掲げる「水素社会」における燃料電池車は、水素ステーションというインフラとパッケージで考えるべき乗り物であり、燃料電池車の主要な製造者である日系ビック3が足並みを揃えることは必須であるはずだ。

 それにもかかわらず、日産は自社独自の技術開発を優先し、「燃料電池車には、水素ステーションは不要」という結論を公表したことになる。このままでは、「水素社会の普及に向けたフェーズ1」が腰折れしてしまう危険性が高い。なぜなら、水素ステーションに対する投資が今後、冷え込む可能性があるからだ。
●4億円は無理だが、2億円弱ならば「買い」か

 現在、日本で水素ステーションを設置するためには、4億円前後の費用が掛かる。これは欧米と比べて2倍以上と高額だ。その理由は、高圧ガス保安法などの規制において、水素タンクなどに対する設計上の安全率が欧米と比べて高いため、それに準じた装置の費用がかさむためだ。

 そうした規制に対して、政府は新しい「エネルギー基本計画」のなかで、関係省庁が連携した規制緩和を進めるとしており、その効果が徐々に現れて始めている。水素関連の研究者や、水素関連の事業者からは「規制緩和の進行はまだまだ遅い」という声はあるものの、産学官が連携して、「我が国の将来のために、少しでも前進しよう」という姿勢があることは確かだ。ガソリンスタンドオーナーたちからも、水素ステーションの価格が「欧米並みになったら、先行投資として考えたい」という声が上がってきた。

 その矢先に、日産が水素ステーションを必要とする燃料電池車の開発を凍結したのだ。これで、ガソリンスタンドオーナーたちの投資意欲が弱まってしまい、水素ステーションの量産効果が下がり、設置台数が増えず、結果的に燃料電池車の普及台数は伸びない。

 今回の日産の判断が、日本の水素社会の将来に及ぼす影響は極めて大きい。国は日産に判断を思い留まるよう、強い指導をしなかったのだろうか。その経緯について今後、取材を続けていきたい。
(文=桃田健史/ジャーナリスト)
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160707-00010005-bjournal-bus_all

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