燃料電池ワールド Vol.1673 (2014/07/02 10:28)

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□燃料電池ワールド Vol.1673
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■2014年07月02日発行

                    ◆燃料電池NPO pemdream

                    ◇http://pemdream.com

☆PEMDREAMニュース(不定期)
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☆トヨタとホンダが市場投入する燃料電池自動車はレイアウトが違う

 6月25日にトヨタ自動車が、2014年度内に燃料電池自動車「FCV」を市販する、と発表した。この発表に対するマスコミの反応は大きく、自動車だけでなく水素関連産業にも幅を広げて、特に株式の分野ではこれも大きなニュースになった。

 PEMDREAM流に細かいことを詮索してみれば、燃料電池自動車の市場投入時期はかつては2015年だった。最初に発表したのはトヨタ、続いてホンダも言明した。それからしばらくして、トヨタは投入時期を早めると言いだした。その結果が、2014年度内、という表現になって正式に時期が明確になった。マスコミの中には2014年の年末という報道も流れていて、それは今年の12月なのだが、それでも2015年3月31日までは2014年度内なのである。企業の競争という点で発売時期をみていると、ホンダも2015年と言っているわけだから、3月末までに販売を始めれば両社とも同じ2015年の販売ということになってしまうのではないか。今回の年度を使ったのはトヨタのマスコミ対策のテクニック勝ちということになる。ま、そんなことはいずれはっきりすることで、両社ともに頑張っていただきたいことなのだが、今日のニュースの中にこれはどうなんだという記事があった。

 それは、プレジデントだったから驚いたし、トヨタとホンダの燃料電池車のレイアウトの違いについて、どこかが取り上げるのではないかと思っていてもどこも取り上げないので余計に驚いたのである。

 このメルマガの「WEB LINK NEWS」に、2014/07/01 日本が勝つか?「燃料電池車」覇権争奪レポート【1】(プレジデント)、という記事を取り上げた。その文中に以下の文章がある。

 1995年にFCVの開発を担当して以来、約20年間この道一筋に歩んできた守谷隆史・第5技術開発室上席研究員が、FCV市場投入に至る経緯を語る。

 「08年にFCVのリース販売を開始しましたが、それに至るまでに水素や高電圧の電気の漏れがないことを確認するため、数十項目にのぼるテストを実施しています。来年に発売する新型モデルは、燃料スタックを車のセンタートンネルに搭載して背の低いセダンタイプにし、前のモデルより重量も200キログラム以上軽量化、航続距離の延長をより実現できる工夫をしました」

 これは、ホンダの守谷隆史氏の談話なのだが、いったいいつの談話なのか。

 次にトヨタについての文章が続き、それには「FCVコンセプトは、従来モデルに比べてスタックをコンパクトにし、座席の下に収めて、車内空間を広く取っている。」と書かれていて、年度内に販売するFCVも座席の下、つまりセンタートンネルに燃料電池スタックがあると言っている。

 このところが、燃料電池スタックがどこにあるかがトヨタ車とホンダ車の大きな違いになっていて、乗車定員に影響を及ぼしている。ホンダはこれまではセンタートンネルに燃料電池を置いていたが、今回はフロントの前輪の上に戻している。ホンダのFCEVのパンフレットにちゃんと表示されていて、これによって5名の乗車ができるようにした。トヨタの乗車定員はシート下に今回配置したので4名になった。

■世界のヘッドライン(06月17日)
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2014/06/17 マイ・エフシー社、パワートレック2.0を紹介:いま、タブレット用に水で動く類いまれな充電器(myfc)

〔訳注〕スウェーデンの燃料電池会社マイ・エフシー社(myfc)は、系統から独立してスマートフォンを充電したりカメラやタブレットを動かす類いまれな機器、パワートレック(PowerTrekk)2.0をアップグレードした。新製品は、以前の製品1.0よりも約3倍高い能力を持っていて、2014年10月に世界中の店頭に並ぶ予定である。現在は、スウェーデンのアウトドア専門店ナトゥール・コンパニエット社(Naturkompaniet)、米国のインダストリアル・レボリューション社(Industrial Revolution)とアマゾン・ドットコム(Amazon.com)、日本のエバニュー社(Evernew)で販売されている。

2014/06/17 SFCエナジー社の環境マネジメントシステム、ISO 14001:2004の認証を取得(Smart Fuel Cells)

〔訳注〕ドイツのSFCエナジー社(SFC Energy AG)の環境マネジメント・システムが首尾よくISO 14001:2004の認証を受けた。認証はテュフズード・プロダクツ・サービス社(T〓V S〓D Product Service GmbH)によって遂行された。

2014/06/17 米エネルギー省、最新の水素研究でハワイ大学に300万ドルを与える(office of U.S. Sen. Mazie Hirono)

〔訳注〕上院議員メイジー・ケイコ・ヒロノ(Mazie Keiko Hirono)は本日、エネルギー研究のためにハワイ大学(University of Hawaii)に米国エネルギー省(U.S. Department of Energy:DOE)から300万ドルの助成金が授与されたと発表した。この資金は、水素を生成、配送、分配するガロン当たり4ドル未満のコストで水素生産分配技術を確立させるエネルギー省の全国的取り組みの一環である。

2014/06/17 ワシントン大学の研究者たち、飛行機の仕事率を向上させる燃料電池を開発(wsu)

〔訳注〕大学院生ビョン・ワン・クォン(Byeong Wan Kwon)とワシントン大学准教授ス・ハ(Su Ha)は、ジェット燃料またはガソリンのような燃料を直接電気に変換して、電力を生み出すエネルギー効率が飛行機や自動車のために劇的によい方法を提供する初めての燃料電池を開発した。研究者は、補助動力ユニットに電力を供給するためにバッテリーと彼らの燃料電池を統合することを想定している。これらのユニットは現在、ガスタービンで供給され、照明や航空システム、さまざまな他の電気システムを運用している。二つの技術がお互いの弱点を補完する、とハ准教授は述べている。
2014/06/17 初めて直接画像に捉えた燃料電池の氷(psu)

〔訳注〕ポール・シェラー研究所(Paul Scherrer Institute:PSI)の研究者、ピエール・ボワイヤ(Pierre Boillat)とヨハネス・ビースドルフ(Johannes Biesdorf )は初めて、水素燃料電池の中で凍結した氷と液体の水の分布を画像化することに成功した。この成果は、アメリカ物理学会(American Physical Society)が発行する学術速報誌「フィジカル・レビュー・レターズ(Physical Review Letters)」の2014年6月16日に掲載された。

■07月01日のWEB LINK NEWS
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2014/07/01 テスラモーターズが仕掛けた“EVカーの特許オープン化”を読み解く by 神尾寿(週アスPLUS)

 IT業界と同じく、自動車業界も技術革新が激しく、特許が最大の武器となる知財産業である。とりわけエコカーをめぐる特許の数々は、自動車メーカーに莫大な収益をもたらす金脈にして、企業としての趨勢を左右する生命線だ。

 たとえば、トヨタ自動車のハイブリッド(HV)システム“THS (Toyota Hybrid System)”は他の追随を許さない優れたハイブリッド技術であると同時に、多くの特許に守られたトヨタのドル箱。その最初の特許群が切れる2016年は、“トヨタの2016年問題”(自動車メーカー幹部)とも言われている。トヨタはこの先行者利益が消失する前の2014年から2015年にかけて、次期プリウスでTHSをさらに改良・進化させる一方で、水素燃料電池自動車(FCV)の量産市販化に踏み切る計画だ。このように自動車業界は、IT業界と同じかそれ以上に特許戦争が熾烈なのである。
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20140701-00000004-asciiplus-sci

2014/07/01 トヨタの燃料電池車投入にプリウスの時の気合いが感じられない理由(現代ビジネス)

 トヨタ自動車やホンダが燃料電池車の市販を世界の競合メーカーに先駆けて行なうことを決めた。こうした取り組みを見ていると、一見、ハイブリッド車に続いてトヨタが次世代車でも優位になったように見えるが、果たしてそうだろうか。

 トヨタの動きを見ていると、ハイブリッド車の開発の時にはあって、今回の燃料電池車投入にあたってはないものがある。実は非常に大切なものが欠けていると思う。感覚的な言い方になってしまうが、それは「覚悟」「狂気」「面白がり」といったようなメンタル面での気合いのようなものである。あるいは「魂」が感じられないといった方が適切かもしれない。

 ロジカルな分析ではないかもしれないが、20年近く自動車産業など製造業を取材してきて、製品開発を成功させる必要条件の一つには「エンジニアの心の叫び」を具現化していくことも大切ではないかと皮膚感覚で感じ取っている。

 最近会ったトヨタの元役員は「トヨタのハイブリッド技術が成功して世間に受け入れられたのは、その技術が正しくて素晴らしかったからではなく、エンジニアのトラウマと危機感の賜物によって過去を健全に否定できたから」と語った。その意味するところを以下に述べる。
「負け組」が「トヨタの常識」を否定して生まれたプリウス
奥田碩社長と和田明広技術担当副社長の「異端コンビ」
プリウスの成功体験を健全に否定できるかどうか

 「プリウス」が社会に新しい価値をもたらしたことは間違いない。そしてトヨタという世界的企業を象徴する商品にもなった。その分野では技術的にもトヨタが断トツの力を持っている。

 ところが、今回、トヨタが市販する燃料電池車を取材していて、車のスペックの詳細をまだ発表していないで、仕方ない面もあるが、「プリウス」の時と違ってトヨタから何か起こりそうな気配を感じない。説明はスマートだが、何か「狂気」「意気込み」のようなものも感じられないし、「お祭り騒ぎ」感もない。これまでの成功を守るための守勢に回っているといったイメージさえ受ける。

 プリウスの時は内山田氏が「技術だけではなく、室内空間や乗り心地など車全体の造りとして完成度が高いものができた」と説明していたが、燃料電池車では採用した新しい技術は分かっても、運転していてどんな楽しみや価値を与えてくれる車なのかも分かりにくい。豊田章男社長は「お客の笑顔」が大切と言うが、燃料電池車に乗ったお客がどんな笑顔になるかも今のところ想像がつかない。

 また、市販できるように価格を下げていくためには仕方ない面もあるが、燃料電池車はハイブリッド車と部品の共有化を推進するなど、トヨタが成功を収めた技術の延長線に存在している。燃料電池の技術担当役員の小木曽聡氏はハイブリッド車も担当している。トヨタは環境技術で「成功者」になっていることは間違いない。得てして成功者ほど過去を健全に否定できない。従来路線の延長から果たして革新的なイノベーションは起こるのだろうか。

 過激な言い方になるが、トヨタは「プリウス」の成功体験を健全に否定できてこそ、燃料電池車でも「王者」の地位を維持できるのではないか。
井上 久男
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20140701-00039715-gendaibiz-bus_all

2014/07/01 <話題>燃料電池関連の広がりに期待、関連銘柄を探る(モーニングスター)

 前週の25日、トヨタ<7203>がセダンタイプの新型燃料電池車(FCV)を公開するとともに、国内では14年度内に発売を開始し価格が700万円程度となることなどを明らかにした。それをきっかけに、FCV普及のかぎとなる水素ステーションなどのインフラ整備が進められるとの期待感から関連株に物色の矛先が向かう場面がみられた。今後も、関連銘柄への物色や広がりが期待される
<おもな関連銘柄>

 日清紡HD、東レ、昭電工、田中化研、稀元素、大陽日酸、日立化成、DIC、昭シェル、コスモ石、出光興産、JX、東海カーボン、カーボン、東洋炭素、日製鋼、新日鉄住金、神戸鋼、JFE、ホソミクロン、化工機、川重、日産自、トヨタ、ホンダ、信越ポリ、岩谷産、クレオス、東ガス、大阪ガス、邦ガスなど。
http://newsbiz.yahoo.co.jp/detail?a=20140701-00010000-biz_mos-nb

2014/07/01 【トヨタ FCVセダン 発表】シルバーカラーを初公開…米コロラド州のシンポジウムで(レスポンス)

 トヨタ自動車は、米コロラド州で開催されているシンポジウム「アスペン アイデア フェスティバル」に参加、6月27日より、日米欧で市販開始予定の燃料電池車(FCV)を展示している。

 日本では6月25日に、ブルーのFCVを公開したが、今回、シルバーのFCVが北米デビュー。米国では、カリフォルニア州など水素ステーションの整備が見込まれる地域で、2015年夏頃から販売を開始する予定だ。

 トヨタの北米製造・技術統括会社TEMAの永田理社長は、「ゆっくりと、しかし確実に、新たな技術によって、私たちの自動車や交通社会に対する考え方が変わってきている。安全運転をサポートする高度運転支援技術や、水しか排出しないゼロエミッションカー、こうした技術が人の命を救い、環境を守り、米国の雇用や経済に貢献していく」と述べた。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140701-00000027-rps-ind
※写真あり

2014/07/01 日本が勝つか?「燃料電池車」覇権争奪レポート【1】(プレジデント)

 20世紀はクルマの時代だったと言われるが、21世紀も「水素エネルギー」の出現で、自動車業界が激変する可能性が高まっている。新たな“富”を生むビジネスの最前線に迫る――。
■FCVの価格は、「1000万円以下に抑える」
■HVとFCVの技術は、ものすごく親和性が高い
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20140701-00012895-president-bus_all
※長文の記事なので、本文は↑でお読みください。また、次の【2】も同様に。もう一つ、この記事中に誤りと思われる個所があるので、PEMDREAMニュースも併せてお読み下さい。

2014/07/01 日本が勝つか?「燃料電池車」覇権争奪レポート【2】(プレジデント)
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20140701-00012896-president-bus_all

2014/07/01 理研と東大、中性の水から電子を取り出す人工マンガン触媒を開発(マイナビニュース)

 理化学研究所(理研)と東京大学は6月30日、植物などの光合成/水分解の仕組みを利用することで、中性の水を分解して電子を取り出す人工マンガン触媒を開発したと発表した。

 同成果は、理研 環境資源科学研究センター 生体機能触媒研究チームの中村龍平チームリーダー、山口晃大学院生リサーチ・アソシエイト、東大大学院 工学系研究科の橋本和仁教授らによるもの。詳細は、英国のオンライン科学雑誌「Nature Communications」に掲載された。

 研究グループでは、今回の成果が、クリーンで豊富な中性の水を電子源とした水素製造ならびに低環境負荷の有機燃料製造につながることが期待できるとコメントしている。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140701-00000084-mycomj-sci

■海外ニュース
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<輸送>
●バラード社、2基の燃料電池バスシステムでソラリス社と契約を結ぶ(2014年01月30日)

 バラード・パワーシステムズ社(Ballard Power Systems)は、ポーランドのバスメーカー、ソラリス社(Solaris Bus and Coach)と、ドイツのハンブルグ(Hamburg)に配備が計画されているバスに使う2基の次世代燃料電池電源モジュール「FCベロシティ(FCvelocity)-HD7」の機器供給契約を結んだ。燃料電池は遅くとも今年後半にソラリス社に納品され、ソラリス社の電動バスのレンジ・エクステンダー(range extender、航続距離延長システム)として使われる。
http://www.ballard.com/about-ballard/newsroom/news-releases/news01301401.aspx

■燃料電池関連イベント(初出後1週間を経過した情報はこちらに移動しました)
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☆福岡水素エネルギー戦略会議総会・記念講演会【再掲】
このイベントには、総会・記念講演会ともに会員以外の方も参加できます。また、交流会も会費をお支払いいただければ参加できます。
◇日 時:7月23日(水)14:00〜18:00
◇場 所:ホテルニューオータニ博多
     (福岡市中央区渡辺通1-1-2 TEL(092)714-1111)
     *JR博多駅からバス約7分、天神からバス約5分

     アクセス http://www.kys-newotani.co.jp/hakata/info/access/index.html
◇次 第:
『福岡水素エネルギー戦略会議総会』 14:00〜15:00 《会場:鶴の間・東(4階)》
  会長挨拶 新日鐵住金株式会社 岩城正和取締役
  知事挨拶 福岡県 小川 洋知事
  来賓挨拶 九州大学総長、他
  議  事 戦略会議26年度事業計画 等
『特別講演』 15:10〜15:25 《会場:鶴の間・東(4階)》

 「福岡水素エネルギー戦略会議のこれまでの10年、これからの10年(仮)」

   東 義氏(日鉄住金パイプライン&エンジニアリング株式会社顧問) 『記念講演会』 15:25〜16:40 《会場:鶴の間・東(4階)》
 記念講演1「水素社会の実現に向けたロードマップ(仮)」

   戸邉 千広氏(経済産業省資源エネルギー庁燃料電池推進室室長)
 記念講演2「北九州水素タウン事業報告(仮)」

   粟津 幸雄氏(水素供給・利用技術研究組合タウン実証部長)

 記念講演3「水素の地産地消を目指した水素サプライチェーン構築の可能性(仮)」

   山崎 明良氏(三菱化工機株式会社新事業本部経営企画グループHygeiaチーム担当部長)
◇交流会 16:45〜18:00 《会場:飛翔の間(4階)》

  交流会の会費:当日、5,000円/人のご負担をお願いいたします。
◇プログラム詳細はこちら → http://www.f-suiso.jp/info/8888.html
※なお、当日は13時からロビーにて、九州大学や県内企業等のパネル展示・製品展示を行っております。ご興味のある方はお早めにお越しください。
◇申込み方法:準備の都合上、7月18日(金)までに以下の入力フォームからお申し込みください。フォームが開きますので、必要事項を入力して送信してください。

  https://www.sipstool.com/f-suiso/anq/index.php?p=20140523143356

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