燃料電池ワールド Vol.1353 (2013/03/05 09:22)

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□燃料電池ワールド Vol.1353
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■2013年03月05日発行

                  ◆燃料電池NPO法人PEM-DREAM
                  ◇http://www.fcworld.jp

■03月04日のWEB LINK NEWS
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2013/03/04 【スマートエネルギーWeek13】燃料電池車の試乗会は大人気(レスポンス)

 「スマートエネルギーWeek 2013」で人気を博していたのは燃料電池車の試乗会だ。車両価格が高額な燃料電池車に同乗するだけではなく、実際に運転できる枠も少ないながら用意されていたこともあり、受付開始直前には行列が形成されることもあった。

 記者は出遅れたこともあり、同乗での試乗となり、日産『エクストレイル』をベースとしたFCVへ割り当てられた。この日産FCVを含め、ホンダ『FCXクラリティ』、トヨタ『FCHV』は全日空(ANA)のグループ企業であるイースタンエアポートモータースが運用しており、同社の運転手が運転していた。

 運転手によると、2011年の運用開始時はANAのファーストクラスやビジネスクラスを利用した乗客に対する送迎サービス用として使われていたが、一般的な高級乗用車と比べた場合にはベース車の乗り心地が劣っていたこともあり、徐々に使われなくなったようだ。現在はパイロットの送迎用として、主に羽田地区で使用されている。

 現状では極めてレアな燃料電池車だが、日常的に利用していると高揚感も薄れてくることや、日産FCVは巨大な水素タンクを後部座席下にセットした関係でアイポイントが高く、頭上の余裕も無いことからクルマを見た瞬間に落胆するパイロットもいるという。

 しかし、試乗会に集った人にとっては貴重な体験であるため、運転手も「久々に喜んでもらえたのでうれしいです」と感想を漏らしていた。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130304-00000012-rps-ent
※関連写真あり

2013/03/04 2015年のFCV市販化を前にトヨタ、ホンダ、日産のFCVトップが現状を語る(Impress Watch)

 今回行われたFC EXPO 2013の会場には、トヨタ自動車、日産自動車、本田技研工業のFCV開発陣のトップが来場したので、各社のFCV開発の現状と2015年の市場導入に向けたロードマップを聞いてみた。
■ 着実かつ順調に開発が進んでいるトヨタ

 前回の東京モーターショーでFCコンセプトの「FCV-R」(今回のFC EXPOにも展示)を登場させたトヨタは、昨年9月に最新の開発状況と2015年までの展開計画を公表。内製の水素タンクや、昇圧コンバーターを組み合わせたFCスタックが公開された。

 水素タンクは、それまで使用していた航空機用のカーボンからFCVのタンクに見合う専用仕様のカーボンを使うことにより、コストを削減することに成功している。コンバーター一体型FCスタックについては、近年モーターの電圧が上昇トレンドとなっているが、燃料電池セルを重ねてそれに合わせるよりも昇圧器を組み込んだほうがよいとの判断からだ。その性能は、2011年に日産が発表したFCスタックの出力密度(2.5kW/L)を上回る3.0kW/Lを達成したことも発表している。

 2015年にセダンタイプのFCVを投入し、2016年には日野自動車と共同で新型FCバスを市場導入するとしている上に、FCV普及期という位置付けがなされている2020年に登場させる次々型モデルの先行開発もすでに始まっており、着実かつ順調に開発が進んでいると言う。

 大仲氏はすでに現段階で、2008年に登場した「FCV-adv」に比べ、システムコストは1/10を達成しており、2015年には1/20を達成するべく開発を続けていると言う。それでも、FC市販車はハイブリッド車よりも高い価格設定になってしまうとの見方も示しており、「(販売が)近いのであまりしゃべれません」と、生産規模などは不明。今年の東京モーターショーあたりで市販のベースとなるコンセプトカーが登場するかもしれない。
■ コンパクトなFCV車両も見据えるホンダ

 各社がガソリン車のコンバートタイプのFCVを登場させていた2008年に、専用モデルであるFCXクラリティを登場させるほど、FCV開発に力を入れていたホンダだが、今回守谷氏の発言は、トヨタの大仲氏と比べると極めて慎重な構えだ。市販車投入まで2年ほどしかないという現時点で、投入するモデルについては公表されていない。

 インフラの整備も十分とは言えない現時点で、生産規模まで考えたコストを見ると、傍から見ていても設計のしようがないというのは明らかである。非常に高価なFCスタックと水素タンクを量産の生産プロセスでコストを吸収させることも可能だが、その生産規模自体が見えない今の時点ではそれも難しいと語る。儲からない時期がいつまで続くのか、それこそが最大の懸案事項のようだ。

 一方、技術競争については熱が入るのはホンダならではだろう。きびきび走るような味付けや、インパクトのある走り、といったホンダらしさを組み込むことは忘れていない。そしてまだ公表できないものの、小さなクルマにFCを入れたいという話も飛び出した。さまざまなユニットを組み込める大きなクルマに積むことはあまり意味がなく、ユニットは徹底したコンパクト化を図り、FCをどこまで小さいクルマに積めるのか挑戦していきたいというのだ。もちろん小型車にすることで価格を抑えることも可能で、大型車に展開していくことも容易になる、というメリットもある。

 ホンダらしい乗り味が堪能できるコンパクトなFCVの登場に期待したい。
■ ダイムラー、フォードとの共同開発に乗り出した日産

 リソースを大きく割いているバッテリーEVの拡大が大命題である日産にとっては、ホンダよりもさらにシビアのようだ。「儲からなければビジネスではない」ということで、1月末にルノー・日産アライアンスとダイムラー&フォードによるFC共同開発という新たな取り組みをスタートさせると発表した。FCを開発している各社が集まって、FC技術のいいとこ取りをしながら、量産規模を大きくしてコストを抑えていくという意向だ。

 しかし、その共同開発のため、2015年の市販車投入は当然遅れることとなる。結果、市販FCVの登場は2017年となる模様だ。この2年の遅れがどのような影響を及ぼすのだろうか。FCVのユニット類の低価格化が進む、もしくはFCVの認知が進む、というメリットはあるが、2015年にFCVを欲しいと思っているユーザー層に対してトヨタとホンダの2社でほぼ売りつくしてしまい、「日産のマスが残っていない可能性もある」と森氏。

 ちなみに2017年に登場するFCVがどのような大きさの車両なのかはまったく不明。少し遅れて登場するFCVが、他社のモデルと比べてどれだけの進化とプライスタグをつけて登場するのか、インパクトのあるモデルであれば新たな顧客をつかむことも可能だろう。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130304-00000033-impress-ind

2013/03/04 九大、高圧高温下での活性化処理を不要とした水素貯蔵合金(FeTi合金)を開発(マイナビニュース)

 九州大学(九大)は、水素貯蔵合金として知られる鉄チタン(FeTi)合金を容易にかつ安価で利用できる新たな製造技術を開発したと発表した。

 成果は、同大 大学院工学研究院 カーボンニュートラル・エネルギー国際研究所(I2CNER) 水素貯蔵部門の堀田善治 主幹教授、同 秋葉悦男 教授らによるもの。詳細は、米Elsevierの科学雑誌「International Journal of Hydrogen Energy」オンライン版に掲載された。

 水素貯蔵合金としては、一般的にLaNi5、Mg2Ni、FeTiなどの合金が知られているが、LaNi5は室温で利用できて性能は優れているものの、希土類元素のLaを含むことから高価で資源的にも課題がある。またMg2Niは、軽量かつ安価ながら200℃以上の高温でないと利用できないという課題があり、FeTi合金は、身近な金属元素で最も安価だが、水素貯蔵合金として活用するためには、使用前に圧力を30気圧に設定し、450℃という高温の環境下で活性化処理を行う必要があったほか、一度、大気中に曝した後は、再度高い水素圧力と高温下での活性化処理が必要になるなど利用方法に課題があった。

 そこで研究グループは今回、活性化処理を要しないFeTi合金を実現する技術の開発を進めたという。具体的には、強度が高く脆いために塑性変形しにくいFeTi合金を、巨大ひずみ加工装置で、強制的に変形させ、大量ひずみを付与することで、転位、結晶粒界などの格子欠陥を導入したところ、水素吸蔵・脱蔵を繰り返した後に大気中に曝しても、再度、活性化処理することなく再度利用できることが確認されたという。

 研究グループは、活性化後、大気に触れても活性を失うことなく、そのまま使用可能になったことについて、従来の水素貯蔵合金とはまったく異なる性質を付与することに成功したもので、これにより水素貯蔵合金の取り扱いが大幅に緩和されることになるとコメント。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130304-00000131-mycomj-sci
※関連画像あり

2013/03/04 ノーリツ、家庭の給湯エネルギーの約半分を太陽熱でまかなう給湯システム(Impress Watch)

 ノーリツは、太陽エネルギーを利用してガス代を削減する、太陽熱利用ガスふろ給湯システム「SOLAMO(ソラモ) VF-4200-BL/VF-6200-BL」を、4月1日に発売する。希望小売価格は、集熱面積が4平方mのVF-4200-BLが757,890円、6平方mのVF-6200-BLが837,690円。

 また補助熱源機には、従来給湯器よりも省エネ性能が高い「エコジョーズ」を採用。VF-4200-BLを、従来システム「VF-4140-BL」と比較した場合、ガス代は年間9,000円、CO2排出量は約122kg削減できるという。また、非エコジョーズタイプの給湯器から買い換えた場合、ガス代は年間約46,000円、CO2排出量は約572kg削減できる試算となっている。

 貯湯ユニットは、従来モデルの140Lから200Lに拡大。建物の美観を損なわない、高さを抑えたデザインを実現したという。

 ノーリツによると、10月1日より施行される住宅・建築物の省エネ法の改正により、住宅の1次エネルギー消費量は一層の削減が求められるものの、本製品を使うことで、給湯エネルギー消費量の削減効果が見込めるとしている。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130304-00000035-impress-ind
※関連写真あり

■海外ニュース
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<報告書/市場調査>
●ドイツにおける燃料電池暖房システム技術の研究(2012年10月09日)

 ドイツ水素・燃料電池研究開発推進機構(National Organization Hydrogen and Fuel Cell Technology:NOW)は、10kW以下の小型燃料電池熱電併給(combined heat and power:CHP)システムの潜在的な環境性と経済的利益を調査した。そして、燃料電池以外のものと比べて燃料電池拡大のための二つのシナリオが述べられている。

 燃料電池暖房システムは、熱電併給技術のいろいろな製品のなかで小型の適応例として拡大する。このシステムは、およそ1400万の一世帯または二世帯住宅に付けられている約340万台の24年以上が経過している暖房ボイラーの大部分を簡単に置き換えるのに適している。

 この補助装置はまた、最新のガス暖房システムを補完するために使うことが可能だ。環境とエネルギーの政策展望から、これらの革新的ユニットは他の競合しているシステムに勝る利点を提供する。燃料電池イニシアチブ(Fuel Cell Initiative)のスポークスマンによれば、燃料電池は「眠っている巨人(すなわち建物)をよみがえらす」ために相当な貢献をすることができるし、エネルギーの転換を促進する。

 この研究は、燃料電池イニシアチブとドイツ機械工業連盟(VDMA)の燃料電池ワーキンググループによって依頼されたハイデルベルクエネルギー・環境研究所(Institute for Energy and Environmental Research Heidelberg:IFEU)によって行われた。
http://www.now-gmbh.de/en/press/2012/ifeu-study-of-the-benefits-of-innovative-chp-technology.html

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