燃料電池ワールド Vol.1150 (2012/05/01 09:28)

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□燃料電池ワールド Vol.1150
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■2012年05月01日発行

                  ◆燃料電池NPO法人PEM-DREAM
                  ◇http://www.fcworld.jp

■2012年04月27〜30日のWEB LINK NEWS
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2012/04/27 電力の個産個消時代がやって来る - 山田 高明(アゴラ)

 先日、松本徹三先生のほうから「電力のグランドデザイン」についての話がありましたが、将来設計にあたり、プライベート電源のイノベーションによって、今の重厚長大型の電力システムそのものが衰退していく可能性も考慮に入れたほうがよいのではないかと思い、以下の稿を記したいと思います。
巨大な送電・変電・配電設備

 一般に、「系統電力」とか「商用電源」と称されるものは、この巨大な送電以下の設備コストを絶対的に背負わねばならない。これが、今回の記事のポイントとなる。これから凄まじい追加投資が待っている

 以上のように、これからの日本では、発電・送電・変電・配電の、すべてに巨額の追加投資が実施されて(強いられて?)いくのである。とくに自然エネルギー業者側の、ああしろこうしろという要求がどんどん通っていくだろう。

 すべては、「アブノーマルな電源のままでも構わないから、今はドイツに学んで、FITによる人為市場で“爆発的に普及”させることを優先するべきだ」などと信じ、それを実行しようとしている馬鹿な人たちのせいだ、とここに明記しておく。系統電力を見限った消費者が「電源自立」を模索し始めた

 このように、巨額投資したのに、電気料金は上がり、利便性も向上しない。そのくせ、毎年「節電してくれ」という類いの要請が現れる。消費者は、安定供給に対して不安を覚え、また電気料金に対して強い不満を覚えるだろう。東日本大震災や原発事故で、人々の防災や自衛の意識が高まったことも影響し、「もう政府や電力会社に頼ってられない、自分たちの手でなんとかする他ない」というマインドが益々高揚していくものと思われる。

 実は、その胎動はすでに企業の間で始まっている。とくに製造業系の企業は、「安くて豊富な電力の安定供給」が命綱だ。従業員を食わせなければならない彼らとしては、無能な政府と心中するわけにはいかない。だから、今や一斉にガス発電の導入に動きつつある。

 実は、ここが興味深い。あくまで「ガス」なのである。なぜなら、石炭や重油では、よほど扱いなれた企業でない限り、常用発電が難しい。その点、マイクロガスタービンはスイッチ一つで誰でも操作できる。クリーンで、需要規模に応じたタービンが揃っており、ガス管と接続している限り燃料供給が途絶える心配もない。しかも、その排熱を熱源として再利用することができる。自家用コージェネが極めて容易なのだ。

 また、一戸建ての電源自立もついに始まった。一般家庭の年間電力使用量はせいぜい4千kWh前後なので、住宅用太陽光発電システムと蓄電池で十分に自立可能である。家庭用の電力料金は最高値の設定なので、いち早くグリッドパリティ(系統電力との等価)に到達する需要家があるとすれば、それは一戸建てだろう。自立に不安であれば、小型風車も足せばいい。今では0・5kWクラスで5万円前後まで登場した。というか、風況のよい土地では、逆に風車メインで自立しようという動きも見られる。併用はリスク分散にもなる。

 おそらく、自立した住宅は、エネルギー経費を抑えるためにオール電化を選択する傾向が強まるだろうが、心配であればガスとの接続は維持し、格安のガス発電機も備えておけばよい(やはり0・5kWクラスで7万円台がある)。あるいは、これから安くなる一方の家庭用燃料電池を中心としたシステムにする方法もある。これなら完璧に自立可能だ。「商用電源VSプライベート電源」戦争の行く末は?

 繰り返すが、商用電源はこれから、人口減少と需要家離脱のダブルパンチ、いや、インフラ投資も含めたトリプルパンチによって、年々、経済性が悪化していく。対して、プライベート電源は、逆に年々、性能やコストを改善させていくだろう。今がちょうど両者の分岐点なのかもしれない。両者のコスト差は、これから開く一方となる。コンピュータと同じく電源もパーソナルな時代へ

 結果として現れる新世界は、よく言われる「スマートコミュニティ」「マイクログリッド」「電力の地産地消」などとは明らかに異なる。あくまで「個の電源自立」であり、その集合体である。太陽光や風力は、むしろ個産個消用として普及が加速する。おそらく、電力システムからいったん自立した個は、もはや戻ってくることはない。スマートグリッドの技術などは、むしろ大企業・大学・巨大マンションなどの「大規模プライベート」の、個内最適化システムとして生かされていくのではないか。大半の地域には、電柱も電線もない。郊外には鉄塔もない。それは「電力会社そのものがない未来」なのだ。
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20120427-00000301-agora-sci
※図あり

2012/04/29 補助金制度開始で広がるHEMSの多様性(サーチナ)

 4月19日に富士経済が発表したところによると、2011年の住宅設備・建材市場全体は、前年比105.9%の4兆9031億円に拡大。そのうち住宅設備市場は、前年比106.7%の2兆8658億円となり、今年も拡大傾向が続きそうである。これを裏付けるように、4月に入ってからだけでも、エス・バイ・エル 、積水化学、パナホーム、三菱地所ホーム、トヨタホーム、住友林業ホームテック などが相次いで新商品を発売している。

 この新商品ラッシュを後押ししているのが、4月19日から一般申請受付が開始された経済産業省による「エネルギー管理システム導入促進事業費補助金(HEMS導入事業)」である。4月10日現在、補助対象機器に採択されているのは6事業者11製品。住宅にこれらの採択機器を導入する際、10万円を限度として補助金が交付されるのである。一口にHEMSといっても種類や性能は千差万別、見える化機能等の補助対象基準に加えて、各社が独自色を出すべく様々な志向を凝らしている。

 また、太陽電池・燃料電池・蓄電池の3電池を連動制御する為にHEMSを独自開発したのが積水ハウスである。他社製品のHEMSは見える化を主体に、そこから派生した機能で独自性をアピールしているのに対し、このHEMSの特徴は、3電池を連動制御させ適切な電力管理・供給を行える点にある。通常時は太陽電池で発電した余剰電力を売電し、停電時は蓄電池に貯めるように自動制御。蓄電池の電池残量を常に1/2以下にならないよう制御できる、などである。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120429-00000015-scn-bus_all

2012/04/29 積水ハウス、日本初のスマートタウンまちびらき(サーチナ)

 各住宅メーカーが次々とスマートハウスを展開し、スマートシティやスマートコミュニティの実証実験を行う中、積水ハウス <1928> が先陣を切って日本初となるスマートタウンのまちびらきを行い、普及に向けた本格的なスタートを切った。4月27日、震災復興の地である仙台郊外に開発された「スマートコモンシティ明石台」でまちびらき式典が行われ、メディアや実験・未来図の中にしか無かったスマートタウンでの実際の暮らしが現実のものとなる。

 「スマートコモンシティ明石台」は、東日本大震災後に開発された宮城県内最大級の大型住宅団地(431区画)で、昨年12月から販売を開始し、既に60区画が契約済みだ。

 「スマートコモンシティ明石台」の軸となるのは、太陽電池・燃料電池・蓄電池の3電池を組み合わせ、それを積水ハウスが独自開発したHEMS(ホームエネルギーマネジメントシステム)で連動制御するスマートハウス「グリーンファースト ハイブリッド」である。3電池連動制御のスマートハウスを軸としたスマートタウンは日本では初めてのことで、まちびらき現在で既に7棟の住宅が建築されており、将来的には全体の3割の導入を目指すという。他の住宅メーカーが販売するスマートハウスは、太陽電池と蓄電池を組み合わせたものが多く、HEMSも電気・ガスの使用量や太陽電池の発電量などの「見える化」が主眼となっている。一方、積水ハウスの「グリーンファースト ハイブリッド」は、3電池を自動で最適制御することが可能。通常時は太陽電池で発電した余剰電力を売電し停電時は蓄電池に貯めるように自動制御したり、蓄電池の電池残量を常に1/2以下にならないよう制御できる。このように3電池を連動制御させ、適切な電力管理・供給を行えるスマートハウスは世界でも初めてだという。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120429-00000019-scn-bus_all
※写真あり

■海外ニュース
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<輸送>
●インテリジェント・エナジー社とスズキ、合弁会社「スマイル・エフシーシステム社」を設立(2012年02月07日)

 インテリジェント・エナジー社(Intelligent Energy)とスズキ自動車(Suzuki Motor Corporation)は、「スマイル・エフシーシステム社(SMILE FC System Corporation)」と名付けた合弁会社を設立した。この会社は、さまざまな産業分野に向けた空冷式燃料電池の開発と製造を行う。そしてまた、スズキが次世代型燃料電池自動車のためにインテリジェント・エナジー社の燃料電池技術を利用できる非独占的特許契約を含んでいる。

 この契約の条項に基づき、両社はそれぞれ合弁企業に50%ずつ出資する。スマイル・エフシーシステム社は静岡県浜松市に本社を置き、横浜市の事業所で最初の活動を開始する予定だ。両社は2006年以来、燃料電池オートバイを共同開発しており、今回の合弁事業は燃料電池自動車の商用化を促進することとなる。
http://www.intelligent-energy.com/news_events_and_press/news/103/

■燃料電池関連イベント(初出後1週間を経過した情報はこちらに移動しました)
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☆燃料電池組立・発電体験コーナー【再掲】

 FC懇談会は、FCDIC(燃料電池開発情報センター)が主催する第19回燃料電池シンポジウムで「燃料電池組立・発電体験コーナー」を行います。このコーナーは、(株)ケミックスの燃料電池組立キットを使って、組み立て及び発電試験を体験していただきます。説明はFC懇談会メンバーが担当します。予約制ですが、どなたでも参加無料ですので、ぜひチャレンジ下さい。
◇日時 5月16日(水)〜17日(木)10時〜17時
◇場所 タワーホール船堀1F シンポジウム展示会場(東京都江戸川区船堀4-1-1)
◇参加費 無料(予約制)
◇予約 参加登録用紙を下記URLからダウンロードしてお申し込み下さい。具体的な申し込み方法は用紙に記載してあります。
  http://www.fcdic.com/

 申込者が規定数に達した時点で受付終了となりますので、お早めにお申し込み下さい。
 *指導教員の方が同席される場合は高校生等も可です。
◇主催 FC懇談会、協力(株)ケミックス

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