燃料電池ワールド Vol.1151 (2012/05/02 10:34)

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□燃料電池ワールド Vol.1151
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■2012年05月02日発行

                  ◆燃料電池NPO法人PEM-DREAM
                  ◇http://www.fcworld.jp

■2012年05月01日のWEB LINK NEWS
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20120501 NIMSなど、固体電気化学反応を原子レベルで観察することに成功(マイナビニュース)

 物質・材料研究機構(NIMS)国際ナノアーキテクトニクス研究拠点の青野正和 拠点長、長谷川剛 主任研究者、鶴岡徹 MANA研究員らの研究グループは、ドイツ・アーヘン工科大学のR. バーザー教授、ユーリッヒ研究所のI. バロブ博士らの研究グループと共同で、固体電気化学反応における電子の授受とそれに伴う金属イオンの還元・析出反応を原子レベルで観察することに成功したと発表した。同成果は、英国科学雑誌「Nature Materials」オンライン速報版に公開された。

 電子の授受によってイオン伝導体中のイオンが還元されて中性の原子となりイオン伝導体の表面に析出する現象(還元反応)、および表面に析出した原子がイオン化されて再びイオン伝導体中に取り込まれる現象(酸化現象)は固体電気化学反応と呼ばれ、19世紀から研究が行われてきており、現在では、燃料電池やガスセンサにおける電極反応などとして、幅広い分野で利用されている。

 燃料電池の小型化や高寿命化をはじめとして、これら固体電気化学反応を利用したイオニクスデバイスの高効率化は、低炭素・省エネルギー社会を実現する重要な要素となっている。固体電気化学反応の基本的な描像は化学反応式によって記述され、巨視的にはかなり明らかにされているが、原子レベルでどのように反応が進むのかなどは、これまで明らかにされてこなかった。

 今回の研究では、イオン伝導体であるヨウ化ルビジウム銀(RbAg4I5)に不純物(Fe)をわずかに加えることで、固体電気化学反応に必要なイオン伝導体としての特性はそのままに、STM観察に必要なわずかな電子伝導性を発現させることに成功した。

 この結果、固体電気化学反応に必要な電子の授受と固体電気化学反応に伴う原子の析出現象の観察をSTMで同時に行うことが可能になった。また、固体電気化学反応に伴う電荷(電子とイオン)の流れをファラデー電流と呼ぶが、今回の研究で観測されたファラデー電流は数十個の電荷であったという。

 これらの観察の結果、電圧を印加してからイオンの還元・析出反応が始まるまでに一定の時間(タイムラグ)を要することが確認された。解析の結果、これは一定数のイオンが表面近傍に集まるまでの時間であり、その集まったイオンが核を形成することではじめて還元・析出現象が起こることが判明した。

 さらに、ある値以上の電圧を印加することで、表面近傍に到達したイオンが集まる必要無く1つずつ直ちに還元されて析出することが判明し、この結果、タイムラグは無視できるほど小さくなることが分かった。

 今回開発された手法は、固体電気化学反応全般に適用可能であり、今後、燃料電池の電極反応の高効率化を実現するための材料開発など、固体電気化学反応を用いる幅広い製品分野の開発において、開発指針を得る有益な手法として用いられることが期待されると研究グループでは説明している。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120501-00000030-mycomj-sci
※写真あり

■海外ニュース
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<定置用電源>
●フュエルセル・エナジー社、ヨーロッパ市場への燃料電池プラント販売でフラウンホーファー研究所と合弁会社設立(2012年02月22日)

 フュエルセル・エナジー社(FuelCell Energy, Inc.)は、ドイツのフラウンホーファー・セラミック技術・システム研究所(Fraunhofer IKTS (Institute for Ceramic Technologies and Systems))とドイツに本社を置く合弁会社を設立する覚え書きを交わした。この合弁会社は、フュエルセル・エナジー社の定置用燃料電池発電プラント「ダイレクト・フュエルセル(Direct FuelCell〓:DFC〓)」をヨーロッパ市場で販売する。フュエルセル・エナジー社は、ドイツに合弁会社のための法人を設立しており、持ち分の過半数を所有する予定である。
http://fcel.client.shareholder.com/releasedetail.cfm?ReleaseID=650518〔参考〕フラウンホーフ・  雫┣顱米ネ: Fraunhofer-Gesellschaft, FhG)は、ドイツ全土に56の研究所を持つ研究機関。フラウンホーファー研究機構とも。各研究所は科学の様々な応用を研究テーマとしている(マックス・プランク研究所は基礎研究中心である点が異なる)。12,500人以上の科学者と技術者を抱え、年間研究予算は約12億ユーロである。費用の一部はドイツ各州(およびそれを経由して政府)から提供されているが、3分の2は政府や産業界からの研究委託で賄われている。名称の由来は、科学者であり技術者であり起業家でもあったヨゼフ・フォン・フラウンホーファーに由来する。アメリカ合衆国には6つの研究センターを持ち、アジアに3つの研究センターがある。日本にはフラウンホーファー日本代表部がある。(WIKI)

■燃料電池関連イベント(初出後1週間を経過した情報はこちらに移動しました)
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☆燃料電池組立・発電体験コーナー【再掲】

 FC懇談会は、FCDIC(燃料電池開発情報センター)が主催する第19回燃料電池シンポジウムで「燃料電池組立・発電体験コーナー」を行います。このコーナーは、(株)ケミックスの燃料電池組立キットを使って、組み立て及び発電試験を体験していただきます。説明はFC懇談会メンバーが担当します。予約制ですが、どなたでも参加無料ですので、ぜひチャレンジ下さい。
◇日時 5月16日(水)〜17日(木)10時〜17時
◇場所 タワーホール船堀1F シンポジウム展示会場(東京都江戸川区船堀4-1-1)
◇参加費 無料(予約制)
◇予約 参加登録用紙を下記URLからダウンロードしてお申し込み下さい。具体的な申し込み方法は用紙に記載してあります。
  http://www.fcdic.com/

 申込者が規定数に達した時点で受付終了となりますので、お早めにお申し込み下さい。
 *指導教員の方が同席される場合は高校生等も可です。
◇主催 FC懇談会、協力(株)ケミックス

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