燃料電池ワールド Vol.810 (2010/11/24 10:07)

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□燃料電池ワールド Vol.810
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■2010年11月24日発行

                  ◆燃料電池NPO法人PEM-DREAM
                  ◇http://www.fcworld.jp

■2010年11月22〜23日のWEB LINK NEWS
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2010/11/22 【日本版コラム】トヨタと中国企業に見る電気自動車市場の近未来(ウォール・ストリート・ジャーナル)
小型EVへの注力を始めたトヨタ
「小型」と「商用」に集約されつつある中国のEV市場

 EVS25において、中国のエネルギー政策におけるEVの位置づけが明確に示された。例えば、清華大学State Key Laboratory of Automotive Safety and Energyのオウヤン・ミンガオ氏によると、中国政府は当面,バスなど大型商用車の電動化と,小型の「新能源車(新エネルギー車)」の開発に注力し、そこで得た技術開発力を徐々に普通車に活用する方針である。

 BYD(比亜迪汽車) のリー・ステラ氏も、バスとタクシーからEV化することが有効であると語っている。同社によると、バス1台のEV化で乗用車30台分の温室効果ガス(GHG)排出量の削減ができ、タクシー1台のEV化で乗用車10台分のGHG排出削減が可能になる。乗用車のEV化よりもバスやタクシーのEV化の方がGHG削減の面でも効率的であり、BYDは、電動バス「K9」やEV「e6」のタクシー版を開発している。 同社は、2011年に米国市場でPHEVを販売予定であることが注目されてきたが、EVのターゲット市場として中国国内も重要視していることが分かる。
規制のダブル・スタンダードの解消

 小型、バス、タクシーのEVが近い将来普及すると思われるのは、これら三種類のEVは充電の問題がそれほど大きくないからである。小型EVは過疎地の高齢者が近所に買い物に行くのに最適で、それほどスピードが出ないから、二輪や軽四輪よりも安全である。また、バスやタクシーは毎日の走行距離、ルートが決まっているため、計画的に充電できる。様々な場所に行って、焦って充電ステーションを探さなければならない自家用EVドライバーと対照的である。日本交通が米ベンチャーのベタープレイス社と東京都港区でEVタクシーと電池交換の実証試験を行っているが、台数が少ないこともあり国内ではそれほど注目されていない。しかし、珍しい案件なので、米国では結構注目されている。中国の小型EVが日本に輸出されない理由

 実は、中国の小型EVは米国や欧州に輸出されているが、日本には輸出されていない。それは二人乗りの小型EVは国土交通省の規制カテゴリーに入っていないからである。国交省が定めている小型のクルマは、「小型自動車」「小型トラック」「三輪トラック」「軽トラック」「軽自動車」「オートバイ」「スクーター」であるが、中国で販売されている小型EVは何れにも該当しないのである。また、規制緩和の目途は今のところ立っていない。過疎地で生活するお年寄りにとっては、小型EVは二輪車より安全で、軽自動車よりCO2排出量が少なく、しかも実用的だが、日本では走行が認められないのは残念である。

 当面、「小型」、「商用」、「米国」、「中国」というキーワードで世界のEV市場は動くと思われる。ただ、メーカーも市場がどこに向かうのか確証は得ておらず、方向性が見えて来るのは5年から10年後だろう。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20101122-00000001-wsj-bus_all

■海外ニュース
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<輸送>
●パワーセル社とボルボ、車上改質でレンジエクステンダーの開発に挑戦(2010年10月27日)

 スェーデンエネルギー庁(Swedish Energy Agency)からの支持を受けて、パワーセル社(PowerCell)とボルボ(Volvo)は、電気自動車のための30kW級レンジエクステンダー装置の実現可能性を検討している。このレンジエクステンダー装置システムは改質器と燃料電池から構成され、パワーセル社の燃料電池で使うための水素をガソリンを改質して作ろうとするもの。

 このプロジェクトは承認待ちではあるが、次の段階では2台の「ボルボC30電動レンジエクステンダー(Volvo C30 Electric Range Extender)」を製造する。この自動車は改質器と燃料電池のシステムでバッテリー能力の半分以上を補って、2012年には試験を始める予定である。
http://www.powercell.se/about/news/

〔訳注〕19日のメルマガで、プロトン・モーター社の燃料電池を使ったレンジエクステンダーシステム(航続距離延長装置)の取り組みを伝えたが、対象は電動商用車であった。今日のボルボとパワーセル社は電動乗用車に燃料電池技術を応用しようとしている。しかも、ガソリン改質という10年ほど前に盛んに試みられた車上改質に再び日の目を見せようという発想だ。これによって電気自動車の弱点である走行距離の短さを補い、充電無しで250km走ることを目指している。もっとも、とりあえずはガソリンということで、液体燃料を使った車上改質という考え方が基本であるから、他の燃料も登場するかもしれない。

■燃料電池関連イベント(初出後1週間を経過した情報はこちらに移動しました)
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☆第4回 山梨燃料電池実用化推進セミナー【再掲】

 燃料電池ビジネスに参入する上で、自社の技術をどのように生かせるのか、現在どのような技術が求められているのか、世界をリードする講師陣により必要な情報を提供いたしますので、皆様のご参加を心からお待ちしております。
◇開催日程 11月30日(火)14:00?17:30
◇会場 山梨大学燃料電池ナノ材料研究センターセミナー室(山梨県甲府市宮前町6-43)
◇参加費 3,000円
◇内容 
第1部 14:15?15:45
『スマートグリッドの動向と定置用燃料電池の位置づけ』
[講師]樺澤明裕氏(富士電機ホールディングス(株)技術開発本部エネルギー環境研究センターエネルギーシステム研究部グリッド制御グループ課長)
第2部 16:00?17:30
『燃料電池を利用したクリーンエネルギー社会の実現と課題』
[講師]内田誠氏(山梨大学燃料電池ナノ材料研究センター教授)
◇申込締切 定員(30名)に達し次第、募集を締め切ります
◇詳細についてはこちら
  http://www.pref.yamanashi.jp/sangyo/news/index.php?id=77
◇主催 山梨燃料電池実用化推進会議
    山梨県地域産業活性化協議会

☆福岡水素エネルギー人材育成センター【再掲】
●第10回経営者コース

 水素エネルギーに関心を持つ企業経営者等を対象に、水素の性質や燃料電池などに関する基本的な知識と市場の最新動向を短時間で習得いただくコースです。施設見学では、水素ステーション、燃料電池自動車、家庭用燃料電池の実物をご覧いただきます。
◇対象:水素エネルギーに関心を持つ企業経営者等
◇日程:12月2日(木)12:50〜18:10
◇会場:九州大学伊都キャンパス (福岡市西区元岡744番地)
◇定員:40名(定員に達し次第、募集を締め切ります)
◇受講料:3000円/人(交流会費2,000円)
◇コースの詳細はこちら(福岡水素エネルギー戦略会議HP)
http://www.f-suiso.jp/10th_keieisha.html
◇受講申込みはこちら(申込フォームが開きます)
https://www.sipstool.com/f-suiso/anq/index.php?p=20090309105516
◇主催:福岡水素エネルギー人材育成センター(福岡水素エネルギー戦略会議)
◇後援:(独)新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)、水素エネルギー協会(HESS)、燃料電池開発情報センター(FCDIC)、(公財)水素エネルギー製品研究試験センター(HyTReC)

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