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□燃料電池ワールド Vol.477
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■2009年07月01日発行
◆燃料電池NPO法人PEM-DREAM
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☆熊野古道のグリーントイレに燃料電池
大阪から和歌山を経て熊野に至る紀伊路は、田辺で熊野本宮に向かう中辺路(なかへち)へと入り、十丈峠を通っていく。この路も古代の空気が漂う熊野古道の一部を構成していて、世界遺産に登録されている。この峠にある十丈王子(熊野三山の御子神)に設置された公衆便所に、燃料電池が使われていることはあまり知られていない。
今年の4月1日から供用が開始されたこの便所は、並の便所ではない。並の便所とは何かということになるが、下水道に流したり、くみ取り式のものを指す。我々が日常使用している並の便所では、燃料電池は要らないだろう。だが、ここでは燃料電池が必要だったのである。
この十丈王子休憩所には、もともと電気や水道設備がない。加えて車道にも接していないために、並の便所が作れない場所だった。古くからあるくみ取り式のトイレは老朽化して不衛生と感じられるようになっていたことから、このほど建て替えが行われた。
和歌山県は、土壌処理循環式し尿処理システムを利用した最先端の便所を計画した。これは、便所に貯められたし尿をバクテリアの棲む地下槽に散布すると、バクテリアがし尿を分解して水にしてしまい、その水を便器洗浄水として繰り返し使うというものだ。水をポンプでくみ上げるために、いつでも使う少しの電力が必要になる。系統電源の来ていない場所だから、5日間使えるバッテリーだけでは使い切ったらだめである。それを充電するために160Wのパネルを6枚並べた太陽光発電システムも設置するが、日本でも有数の雨の多い地域であるため稼働できないときもあり、バッテリー切れの心配は残る。
それらのシステムをさらに補助するのが燃料電池の役割である。バッテリーが切れたら燃料電池が稼働して、1日かけて充電するとバッテリーはまた5日間使えるようになる。これで、最初にバッテリーが働いていた5日間と燃料電池が充電する1日に加えて、充電されたバッテリーがさらに5日間働けるので11日間連続して電力が供給される。この地域では統計上、17日間連続で雨が続いたことはないそうで、11日目でバッテリーが切れても再度燃料電池が稼働するようにして、さらに5日間分の充電を行うように設計されている。こうして2度、燃料電池が自動的に稼働するようにしたことで、5日+1日+5日+1日+5日の合計17日間は電力を切らないという目標が達成できた。途中太陽光発電も働くことで電力供給問題は解決することになった。燃料電池と水素は岩谷産業が納入し、設置した。
大きい写真は正面全景である。扉が3つあり、右側はトイレ入り口、左が機械室で、この内部の写真が右の写真である。クリックすると大きくなるが、中は3段に分かれていて、舌がバッテリー、上が水素ボンベ、中が燃料電池のスペースで見えている機械の奥に燃料電池本体がある。裏側から見た全景は真ん中の写真で、太陽光発電パネルが太陽光を浴びて発電している。(写真提供=岩谷産業株式会社)
土壌も大気も汚さない持続可能な最新式のグリーントイレ。この整備費約2700万円は環境省と和歌山県が負担した。環境省のホームページには環境技術として山岳トイレ技術分野が載っているが、し尿処理技術に絞られている。十丈王子公衆便所のケースは、環境技術を実現するためにもエネルギーの裏づけが必要なことを教えている。この便所は世界初のシステムだろうし、いろいろなところに使える事例ではないだろうか。
■燃料電池関連イベント
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☆北陸グリーンエネルギー研究会設立記念講演会【再掲】
北陸グリーンエネルギー研究会は、北陸3県の産・官・学・市民社会が結集し、水素社会・低炭素社会の実現をめざすために、この5月に発足した団体です。
本研究会の設立を記念し、公開講演会を開催します。多くの方の多くの方々にご来訪いただきたく、ここにお知らせいたします。
○日 時:7月2日 15:00?16:00
○場 所:富山大学 黒田講堂ホール(富山市五福3190)
http://www.u-toyama.ac.jp/jp/access/gofuku/index.html
○講 師:北陸グリーンエネルギー研究会会長 炭谷 茂
(元環境事務次官、現恩賜財団済生会理事長、学習院大学法学部特別客員教授)
○演 題:北陸が環境革命の先陣をきる?北陸グリーンエネルギー研究会が目指すもの?
○申 込:公開講演会です。予約などは不要です。直接会場にお越しください。
○お問い合わせ:北陸グリーンエネルギー研究会
www.hokuriku-green-energy.org/
question@hokuriku-green-energy.org
☆SSKセミナー【再掲】
●日本版スマートグリッド」普及の道程と活用システム
?電力系統に残された課題とメーターに必要な技術とは??
<1>スマートグリッドと日本の電力系統
関西学院大学大学院総合政策研究科客員教授
YSエネルギー・リサーチ代表
山藤 泰氏
<2>SAPのスマートメーター活用基盤AMIと海外事例紹介
SAPジャパン(株)インダストリー&ソリューション戦略本部公益産業担当部長
松尾 康男氏
SAPジャパン(株)ソリューション本部
オペレーションマネジメント部ソリューションスペシャリスト
川島 浩史氏
◇日 時:7月22日(水) 午後2時?5時
◇会 場:明治記念館(東京都港区元赤坂2?2?23)
◇受講料:1名につき31,290円(消費税込)
同時に1社より複数ご参加の場合、2人目以降 26,040円(消費税込)
◇主 催:株式会社 新社会システム総合研究所
◇問い合わせ・申し込み:株式会社 新社会システム総合研究所
TEL 03?5532?8850
申込受付FAX 03?5532?8851
E-mail info@ssk21.co.jp
または、下記HPから申し込みができます。
http://www.ssk21.co.jp/seminar/S_09222.html
■2009年06月30日のWEB LINK NEWS
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2009/06/30 NEDO パナ電工・シャープと省エネ配電 交直流併用 住宅向け実証実験(フジサンケイ ビジネスアイ)
電気の流れを変えて、二酸化炭素(CO2)排出削減を-。独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、次世代の住宅内の配電を従来の交流から交流と直流の併用とすることで、10%以上の省エネ化を図る実証事業を始める。パナソニック電工とシャープによる技術開発や国際標準化を支援することで、日本発の次世代直流システムの海外展開を後押しする。
電力事業の黎明(れいめい)期である19世紀末から家庭に送られてくる電気は交流だ。当時の送電技術で安全性を確保するのに適していると判断されたからで、それが標準となり今も続いている。家電製品は直流で動くため、それぞれに交流を直流に変換するACアダプターを備えている。
NEDOが目指すのは、交流で送られてきた電気を住宅や部屋ごとに一括して直流に変換できるシステムだ。次世代直流システムを活用すれば、個々の家電製品ごとに変換するよりも変換効率が上がると見込まれる。
また今後、普及拡大が期待される家庭用の太陽光発電設備や燃料電池など直流で発電する電源を効率的に使うことができるメリットもある。現状では、直流から交流に変換して住宅内に配電し、各家電製品のACアダプターが再び直流に変換する仕組みで、無駄が多い。
直流電気用の配線には、信号を重ねることも可能で、家電に省エネ運転の指示を出すこともできるという。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090629-00000016-fsi-bus_all
2009/06/30 米国、国際再生可能エネルギー機関に加盟(ロイター)
[ワシントン 29日 ロイター] クリントン米国務長官は、米国が国際再生可能エネルギー機関(IRENA)に加盟したと発表した。
IRENAは2009年1月、再生可能エネルギー産業の育成を目的に設立した国際機関で、現在までに135の国と地域が加盟している。
長官は「IRENAへの加盟は、クリーンエネルギー技術と低炭素経済の発展を支援し、気候変動問題に対処する政策上、重要」と述べた。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090630-00000865-reu-int
2009/06/30 日本政府、再生可能エネルギーの国際機関に著名(サーチナ)
外務省は29日、再生可能エネルギー(太陽光、風力、バイオマス、地熱、水力利用など)の普及を推進する「国際再生可能エネルギー機関(IRENA)」に参加すると発表した。外務省の西村康稔政務官が同日、エジプトで開催された準備会合で、IRENA憲章に署名した。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090630-00000183-scn-bus_all
■海外ニュース
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<輸送>
●ネッドスタック社、エビトロール船で使う燃料電池を配送(2009/05/12)
ネッドスタック社(NedStack)は、2010年に操業する予定のオーストラリアのエビトロール船のために、水素燃料電池システムを配送する予定である。エビトロール船の推進力は、バッテリーと結合した30kW級燃料電池システムで構成されるハイブリッド推進力から成る。このトロール船はナロック・エンタープライズ社(Nalok Enterprises P/L)が所有している。
http://www.nedstack.com/company.html
〔訳注〕このトロール船は、ネッドスタック社(NedStack)の2番目となる商用海洋アプリケーションである。ナロック・エンタープライズ社(Nalok Enterprises P/L)は400隻以上の船を持ち、カーペンタリア湾とグレート・バリア・リーフに展開する4000kmの長い海岸線で操業している。オランダの燃料電池企業ネッドスタック社の最初の燃料電池船は、アムステルダムの運河船である。
■燃料電池関連イベント(初出後1週間を経過した情報はこちらに移動しました)
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☆福岡水素エネルギー人材育成センター「技術者育成コース」開催!【再掲】九州大学の教授陣及び全国有数の水素エネルギー関連企業の技術者が講師を務め、技術者に必要な知識と技術の習得を目指します。
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★好評を頂いている実習をより充実させ、参加者の皆様が機材に触れる機会を増やしました。
★2日目の講義「燃料電池自動車」では、九州で初めて導入された燃料電池自動車「トヨタFCHV-adv」を実際に使ってその構造等を解説します。
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○主 催:福岡水素エネルギー人材育成センター(福岡水素エネルギー戦略会議)
○後 援:独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO技術開発機構)
○対 象:水素エネルギー関連企業や新規参入を目指す企業の技術者等
※水素関連業務に従事されている方や、理系の高校、大学等を卒業された方など、一定の知識を持った方向けの専門的な内容です。
○日 程:7月28日(火)?31日(金)
○会 場:〔1日目〕福岡県中小企業振興センター(福岡市博多区吉塚本町9番15号)〔2?4日目〕九州大学伊都キャンパス(福岡市西区元岡744番地)
○定 員:20名(定員に達し次第、募集を締め切ります)
○受講料:5万円/人
○名刺交換会:1日目講義終了後(参加自由。3000円/人)
○締 切:7月10日(金)〆切(定員に達し次第、募集を締め切ります)
●カリキュラム詳細及び申込みは人材育成センターホームページから!→ http://www.f-suiso.jp/H21gijutsusya1.html
ご希望の方はお早めにお申込みください!!
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