燃料電池ワールド (2006/05/21 20:24)

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□燃料電池ワールド
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■Vol.234 2006/05/21発行

                   ◆燃料電池NPO法人PEM−DREAM

                        ◇http://www.pem-dream.com/

■PEM−DREAMニュース
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☆家庭用燃料電池のピリピリ表現についての読者からの意見

 前号に、4月23日号のPEM−DREAMニュース「燃料電池点描――K宅のコージェネシステム」について、読者の方からいただいた「忠告」に対する考えを載せたところ、以下のような意見をいただきました。匿名で掲載することの了解を得て、原文のまま到着順に掲載します。(文中の氏名のみ変えました)

 メルマガの文章は、いろいろな受け止め方をされていることがよく分かりました。今回の経験を肥やしにしたいと思います。

●4月23日号のPEM−DREAMニュース「燃料電池点描――K宅のコージェネシステム」について漏電ジョークで議論されているようですが、私にはジョークとしか思えないですからあまり問題にする必要がないと思います。

 それよりも、あの中で二酸化炭素の発生が無いと記述されている方がもっと重大な誤りだと思います。燃料電池から二酸化炭素の発生はありませんが、都市ガスから水素を作る改質器から二酸化炭素が発生しています。そもそも都市ガスを使う以上二酸化炭素の発生は当たり前のことですが、それすら理解していない人が自分の意見を発表することに大いなる危惧を感じました。

 それと同時に、一般市民に対して啓蒙をされる立場にあるPEM−DREAMの方々がそれを見逃しておられることも心配しています。

●大規模実証事業に水を差すから謝罪するべき、というのは少々大げさではないでしょうか?

 どんな電機設備も漏電・感電対策は安全規格の上で十分なされており問題がないのは、あたりまえですが、それでも屋外に設置されている燃料電池システムの信頼性に課題・問題が山積みなのは事実ですよね?

 表現の仕方はどうであれ、課題・問題点が定義されて、それに立腹するよりも、よくぞ聞いてくださった、それには、これこれしかじか という処理になっているのですよ、と余裕を持って説明できるくらいの力量が
あってしかるべきだと思いますよね。

 むしろ、怖いのは、このようなことで、批判的な意見が出てこなくなることの方が心配ですね。

●私はあのビリビリはジョークだと思って気にも留めませんでした。しかし考えてみると、それは自分が知識を豊富に保有しているからで、知らなかったら本気にしたかも知れません。
 私はスパにある電気風呂には絶対に入りません。あのビリビリ来る感覚が嫌いで5秒と浸かっていられないのです。だから知識がなかったらビリビリを真に受けて燃料電池はNGと決め付けていたものと思われます。
 このメルマガにジョークは必要なのでしょうか。硬い内容ばかりなので、少しくらいは書きたいという気持ちも分からないではないですが不特定多数を相手にしていることを考えると書かないほうが無難と思われます。

●ばかばかしい話です。もし感電するなら、エコキュートも同じ。薪で沸かしても感電することになる。

●釈明記事を読みましたが、「感電だ」と反応した二人の女性の感想とともに小生の感想も述べておきます。
A女「原理的に漏電しない説明をしてもらっても・・・ちょっと違うな、という気がしますね。誤解を与える記事がこともあろうにPEM-DREAMというFC推進メルマガに吟味なしに掲載されたことが問題。表現の自由の問題は別問題。誰もこんな表現は許されない、などと言ってないわ。むしろもし感電してそう感じているならそう表現するべきだし、感電などないのにあの表現ではすごく誤解をする人が居るという単純なことだと思うわ。でも結果的には誤解であったにしろ、この技術に問題意識を持たせてくれたわね」
B女「編集長は結局何を言いたいのかよく分からないわ・・・。私があの表現を読んで"感電だ"と感じたことが"無知だ"と言われているような気もするし、責任もって調べたのだからお許しを・・・と言っているような気もするし・・・。ただあの記事を書いた本人の釈明がないのはおかしいわね」
忠告氏
1.釈明文が長過ぎて結局論旨がはっきりしない。
2.小生のクレーム文だけが掲載され、記事を書いた著者自身の真意がどこにもないのはおかしい。読者が知りたいのはあのように表現した著者の真意であり、編集者の論評や調査結果ではない。
3.筆者が「電熱併給FCで沸かしたお湯をアピールするために考えたジョーク表現でした。感電の事実は全くありません」と書き,編集者が「この記事掲載による上記反応は全く予想外でした。結果的にご迷惑をおかけした方には編集者として深くお詫びします」と書けば済むことでしょう? 釈明文としては4行で済むはずですね。

 想定外なことは誰にでも起こり得ます。過剰反応が小生、A女、B女の3人だけであったことを心より祈ります。

●私は「ピリピリ」を、温泉でよくお湯がやわらかいとか、逆に正に問題のピリピリするとか言いますけど、そういうお湯の感じのことかと思い、漏電のことだとは全く思いもしませんでした。

 それで問題となった文は、言い換えると、燃料電池の温水器だからピリピリする、という意味だと思いますが、あえてこの文を理解するなら、電力消費をわざと増やすというエコロジーに反することをしてまで、強引に熱電併給システムを導入したことへの、ちょっとした皮肉ということでしょうか。

 もちろん、「ピリピリ」は漏電という意味ではなく。こういう電気を作り出してその電気でお湯を沸かすと危ないんではないかという憶測、誤解は、単にその人の無知から来るのであって、私はそういうことにまで神経質になる必要はないと思います。そこから燃料電池についての知識がまだ広くは知られていないんだなと、結果的に理解すれば十分なんだと思います。

 もちろん誤解を招くことが明らかに予想できるような表現は避けるべきですが。結局のところ、ジョークの程度問題、ケースバイケースということになるのではないでしょうか。

■WEB LINK NEWS
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06/05/15 携帯用燃料電池 来年にも商用化 ワンセグ時代3−6倍長持ち(産経新聞)

 携帯端末向けの地上デジタル放送「ワンセグ」がスタートするなど高機能化が進む携帯電話の弱点の一つに、電池の持ちの悪さがあるが、改善の切り札といわれる燃料電池が来年にも商用化される見通しとなった。すでに試作品は完成しており、現在のリチウムイオン電池の三−六倍の持ちが期待できそうだ。

 携帯事業者は、通信料収入を引き上げるために、電子メールやネット検索、音楽再生などの通信機能を拡充させているが、隠れた課題となっているのが電池性能だ。KDDI技術開発本部の入内嶋洋一課長補佐は、「通信速度が速くなれば、電池の消費が進む」と説明しており、各社が携帯電話の高速化を計画する今夏以降は、この問題はさらに切実となる。
 期待を集めるのは携帯電話用燃料電池だ。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060515-00000013-san-bus_all

06/05/16 <プレスリリース>カシオ計算機、出力密度を向上した小型発電セルスタックを開発(毎日新聞)

 カシオ計算機は、ノートPCなどの携帯機器に搭載できる小型・高出力の燃料電池に適した、世界最高水準の体積当たり出力密度を持つ発電セルスタックを開発しました。 

 当社では携帯機器の使い勝手を向上させる小型・高出力の電源を実現するため、メタノールから水素を取り出して発電セルに送る「改質型燃料電池」の開発に取り組んでいます。携帯機器に内蔵できる小型改質器の開発と並行して、高濃度の水素を得られる改質型のメリットを活かした高性能発電セルの研究も続けていました。そしてこのたび、体積当たりの出力密度が世界最高水準となる小型発電セルスタックの開発に成功しました。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060516-00000008-maibz-ind

06/05/16 東ガスなど4社、低温作動で発電効率56%の発電ユニットを開発(日刊工業新聞)

 東京ガスと京セラなど4社は15日、約750度Cの低温で作動して直流端発電効率が低位発熱量(LHV)換算で56・1%の性能を持つ出力2・5キロワット級固体酸化物形燃料電池(SOFC)の発電ユニットを開発したと発表した。発電効率値は世界最高水準になるといい、実用化に向けた開発を展開。08年度ごろに交流端発電効率が同50%以上の性能を持つコジェネレーション(熱電併給)システムを製品化する。

 「低温作動横縞形セルスタックを用いた常圧形SOFC発電ユニット」の開発に参加したのはリンナイ、ガスター(神奈川県大和市)を合わせた4社。使用する燃料は都市ガス主成分のメタンで、発電部のセルスタックは東ガスと京セラが担当した。熱交換や流体制御技術などがポイントになるユニット化の技術は4社で取り組んだ。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060516-00000021-nkn-ind

06/05/18 エネルギー資源開発を推進、経済波及効果を期待(YONHAP NEWS)

 【ソウル18日聯合】韓国独自の石油開発の割合を拡大し新・再生可能エネルギー普及率を拡大するなど、エネルギー・資源技術の開発が本格的に推進される。これにより、エネルギー・資源部門で47兆4000億ウォンの輸入代替効果と30万の雇用創出など国内経済全般に少なくない波及効果があるものと期待される。

 基本計画案によると、政府は2015年までに総額12兆1500億ウォンを投入し、石油公社と民間部門の海外油田開発を通じ、独自の石油開発を3.8%から18%に拡大するとともに、エネルギー消費量を5%縮減するとしている。また、温室効果ガスの発生率も2015年の発生見込みの10%に当たる1750万tcに抑え、2011年までに新・再生可能エネルギー普及率も5%に拡大する方針だ。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060518-00000010-yonh-int

06/05/19 Samsung と MTI Micro、携帯電話向け燃料電池の開発で提携(japan.internet.com)

 小さな新興技術が、大きな業界の電力供給源になることは可能だろうか?

 携帯機器向け燃料電池を開発する MTIMicroFuelCells (MTI Micro) は、それは可能だと考えている。同社は18日、 SamsungElectronics と提携し、Samsung の携帯電話機向け次世代燃料電池の開発で協力すると発表した。契約の金銭的詳細は明らかにしていない。

 契約のもと、MTI Micro は同社の超小型燃料電池技術『Mobion』について、携帯電話関連の用途を拡大するべく、同技術の開発/試験/評価を Samsung と共同で行なうという。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060519-00000004-inet-sci

06/05/19 バッテリーが劣化したら、半数以上が機種変更〜携帯バッテリー調査(japan.internet.com)

 携帯電話で回答を集める 第12回モバイルリサーチ にて、「現在のバッテリー残量」を調査したところ、67.46%が満充電であると回答している。ユーザーはどのようにバッテリーを扱っているのだろうか。

 バッテリーには寿命があり、ある程度劣化すると、満充電してもすぐにバッテリー切れとなってしまうものだ。このような際に、ユーザーはどのように対処するのだろう。

 バッテリーが劣化した場合にどうするのかをたずねたところ、もっとも多かった回答は「携帯電話を機種変更する」で54.7%(182人)。二人に一人以上がバッテリー切れを、機種変更のきっかけとしているようだ。機種変更に次ぐ回答は「バッテリーパックを交換する」の23.1%(77人)。また「そのまま使い続ける」との回答も11.1%(37人)あり、必ずしもバッテリー切れが機種変更につながるわけではない。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060519-00000008-inet-sci

06/05/19 次世代車開発拠点に 北部九州戦略委 年産150万台など提言(西日本新聞)

 北部九州の新たな自動車戦略を検討していた福岡県の「自動車100万台新戦略委員会」(委員長・居城克治福岡大教授)は19日、年産150万台を目標とする「アジア自動車最先端拠点構想」をまとめ、麻生渡知事に提言した。新技術を生かした次世代車の開発拠点づくりも打ち出した。福岡県は提言を基に実施計画を策定し、具体化を目指す。

 具体的には(1)走行系の制御部品メーカーの誘致や人材育成に力を入れ、年産150万台を実現する(2)部品メーカーとの取引拡大商談会などを通じて、地元企業からの部品調達率を現在の5割程度から7割へ高める(3)アジア大陸に近い地理的優位性を生かし、マザー工場化や部品産業の拠点化を進め、アジア最先端拠点を目指す(4)先端半導体のシステムLSI(高密度集積回路)、水素エネルギー技術を生かした次世代車の開発拠点を形成する―を盛り込んだ。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060519-00000033-nnp-kyu

■海外ニュース(5月ー1)
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<輸送>
●ダイムラークライスラーが初めての燃料電池パトカーを発表

 デトロイトのウェイン州立大学警察は、キャンパスの内外でダイムラークライスラー
・メルセデス社のF−Cell燃料電池パトカーを運転する。第3世代警察無線、ステッカー、照明とサイレンで装備された燃料電池パトカーは、ネクストエナジー社(NextEnergy)の新しい水素供給ステーションで水素を供給され、ワシントン州立大学(WSU College)で、代替エネルギーについての国の第一修士課程プログラムである代替エネルギー技術工学の学生のための実験室として使われる。

<定置用電源>
●ロシアの会社がプラグパワーに投資(2006/04/11)

 ロシアの主要な投資会社のインテロス社(Interros)とノルリスク・ニッケル社(Norilsk Nickel)は、プラグパワー社(Plug Power)に2億7100万ドルの現金投資をすることで一致した。投資は、グローバルな水素経済に参加するために、インテロス社とノルリスク・ニッケル社を主要な投資家とするジョイントベンチャーのスマート・ハイドロジェン社(Smart Hydrogen)を通じて行われる。
http://www.plugpower.com/news/press.cfm?vid=809593&liak=82987873

<燃料/改質器/貯蔵>
●5250万ドルの水素公募を発表するDOE(2006/04/06)

 米国エネルギー省(U.S. Department of Energy ;DOE)は、水素貯蔵物質、触媒と膜に関する基礎研究をサポートするために、3年間で5250万ドルの公募を行う。それはまた、昨年DOEが発表した報告書「水素経済のための基礎研究ニーズ(Basic Research Needs for the Hydrogen Economy)」が確認した挑戦に取り組むことになる。
http://www.energy.gov/news/3439.htm

●水素供給ステーションを公開するオハイオ州(2006/04/20)

 オハイオ州の自動車研究センター(Center for Automotive Research ;CAR)は今週、オハイオで最初の水素供給ステーションを公開する。このステーションは、輸送の未来のための燃料電池と代替自動車技術について自動車研究センターの研究の機会を促進する。
http://www.energy.gov/news/3439.htm

<燃料電池コンポーネント>
●フロイデンベルグ・エヌケーオーはフュエルコンから燃料電池試験ステーションを購入する(2006/04/18)

 フロイデンベルグ・エヌケーオー社(Freudenberg-NOK)は、フュエルコン・システムズ社(FuelCon Systems, Inc)から2台の燃料電池試験ステーションを購入した。これらの新しいステーションは、ミシガン州プリマスの本社と3000万ドルのテクニカル・コンセプトセンターで完全自動周波数走査を実行するのを可能にする。
http://freudenberg-nok.mediaroom.com/index.php?s=press_releases&item=128

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 □編集・発行:燃料電池NPO法人PEM−DREAM 

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