□燃料電池ワールド
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■Vol.229 2006/03/29発行
◆燃料電池NPO法人PEM−DREAM
■燃料電池関連イベント
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☆ 月刊誌『現代化学』4月号 (3月18日発売、800円)
『グルコース-空気生物燃料電池』谷口功(熊本大学工学部物質生命化学科教授)
グルコースは安全で豊富な燃料源として注目されています。「グルコース-空気生物燃料電池」は、バイオマスの有効利用としての環境エネルギー問題から、生体反応としての医療応用に至るまで,幅広い展開が期待されています。その原理と最新の研究動向について平易に解説し、グルコース-空気生物燃料電池の可能性を探ります。
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■PEM−DREAMニュース
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☆「平成17年度JHFCセミナー」報告(下)
「今後の実証試験について」と題したパネルディスカッションは、以下の方々によって行われた。
モデレーター 大聖泰弘氏(早稲田大学理工学部機械工学科教授)
コメンテーター 石谷久氏(慶應義塾大学教授)
パネリスト 大仲英巳氏(トヨタ自動車FC開発本部FC技術部主査)
萩原太郎氏(日産自動車FCV開発部部長)
川口祐治氏(本田技研和光基礎技術研究センター主席研究員)
井原克幸氏(コスモ石油事業開発部長)
田島正喜氏(東京ガスR&D本部水素ビジネスプロジェクトグループマネージャー)
丹下昭二氏(日本自動車研究所FC・EVセンター技術参与)
パネルは3氏のプレゼンから始まった。川口氏(ホンダ)から「燃料電池車 実証試験と今後の展望について」、井原氏(コスモ石油)から「水素ステーションの普及に向けて」、丹下氏(日本自動車研究所)から「海外に置ける燃料電池車の実証試験の状況」がそれぞれ報告された。
その後、大聖氏(早稲田大学)の司会で討論が始められた。燃料電池自動車の最大のネックになっているのは航続距離の問題である。川口氏の報告でも、公道走行の80%以上が150km以内で充填しているとされ、ガソリン車の場合にはガソリンスタンドがあちこちにあるので、残りの燃料をそれほど気にしないで走らせているが、燃料電池車の場合は早めに充填しようという保険的な意識が強い。実用燃費はガソリン車を上回っているのだから、この問題は水素搭載量とステーションの分布に帰着する。
田島氏(東京ガス)は、首都圏に100カ所の水素ステーションを早期に集中して作ることを提案した。萩原氏(日産)も、特定エリアに集中的に水素ステーションを導入する方がベターだという意見だった。15分で給油所に行ける距離というのがひとつの目安である。これに対して、丹下氏の報告にあった水素ハイウェイネットワークはもうひとつの考え方だろう。米国(カリフォルニア州)、カナダ、ノルウェー、欧州(水素パイプライン)の4つの事例があるが、日本で言えば東京ー大阪間の東海道沿いに水素ステーションを一定距離毎に配置する考えだ。
大仲氏(トヨタ)は、実証段階のテーマと普及段階のテーマは切り分けて考えるべきだと主張した。国は、現在水素ステーションがある首都圏と中部圏に加えて関西圏にもステーションを設置して、実証エリアを拡大する方向を打ち出している。パラパラと設置していくこの方法と集中的な設置とでは、限られた予算に頼らざるを得ない現状では相反する方法となり、次のテーマをどう設定するかによってどちらに比重が片寄るかが決められると思うが、そこのところは具体的な話はなかった。
ガソリンスタンドは1955年から1975年までの20年間で3万カ所が設置されていき、現在の移動体燃料供給拠点はLPGやCNGスタンドなども含めると全国で約5万カ所になる。これらの拠点に併設する水素ステーションの普及モデルを井原氏は提案したが、それには更なる規制に見直しが必要になるという。
2005年4月から、水素ステーションに関わる保安距離の短縮(高圧ガス保安法)、水素ステーション建設可能用途地域の拡大と用途地域ごとの高圧ガス貯蔵量見直し(建築基準法)、ガソリンスタンドと水素ステーションの併設が可能(消防法)などが改定された。今後は、水素の導管輸送の安全対策(ガス事業法・高圧ガス保安法)、高圧ガス設備新検査法・高圧ガス設備への新規技術導入(高圧ガス保安法)、改質器の無人暖機運転について(消防法)などのテーマがあげられた。これらの安全性の検証を経て基準等の策定が必要になる。
この問題に関して大聖氏は、海外は安全に対する考え方がずいぶん違う、本当に大事なところはどこかも考えていかなくてはならないと発言した。
水素搭載量の問題では、大仲氏は燃料電池自動車の生死に関わる問題だが、技術開発の目処は立っていないと話した。現在の高圧水素タンク35Mpaを70Mpsにすることについて、同氏は技術開発の一環としてやらせてもらいたい、落としどころは別だと述べた。萩原氏はコスト低減に対してどうかという疑問を投げかけ、川口氏も一気に実験で展開するのはどうかと述べた。高圧化と総合効率を考えた場合、石谷氏は350Mpsでは5%位のロスがあるが700Mpsでは10数%になると指摘した。
神本武征氏(実証試験推進委員会委員長/東海大学教授)は会場から、DOE(米国エネルギー省)の実証試験に参加している車の数が日本とは大分違って、トータルで200台を超える、次期は車を増やしたいがどうか、と質問した。川口氏は、一番説明しにくいポイントだが、FCVは毎年のように性格が変わっていく、スタックの数も多く生産設備を持っていないと数ができない、今は準備をしている段階とぶつかるので一気にというのは難しい、数年のインターバルを持って順次拡大していく、と述べた。
同様に萩原氏も、100台レベルは技術的には可能だが、経済的な負担などがネックになる、1台も100台も現在は同じコストだ、定置用の大規模実証700台と同じフェーズをとおらないと無理だ、と述べ、大仲氏も、バランスをどのくらいに置くかという議論だ、FCVはまだ技術的には変化していかなければならないレベルであり、技術の見通しが立って普及・拡大になる、と述べた。大聖氏も、燃料電池はまだ分かっていない面がたくさんある、と述べていた。
討論はこうしてFCVの普及というテーマに移り、石谷氏は、エネルギー問題で燃料電池車を普及させるためには普通の自動車にうち勝っていかなければ無理である、まずFCVが、そしてインフラに使えるFCVが広がるだろう、国がいくらFCVを普及させようとしても、企業が競争しながらやらなければ普及はしないのが自動車だ、こういう事情を一般の人によく理解してもらうように広報活動が大切になる、と指摘した。
石油埋蔵量の半減を示すオイルマウンテンが20〜30年先に予想されている。大聖氏は、2010年ごろには大気汚染は大問題ではなくなり、地球温暖化やエネルギー問題が中心となるだろうが、水素ありきではだめで、市場、技術、製作のパートナーシップがFCVの普及を促す、エネルギーの選択と長期安定供給のビジョンを提示する政策が必要だ、と述べ、脱石油時代の自動車用エネルギーの選択肢はどうなるのか、ニワトリと卵の状態がまだ続いている、と語った。
■WEB LINK NEWS
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06/03/23 【タイ】自動車ショー開幕、小型車などに注目(NNA)
「第27回バンコク国際モーターショー」が22日、バンコク郊外バンナーのバンコク・インターナショナル・トレード&エキシビション・センター(BITEC)で開幕した。一般公開は24日に始まり、来月2日まで開催される。主催社のグランプリ・グループは、今年は小型車や代替燃料車などに注目が集まると予測している。
ホンダの現地法人、ホンダ・オートモービル・タイランド(HATC)によると、目玉となるモデルは燃料電池車「FCXコンセプト」、コンセプトカー「モデューロ・シビック」、マイナーチェンジした新型「アコード」など。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060323-00000033-nna-int
06/03/23 有機廃棄物を原料とする石油代替物「バイオオイル」(WIRED)
米国の「石油依存症」を改善したいと考える研究者たちが、おがくずや木くず(写真)をバイオオイルに変える技術の開発を進めている。バイオオイルは粘度の高い黒い液体(写真)で、環境に優しく、多くの石油製品に取って代わる可能性があると期待をかけられている物質だ。
バイオオイルは原油の代替物として使えるとはいえ、この2つは化学的にはまったく異なる物質だ。石油は酸素を含まない炭化水素からなるが、バイオオイルは酸素原子を持つ化合物を多量に含んでいる。しかしバイオオイルは、「 合成ガス」と呼ばれる一酸化炭素と水素の混合ガスに転換できる。この合成ガスは自動車向けディーゼル燃料などの、より上質な炭化水素燃料に加工可能だ。
また、合成ガスに水蒸気を混合して、純粋な水素を取り出すこともできる。実際、アイオワ州立大学のブラウン教授は、バイオオイルが主要なエネルギー源として定着すれば、合成ガスへの転換は大量の水素を生成する(日本語版記事)うえで最も効率的な方法になるだろうと考えている。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060323-00000001-wir-sci
06/03/23 加速する気候変動:『ウェザー・メーカーズ』著者に聞く(下)(WIRED)
WN:石油生産量が頂点に達する時期(「石油ピーク」)は近づいていると思いますか?そうなってから先は、燃料消費の削減が避けられませんが、これは気候変動との戦いに有利に働くのではないですか?
フラナリー:あらゆる予測が石油ピークの到来を示唆している。しかしすでに述べたように、この問題はもともと緊急に対処すべきもので、石油ピークはその緊急性をさらに高めたに過ぎない。今年のうちに講じる1つの対策は、来年の5回の対策、あるいは5年先の50回の対策に相当する。今のうちに必要な対応をすれば、費用もそれだけ安く済むからだ。
だからこそ、比較的安い費用で対策を講じられる今のうちに動くことが極めて重要なのだ。10年後には、こうした問題について考える資金的な余裕も時間もなくなっている可能性がある。そうなればもちろん行動など起こせない。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060323-00000007-wir-sci
06/03/24 アルプス電、燃料電池向け小型ポンプ・バルブに参入(日刊工業新聞)
アルプス電気は23日、エネルギー市場に参入すると発表した。ノートパソコンや携帯電話などのモバイル機器向け燃料電池システムに組み込む「マイクロポンプ左」と「マイクロバルブ=同右」の試作品を開発。すでに燃料電池メーカー数社にサンプル部品の提供を始めた。ユーザーの意見を取り入れながら開発を進め、2010年に商品化が予測される携帯機器向け燃料電池システムへの部品供給を目指す。5月24日から開く「アプルスショー2006」に参考出展する。
マイクロポンプとバルブは、燃料電池の燃料であるメタノールなどをシステム内に送り出して制御する。長年同社が培ってきた機構設計技術や制御技術により、小型化を実現した。マイクロポンプは直径6・0ミリ×長さ24・0ミリメートルで、電磁駆動方式を採用。流量は毎分4ミリリットル。マイクロバルブは直径3・5ミリ×長さ10・3ミリメートルで、電磁駆動方式を採用した。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060324-00000020-nkn-ind
06/03/25 <地球環境アカデミー>東京・江東のTFTホールで始まる(毎日新聞)
環境について学び体験する子供向けイベント「春休み地球環境アカデミー」(毎日新聞社、毎日小学生新聞、日本花いっぱい協会主催)が25日、東京都江東区のTFT(東京ファッションタウン)ホールで始まった。会場は「学ぶ」「調べる」「伝える」の3ゾーンに分かれ、昨年の愛・地球博で人気だった恐竜型ロボットも登場。映像とともに7000万年前の地球を紹介した。燃料電池車などエコカーに試乗できるコーナーもあり、多くの子供で賑わった。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060325-00000028-mai-soci
06/03/27 琵琶湖:水を酸素と水素に電気分解 南湖・沖合の湖底窪地で実験構想 /滋賀(毎日新聞)
◇酸素は深層濃度回復に、水素は代替燃料に活用
琵琶湖の水を酸素と水素に電気分解し、酸素を湖底付近の水に溶けている酸素(溶存酸素)に、水素を化石燃料の代替燃料に使おうと、予備的な実験を進めている研究者らの一部が、琵琶湖南湖の矢橋帰帆島(草津市)沖合の湖底にある窪地(くぼち)での実験を構想している。実施は決定しておらず、具体的なスケジュールも未定だが、水槽で行っている現在の実験を進めて、貧酸素状態が懸念される場所を選んだ、琵琶湖での実験第1段階としての提案だ。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060327-00000215-mailo-l25
06/03/28 触媒学会賞:山梨大・渡辺政広教授が受賞 電気化学会賞に続き、二つ目
/山梨(毎日新聞)
◇燃料電池を研究
山梨大クリーンエネルギー研究センター所長の渡辺政広教授(62)が、環境に負荷の少ない電気自動車の動力などに使われる燃料電池の実用化に突破口を開く触媒の開発研究が評価され05年度触媒学会賞(学術部門)を受賞した。05年4月にも燃料電池の実用化に向けた新素材の開発やその背景にある理論研究が評価され05年度の電気化学会の最高賞の武井賞を受賞。渡辺教授も「燃料電池の研究が多くの学問分野を発展させていると評価された」と喜んでいる。
今回の受賞で評価されたのは、燃料電池用の白金系合金触媒の設計と機構の解明。燃料電池から電流を取り出す際、燃料として液体のメタノールを使うと一酸化炭素が電極にまとわりつき電流を取り出すのを妨げる。渡辺教授は電極の金属に酸素を引き寄せやすい金属と白金の合金を使うことで、一酸化炭素を取り除く技術を開発した。さらに、最近は同様の発想で、燃料電池の燃料となる水素から、人体に有毒な一酸化炭素を取り除くための合金触媒も開発した。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060328-00000117-mailo-l19
■海外ニュース(3月ー3)
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<定置用電源>
●NYPAとNYCトランジットの燃料電池動力工場(2006/02/08)
ニューヨーク州電力公社(New York Power Authority ;NYPA)とMTAニューヨーク市交通局(New York City Transit ;NYC Transit)は、200kW級燃料電池による地下鉄とバスの修理工場の動力のための200万ドルのプロジェクトに同意した。燃料電池が発生するおよそ70万Btu/時の熱は、店舗の温水システムとして利用される。停電の際には、燃料電池はビルの非常用ライトに自動的に電気を供給する。
http://www.nypa.gov/press/2006/060208a.htm
※ニューヨーク州電力公社(New York Power Authority ;NYPA) ニューヨーク州内で雇用機会の作成、維持を実現している認可企業に対して、低費用で電力を提供している非営利企業。認可企業には、政府関係機関、地方の産学協同電力システム、民間公益事業、大量輸送機関などが含まれています。NYPAは水力、原子力、天然ガス、火力による発電施設を運営しており、提供電力量は州内の総電力量の約四分の一を占めている。
MTAニューヨーク市交通局(New York City Transit ;NYC Transit)
Metropolitan Transportation Authority(MTA-首都交通公団、1960 年 NY 州が設立)が擁する 5 部門のうちの最大規模の地下鉄・バス運営部門(地下鉄26 路線及びバス 237 路線)。MTA は主に地下鉄・バスを運営する部門である。
<燃料/改質器/貯蔵>
●ナノミクスは2つの米国特許を公表
ナノミクス社(Nanomix Inc.)は、水素貯蔵技術に関する以前の3つの特許に続いて、2つの追加米国特許を公表した。新技術は、ナノ材料を使うことで液体水素貯蔵の現在の制限を取り払う。
<燃料電池コンポーネント>
●ホクは日産による新規契約を受け取る(2006/02/13)
ホク・サイエンティフィック社(Hoku Scientific, Inc.)は、日産の燃料電池自動車とトラックのために先進的な炭化水素ベースの膜と膜電極接合体(MEAs)を開発している日産自動車による新規契約を受け取った。両社は、2004年3月以来協働している。
http://www.shareholder.hokuscientific.com/releasedetail.cfm?ReleaseID=187451
<その他>
●アメレンは燃料電池キットを24の学校に与える(2006/02/27)
アメレン社(AmerenUE)は最近、技術とサポートを教室と教師にもたらすアメレン社の「パワーアップ」プログラムによって、ミズーリ州の24の学校に自己完結型の太陽ー水素燃料電池システムを与えた。高校の理科の教師は、実地体験を通して再生可能エネルギー源の認識を築くためにキットと付属のカリキュラムを使うことができる。
http://www.ameren.com/AboutUs/adc_newsfull.asp?NewsSeqID=471
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□編集・発行:燃料電池NPO法人PEM−DREAM
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