□燃料電池ワールド
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■Vol.228 2006/03/22発行
◆燃料電池NPO法人PEM−DREAM
■燃料電池関連イベント
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☆ 月刊誌『現代化学』4月号 (3月18日発売、800円)
『グルコース-空気生物燃料電池』谷口功(熊本大学工学部物質生命化学科教授)
グルコースは安全で豊富な燃料源として注目されています。「グルコース-空気生物燃料電池」は、バイオマスの有効利用としての環境エネルギー問題から、生体反応としての医療応用に至るまで,幅広い展開が期待されています。その原理と最新の研究動向について平易に解説し、グルコース-空気生物燃料電池の可能性を探ります。
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■PEM−DREAMニュース
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☆「平成17年度JHFCセミナー」報告(中)
次期実証プロジェクトはどうなるのか? 昨年からたびたび話題に上っていたこのテーマは、どうやら時間切れで具体策をまとめるまでにはいかなかったようだ。セミナーでも方向性が指し示された程度だった。
例えば、特別講演として「次期実証試験について」と題した安藤晴彦氏(資源エネルギー庁新エネルギー対策課長兼燃料電池推進室長)の講演は、本人が急な海外出張とかで来られず、代理の方が資料集に収録されている14枚のパワーポイントデータをなぞっての講演をした。これまでの国の施策の概括的なまとめとともに、次のような記載がある。
○燃料電池システム等実証研究事業(期間:平成18〜22年度)
〜2010年の普及段階、その後の本格的普及段階を見据えて〜
◇燃料電池自動車等
》さらに実使用条件に近い中での走行実証
◇水素ステーション
》地域エネルギー拠点として多角的な供給形態を検証
》ステーションと定置式燃料電池の連携
》更なる安全性の向上と経済性、長期信頼性等を検証
◇燃料電池を使用した様々な移動体の検証
◇啓発活動、普及促進
》国民の水素や燃料電池に対する理解の醸成
》教育部門の検討
◇JHFC1で抽出された課題の解決
(注:JHFC1の1は、原文ではアラビア数字が使われているが、アラビア数字はネット上での文字化けの代表的なものなので、算用数字を使った)
平成22年度は2010年に当たる。JHFC2という表記はないが、JHFC1という言葉を初めて使っているところを見ると、次期実証試験は普及段階に入る直前の4年間であり、JHFCの2期目ということである。この時期は導入段階として位置付けられ、2010年までに燃料電池自動車5万台、水素ステーション500カ所が目標とされている。2006年3月時点では、JHFCでは21台の乗用車と11台のバス、12基の水素供給設備を持っている。企業や行政が私的に使用している燃料電池車を加えても、国内で走行しているのは100台にはるかに満たない。まだ1台1台が手作りの段階で、5万台といえば生産ラインで作ることになる。
世界で最も多く燃料電池車を生産しているのはダイムラークライスラー社で、100台を超えている。昨年末で、燃料電池バス「シターロ」が36台、乗用車の「F−Cell」が60台、その他ダッジ・スプリンターの燃料電池車などが世界各国で利用されている。同社は、燃料電池車の量産化の目標を2012年から2015年においている。これと比較してみれば、日本があと4年で5万台というのはとうてい無理な数字だろう。日本の目標には「期待される」という前言葉がついているが、この数字が公的な場で使われ続けるのは酷なことと言えるのではないだろうか。
家庭用燃料電池についても、同様のことが言える。2010年の目標値は220万kWだ。国は定置用と表現しているが、中身は家庭用がほとんどだろう。家庭用燃料電池は1台が大体1kWなので、200万台くらいと置き換えることができる。今年2006年で家庭用は大規模実証事業によって1180台になる予定だ。これも結末は見えている。
これらの数字は、1999年に発足した燃料電池実用化戦略研究会が2001年1月にまとめた報告で発表したものだが、当時は「こんなの無理だ」「大変な数字だ」という声もあったが、全体の雰囲気としては「とにかくやれるだけやってみよう」という高揚した気分が支配的だった。世界的にも認識(期待)は共通していた。調査もしないで日本だけで空想的に作り上げた数字ではない。そして、何よりも本気になって取り組んだから、それから5年くらいで現状まできたのであって、目標に届かないといってもそれはそれ、目標を見直せばいいだけのことではないだろうか。
数字にはその陰にどろどろした利害関係が絡んでいることがあって、見直しが大変なことはよく伝えられることだ。時には人の首も飛んでいるようで、無傷な方がいいに決まっている。だが、燃料電池のこの状態は素人目にもおかしいと思えるくらいの乖離となっている。とまあ、そのようなことを考えていたものだから今回はこのような報告になってしまったが、セミナーでいつも最後に行われるパネルディスカッションでは発言の端々から現実の臭いが読みとれることがある。今回も期待していたら、いくつかの啓示的な発言があった。
■WEB LINK NEWS
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06/03/16 CeBIT会場で見かけた面白アイテム(+D Mobile)
●NECが燃料電池携帯のコンセプトモデルなどを展示
NECブースには「言花」のほかにもNECデザインによるデザインコンセプトモデルが展示されていた。「Flask」は燃料電池携帯電話のコンセプトモデル。透明な筐体内に、カラフルな燃料電池が封入されている。内部に見えるチップは実際に動作可能な携帯電話モジュールと同一サイズのものだという。ただしディスプレイやキーは、コンセプトのため印刷されただけのものとのこと。なによりも香水のような見た目は、このまますぐに発売すれば女性を中心にヒットしそうだ。燃料電池は使用していけば容量が減っていくため、透明な筐体ならば筐体超しに燃料残量を確認することもできるわけだ。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060316-00000054-zdn_m-sci
06/03/17 BMW、バイフューエル水素自動車の量産車を投入(日刊工業新聞)
【ミュンヘン=明豊】ドイツBMWは07年中に、バイフューエル水素自動車(水素燃料とガソリン併用車)の量産車を投入する計画を明らかにした。まず水素供給スタンドが増えつつあるドイツと米国で投入、当初はほとんどがレンタルになるという。日本での事業化も検討しているが、政府認証やインフラの整備状況をみて判断する。同社のヘルムート・パンケ社長は2月に「今後2年以内に開発を終える」方針を示していた。
量産車は最上位クラスの「7シリーズ」をベースに開発中で、現在「量産に向けた作業の80%が終了」(同社担当者)。今後は極限下での品質テストを進める。投入車の燃料は水素とガソリンの併用。すでに水素部分で約300キロメートル、ガソリン部分で約500キロメートルの計約800キロメートルの走行が可能なことが確認できたという。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060317-00000009-nkn-ind
06/03/18 地球に優しいエネルギー体験 木津の「ふぉとん」で企画展(京都新聞)
きっづ光科学館ふぉとん(京都府木津町梅美台)の春休み企画展「なるほど!クリーンエネルギー」が18日から始まった。31日までの期間中、体験プログラムや実験、工作教室などで楽しみながら、地球に優しいエネルギーについて学ぶ。初日は4イベントがあり、親子連れなど約200人が参加した。
この日の実験では、食塩水が入った装置を使い、二酸化炭素の排出がなく、環境に優しい次世代エネルギーとして期待される燃料電池の仕組みを学んだ。工作は、風車に糸を巻き、ギアとして台車の車輪を回すウインドカー作りに取り組んだ。体験プログラムでは、燃料電池カートの試乗会があった。説明を受け、子どもたちはカートに乗って敷地内を走った。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060318-00000040-kyt-l26
06/03/20 世界規模でM&A加速 エネルギーと通信顕著(産経新聞)
大型M&Aで目立つのはエネルギーと通信だ。
エネルギー分野の大型M&Aは、世界的な原油価格の高騰と、中国などの需要拡大が背景だ。仏ガス公社や独エネルギー大手エーオンなど、規制に守られていた公益企業もM&Aに参戦、国外展開も視野に置く。工業ガス世界五位の独リンデは、同二位の英BOCグループとの統合で首位となる。半導体や燃料電池の製造などを支え、成長が見込まれる分野だ。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060320-00000000-san-bus_all
06/03/20 松下、新スペックの家庭用燃料電池を今秋具体化(日刊工業新聞)
松下電器産業は現在大規模実証で一般家庭に導入している機種とはスペックをまったく変えた家庭用1キロワット燃料電池(FC)を今秋具体化する。同社は同FCの普及に向けて低コストで高耐久性をクリアした機種の08年投入を目指している。具体化するのは要求性能となる製造価格が120万円、耐久性で10年間を保証する機種。既存のFCに比べ部品点数は2分の1以下に抑える。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060320-00000013-nkn-ind
06/03/20 次世代エンジン機器実験へ マッハ8で水素燃焼(共同通信)
宇宙航空研究開発機構は20日、超音速飛行中に推進力を生み出す「スクラムジェットエンジン」開発に向けて、ロケットの先端に機器を搭載して燃焼性能を確かめる実験を今月28日、オーストラリアで実施すると発表した。
スクラムジェットは、超音速で飛び込んでくる空気をじょうご形の通路で圧縮、燃料の水素と混ぜて燃やし、推進力を得るエンジン。従来のロケット重量の大半を占める液体酸素が要らなくなるため、次世代宇宙輸送機に応用できるとされる。
オーストラリア南部のウーメラ実験場から、実験機器を固体ロケットで高度約320キロに打ち上げ、落下時に音速の8倍近くに達したところで約6秒間、吸い込んだ空気と燃料の水素が混合してうまく燃えるかどうかを確かめる。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060320-00000198-kyodo-soci
■海外ニュース(3月ー2)
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<ポータブル/バックアップ電源>
●プロトネクスは軍隊用のAPUを開発 (2006/02/08)
プロトネクス・テクノロジー社(Protonex Technology Corporation)は、燃料補給可能な電源として米国陸軍が使うために、静かで耐久性があり、エネルギー密度の高い燃料電池補助電源装置(APU)を開発した。システムは、1回の作戦行動のために数日間静かな電力を必要とするかもしれない米国の部隊のために、電子通信装置の電源として150〜250Wを提供する。APUは、プロトネクス社の燃料電池システムとミレニアム・セル社(Millennium Cell Inc.)が開発したナトリウム・ホウ化水素燃料技術「水素オンデマンド(Hydrogen on Demandィ)」を結合している。システムは、今は任務中に静かな電力を供給している8個の補助バッテリーと置き換えることができる。
http://www.protonex.com/Quiet%20APU.pdf
<燃料/改質器/貯蔵>
●カリフォルニアに10億ドルの水素燃料発電プラントを建設するEGMとBP(2006/02/10)
エジソン・ミッション・グループ(Edison Mission Group ;EMG)とBP社は、二酸化炭素(CO2)排出を最小限にしてきれいな電力を生産する10億ドルの新しい水素を燃料とする発電所をカリフォルニア州に計画している。最新のプラントは、ロスアンゼルスの南20マイルにあるBP社のカーソン精油所のそばに位置して、低炭素発電で500MWを供給できる。それは、南カリフォルニアの32万5000戸の家庭に供給するのに十分な電力である。
http://www.edison.com/pressroom/pr.asp?bu=&year=0&id=6125
<その他>
●燃料電池で協同するヴァイヨンとベバスト
ヴァイヨン・グループ(Vaillant Group)とベバスト社(Webasto AG)は、自動車と定置用の燃料電池のさらなる開発を準備する協力協定に署名した。
http://www.vaillant-group.com/news.php?folder_default_tree=10002-10295&folder_default_netfolderID=10295&folder_where_from=default&news_default_id=1976
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□編集・発行:燃料電池NPO法人PEM−DREAM
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