□燃料電池ワールド
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■Vol.203 2005/08/24発行
◆燃料電池NPO法人PEM−DREAM
■お知らせ
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☆200号記念プレゼント当選者は以下の方々に決まりました。今月中に本をお送りします。
東京都 足立 厚さん
栃木県 品川孝司さん
大阪府 篠崎圭吾さん
福岡県 五所嘉宏さん
東京都 根本友子さん
大阪府 佐藤武年さん
北海道 鈴木敏文さん
栃木県 相賀義光さん
富山県 山崎政行さん
岐阜県 鈴木美津子さん
☆9月の燃料電池市民講座(予告)
『燃料電池の性能を調べる――電流電圧特性とは何か』
燃料電池が作動しているということを、これまではLEDを点けるとか、モーターを動かすということで確認することが多かったのですが、今回はもう一歩踏み込んで、燃料電池の作動を計器を使って見てみようと考え、表題のやり方を相談しながら準備しています。日程は早めに教えて欲しいという意見が多いので、とりあえず日時の予告です。ゲストその他の詳細は近く載せることにします。
○日 時 9月17日(土)午後2時から
○場 所 岩谷産業株式会社本社会議室(新橋駅から徒歩約10分、地図をお送りします)
○参加費 2000円(PEM−DREAM会員は無料)
○申し込み方法 メールまたはFAXにて、「9月の燃料電池市民講座」と明記の上、氏名、連絡先、電話番号をご記入の上、お送り下さい。
メール info@pem-dream.com
☆8月の燃料電池市民講座
『燃料電池ビークルによるアイスランド1周の旅』
ゲスト=番場健司氏(グリーン・エナジー・アドベンチャー代表)
ちょうど昨年8月の市民講座で、この市民プロジェクトとアイスランドについて番場氏に語っていただきました。今年6月に番場氏たちは、水素をエネルギー源とする自作の燃料電池ビークル「ハイドロ・パフィン」でアイスランド1周1400キロを走破し、無事帰国しました。
体中が泥だらけになるような未舗装のガタガタ道の走行、体感温度が零度を下回る過酷な条件のなかでも燃料電池は発電を続けました。「このプロジェクトを通じて水素社会の可能性を垣間見た」と番場氏は語っています。
今回の市民講座では、2年近くの歳月をかけたプロジェクトの全容と実地体験、そして燃料電池ビークル「ハイドロ・パフィン」の開発なども含めて周回走行を中心に語っていただきます。
○日 時 8月27日(土)午後2時から
○場 所 岩谷産業株式会社本社会議室(新橋駅から徒歩約10分、地図をお送りします)
○参加費 2000円(PEM−DREAM会員は無料)
○申し込み方法 メールまたはFAXにて、「8月の燃料電池市民講座」と明記の上、氏名、連絡先、電話番号をご記入の上、お送り下さい。
メール info@pem-dream.com
■PEM−DREAMニュース
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☆愛知万博「燃料電池どっぷりツアー」報告・9(最終回)
ホテルの燃料電池見学を最後に「燃料電池どっぷりツアー」は解散した。旅程の都合で帰る人、万博にもう一度行く人等々、それぞれに散っていった。一期一会の出会いであっても燃料電池がテーマとなると、皆旧知の親しみを感じるのは不思議なことに思う。
私のツアーはまだ終わらなかった。もうひとつ見学する所があった。名古屋市東山植物園である。そこに、万博開幕からしばらく展示していた「21世紀のウォードの箱」が移設して展示してある。展示期間は万博終了までだ。これは、北極で採取した植物を日本に持ち帰るため、発光ダイオード(LED)で白夜の光を再現し、二酸化炭素測定器などを備えたハイテク装置。19世紀に長距離輸送用の育苗箱を発明した英国人医師ナタニエル・ウォードにちなんで名付けられ、植物の光合成の研究などに役立つと期待されている。
※参考 http://www5.ocn.ne.jp/~nhbg/newpage23.html
東山植物園は、地下鉄東山線「東山公園駅」下車、徒歩10分ほどのところにある。東山公園駅はリニモルートの藤が丘駅に行く途中の駅だ。下見の時にはどんなものか確認しようとして向かったが、時間の関係で正門までたどり着いたものの、事務所の人に展示していることを確認して見ることもなく戻ってしまった。今回行ってみて、その時見ていたら確実に新幹線に乗り遅れたと思った。話では「門を入って少し上がった所です」と言われたが、やはり5分くらいは歩く。
山の緑に囲まれた広大な東山植物園の正門からまっすぐ階段を上がっていくと、「北極圏の植物にあえる! 21世紀ウォードの箱展示室」と看板が取り付けられた建物があった。元はおみやげ屋か休憩所だったようだ。植物園自体も人が少ないので、ここも無人だった。戸を開けて中に入ると、ウォードの箱に関する展示物だけが並べられている。大型冷蔵庫のような装置に一辺約45センチのアクリル製の箱が二つ。これら一式がコンテナに収容され、約6000キロ離れた北極から珍しいバラ科やユキノシタ科の植物約20種を運んできて、今も一部がLEDの明かりの下で育っている。
使われている燃料電池は見てすぐ大同メタル製のものだと分かった。ここでの燃料電池の役割は、植物が生きていることを確認する二酸化炭素測定器の電源として使われていた。説明には「冷たい庫内でも電力を発電した」と書かれていた。
19世紀に自動車が発明され、タイヤに使うゴムの需要が高まり始めた。「ウォードの箱」で植物を生きたまま輸送することが可能になり、イギリスは南米のゴムの苗木等を各地の英領植民地に導入してイギリスのゴムプラント産業は栄えたという。今回のプロジェクトはこの故事に因んで名付けられた。東海地方の企業が中心となって行ったプロジェクトで、参加企業は、岡谷鋼機、大同メタル、日本通運、堀場製作所、ホシザキ電機、名古屋大学、高知県立牧野植物園、大阪市咲くやこの花館である。
隣接した動物園の中を抜けて駅に戻った。雨が降り出してきた。万博会場に行った人は濡れてしまうだろうな、と思いつつ、自分のツアーも終わりを迎えた。
8月19日付の日経新聞で知ったことだが、万博ではもうひとつ、燃料電池を使ったコージェネの実験が行われていた。万博の公式参加者用宿舎を使った、実際に人が住む集合住宅でのマイクログリッドの実証実験だ。マイクログリッドとは、燃料電池システム1台で複数の住宅に電気と熱を供給・分配する方式のこと。戸建てで利用する家庭用燃料電池のさらに進んだ利用の仕方だ。
万博会場には、アルカリ型以外の燃料電池(固体高分子型、りん酸型、溶融炭酸塩型、固体酸化物型、ダイレクトメタノール型)がすべてあった。PEM−DREAMのツアーは、カナダの視察に次いで2回目である。ツアーの度に燃料電池の世界が着実に進展していることを確かめている。次はいつ、どこになるか分からないが、楽しい経験をまたしたいと思っている。今回の関係者の方々に再度お礼を述べつつ、報告を終わりにしよう。
■WEB LINK NEWS
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05/08/17 新エネルギー:むつ地域策定委が初会合 /青森(毎日新聞)
石油など化石燃料などに代わる風力や太陽光、バイオマスなど新エネルギーの導入に向けて計画を策定する「むつ市地域新エネルギービジョン策定委員会」(委員長・藤田成隆八戸工大教授、12人)の初会合が16日、同市の下北文化会館で開かれた。同策定委は独立行政法人「新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)」から約800万円の補助でスタート。市内の農協、漁協、商工会議所、東北電力、市民公募など12人の委員がむつ市の特性を生かした新エネルギーについて助言・提言をする。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050817-00000017-mailo-l02
05/08/18 新日石など、一般家庭用1kw級灯油改質FCの実証試験開始(日刊工業新聞)
新日本石油と荏原バラード(東京都大田区)は共同で、灯油改質の1キロワット級家庭用燃料電池(FC)を一般家庭に持ち込んでフィールドテストを開始した。発電効率は33%以上で液化石油ガス(LPG)と同等かそれ以上。灯油改質の家庭用FCの実証試験は初めて。05年度からは国の大規模モニター事業へ参加、実用化へ向けたステージへ持っていく。04年から両社が新日石の研究所で実証してきたシステムを改良、商品化ステージへ移行していく。灯油は安価で全国どこでも確保できるメリットがある半面、硫黄分が高く水素を改質して得る脱硫・改質工程が実用化への課題となっている。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050818-00000016-nkn-ind
05/08/18 県内工業高生の手作りソーラーカー 鈴鹿でテクノドリームフェア(中日新聞)
県教育委員会などの主催で、十校が出場した。一周約四百九十メートルのコースで二時間の周回数を競うソーラーカー耐久レースや、ソーラーラジコンカー競技、一リットルの燃料で走行距離を競う省エネカー競技、相撲ロボット競技などでアイデアと技術力を競い合った。このほか、大会初の燃料電池車もデモ走行した。生徒たちが空気抵抗を少なくし、軽量化に努めた力作五台を出品し、話題を呼んだ。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050818-00000005-cnc-l24
05/08/18 軽の電気自動車を初公開 富士重、電池技術に注力(共同通信)
富士重工業は18日、高性能のリチウムイオン電池を活用した軽の電気自動車の試作車「スバル R1e」を初公開するなど環境技術への取り組みについて発表した。自動車各社は低公害車の開発にしのぎを削っているが、竹中恭二社長は「家庭で一晩で充電できるようになれば、電気自動車は一定の地位を得るだろう」と述べ、ハイブリッド車や燃料電池車などの技術で先行するトヨタ自動車などに、独自の電池技術を駆使して対抗する姿勢を見せた。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050818-00000100-kyodo-bus_all
05/08/18 近代的エネルギー源が不足 途上国で24億人と国連(共同通信)
世界の発展途上国で、日々のエネルギー源として、木材や家畜のふんなど前近代的な手段に頼っている人の数は約24億人にも達する、との報告書を国連が18日までにまとめた。これらの質の悪い燃料を使うことによる室内の空気の汚染によって、毎年、呼吸器疾患などで約160万人が死んでいるという。
現在、電気を利用できない人の数も約16億人に達し、国連は「途上国の貧困廃絶のため2000年に合意されたミレニアム開発目標の達成のため、この分野での国際援助などを拡大する必要がある」と指摘した。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050818-00000134-kyodo-soci
05/08/18 燃料電池でCO2削減 トヨタなど約23%(共同通信)
トヨタ自動車、東邦ガスなどは18日、家庭用燃料電池2台を使い名古屋市の住宅4戸に電気や熱を同時に供給するコージェネレーション(熱電併給)システムの実証実験で、現行の電気・ガス供給と比べ、二酸化炭素(CO2)排出量が22・7%削減される効果が判明した、と発表した。家庭用燃料電池は電機大手、ガス会社などが各地で実験や実用化に取り組んでいるが、1戸に1台の設置が一般的。1台で複数の住宅に供給する試みは初めてという。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050818-00000157-kyodo-bus_all
05/08/20 LNG価格、じわり上昇 将来は争奪戦の可能性も(共同通信)
原油と比べ価格が安定していたため、脱石油時代の主力エネルギーとして導入を進めてきた液化天然ガス(LNG)の価格が上昇し始めている。史上最高値を更新し続ける原油価格の影響を受けたためで、LNG1トン当たりの輸入価格は今年5月の平均価格が3万1650円と、近年では底値だった1999年に比べ7割上昇した。LNGは原油代替エネルギーとして世界中で引き合いが増えており、これまでのように安定した価格で将来も輸入できるかは、予断を許さない。
LNGはインドネシアやマレーシアから輸入され、都市ガスの原料や火力発電所の燃料に使われている。電力10社と大手都市ガスのうち3社は、原油や石炭の高騰も重なったため今年10−12月の料金を値上げすると発表。LNGの値上がりによる一般家庭や企業への影響が、本格的に表れ始めた。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050820-00000079-kyodo-bus_all
05/08/21 子どもらが遊んで学ぶ「環境問題」 長岡京でイベント(京都新聞)
夏休みの親子連れに環境問題に関心をもってもらおうと、市民グループ「長岡京市環境の都づくり会議」は21日、京都府長岡京市神足2丁目、バンビオ1番館の市民活動サポートセンターで「あそんでまなぼう『かんきょう』」のイベントを開いた。二酸化炭素を発生しない自然エネルギーの種類や発電のしくみについて理解してもらえるよう、テーマを絞り込んで開催。人力や風力、光を使った発電のほか、燃料電池やレモン電池などを紹介した。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050821-00000015-kyt-l26
■海外ニュース(8月―3)
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<輸送>
●ホンダは燃料電池車FCXに水素ステーションナビゲーションシステムを搭載(2005/07/27)
ホンダは、2005年型のすべての燃料電池自動車FCXに、カリフォルニアの「水素ハイウェイ(Hydrogen Highway)」イニシアティブの一部として開発されているステーションを含む水素ステーションの位置を運転手に案内する、ホンダが開発したナビゲーションシステムを搭載している。この音声操作システムはすべての第2世代FCXにホンダが開発した燃料電池スタックとともに標準装備されていて、音声認識で水素ステーションを見つけて、道案内と運転距離を表示できる。システムは現在、カリフォルニア州の外にある9つを含む合計26カ所の水素ステーションをデータベースに収録している。
http://corporate.honda.com/press/article.aspx?id=2005072739254
<定置用電源>
●フュエルセル・エナジーをアライアンスパワーはTSTへ2台の燃料電池を供給(2005/07/24)
フュエルセル・エナジー社(FuelCell Energy)とそのパートナーであるアライアンスパワー社(Alliance Power)は、5年間の電力供給契約(power purchaseagreement)の一部として、カリフォルニアのフォンタナにあるTST社へ2台の250kW級 Direct FuelCellィ (DFCィ) 発電プラントを提供する契約に署名した。DFC発電プラントは、2006年第1四半期にTST側に納品されると期待されている。ユニットが天然ガスで運転し出すと排熱は、TST社のアルミニウム製造プロセスの一部として、空気を予熱する大きいバーナーと交換するために使われる。
http://www.fce.com/
<ポータブル/バックアップ電源>
●ARCとピレリはマイクロSOFCで協定 (2005/07/18)
イタリアのピレリ Labs S.p.A.(Pirelli Labs S.p.A.)とアルバータ州研究評議会(Alberta Research Council Inc. ,ARC)は、ARCのマイクロ固体酸化物型燃料電池(SOFC)技術の開発で共同協定に署名した。1年間の協定は、ピレリ社の特許を適用することが中心となる。その特許は、ARCの燃料電池スタックに、デザインを簡素化するために炭化水素ベースの燃料を直接供給できるようにする。
http://www.arc.ab.ca/whatsnew/newsreleases/Pirelli.asp
<燃料/改質器/貯蔵>
●アバレンスはDOEのフェーズ2の契約を獲得 (2005/07/29)
アバレンス社(Avalence)は、カリフォルニアのACトランジット(AC Transit)の駅に再生可能エネルギーで稼働するHydrofiller燃料ステーションを設置して開発するために、DOEのフェーズ2契約の75万ドルを獲得した。アバレンス社のHydrofillerは、機械的な圧縮の必要なしに超高圧な水素ガスを発生させるために画期的な電気分解プロセスを使う。ACトランジットは環境にやさしい水素の生産を試行するために、太陽電池を配列したものに似たシステムを計画している。システムは、ACトランジットが運転する予定の小型燃料電池自動車の幾つかに役立つだろう。
http://www.avalence.com/news/default.asp
<報告書/市場調査>
●分散型電源
リサーチ・レポート・インターナショナル社(Research Reports International)は、「分散型電源:技術、機会、および関連報告」の第5版をリリースした。レポートは、分散型電源(Distributed Generation ,DG)産業の225ページにわたる包括的な研究である。それは、DGの現在と未来の状態を広範囲に概観して、マイクロタービン、ピストン・エンジン、スターリング・エンジン、燃料電池、太陽電池、集光型太陽光発電、風力の技術を個別にまとめている。
http://www.researchreportsintl.com/products/product.cfm?report_ID=54
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□編集・発行:燃料電池NPO法人PEM−DREAM
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