燃料電池ワールド (2005/07/13 09:00)

水素チャンネル Home

□燃料電池ワールド
■□□□□□□□□□
■Vol.197 2005/07/13発行

                   ◆燃料電池NPO法人PEM−DREAM

                        ◇http://www.pem-dream.com/

■燃料電池関連イベント
□□□
☆JHFCパークが夏休み特別イベント

 7月26日と8月4、11、18、25日に「親子で体験 燃料電池・水素エネルギー教室」を開催する。夏休みの自由研究のテーマとして、いかがですか?
※詳しい内容は、http://www.jhfc.jp/event/20050701_02_index.html

☆有機ハイドライド利用システム研究会・特別講演会
「水素エネルギー利用技術の最新動向」
◇日 時 7月29日(金)13:00〜17:00
◇場 所 弘済会館(東京都千代田区麹町5−1)
      講演会場:4F「椿」
      http://www.kousaikai.or.jp/hall/index.html
◇参加費 会員は3名まで無料

     会員以外は1人8000円(資料代含む。当日現金払い)
◇特別講演: (会員以外の方も参加できます)
(1)東京農工大学大学院 柏木孝夫教授
 「水素時代に向けたわが国のエネルギー政策について」
(2)北海道大学触媒化学研究センター 市川 勝教授
 「水素供給インフラ技術の現状と展望」
(3)宇都宮大学 伊藤直次教授

 「パラジウム膜を用いた水素製造、メンブレンリアクターを用いた膜反応装置の開発」
(4)株式会社ジャパンエナジー
 「有機ハイドライドを用いた水素貯蔵、供給について」
(5)独立行政法人北海道開発土木研究所 秀島好昭特別研究官
 「農村地域における有機ハイドライドの利用と実証研究」
◇申込方法(7月28日(木)申込締切)

 メール(奥田okuda@hrein.jp)またはファックス(011−209−9778)にて下記の項目を明記の上、お申し込み下さい。定員となり次第、締め切りとさせて頂きます。
・件名:「7月29日セミナー参加希望」
・参加者貴名(フリガナ)
・貴団体名(フリガナ)
・参加者の部署・役職名
・電話、ファックス
・電子メールアドレス

■PEM−DREAMニュース
□□□
☆愛知万博「燃料電池どっぷりツアー」報告・3

 慶応3(1867)年正月、パリで開かれた万国博覧会に徳川幕府が出品した随行として渋沢栄一は、徳川慶喜の弟・昭武のお付きでフランスに渡った。彼らがフランスに行っている間に、幕府は大政を奉還し、翌年には鳥羽伏見の戦争があり江戸城が明け渡しとなった。大佛次郎氏は小説『激流(渋沢栄一の若き日)』のなかで、渋沢が洋行する気持を固めたときのことを書いている。

 「なアに、行って実地を見ればどんなものかわかる。とにかく万事、見ることから始まるのだ」

 渋沢翁はこの見聞を基として、明治の日本を作った。万国博覧会には何か次の時代の先駆けのものがあるに違いない。21世紀初頭の愛知万博に、私はそれを燃料電池に求めた。そして、晴れ男6人が集まり、「燃料電池どっぷりツアー」を7月7日から9日まで行った。愛知県庁、東邦ガス株式会社、新日本石油株式会社、名古屋栄ワシントンホテルプラザ、名鉄観光サービス株式会社のご協力に感謝いたします。

 ツアーの起点は、燃料電池ワールドVol.176(2005/02/09発行)だった。日程とホテル、金額だけ決めて募集を開始し、具体的な内容はこれからだ。万博会場だけではなく、愛知県下の状況も知りたいと思っていたので、7日の午後は訪問日として、8、9日を万博に充てた。5月に訪問先が決まり、6月30日に万博会場の下見を行い、ようやく実施プランが決まった。それからの1週間でさらにうれしい変更が加えられて、内容が充実してきたことに確信が持てた。2年前のカナダ視察ツアーもドタバタだったが、今回も同じ。これは少し問題だと考えた。

 一番心配した天気も晴と決まって、7日の12時30分に名古屋駅集合。初顔合わせとなった。バスで愛知県庁に向かい、産業労働部産業技術課の職員の方々とお会いした。

 愛知県はなぜ産業労働部が燃料電池を取りあげているのか。普通は環境分野のセクションが担当するように考えられるが、燃料電池に対する地方自治体の取り組みは、愛知県に限らず他の県でも産業振興の視点から行われている。これはひとつの特徴と言えるだろう。もともと地方自治体はエネルギーについての施策はほとんどやっていない。大規模集中型の電力構造がそうした体質をもたらしてきたのかも知れないが、最近の電力自由化の進展が愛知県でもエネルギーに目を向けるきっかけとなった。分散型の登場である。
 

 「愛知県新エネルギー関連産業振興計画〜水素エネルギーを中心とする新エネルギーの展開と新産業の創出〜」(以下、計画)が今年3月、策定された。上位計画である「愛知県産業創造計画」(目標年次2010年)は、1999年に策定された「愛知県産業活性化計画」(目標年次2005年)を引き継ぐもので、今年1月に策定され、そこで「環境・エネルギー」を重点プロジェクトの一つとして位置づけた。計画の策定時期としては、中部国際空港の開港と愛知万博という絶好の巡り合わせを捕まえた。計画は、他の自治体でよく見る新エネルギービジョンのように、導入数値目標は設定していない。それは、産業としていかに広がりを持たせるか、に主眼が置かれているからで、地域のポテンシャルとして愛知県は燃料電池と水素だということである。

 計画は、新エネルギーの詳細な分析と4つの基本方針、13の施策展開を打ち出している。4つの基本方針のうち、1番目の「産学行政のネットワークの形成」では、今年2月に「愛知県水素エネルギー産業協議会」が設立された。その下に3つの研究会が組織されている。
 ・中小企業向けの燃料電池実用化検討会

 ・ジメチルエーテル(DME)を使ってエネルギー循環社会の形成に関する検討会
 ・水素の集積地である知多半島の水素供給インフラの活用協議会

 2番目の「ものづくり産業の新展開」では、燃料電池開放型支援拠点(トライアルコア)として愛知県産業技術研究所に燃料電池評価装置を導入し、担当職員を置いて中小ベンチャー企業が利用できるように年内に体制を整える予定だ。県が2004年に実施した水素エネルギー関連産業50社へのアンケート調査では、多くの企業が基礎的な技術開発段階において、人材の確保や初期投資資金の確保などの問題を抱えている。評価装置は高価なので、このニーズは高いことが予想される。

 3番目は「地域分散型エネルギーの展開」で、中部臨空都市における新エネ実証実験の推進がまず挙げられている。この実証実験はNEDOプロジェクトとして2003年から2007年度まで行われる「2005年日本国際博覧会・中部臨空都市における新エネルギー等地域集中実証研究」であり、今年の9月まで万博会場内で行われている設備をその後、常滑市の中部国際空港対岸に埋め立てられた中部臨空都市に移設して継続する。JHFCが世界初の自動車の大規模プロジェクトなら、こちらも世界初の定置型の大規模実験である。3タイプの燃料電池だけでなく太陽光発電やNaS電池(蓄電池)も加わり、分散型エネルギー需要制御技術の総合的なフィールドテストである。系統電力とも連携し、ベース電力として活用するが、系統電力を導入することについて「組み合わせた場合に各々の新エネルギーの周波数を一定に制御できないので、系統電力の周波数を使って電力の質を確保する」ということを教えていただいた。

 私たちが伺う少し前の7月1日には「あいちFCV普及推進協議会」を設立している。県内の官民を挙げて燃料電池自動車を普及しようというもので、活動はこれからだ。

 4番目の「事業環境の整備」では、県民への普及啓発を行って、「水素が危険だ」という固定概念を取っ払いたいと話していた。これからは学校教育や社会教育へも積極的に取り入れていくとのことである。

 JHFCの第2期目をどうするかとか、来年度の国の燃料電池関連予算が削られるらしいという厳しい話が聞こえてくるなかで、燃料電池のフロントランナーをめざす愛知県にぜひ期待したい。そんな気持ちもあってか話に夢中になり、予定の時間をかなりオーバーして次の東邦ガス株式会社総合研究所へと向かった。
(次号へ続く)

■WEB LINK NEWS
□□□
05/07/06 FOMA用マイクロ燃料電池を改良、電力量が3倍に(ITmediaモバイル)

 NTTドコモは7月6日、富士通研究所と共同で試作したFOMA用マイクロ燃料電池で、性能向上に成功したと発表した。イオン伝導膜の改良により、従来の3倍の電力量を達成している。ドコモは燃料電池の実用化に向け、さらなる研究開発を進め「2005年度末をめどに開発を完了する」(同社)予定。試作機は7月13日から15日にかけて東京ビッグサイトで開催される「WIRELESS JAPAN 2005」会場で展示される予定だ。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050706-00000050-zdn_m-sci

05/07/07 燃料電池用メタノールセンサー開発 京都電子工業(京都新聞)

 分析計測機器メーカーの京都電子工業(京都市南区)は7日、業界初の燃料電池用埋め込み型メタノールセンサーの開発に成功した、と発表した。米国のベンチャー企業とMEMS(微小電子機械システム)技術を使って共同開発した超小型センサーで、ノート型パソコンや携帯型ビデオカメラなどの持ち運びのできる電源としての応用が期待できる。

 アクティブ型燃料電池の燃料となるメタノールは、水と一定の割合で希釈して使用するが、濃度が一定でないと発電効率が下がる。新開発のセンサーは、メタノールが流れる配管に直接埋め込み、メタノールの濃度を逐次計測できるようにした。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050707-00000060-kyt-l26

05/07/08 【シンガポール】自動車製造業の再興、経済開発庁が計画(NNA)

 このほか英ロールスロイス社が最近、複数のシンガポール企業と共同で、未来の自動車動力源として期待が高い燃料電池エンジン開発プロジェクトを開始している。同プロジェクトの投資総額は1億米ドルに上る。将来的には同エンジンの工場をシンガポールに設立する計画だ。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050708-00000039-nna-int

05/07/11 燃料電池合弁8月にも決断 トヨタ−GM、渡辺社長(共同通信)

 トヨタ自動車の渡辺捷昭社長(63)は11日、インタビューに応じ、燃料電池車を中心とした環境分野の技術開発をめぐる米自動車大手ゼネラル・モーターズ(GM)との合弁会社設立など、提携強化の具体策について「決断を早くした方がよい」と述べ、早ければ8月中にも結論を出す方針を明らかにした。渡辺社長は、次世代の低公害車として期待される燃料電池車の開発などを「GMと一緒にするのは意義がある」と強調し、来年3月に切れる現行の技術提携の期限を延長する意向を表明。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050711-00000121-kyodo-bus_all

05/07/12 風力発電:湾防に設置、釜石市に中止求める−−日本野鳥の会宮古支部 /岩手(毎日新聞)

 釜石市は釜石湾口防波堤に風力発電装置を設置し、半洋上風力発電としては国内初となる構想をまとめた。日本野鳥の会宮古支部の佐々木宏支部長は11日、同市に中止の要望書を提出した。要望書によると、同防波堤や近くの三貫島周辺は絶滅危惧(きぐ)種の渡り鳥のオジロワシやオオワシの越冬地のほか、ハヤブサやミサゴなども営巣。海が荒れた時は数万羽の海鳥が沖合から飛来し、風力発電の回転翼や支柱によって衝突死する恐れがあるとしている。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050712-00000055-mailo-l03

05/07/12 「ワイヤレスジャパン2005」の見どころ:キャリアブース編(ITmediaモバイル)
●KDDI版「おサイフケータイ」を展示

 各種新技術を使った試作機も出展。RF IDリーダー搭載端末や携帯電話用小型燃料電池も展示するという。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050712-00000058-zdn_m-sci

■海外ニュース(6月―4)
□□□
<輸送>
●ホンダはFCXを個人客にリース販売(2005/06/29)

 アメリカン・ホンダモーター社(American Honda Motor Co., Inc.)は、世界で初めて個人客に燃料電池自動車「FCX」のリース販売を発表した。個人客は、カリフォルニア州レドンドビーチに住むジョンとサンデイ・スパリーノさん。スパリーノ家は、月額500ドル、2年契約で2005ホンダFCXの契約書に署名して、世界で最初の燃料電池ファミリーとなった。スパリーノ家はFCXを、オレンジ・カウンティへの通勤や、子どもたちの通学、買い物やお使いなど、日常の用途に使う。
http://world.honda.com/news/2005/4050629.html

<定置用電源>
●プラグパワーがフロリダに12台の燃料電池を販売(2005/06/16)

 プラグパワー社(Plug Power Inc.)は、フロリダ環境保護局(FloridaDepartment of Environmental Protection,DEP)へ12台の「 GenCoreィ 」バックアップ用燃料電池システムを販売した。5kWの水素燃料のユニットは、フロリダ州中のDEPオフィスに大切な非常用電源を提供するために、無停電電源装置(UPS)設備と統合される。
http://www.plugpower.com/news/press.cfm?vid=617699&liak=45474111

<ポータブル/バックアップ電源>
●2006H2Uがコンテストを計画

 2006年H2Uコンテストのテーマは、「水素貯蔵の新しいアプリケーション」である。2006年のコンペのための規則の準備は進行しており、コンテストは9月上旬には開始する。
http://www.h2ucontest.org/registration.html%20

<報告書/市場調査>
●水素パワー(2005/05)

 リサーチ・アンド・マーケット社(Research and Markets)は、現在の水素産業の構造や、水素の製造、運搬、貯蔵のためのさまざまな水素パスについて詳述している「水素パワー」を発表した。レポートは、米国における政府研究機関、大学とアカデミックな団体、民間団体の研究開発活動をカバーしている。
http://www.researchandmarkets.com/reports/c18817/

──────────────────────────────────────

■燃料電池ワールド
 □毎週水曜日発行
 □編集・発行:燃料電池NPO法人PEM−DREAM 

 □解除:「まぐまぐ」と「melma!」から直接ご購読の方が解除される場合は、「まぐまぐ」か「melma!」から直接解除の手続きを行ってください。PEM−DREAMでの代行はできません。
 まぐまぐ http://www.kaijo.com/  
 melma! http://www.melma.com/taikai/
 □連絡先: info@pem-dream.com
 □マガジンID:0000065319(まぐまぐ) m00039824(melma!)


**H2**

<前の号 次の号>

TAKAGI-1