燃料電池ワールド (2004/09/15 18:00)

水素チャンネル Home

□燃料電池ワールド
■□□□□□□□□□
■Vol.156 2004/09/15発行

                   ◆燃料電池NPO法人PEM−DREAM

                        ◇http://www.pem-dream.com/

■お知らせ
□□□
☆甲府イベントのボランティア募集

 10月29.30日に甲府市で「燃料電池塾 in 山梨」が開催されます。PEM−DREAMも協賛して、セミナーや展示、燃料電池自転車体験などを予定しています。このイベントをお手伝いくださるボランティアを募集します。29、30の両日か、30日だけのどちらかのご都合で結構です。甲府市内には前日夜には入らなければなりませんので、その点を留意してください。ご協力いただける方は、info@pem-dream.comまでご連絡ください。
※「燃料電池関連イベント」コーナーに詳細。

☆9月の燃料電池市民講座
『燃料電池の原理を勉強する』
ゲスト=神谷信行氏(横浜国立大学大学院教授)

 燃料電池は近年、自動車や家庭用、携帯機器用などのさまざまなアプリケーションで実用化を目指す努力が進められています。それは一体、どうしてなのでしょうか。その秘密を理解し、また燃料電池技術の難しさを知るために、燃料電池の基礎理論について勉強してみたいと思います。

 神谷先生は長年、固体高分子型やダイレクトメタノール型の研究に取り組んでこられました。燃料電池の原理についてお話をいただくとともに、基礎学問の立場から現在の状況をどう見ておられるのか、についても伺いたいと思います。

○日 時 9月25日(土)午後2時から
○場 所 岩谷産業株式会社本社会議室(新橋駅から徒歩約10分、地図をお送りします)
○参加費 2000円(PEM−DREAM会員は無料)
○申し込み方法 メールまたはFAXにて、「9月の燃料電池市民講座」と明記の上、氏名、連絡先、電話番号をご記入の上、お送り下さい。
 メール info@pem-dream.com 

☆『燃料電池パワー』Vol.56の内容
【今週の燃料電池関連画像】著作権フリー/添付ファイル 
◇SPF飛行船システムのコンセプト。船体上面に太陽電池パネル。【沼崎英夫/技術レポート】              
◇JAXAの太陽電池/再生型燃料電池飛行船計画
◇FC視点のマガジン・ウォッチング
「燃料電池採用にKDDI動く」(NE日経エレクトロニクス8月2日号)
※このメールマガジンは、より専門的な情報をPEM−DREAM会員に提供しています。サンプルは、http://www.pem-dream.com/conts.html

■燃料電池関連イベント
□□□
●「燃料電池塾 in 山梨」
◇日時 
10月29日(金) 甲府城西高校と甲府工業高校でセミナーと燃料電池自動車試乗10月30日(土)10時〜16時 「木の国サイト」でイベント(参加自由)
◇内容
・燃料電池自動車試乗体験
・燃料電池自転車試乗体験
・燃料電池の工作、バラード製「Nexa」や模型・パネルの展示、実験など
・セミナー(講演)
 「水素とインフラについて」岩谷産業
 「燃料電池について」燃料電池NPO法人PEM−DREAM
◇主催 日東物産株式会社
◇協賛 岩谷産業/燃料電池NPO法人PEM−DREAM/荏原バラード/ケミックス
◇後援 山梨県/南アルプス市
◇問い合わせ 日東物産(担当・芦沢)TEL055−226−2211

●燃料電池・水素エネルギー技術展 in 九州
西日本地域では初めての燃料電池及び水素技術に関する見本市
◇日 時 10月27日(水)〜29日(金)10時〜17時
◇会 場 西日本総合展示場本館
     (北九州市小倉北区浅野3丁目8-1) 
      tel.093-511-6848 fax.093-521-8845
◇主 催 経済産業省九州経済産業局/NEDO/九州大学/九州燃料電池研究会/財団法人西日本産業貿易見本市協会
◇主要参加団体 九州大学/NEDO/JHFC/JARI/NEF/エンジニアリング振興協会/トヨタ/ホンダ/日産/GM/ダイムラークライスラー/岩谷/日立/出光興産/東陽テクニカ/コフロック/マイクロパワーエナジー/カナダ/新日本製鐵/MHI/IHI/富士電機/インフラテック/等 約50社  
◇問い合わせ 財団法人西日本産業貿易見本市協会(担当:有田・古賀) 

        北九州市小倉北区浅野3−8−1 tel.093-511-6848
◇詳細は、http://www.eco-t.net/douji/fuel_cell/fuel_cell.htm

■PEM−DREAMニュース
□□□
◇家庭用燃料電池コージェネレーションシステムの熱と発電効率の迷路

 今まで、家庭用燃料電池の効率について、企業が発表する発電効率35%、熱効率40%、総合効率75%の数字(一例だが)について、数字が疑わしいというようなことではなく、単に何の疑問もなくみてきていた。最近、燃料電池の理論効率との関係でこれらの数字を考えることがあって、よく分からなくなった。そのことについて、ニュースというほどではないがお知らせしてみたい。

 よく分からなくなったというのは、こういうことです。燃料電池の理論効率では、水素と酸素が反応して水ができるときには286kJ/molのエネルギーがすべて熱として放出される。この場合にはこのエネルギーを仕事(燃料電池では発電)として取り出すことはできない。仕事をさせようとすると237kJ/molしか取り出せなくて、残りの49kJ/molは熱となって放出されてしまう。よって、燃料電池の理論的な効率は237÷286=82.86となり、約83%である(25℃、1気圧の場合,HHV)。

 これでは発電が83%、熱は17%となる。実際の燃料電池ではいろいろな抵抗が生じて、発電効率はもっと下がり、抵抗の分は熱となってしまう。仮に発電効率が35%だとしたら、放出される熱は、理論的に熱となる分の17%と抵抗として熱になってしまった分83−35=48%の合計65%となる。熱の利用が40%あるのだから、65−40=残り25%分が実際には未利用の熱となった訳である。これが第一の考え方で、286kJ/molを100として考えたもの。
 発電効率    35%=100.1kJ/mol
 熱効率     40%=114.4kJ/mol

 利用されない熱 25%=71.5kJ/mol(排出される熱49kJ/molも含まれる)

 第二には、仕事として利用できる237kJ/molを100として考えたもので、この場合に35%が電気に、40%が熱の利用に、25%が放出される熱になるという考えである。
 発電効率    35%=82.95kJ/mol
 熱効率     40%=94.8kJ/mol

 利用されない熱 25%=59.25kJ/mol+排出される熱49kJ/mol=108.25kJ/mol

 エネルギーの計算ができずに文章で理解するしかできないので、このどちらが正しいのかが分からなくなった。何とか手掛かりを探そうとしたが、無駄だった。みんな分かっている方が書いているので必要ないのだろうし、くどくなるので、そこまでいちいち細かいことを書く必然性もないのだろう。こちらもこれまでどっちでも良かったのである。だが、ふと考え出すと困ったことになった。どちらかに違いないのだが、さりとてエネルギー計算の勉強からやり直す訳にも行かず、迷路から抜け出せない。面倒なので、今月の市民講座のゲストをお願いしている神谷先生に聞いてしまった。答は第一の理解が正しいそうです。同じような疑問を持った方はいらっしゃいませんか? 

■WEB LINK NEWS
□□□
04/09/09 東芝IFC、発電効率44%の家庭用水素コジェネを開発(日刊工業新聞)

 東芝インターナショナルフュエルセルズ(東芝IFC、東京都港区、加藤尚志社長、03・3457・3622)は700ワット家庭用固体高分子形燃料電池(FC)で、発電効率44%を実現した水素コジェネレーション(熱電併給)システムを開発した。FCと貯蔵タンクを一つのパッケージに収納してコンパクト化を実現した。新エネルギー財団の実証プロジェクトとして九州石油の社宅(大分市)へ納入した。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040909-00000021-nkn-ind

04/09/09 京都議定書批准拒否は正当=豪産業相(時事通信)

 【シドニー9日時事】オーストラリアのマクファーレン産業相は9日、当地で開かれている世界エネルギー会議で講演した際、地球温暖化防止のための京都議定書について、「議定書を批准した18カ国のうち、カナダなど15カ国は温室効果ガス削減目標を達成するのが難しいのが現状だ」と述べ、京都議定書の枠組みには実効性がないと批判した。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040909-00000113-jij-bus_all

04/09/09 ハリケーン『フランシス』の爪跡――電力・通信各社の対応は(WIRED)

 フランシスのフロリダ半島通過にともなって、一時的に電力を使用できなくなった人の数は州内で500万人と推定されている。停電やケーブルの破損によりコンピューターやテレビが使用できなくなった。これに加えて、中継施設の機能停止が原因で、多数のユザーが携帯電話を使えなくなった。固定電話は比較的災害に強いはずだが、それでも州内にはいまだに不通のままの地域も多い。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040909-00000002-wir-sci

04/09/10 インテル:「未来のノートPCは、高性能で長時間駆動」(CNET Japan)

 Intelは現在、技術と資金の両面で新型バッテリ技術の開発をサポートしている。「1990年代にはリチウムイオン電池が有効だったが、バッテリの進歩はティーンエージャーとセックスの関係のように、みんな話ばかりで行動が伴わない」(Eden)

 同社は燃料電池などの新種の選択肢も引き続き検討するが、いまのところ既存の2種類の化学物質の進展に大きな期待を寄せている。日本パイオニクスの高度リチウムポリマーとZinc Matrix Powerのアルカリ亜鉛だ。「どちらも、サイズや重量を大幅に増やさずバッテリ容量を倍増させる力を秘めている」と、モバイルプラットムグループでモバイル技術の主任エバンジェリストを務めるMike Trainorは語った。同技術は現在すでにサンプル出荷が行われており、2006年には少量が市場に出回るかもしれないが、新型バッテリのポテンシャルが完全に発揮されるのは2010年以降になる可能性が高い、と同氏は付け加えた。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040910-00000002-cnet-sci

04/09/10 日電計が上方修正(ラジオNIKKEI)

 日本電計(JQ)は10日、05年3月期(連結)業績の上方修正を発表した。デジタル家電や燃料電池関連の設備需要増に支えられ、通期の経常利益は前回予想を1億2600万円上回り、前期比25%増の11億600万円になる見通し。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040910-00000104-rtp-biz

04/09/10 10日長野計器が軟調、格好の拾い場に(ラジオNIKKEI)

 長野計器(JQが続落歩調。下値メドと意識される26週移動平均線を割り込んできた。悪材料があるわけではなく、売り物もごくわずかしか出ていないが、できるだけ安く買いたい中長期スタンスの投資家が実勢よりかなり下値で買い指値を入れており、そこに吸い寄せられる格好で水準を切り下げている。

 高圧センサは燃料電池車にも搭載されるが、既に同社はその分野で独占的な地位を築いている。人気テーマに沿う好業績割安株であり、ひとたび基調が転換すれば、株価の戻りは早いと見られる。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040910-00000210-rtp-biz

04/09/15 家庭用燃料電池のモニター試験開始 四日市で県内初(中日新聞)

 【三重県】近鉄四日市駅西の石油製品販売業「谷口石油」=四日市市鵜の森一、原裕介社長=は、同社敷地内で家庭用燃料電池のモニター試験を開始した。県内で初めて、一般公開もしている。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040915-00000006-cnc-l24

04/09/15 メタン分離に優れたハイブリッド素材開発 名工大院・山田教授(中日新聞)

 【愛知県】名古屋工業大学大学院の山田保治教授は十四日、従来の膜素材よりメタンを分離するのに優れ電気を通しにくいハイブリッド素材(有機材料と無機物を分子レベルで結合させた素材)を開発したと発表した。半導体の絶縁膜や、二酸化炭素が混じる天然ガスからメタンだけを精製する際に使う膜などで産業用への応用が期待できるという。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040915-00000015-cnc-l23

■海外ニュース(9月―1)
□□□
<輸送>
●ホンダが燃料電池スクーターを開発

 ホンダは、自社の高効率ホンダ燃料電池スタックを利用したスクーターを開発した。スクーターは、氷点下でも起動が可能。ホンダは、更に軽量、コンパクト化を図る為、125ccクラスのスクーターのデザインの見直しを進める方針である。
http://world.honda.com/news/2004/2040824_03.html

●UPSが燃料電池車両を拡張

 United Parcel Service (UPS)は、同社としては初となる、3台の燃料電池駆動荷物配送車両を米国で配置すると発表した。 UPSは小型の燃料電池車から中型トラックに進出する。新しい燃料電池である「Sprinters」は駆動系の効率が20%、走行距離で155マイル(約250キロ)と40%、エンジンの最高出力が40%、それぞれ向上している。
http://ups.com/pressroom/corp/press_releases/press_release/0,0,4454,00.html

<ポータブル/バックアップ電源>
●Plug Powerが新しいGenCore製品を発売

 Plug Power社がGenCore_5T24 (24ボルト、5キロワットバックアップ用燃料電池システム)を発売。無線サービス会社から販売される。GenCore_5T24はNetworkEquipment Building Systems (NEBS) Level 3規格及びElectronic EquipmentCabinets業界標準規格 GR-487-CORE準拠で、 Underwriters Laboratory (UL)のリストに収載され、FCC Class B規格でも認証されている。5T24は直ぐにでも出荷できる体制である。
http://www.plugpower.com/news/press.cfm

<燃料/改質器/貯蔵>
●AQMDが南カリフォルニアに初の水素ハイウェイ網燃料充填ステーションをオープン

 南カリフォルニア大気環境管理地区(AQMD)はカリフォルニア州で初の一般向け水素燃料充填ステーションのオープンを祝った。ステーションはAQMDの共同資金援助によって、ロサンジェルス、オレンジ、リバーサイド、サン・ベルナルディーノ郡に建設予定の13の水素充填ステーションの一つ。これらのステーションは、当該地域で実証予定の水素−燃料電池/内燃機関車に燃料を提供する。
http://www.aqmd.gov/news1/2004/HydrogenStationGrandOpeningPR.html

<報告書/市場調査>
●CaFCPが水素自動車のガレージでの安全性について研究

 カリフォルニア燃料電池パートナーシップが、家や燃料電池車修理工場に於ける修理施設、シャッター付きガレージなどの建造物の実用的なデザインについての新たな研究成果を発表した。ケーススタディーでは、複数階商業駐車施設(地上型及び地下型の両方)、業務用整備修理サービスステーション、住宅用の2台駐車可能なガレージといった様々な異なる施設のタイプについて検討を加えている。
http://www.cafcp.org/news_releases-04/2004_08_16_FacilityStudy.html

──────────────────────────────────────

■燃料電池ワールド
 □毎週水曜日発行
 □編集・発行:燃料電池NPO法人PEM−DREAM 

 □解除:「まぐまぐ」と「melma!」から直接ご購読の方が解除される場合は、「まぐまぐ」か「melma!」から直接解除の手続きを行ってください。PEM−DREAMでの代行はできません。
 まぐまぐ http://www.kaijo.com/  
 melma! http://www.melma.com/taikai/
 □連絡先: info@pem-dream.com
 □マガジンID:0000065319(まぐまぐ) m00039824(melma!)


**H2**

<前の号 次の号>

TAKAGI-1