燃料電池ワールド (2004/08/12 20:10)

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□燃料電池ワールド
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■Vol.152 2004/08/11発行

                   ◆燃料電池NPO法人PEM−DREAM

                        ◇http://www.pem-dream.com/

■お知らせ
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☆夏休みにより、次号は8月25日号となります。

☆8月の燃料電池市民講座
『水素立国を目指すアイスランド――2004年6月の現地報告』
ゲスト=番場健司氏(グリーン・エナジー・アドベンチャー代表)

 1999年、アイスランド共和国は化石燃料を排し、水素エネルギー社会への転換を目指すことを宣言した。その実施計画がECTOS(Ecological City TransportSystem、環境保全都市交通システム)プロジェクトである。第1段階の「水素燃料電池バスの導入」は、首都レイキャビクのシェルガソリンスタンドに水素ステーションが併設され、ダイムラークライスラーの燃料電池バス「シターロ」が3台導入されて、実証試験が始められている。

 来年、同国へ「サステイナブル・エネルギー」を計画している番場健司氏が、このほど事前調査に行ってきた。ECTOSプロジェクトを進めている「アイスランデック・ニュー・ エナジー社」の正式な協賛を得て、ツアー計画も一歩前進した。

 市民講座再開第1弾は、番場氏をお迎えして、北辺の島国アイスランドの魅力とECTOSプロジェクトの最新の現状、そして「サステイナ ブル・エネルギー」について語っていただきます。

○日 時 8月28日(土)午後2時から
○場 所 岩谷産業株式会社本社会議室(新橋駅から徒歩約10分、地図をお送りします)
○参加費 2000円(PEM−DREAM会員は無料)
○申し込み方法 メールまたはFAXにて、「8月の燃料電池市民講座」と明記の上、氏名、連絡先、電話番号をご記入の上、お送り下さい。
 メール info@pem-dream.com 

☆『燃料電池パワー』Vol.52の内容
【今週の燃料電池関連画像】著作権フリー/添付ファイル 
◇第15回世界水素エネルギー会議」その6
日本製鋼所の水素吸蔵合金(MH)の展示
1.いろいろなMH製品1
2.いろいろなMH製品2
3.MH合金インゴット
4.MH合金箔帯
5.MH合金粉末
【沼崎英夫/技術レポート】              
◇FC視点のマガジン・ウォッチング
「水素エネルギーに勝ち目はあるのか?」[日経サイエンス」8月号
※このメールマガジンは、より専門的な情報をPEM−DREAM会員に提供しています。サンプルは、http://www.pem-dream.com/conts.html

■読者からの情報
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1.都営燃料電池バス運休

 先日の部品リコールからようやく7月12日に運行再開したばかりでしたが、都バスHPによりますと昨日8月3日から16日まで運休の模様です。今回の原因は不明です。
  http://www.kotsu.metro.tokyo.jp/bus/topics/h15/011.htm

2.トヨタFCHV試乗会

 現在、東京・お台場のMegawebでは「Megaweb ECOクラブ’04」なるイベントを開催しており(7月31日〜8月31日)、その一環として、8月21日、22日にトヨタのエコカーの無料試乗会が開催されます。中でも燃料電池車FCHVに試乗出来るどころか、100m程度ではありますが自分で運転もさせてもらえます。私も7月31日に体験してまいりましたが、なかなかの加速力に感動しました。
  http://www.megaweb.gr.jp/Topics/Eco_hv/

■燃料電池関連イベント
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●SSKセミナー
☆「新エネルギー産業の重点施策とバイオマス実用化の採算性と技術」
◇講師等:
<1>自立した持続可能な新エネルギー産業の発展に向けて
高橋 和也氏(経済産業省資源エネルギー庁省エネルギー新エネルギー部新エネルギー対策課係長)
<2>これからのバイオマスガス化技術と実用化への展開
坂井 正康氏(長崎総合科学大学人間環境学部教授 工学博士)
<3>山口県における実証試験事業を踏まえたバイオマス技術開発動向山口 英男氏(中外炉工業(株)バイオマス発電プロジェクト営業担当課長)
◇日 時:8月27日(金) 午後1時〜5時
◇会 場:明治記念館(東京都港区元赤坂2−2−23)
◇受講料:29,800円(消費税込)

◇主 催:株式会社 新社会システム総合研究所
http://www.ssk21.co.jp/seminar/S_C6_search1.html
◇問い合わせ・申し込み:
株式会社 新社会システム総合研究所
TEL 03−5532−8850
申込受付FAX 03−5532−8851
E-mail  info@ssk21.co.jp
または、上記HPから申し込みができます。

●燃料電池・水素エネルギー技術展 in 九州
西日本地域では初めての燃料電池及び水素技術に関する見本市
◇日 時 10月27日(水)〜29日(金)10時〜17時
◇会 場 西日本総合展示場本館
     (北九州市小倉北区浅野3丁目8-1) 
      tel.093-511-6848 fax.093-521-8845
◇主 催 経済産業省九州経済産業局/NEDO/九州大学/九州燃料電池研究会/財団法人西日本産業貿易見本市協会
◇主要参加団体 九州大学/NEDO/JHFC/JARI/NEF/エンジニアリング振興協会/トヨタ/ホンダ/日産/GM/ダイムラークライスラー/岩谷/日立/出光興産/東陽テクニカ/コフロック/マイクロパワーエナジー/カナダ/新日本製鐵/MHI/IHI/富士電機/インフラテック/等 約50社  
◇問い合わせ 財団法人西日本産業貿易見本市協会(担当:有田・古賀) 

        北九州市小倉北区浅野3−8−1 tel.093-511-6848
◇詳細は、http://www.eco-t.net/douji/fuel_cell/fuel_cell.htm

■PEM−DREAMニュース
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◇世界初の水素社会を目指すアイスランド(1)
「半世紀で自動車と漁船を水素燃料に転換」

 アイスランドは2050年を目標に世界初の水素エネルギー社会を目指して動いている。

 アイスランドは国土面積10万3000km2の北大西洋に浮かぶ島国で、人口28万人、氷雪由来の水力と地熱に恵まれ、利用可能な水力は年間30TWh(テラワット時)で地熱は20TWh、総発電量は8.3TWh、うち2.9TWhが民生利用されている。(国連大学ゼロエミッションフォーラムブックレット「ゼロエミッション屋久島プロジェクト」)

 18世紀に石炭の輸入が始まり、20世紀前半には石炭と石油がエネルギー需要の大半を占めた。第二次大戦後の急速な工業化によって石炭から石油への転換が進み、73年の石油危機の前には石油と天然ガスの依存度は80%近くに達したが、以降は水力発電の比重が増して現在は化石燃料のシェアは30%台である。

 50年代にはThe Fertilizer Plant社が火山性のアイスランドの土壌に適した肥料の生産を始め、窒素固定化のプロセスで添加する水素を水電解で生産した。

 50年代以降の米ソの宇宙開発競争の中で燃料電池が実用化されたことも刺激になって、アイスランド大学のBragi Arnason教授が先導する少数の研究者たちが30年以上水素エネルギーの開発に関わってきた。

 アイスランドでの人為的なCO2の年間排出量は約300万トンで人口一人当たり11トンである。CO2の主要な発生源は運輸と産業で、政府は93年の「京都プロトコル」の国産の再生可能エネルギー源による人口燃料の開発を推進してきた。97年にエネルギー省は国産燃料の開発の可能性を調査する委員会を発足させた。委員会は水素および水素分の多い人工燃料の開発を推奨した。それによって環境問題の解決だけでなく、輸入燃料の削減とアイスランドのエネルギーの自立性の確立に繋がる。

 99年に化石燃料からの脱却と水素経済への移行を目指して、新しい事業会社がニュー・ビジネス・ベンチャー・ファンド、エネルギー関係3社(Reykjavik Energy、Landsvirkjun、Hitaveita Sudurnesja)、アイスランド大学、アイスランド工科大学、The Fertilizer Plant、Reykjavik Resources、アイスランド政府の国内法人が51%、ダイムラークライスラー、Norsk Hydro、シェル・ハイドロジェンの外資が49%の出資でIceland New Eneregy社(INE)が設立された。新会社は21世紀の半ばまでに運輸と漁業の両部門で化石燃料からの脱却を実現する。両部門で必要とされるエネルギーは4.3〜5.0TWhと予測される。アイスランドが20世紀に水力と地熱という2つのインフラの転換を成し遂げたことを考えれば、水素への転換に50年間という時間は妥当と考えても無理なことではない。 

 INEは運輸、漁業両部門の水素エネルギーへの転換のデモンストレーションとしてフェーズ1で燃料電池バス3台、フェーズ2で燃料電池乗用車の普及、フェーズ3で水素燃料推進の漁船の実用化をすすめる。船舶では燃料電池による電動推進よりも水素内燃機関による推進を考えているようである。

 このプロジェクトはECTOS(Ecology City TranspOrtation System)と呼ばれ、総額700万euro のうちEUから285万euro の補助を受けられることになった。

 デモンストレーション用のインフラの整備は、レイキャビク市の郊外、シェルの施設にNorsk Hydroアルカリ水分解装置を設置し、440バールの高圧水素ガスを満タンで燃料電池バス4台分に相当する日量120kg生産する、ディスペンサーでバス1台の目安としている7分間で30kgを1日1回充填する。

 ECTOSが国際プロジェクトとして行われる意義は次のようである。

 アイスランドは、CO2の増減がない(ニュートラル)環境でプロジェクトを行うことが可能なユニークな環境を持っている。レイキャビックのバス77台中3台が燃料電池バスという割合は、これまでフリートテストが行われた、あるいは準備中の他の都市に比べてかなりの比重を占めている。首都レイキャビクは北緯64度に位置し、アイスランドの気象条件は厳しい。ここで新技術のテストを行う意義がある。アイスランドは過去に輸入による化石燃料から水力、地熱による発電という地産の再生可能なエネルギーへの転換を経験してきた。こうした条件を備えたアイスランドで水素社会への転換の実験が行われることの国際的な意義は大きい。

 2年間の実験中、データは社会的要素と環境的観点とコスト分析、また技術的データは水素の生産から最終的な出力までとLCA(ライフサイクル・アセスメント)について行われる。これらの結果は、同時に欧州大陸の9都市(ストックホルム、ハンブルグ、アムステルダム、ロンドン、ルクセンブルグ、シュットガルト、マドリッド、バルセロナ、ポルト)で行われる姉妹プロジェクトの「CUTE」にも大きな意義がある。

 アイスランド大学が2001年にINEの設立直後に1200人のパネルを対象に行った調査では、23%がINEについて知っており、93%がエネルギー・キャリヤーとして水素を肯定し、開発の継続を支持するという結果が出た。通常のこの種の調査では異例といえる高率であり、アイスランドの市民の関心の高さを示すものであった。

 2003年末には3台の「CITARO」がレイキャビク港に到着した。屋根上に350バールの高圧水素容器とバラード製250kW燃料電池システムを搭載し、1充填走行距離は180〜220km。冬の間、燃料電池の凍結を防ぐため、燃料電池スタックは終夜、商用電力で保温されている。3月末までに延べ約2万kmの営業運転が行われた。(以下次号、沼崎英夫)

※資料:The Hydrogen Projects in Iceland and Possible Lessons learned(Thorsteinn I..Sigfusson、アイスランド大学、第15回世界水素エネルギー会議、2004.6.横浜市)
「ECTOSおよびアイスランドにおける水素社会」(トルスティンI.シグフッソン、アイスランディック・ニューエナジー社チェアマン、第3回燃料電池自動車国際シンポジウム、2003.3.東京)

■WEB LINK NEWS
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04/08/05 [虹模様]秋田・燃料電池車の試乗会 /秋田(毎日新聞)

 中通のアトリオンでこのほど、燃料電池車の試乗会(独立行政法人、新エネルギー・産業技術総合開発機構など主催、本田技研工業など協力)があり、100人以上の市民が、次世代車の性能を楽しんだ。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040805-00000048-mailo-l05

04/08/05 <住友商事>1.6倍水素積める燃料電池車用容器に認可(毎日新聞)

 住友商事は5日、燃料電池自動車に搭載する700気圧型の圧縮水素容器について、国内で初めて、経産省の外郭団体「高圧ガス保安協会」から使用認可を受け、スズキに販売したと発表した。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040805-00000140-mai-bus_all

04/08/06 スズキの次期燃料電池車、年内に公道実験(中日新聞)

 【静岡県】スズキは5日、米国・ゼネラルモーターズ(GM)と共同開発している燃料電池車について、これまでの倍の圧力の700気圧の圧縮水素を詰めたタンクを搭載した次期燃料電池車の公道実験を年内にも始める、と発表した。700気圧の圧縮水素の車載用容器の使用が国内で認可されたのは初めて。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040806-00000012-cnc-l22

04/08/11 構造改革特区26件を全国展開へ 教員の独自採用など(産経新聞)

 政府の構造改革特区推進本部評価委員会(委員長・八代尚宏日本経済研究センター理事長)は十日、各地の構造改革特区で地域を限って認められている規制緩和策のうち、二十六件を全国展開すべきだとした意見書の素案をまとめた。
≪“全国展開”認めた案件≫ 
 ・家庭用燃料電池の設置規制緩和
 ・ジメチルエーテル試験研究施設の変更手続き緩和
 ・高圧ガス設備の検査期間変更
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040811-00000015-san-bus_all

■海外ニュース(8月―1)
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<輸送>
●ホンダFCX2005年モデルがEPAとCARBの認証を取得

 ホンダの第2世代燃料電池自動車で、ホンダがデザイン、製造した燃料電池スタックを搭載した初の燃料電池自動車となるFCX2005年モデルが連邦環境保護庁(EPA)及びカリフォルニア州大気資源委員会(CARB)の双方から、商業利用の認証を取得した。2005年モデルFCXはEPAの燃費評価で20%以上の改善を達成し、2004年モデルに比べ33%の最大出力を向上させている(107馬力
 vs. 80馬力)。
http://www.hondanews.com/CatID1000?mid=2004072847987&mime=asc

<定置用電源>
●ニューヨーク州がクリーンエネルギープロジェクトに1500万ドルを授与

 George E. Pataki知事は、ニューヨーク州の52の分散型発電及び熱電併給プロジェクトに対し、1500万ドル(約16億円)を超える資金を授与すると発表した。プロジェクトには、マンハッタンのグランドセントラル駅の保安上重要な負荷への電源供給用に2000キロワット級UTC燃料電池システム2基を設置するプロジェクトも含まれる。ニューヨーク州エネルギー研究開発局(NYSERDA)が2,075,750ドルのプロジェクトコストの内311,362 ドルを提供した。
http://www.state.ny.us/governor/press/year04/june24_4_04.htm

●FuelCell社が民主党全国大会に電力供給

 FuelCell Energy社の250キロワット級Direct FuelCellィ発電機が、マサチューセッツ州ボストンのFleet Centerで開催された民主党全国大会で、小規模電力供給用の仮設分散電源として設置された。
http://www.corporate-ir.net/ireye/ir_site.zhtml?ticker=FCEL&script=412&layout=-6&item_id=595672

<ポータブル/バックアップ電源>
●Protonexが陸軍との契約を落札

 Protonex Technology Corporationは、先日、陸軍調査室から約100万ドル(約1億1000万円)の資金を得た。プログラムの目標は、個人携帯軍用用途向けのProtonex社のNGenェ水素-空気及び直接メタノール法燃料電池スタックの開発を推進することにある。http://www.emediawire.com/releases/2004/7/emw142825.php

<燃料/改質器/貯蔵>
●QuestAirが水素ハイウェイに水素精製システムを提供

 QuestAir Technologies Inc.はBC Hydrogen Highwayェ (ブリティッシュ・コロンビア水素ハイウェイ)に参加し、カナダ・北バンクーバーでの車両用燃料充填及び発電プロジェクトに水素精製技術を提供する。供給することで参加する。QuestAir社は、北バンクーバーの塩素酸ソーダ製造プラントからの粗製水素を燃料電池車に使用可能な高純度水素に転換する為にQuestAir H-3200水素精製システムを提供する。
http://www.newswire.ca/en/releases/archive/July2004/13/c2345.html

<報告書/市場調査>
●燃料電池及び水素の許可指針

 A new guide was developed through a collaborative effort involving全国防火協会(NFPA)、国際コード委員会(ICC)、太平洋北西国立研究所(PNNL)及び国立再生可能エネルギー研究所(NREL)の共同作業で、新たな指針が設定された。指針は、燃料電池及び水素に関する規制に興味のあるコード当局及び建物オーナーが利用する為に設定されたもので、概要及び「定置型燃料電池の設置」と「水素車両燃料供給設備」の二つのモジュールで構成されている。
http://www.pnl.gov/fuelcells/permit_guide.stm

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■燃料電池ワールド
 □毎週水曜日発行
 □編集・発行:燃料電池NPO法人PEM−DREAM 

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