燃料電池ワールド (2004/07/15 15:20)

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□燃料電池ワールド
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■Vol.148 2004/07/14発行

                   ◆燃料電池NPO法人PEM−DREAM

                        ◇http://www.pem-dream.com/

■お知らせ
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☆『燃料電池パワー』Vol.48の内容
【今週の燃料電池関連画像】著作権フリー/添付ファイル 
◇「第15回世界水素エネルギー会議」その3
1.サムテックの35Mpaクラスの高圧水素タンク
2.岩谷産業の水素ガスFRP容器
3.BMW750hLの液体水素タンク
4.BMW750hLの液体水素タンクの透視図
◇「大阪の燃料電池小型移動体と移動式水素ステーションキャリアカーの展示・試乗会」
5.スクーターと車いすの試乗風景
6.さすがに大きい岩谷のキャリアカー
7.水素充てんに一苦労
【沼崎英夫/技術レポート】              
◇1充てん走行400Kmを得る水素搭載技術――第15回世界水素エネルギー会議から
◇DME改質燃料電池の開発――石油天然ガス・金属鉱物資源機構の成果報告会から
※このメールマガジンは、より専門的な情報をPEM−DREAM会員に提供しています。サンプルは、http://www.pem-dream.com/conts.html

■燃料電池関連イベント
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☆SSKセミナー
「CO2削減の課題と国内初の民間企業独自の供給インフラ

  ―水素エネルギー導入シナリオと東邦ガスの水素供給ステーション」
◇講師等:
<1>水素社会構築の課題と展望
岡野 一清氏(水素エネルギー協会理事)
<2>東邦ガスの水素社会に向けた取組み
石川 秀征氏(東邦ガス(株)都市エネルギー技術開発部燃料電池・水素技術グループ課長)
◇日 時:7月27日(火) 午後2時〜5時
◇会 場:明治記念館(東京都港区元赤坂2−2−23)
◇受講料:29,800円(消費税込)

☆「キャップ経済に備えた排出量管理手法とGHG取引市場のビジネスチャンス」
◇講師等:
<1>企業内におけるCO2排出量管理制度の構築
大塚 俊和氏((株)NTTデータ経営研究所環境戦略コンサルティング本部チーフコンサルタント)
<2>GHG排出権取引市場とJACO CDMの事業展開
村上 亘氏((株)JACO−CDM業務部主席)
◇日 時:8月4日(水) 午後2時〜5時
◇会 場:明治記念館(東京都港区元赤坂2−2−23)
◇受講料:29,800円(消費税込)

☆「新エネルギー産業の重点施策とバイオマス実用化の採算性と技術」
◇講師等:
<1>自立した持続可能な新エネルギー産業の発展に向けて
高橋 和也氏(経済産業省資源エネルギー庁省エネルギー新エネルギー部新エネルギー対策課係長)
<2>これからのバイオマスガス化技術と実用化への展開
坂井 正康氏(長崎総合科学大学人間環境学部教授 工学博士)
<3>山口県における実証試験事業を踏まえたバイオマス技術開発動向山口 英男氏(中外炉工業(株)バイオマス発電プロジェクト営業担当課長)
◇日 時:8月27日(金) 午後1時〜5時
◇会 場:明治記念館(東京都港区元赤坂2−2−23)
◇受講料:29,800円(消費税込)

◇主 催:株式会社 新社会システム総合研究所
http://www.ssk21.co.jp/seminar/S_C6_search1.html
◇問い合わせ・申し込み:
株式会社 新社会システム総合研究所
TEL 03−5532−8850
申込受付FAX 03−5532−8851
E-mail  info@ssk21.co.jp
または、上記HPから申し込みができます。

■PEM−DREAMニュース
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◇大阪の燃料電池小型移動体と移動式水素ステーションキャリアカーの展示・試乗会見学記

 「おおさかFCV推進会議」が7月13日、大阪府庁第1駐車場に隣接した大阪府庁移動式水素ステーションで、燃料電池小型移動体(スクーター、車いす)と移動式水素ステーションキャリアカーの展示・試乗会を開催した。おおさかFCV推進会議の構成メンバーは、近畿経済産業局、近畿運輸局、大阪府、大阪市、岩谷産業、大阪ガス、ダイハツ工業、(財)都市交通問題調査会、関西電力、日立造船、松下電器産業。当日は、メンバーの岩谷産業がキャリアカーの展示とホンダのFCVの試乗を、在阪の企業である栗本鐵工所がスクーターと車いすの試乗を担当した。

 東京―大阪間は新幹線では片道1万3240円かかるが、バスを使えば往復で1万円以内で抑えられる。これなら何とかなると、早朝の大阪に着いた。大気はまだ涼しくて、大阪駅前のバス停の椅子には、飲み疲れた若いサラリーマンが4、5人座っていた。

 イベントの開始時刻の午前10時ともなると、真夏の太陽がぎらついて、背中を汗がスーッと落ちていく。それでも道路を挟んだ大阪城公園の豊かな緑の木々は風に揺られて、蒸し暑いというのではない。駐車場の一角にしつらえられた大きな看板の前に、小さなスクーターと車いす、ホンダのFCXが置かれていた。

 栗本鐵工所は、台湾の企業と手を組んで、スクーターと車いすの普及・販売に取り組みだした。会社の規模も大きくないので、燃料電池の自社開発はできないが、小型の燃料電池は扱いやすく、大型のものより導入がスムースに行くのではないかと考えている。「確実に商売にしていかないとね」と背水の陣のようである。

 燃料電池スクーターは、日本ではヤマハがYUASAのダイレクトメタノール燃料電池を使って試作しており、栗本は2社目になる。こちらは純水素の固体高分子型燃料電池と水素吸蔵合金ボンベのセットを使っている。スイッチを入れると空気を送り込むブロアの音が聞こえ、すぐに水素を送る違う音に代わる。この時にシューッという少し大きい音がして、水がぽたぽた配水管から垂れてきた。当然のことながらマフラーはなく、ホースである。燃料電池内に残っていた水分をパージ(吹き出して)したのだが、その後はウィーンという小さな音が続くだけになる。スタート時はバッテリーを使うが、その後は燃料電池のエネルギーだけで動く。

 駐車場の中を大体30秒くらいで1周して戻ってくると、試乗した人は数人の好奇心に溢れた人に取り囲まれて品評会になる。日頃2輪に乗り慣れていないせいか、「ブレーキがどうもね、分かりにくかった」というような会話があったが、このスクーターは次々に走り回り、大方の人が乗ったと思えるころにダウンしてしまった。アクセルをふかしてもウンともスンともいわない。「暑かった横浜でやったときは何ともなかったんですがね」と会社の人はいうが、しばらく木陰で休憩となった。もちろん回復したので、暑さのせいで燃料電池が不機嫌になったのだろう。

 車いすの方は、ニッケル水素電池と燃料電池のハイブリッド型で、最高時速6km、航続距離60kmである。現在65kgある重量を50Kg以下にする目標を立てている。軽量化して、長時間走行(10時間、100km)を可能にするそうだ。水素吸蔵合金ボンベを後部座席の収納スペースに押し込むだけの手軽さだ。ジョイスティックハンドルで前後左右に動き、くるっと回転する。「ものすごく反応がいい。ハンドルがよすぎるね(効き過ぎるということ)」という感想が聞かれた。報道陣の要望で車いすに乗った女性は、「明るい未来を予感させるような表情をしてください」と注文を受け、笑顔になった。(今週のウェブリンクニュースの記事から出所のウェブを見ると写真があります)

 このスクーターと車いすは、7月18日から8月15日まで大阪城大手門広場で開催される「なにわ百年城下町」で、人力車と一緒に毎日、来場者を乗せて走ることになっている。この広場はかつて本願寺の寺内町があった場所で、イベントは、安土桃山時代〜江戸〜明治・大正にかけての時代考証に基づく町並みと“商い”を再現しようというもの。町の構造は衣食住+エネルギーにこだわり、エネルギーは、当時のように排気ガスの出ない快適な燃料電池(水素エネルギー)をインフラとする世界初の町を目指している。1カ月の長丁場である。燃料電池が不機嫌にならないことを祈ろう。

 帰りがけに現場によったら、町並みの建設工事の真っ最中。直線距離で250mくらいの両側に、長屋、町屋、商屋、大正家、芝居小屋(芝居茶屋)、旅籠、朝市・昼市・夜市の蔵、寺子屋、博物館(粉食文化)、銭湯(江戸時代スタイル)がずらっと建ち並んでいた。このイベントは、NPO大阪屋夢八倶楽部が主催し、毎日放送が主催するオーサカキングと一部共催の格好となる。イベント内容や、町並みの写真はhttp://www.geocities.jp/dream8club/でご覧ください。

 岩谷産業のキャリアカーには、大阪府がリース導入したダイハツの燃料電池軽自動車「ムーブFCV」が積まれていた。キャリアカー全体はとても大きいので、ムーブは軽自動車らしく見えた。ホンダのFCXも試乗に使われて、加速するとグイーンと走りだすが、ムーブの方は動きが軽やかで、クイックイッと走るように見える。ムーブはお披露目だけで乗れなかったが、いずれぜひ乗って比べてみたいのもだ。

 水素充てんはムーブを使って行われたが、岩谷のオイルマンならぬ水素ウーマンは、ムーブの充てん口にカプラーを差し込むのに一苦労。よいしょと身体を使って押し込もうとしてもダメで、一汗かいていた。後で聞くと、ムーブとホンダでは充てん口の角度が微妙に違うので入らなかった、と教えてくれた。カプラーと車の充てん口は一直線になるように差し込まなければならないので、角度の感覚が違ったために苦労したのである。ガソリンは液体なのでアバウトだが、水素はガスなので漏れないように、こういうところは厳密になる。小さな問題だが、水素ステーションが普及して各種の燃料電池自動車が増えると、どういうふうになるのだろう。セルフなんていう安売りサービスは当分はあり得ない。

 おおさかFCV推進会議は、大阪に水素ステーションを導入して水素インフラを作り、燃料電池バスを導入することを国に要望している。水素ステーションは今は首都圏に限られているが、今後、自治体を中心に徐々に広がりを見せることだろう。

 昼にカレーうどんの定食を食べた。うどんの腰が強く、カレーも適度に甘辛くて、ご飯には卵の黄身を落としてタレがかかっていて、800円ちょっと。なんでもこちらでは、カレーうどんがブームになっているそうだ。汗をかいた上にカレーなので、水がめっちゃうまかった。大阪に行ったらぜひどーぞ。
(写真は『燃料電池パワー』に掲載)

■WEB LINK NEWS
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04/07/07 2012年にはノート PC の10〜15%がマイクロ燃料電池式に――ABI レポート(japan.internet.com)

 ABIResearch が5月に発行した調査レポート、「Micro Fuel Cells: MarketChallenges and Opportunities for Cameras, PDAs and Wireless / Mobile Devices」(マイクロ燃料電池の市場機会:カメラ、ノートPC、PDA、無線/携帯端末)では、マイクロ燃料電池(MFC)は2005年にはノート PC と PDA の一部、ニッチアプリケーションにも使用されるようになり、また、日本とアメリカを中心に2,000個の試作品ができる、と同社は予測している。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040707-00000020-inet-sci

04/07/09 兵神装備、モノポンプ応用のディスペンサーを車向けに用途開拓(日刊工業新聞)
【神戸】兵神装備(神戸市兵庫区、小野純夫社長、078・652・1111)は、モノポンプ(回転容積式一軸偏心ネジポンプ)を応用したディスペンサーで自動車産業分野を開拓する。高精度で液体を吐出できる強みを生かし、用途開拓する。ハイブリッド車(HV)や燃料電池車などの新規需要も狙う。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040709-00000010-nkn-ind

04/07/10 [元気銘柄]ヒロ・プロジェクト 環境に配慮した商品を販売 /奈良(毎日新聞)

 同社が扱う商品で、注目を集めているものが省エネシステム。工業用機械のモーターに取り付けるインバータ(周波数変換装置)で、無駄な電力消費を食い止める。ある企業の燃料電池工場で、システム稼働時の二酸化炭素排出量と電気代を試算したところ、二酸化炭素排出量は年間約66トン減少、電気代は年間230万円安くなったという。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040710-00000003-mai-l29

04/07/12 DJ-バラード・パワーCEO、燃料電池車商用化に自信(ダウ・ジョーンズ)

 これは、ハイブリッド車の人気を反映し、燃料電池車の商用化へ向けた技術開発に自信を示したもの。同CEOは「ハイブリッド車は、燃料電池車にとって大いなる架け橋だ。ハイブリッド車の普及は、燃料電池車の製造に必要な部品製造インフラの開発を伴うため、燃料電池車の導入を促進する非常に明るい動きだ」と述べた。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040712-00000028-dwj-biz

04/07/13 燃料電池の車いすも登場 推進会議が大阪市で試乗会(共同通信)

 燃料電池自動車(FCV)の実用化を目指す「おおさかFCV推進会議」(大阪市)は13日、栗本鉄工所が開発した燃料電池で走る車いすとミニバイクの展示、試乗会を大阪市で開いた。岩谷産業の、燃料電池自動車に水素を供給する移動式水素ステーションなども展示。推進会議は「栗本や岩谷など大阪市に本社を置く企業が、最先端技術の燃料電池で健闘していることを伝えたい」と話している。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040713-00000045-kyodo-soci

■海外ニュース(7月―1)
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<輸送>
●ゼネラルモータースがワシントンDCで郵便配達を支援/世界新記録も達成

 9月、米国郵政公社(USPS)は、ワシントンDC市内及び周辺地域での郵便配達業務用にゼネラルモータース(GM)から燃料電池自動車の2年リースを開始する。GMにとって米国内で初めて、業務用に燃料電池車を提供することになる。GMは、また、GMのオペル・燃料電池ミニバンが、14カ国、6,059マイルを走破してポルトガル、リスボン近郊のカバ・デ・ロカ(Cabo da Roca)に到着し、燃料電池車の走行距離世界記録を達成したと発表した。GMによると、38日間の走行で、各国の報道関係者25名が交代でミニバンを運転し、高速道路から、急峻な山岳道路、華氏32度(18℃)を超す温度差にさらされても、予定外の修理による停止は一度も無かったそうだ。
http://media.gm.com/servlet/GatewayServlet?target=http://image.emerald.gm.com/gmnews/viewmonthlyreleasedetail.do?domain=3&docid=5140

<ポータブル/バックアップ電源>
●Voller Energyが改良VE100を上市

 Voller Energy Limitedは、従来のVE100よりも小型、軽量で、かつ、多量の電力供給が可能な、改良型VE100 v2を上市した。 VE100 v2の特筆すべき改良点は、新型LPB(液化石油ガス)リフォーマーが加わったことである。これは、同ユニットが貯蔵水素だけでなくプロパンやブタンでも発電できることを意味する。VE100 v2は小型のアタッシュケース位のサイズで、持ち運べるようにデザインされている。
http://www.voller-energy.com/ve/press.htm

●Plug PowerとTycoが契約.

 Plug Power Inc. はTyco Electronics Installation Services Inc.と契約した。同契約の下、Tycoは、米国及びその属領で、Plug Power社のGenCoreィ燃料電池システムの設置、保守サービスを行う。Tyco Electronics Installation Servicesは300名を超すGenCoreィ製品群の設置、保守サービスを行えるし資格保持技術者を抱えている。
http://www.prnewswire.com/cgi-bin/stories.pl?ACCT=104&STORY=/www/story/06-22-2004/0002197486&EDATE=

<燃料/改質器/貯蔵>
●BTIが水素燃料の安全性について報告

 Breakthrough Technologies Institute (BTI)理事のWilliam Vincent氏は、ワシントンDCで行われたジョージワシントン大学法学部の"Hydrogen Technologies: TheLegal Issues (水素技術:法的問題)"会議に於いて"Hydrogen and the Law:Safety and Liability (水素と法律:安全と自由)"と題した最新の分析結果を発表した。 Vincent氏は、講演の中で「水素は既存の燃料と同じくらい安全である。」と結論付けた上で、「あらゆる法的責任問題は技術開発者の成功と安全規定と基準の発布に正比例する。」と述べた。講演は次のリンクからダウンロードできる。
http://www.fuelcells.org/info/HydrogenandtheLaw.pdf.

●ProtonとGE Supplyが販売契約に署名

 Proton Energy Systems, Inc. はゼネラル・エレクトリック社の事業部門であるGESupplyとの間で販売契約を締結した。36ヶ月契約で、GEを欧州の一部の国を除く全世界でProton社の電源事業向け製品を非独占的販売業者に指定している。
http://phx.corporate-ir.net/phoenix.zhtml?c=122665&p=irol-newsArticle&ID=581375&highlight=

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■燃料電池ワールド
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 □編集・発行:燃料電池NPO法人PEM−DREAM 

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