燃料電池ワールド (2004/06/16 18:30)

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□燃料電池ワールド
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■Vol.144 2004/06/16発行

                   ◆燃料電池NPO法人PEM−DREAM

                        ◇http://www.pem-dream.com/

■お知らせ
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☆『燃料電池パワー』Vol.44の内容
【今週の燃料電池関連画像】著作権フリー/添付ファイル 
◇「中野区環境行動の日2004」その2
1.FC組み立て1
2.FC組み立て2
【沼崎英夫/技術レポート】              
◇第11回燃料電池シンポジウム(5月18〜19日)講演予稿集(燃料電池開発情報センター発行要旨・下
◇FC視点のマガジン・ウォッチング
★「岡村研究所が明かすナノゲート・キャパシタの特性」
(NE日経エレクトロニクス5月10日号)
★「携帯機器向け燃料電池 離陸間近で視界不良〜早期の実用化には慎重論も台頭」(NE日経エレクトロニクス5月24日号)
★「カシオの新改質型燃料電池 用途の本命はデジカメ〜改質器の小型化と高性能化でメド」
(NE日経エレクトロニクス5月24日号)
※このメールマガジンは、より専門的な情報をPEM−DREAM会員に提供しています。サンプルは、http://www.pem-dream.com/conts.html

■燃料電池関連イベント
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☆SSKセミナー
「欧州と日本のCO2排出権取引動向とCDMビジネスモデル」
◇講師等:
<1>京都議定書の柔軟性措置(京都メカニズム)〜欧州と日本の方向性〜若林雅代氏(財団法人電力中央研究所社会経済研究所主任研修員)
<2>豊田通商のCDMプロジェクトから考察する今後のビジネスモデル佐々木誠之介氏(豊田通商株式会社エネルギー部環境・エネルギーグループ主査)
◇日 時:6月29日(火) 午後2時〜5時
◇会 場:明治記念館(東京都港区元赤坂2−2−23)
◇受講料:29,800円(消費税込)
◇主 催:株式会社 新社会システム総合研究所
http://www.ssk21.co.jp/seminar/S_04206.html
◇問い合わせ・申し込み:
株式会社 新社会システム総合研究所
TEL 03−5532−8850
申込受付FAX 03−5532−8851
E-mail  info@ssk21.co.jp
または、上記HPから申し込みができます。

☆(独)石油天然ガス・金属鉱物資源機構
「DME(ジメチルエーテル)燃料利用技術の研究開発」成果報告会
◇日 時:7月2日(金)開場時間:9:00、開演時間:9:30
◇場 所:発明会館ホール(地下鉄銀座線「虎ノ門駅」3番出口より徒歩5分、地下鉄「霞ヶ関」A13番出口より徒歩13分、電話:03-3502-5499、港区虎ノ門2-9-14)
◇定 員:350名(客席298席、立見52名)
◇参加費:無料
◇プログラム:
〜9:30〜「開会の辞及び全体概要説明」(独)石油天然ガス・金属鉱物資源機構
〜9:45〜「燃料グレードDME(ジメチルエーテル)高効率・低NOx燃焼技術の実証」(株)日立製作所
〜10:30〜「既設ボイラのDME燃料レトロフィット技術の実証」三菱重工業(株)
〜11:15〜「DME燃料の潤滑特性と対応技術に関する研究開発」三菱重工業(株)・新日本石油?・茨城大学
〜13:00〜「中大型DME自動車の実用化研究開発」コープ低公害車開発(株)・(独)産業技術総合研究所・伊藤忠エネクス(株)・三菱瓦斯化学(株)・伊藤忠商事(株)・JFEホールディングス(株)・岩谷産業(株)
〜13:45〜「DME自動車の実用化フリート試験研究開発」コープ低公害車開発(株)・(独)産業技術総合研究所・伊藤忠エネクス(株)・伊藤忠商事?・三菱瓦斯化学(株)・福山通運?・小野測器?・JFEホールディングス(株)
〜14:45〜「小型で高効率なDME燃料電池システムの開発」 大阪ガス(株)・三菱瓦斯化学(株)・日揮(株)・伊藤忠商事(株)
〜15:30〜「燃料電池自動車用DME低温水蒸気改質システムの開発」大阪ガス(株)・三菱重工業?・日揮(株)・三菱瓦斯化学(株)
◇申し込み方法:6月21日(月)までにEメールにて(独)石油天然ガス・金属鉱物資源機構 真家宛(e-mail:maie-takako@jogmec.go.jp 、FAX:043-276-4063)に

■PEM−DREAMニュース
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◇屋久島水素ステーションプロジェクトが始動――多雨・水力発電の島にホンダFCXが走る

 共同研究「循環型社会システムの屋久島モデル構築」の成果を踏まえた「屋久島水素ステーションプロジェクト」が4月20日、ホンダの燃料電池自動車「FCX」が参加してスタートした。今後1年間の予定で水素ステーションと水素自動車の実証試験を行う。この共同研究は文部科学省科学技術振興調整費の「先導的研究等の推進」の枠内で2001〜03年度に行われたもので、鹿児島大学を中核機関に、国連大学(東京都渋谷区)、豊橋技術科学大学、東京工業大学、神奈川大学、関西学院大学などの研究者で構成するプロジェクトを行った。「屋久島水素ステーションプロジェクト」には国連大学、鹿児島大学、屋久島電工(東京都千代田区)などが参加している。

 52年に設立された屋久島電工は、豊富な水力発電を利用して炭化珪素の生産を行い、耐熱材料や研磨剤の材料として出荷している。「ひと月に35日雨が降る」ともいわれる屋久島の山間部の年間降水量は東京の約10倍、1万mmを超える年もある。島内3か所の水力発電所は合計年間3億6000万kWhの発電をしている。水力発電の潜在能力はこの約3倍と試算されている。人口1万4000人の島の年間エネルギー総消費量は740テラ・ジュール。その約2/3を化石燃料が占めている。電気エネルギーに置き換えると147ギガWhになる。水力発電設備の稼働率を75%とすると22MWの発電が必要になる。これは、現在、屋久島電工の安和第2発電所の最大出力32MWよりも小さい規模で十分である。

 化石燃料消費の60%を占めるのは、自動車用燃料である。内燃機関の自動車を電気自動車に置き換える。周囲約100kmの屋久島の道路は海岸線沿いと山間部の一部だけであり、高速道路はない。本土のように都道府県間の長距離走行はないので、充填インフラが整備されれば、1充填走行距離はそれほど長くなくても実用にはなる。しかし台風が頻繁に襲来する地帯であるから、電力を水素に変換して備蓄する必要はある。自動車のみならず、定置用燃料電池で家庭用コジェネの普及も図り、ミニ水素社会を目指す。

 北大西洋の氷河と火山の国・アイスランドは、豊富な水力と地熱を利用して発電した電力で水分解による水素をつくり、脱化石燃料の40年後の水素経済社会を目指している。アイスランド側が51%出資し、ダイムラークライスラー、ノルウェーの水電解水素製造装置のメーカーであるノルスク・ヒドロ、シェル・ハイドロジェンが49%出資して設立されたアイスランド・ニュー・エナージー社(INA)が水素の生産供給を行う。首都レイキャビクで01〜05年の4か年に、ダイムラークライスラーの高圧水素バスCITAROによる実証試験「ECTOS」(Ecological City TransportSystem)を進めている。3台導入でレイキャビクの輸送需要の4%を運べ、インパクトが注目される。

 次いで燃料電池自動車(乗用車)のフリートテストを始め、水素1000kg程度を積載して4〜5日の漁労ができる500kWの水素エンジンによる100トン級の漁船の実証試験を行う。このデモンストレーション期を経て、2010年代にバス、自動車、船舶のシリーズ生産期に入り、20年代は量産期、30年代は普及期、そして50年ごろにはこの交通関係の水素需要は4.3テラWh/年に達すると推算している。

 アイスランドの面積は屋久島の204倍であるが、人口は20倍、利用可能な水力は約25倍、このほかに利用可能な地熱が約20TWhある。総発電量は約23倍と、寒冷のアイスランドと温暖の屋久島では民生用のエネルギー消費は開きがあるが、おおむね20倍の比例関係である。規模こそ違え南北の孤島の経済社会の水素エネルギーの受容に関心がもたれるところだ。

 「屋久島水素ステーションプロジェクト」は水力発電を利用して水電解で水素をつくり、水素ステーションに供給する。水素ステーションは鹿児島大学が5500万円をかけて設置、水力発電を行っている屋久島電工が電解水素燃料製造プラント(製造能力1.24N立方m/h)の稼動、水素の充填などを運用する。降雪もある最高峰・宮之浦岳(標高1935m)などの山岳道路と、亜熱帯の潮風に曝された周回105kmの海岸線の道路という交錯した地形と気候の環境で、春夏秋冬それぞれ約1〜2週間程度の走行試験を行う予定。(沼崎英夫)
[資料]
★「発電で水素燃料を製造 屋久島を燃料電池車が走る」(日経エコロジー7月号)
★国連大学ゼロエミッションフォーラム・ブックレット「ゼロエミッション屋久島プロジェクトー循環型社会へ移行するためのシナリオ」(屋久島プロジェクト・ワーキンググループ編、海象社発行、04年5月)
★ECTOS and Emerging Hydrogen Society in Iceland(INE会長・ThorsteinnI.Sigfusson、第3回燃料電池自動車国際シンポジウム、03年3月)

■WEB LINK NEWS
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04/06/09 二酸化炭素の排出権を取引する見本市(上) (WIRED)

 ケルンの大会議場で9日(現地時間)から始まる『カーボン・エキスポ』は、二酸化炭素を取り扱う人々のための見本市で、3日間の期間中、地球温暖化の主な原因とされるこの気体の排出権の売買が行なわれる。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040609-00000006-wir-sci
04/06/10 二酸化炭素の排出権を取引する見本市(下)(WIRED)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040610-00000006-wir-sci

04/06/09 214件すべてを認定 自治体の地域再生計画(共同通信)

 小樽市の「小樽グランプリ構想は、政府の地域再生推進プログラムに盛り込まれた道路使用許可の円滑化策などを活用。市街地での燃料電池自動車などのレースを開催、観光振興を図る。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040609-00000307-kyodo-pol

04/06/10 74万年間に氷河期8回襲来 南極の氷分析で確認(共同通信)

 予備的な分析ながら、現在の大気中の二酸化炭素濃度は、過去44万年間で最も高いことも分かった。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040610-00000021-kyodo-soci

04/06/10 ホンダ:北京モーターショーの出展概要を発表(サーチナ・中国情報局)

 「技術の時代、自在な生活」をテーマに、燃料電池車のコンセプトモデル「KIWAMI」、「Honda FCX」のカットモデル、F1マシンの参考展示に加え、「アコード」「フィットサルーン」「オデッセイ」「CR−V」などの量産車を出展。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040610-00000016-scn-ind

04/06/10 DARPA、一体再生型燃料電池で偵察衛星を長寿命化(WIRED)

 米軍は現在、偵察衛星の寿命を延ばす技術を開発中だ。偵察衛星は、いったん燃料が切れて軌道を外れれば使い物にならなくなる。だが米国防総省は、化学的に複雑な燃料を開発することよりも、地球上で最も単純な化合物の1つ――水――に注目している。 再生型の燃料電池を使って自力で燃料を確保する新型衛星は、従来のものに比べてはるかに寿命が長くなり、米軍が世界中で行なっている監視活動に新たな柔軟性をもたらすだろう。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040610-00000002-wir-sci

04/06/12 環境、低燃費で優位訴える 北京自動車ショーで日本勢(共同通信)

 日産自動車も「中国政府が環境問題に高い関心を持ち、克服しようとしている」(志賀俊之常務)と受け止め、燃料電池車のコンセプトカー「エフィス」を出展し、自社の環境技術のPRに努めている。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040612-00000111-kyodo-bus_all

04/06/14 「水素」などで連携研究=三井造船と九大(時事通信)
*三井造船と九州大学は14日、「水素エネルギー」関連などを組織ベースで連携して研究活動を行う契約を結んだと発表した。契約は2年で、今月中に三井造船の技術本部長、九大の知的財産本部長らで構成する協議会を立ち上げる予定。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040614-00000963-jij-biz

04/06/15 調査報告:北米大停電で大気には好影響(WIRED)

 メリーランド大学の研究者グループによると、昨年夏に米国北東部を襲った大停電にもよい面が1つだけあったという――停止していた米国中西部の発電所の風下にあたる地帯で、空がいつもよりきれいになっていたことだ。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040615-00000005-wir-sci

04/06/15 テーマは「北のオアシス」 北欧5カ国の共同出展館(共同通信)

 2005年日本国際博覧会(愛知万博)に共同で参加するデンマーク、フィンランド、アイスランド、ノルウェー、スウェーデンの代表が15日、名古屋市内のホテルで記者会見し「北のオアシス」をテーマとし、風力や地熱、水素自動車などのクリーンエネルギーを紹介する共同パビリオンの構想を明らかにした。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040615-00000200-kyodo-soci

04/06/16 東邦ガス、名古屋でリン酸形燃料電池の運転4万時間達成(日刊工業新聞)【名古屋】東邦ガスは、名古屋栄ワシントンホテルプラザ(名古屋市中区)で99年から稼働している出力100キロワットのリン酸形燃料電池をオーバーホールした。オーバーホールは開発時の目標である4万時間の運転に達したためで、出力100キロワットのリン酸形燃料電池のオーバーホールは国内初。再び4万時間の運転を目標に継続運転に入っており、長期的な運転信頼性、耐久性を検証する。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040616-00000022-nkn-ind

04/06/16 【オーストラリア】政府、新エネルギー白書を発表(NNA)
■ソーラーシティー計画

 政府は同時に、太陽光エネルギー利用の「ソーラーシティー」計画(総額7,500万豪ドル)を発表。数都市で実験的に開始する予定で、シドニーとアデレードが選ばれるもよう。シドニー・モーニング・ヘラルド紙によれば、2006年から5年間、特定地域の住民に対してソーラーパネルなどの機器が提供される見込みという。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040616-00000027-nna-int

■海外ニュース(6月ー2)
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<輸送>
●HydrogenicsがQuantumに燃料電池を納入

 Hydrogenics Corporationは、Quantum Fuel System Technologies Worldwide,Inc.と米国陸軍TARDEC-NAC(国家自動車センター)との軍用の高性能水素燃料電池駆動−代替機動軽車両の開発、実証の為の契約に基づく支援を受け、Quantum社にHyPM10 電源モジュールを販売、納入した。
http://www.hydrogenics.com/ir_newsdetail.asp?RELEASEID=135987

<定置用電源>
●三洋電機が2005年に住宅用システムを供給

 三洋電機は、2005年4月から住宅用燃料電池の供給を開始する。システムの価格は未定だが、同社はコンピューターやテレビ、エアコン向け電源用にデザインされたユニットのコストを2010年までに45万円(約3900ドル)に低下させられるだろうとしている。

<燃料/改質器/貯蔵>
●ヴィクトリア大学が水素燃料充填ステーションデザインコンテストで優勝

 カナダ、ブリティッシュ・コロンビア州のヴィクトリア大学は、米国エネルギー省、国家水素協会(NHA)、シェブロンテキサコ、カナダ天然資源省、Swagelok Companyが主催する水素燃料充填ステーションデザインコンテストで最優秀賞を受賞した。参加した米国、カナダから競技に参加した17チームは、水素充填ステーションに関する技術仕様、環境へのインパクト、安全性に関する項目、収益性、教育及びマーケティングについて問題の解決に挑戦した。
http://www.hydrogenus.org/Press%20releases/NHA-Press-Release-042804.pdf

<報告/市場調査>
●2004 Fuel Cell T.I.P.

 The 2004 Fuel Cell T.I.P. (Technical Intelligence Profile:技術情報概略)は、燃料電池研究に携わる多くの企業及び教育機関の最新の特許活動を示している。報告書は燃料電池産業界の特許活動に関する詳細な分析を含み、コア技術を保有する主な競合会社の情報を提供し、特許図会がどのように展開しているかについて考察している。
http://www.metricsgroup.com/fuelcell.cfm

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■燃料電池ワールド
 □毎週水曜日発行
 □編集・発行:燃料電池NPO法人PEM−DREAM 

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