燃料電池ワールド (2004/06/03 07:30)

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□燃料電池ワールド
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■Vol.142 2004/06/02発行

                   ◆燃料電池NPO法人PEM−DREAM

                        ◇http://www.pem-dream.com/

■お知らせ
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☆『燃料電池パワー』Vol.42の内容
【今週の燃料電池関連画像】著作権フリー/添付ファイル 
◇台湾企業の燃料電池 写真提供=沼崎英夫 氏
1.APFCT製250W燃料電池
2.「FCED」に搭載したAPFCT製加湿器付き12セル100W燃料電池スタック。(いずれも第11回燃料電池シンポジウム展示会場で)
【沼崎英夫/技術レポート】              
◇第11回燃料電池シンポジウム(5月18〜19日)講演予稿集(燃料電池開発情報センター発行要旨・上
◇BMWのターボ過給水素直噴エンジン――ガソリンエンジン以上の高出力・トルク・低排出で自信
※このメールマガジンは、より専門的な情報をPEM−DREAM会員に提供していま
す。サンプルは、http://www.pem-dream.com/conts.html

■燃料電池関連イベント
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☆SSKセミナー
「欧州と日本のCO2排出権取引動向とCDMビジネスモデル」
◇講師等:
<1>京都議定書の柔軟性措置(京都メカニズム)〜欧州と日本の方向性〜若林雅代氏(財団法人電力中央研究所社会経済研究所主任研修員)
<2>豊田通商のCDMプロジェクトから考察する今後のビジネスモデル佐々木誠之介氏(豊田通商株式会社エネルギー部環境・エネルギーグループ主査)
◇日 時:6月29日(火) 午後2時〜5時
◇会 場:明治記念館(東京都港区元赤坂2−2−23)
◇受講料:29,800円(消費税込)
◇主 催:株式会社 新社会システム総合研究所
http://www.ssk21.co.jp/seminar/S_04206.html
◇問い合わせ・申し込み:
株式会社 新社会システム総合研究所
TEL 03−5532−8850
申込受付FAX 03−5532−8851
E-mail  info@ssk21.co.jp
または、上記HPから申し込みができます。

■PEM−DREAMニュース
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●栗本鐵工所が輸入燃料電池で車いす――台湾企業にスタック開発の技術協力

 栗本鐵工所(本社・大阪市西区、資本金・311億円)は技術提携先の台湾・AsiaPacific Fuel Cell Technologies,LTD(APFCT)が開発した燃料電池を組み込んだ燃料電池車いすを開発、5月18、19両日、東京・江戸川区の「タワーホール船堀」で行われた第11回燃料電池シンポジウム(燃料電池開発情報センター主催)で展示した。6月27日〜7月2日に「パシフィコ横浜」(横浜市)で開かれる第15回世界水素エネルギー会議で実演展示する。05年発売を目指す。

 試作車は長さ1035mm×幅565mm×高さ972〜1045mm、全備重量約60kg、使用者最大積載量100kg、前2輪径8インチ、後2輪径12インチ、座いす直下に24V、250W出力の固体高分子型燃料電池スタック、その下の後車軸前方に円筒形水素吸蔵合金ボンベ3本を搭載して重心を下方に設定することにより安定性を高めている。定常走行時の燃費は3.5L/分。最高速度6km/h、最大登坂勾配10度。

 製品企画は最大10時間・60kmの走行が可能な車いすを作ることから始まった。バッテリー電源による現在の車いすは最大5時間程度の走行であるが、障害者の遠出の要求に応えるために倍増を目標にして電源に燃料電池の採用を決めた。車いすは分割して自動車のトランクなどに収納して運べる折りたたみ式が多く、当初は開発の目標にしたが、スタックとボンベを分割しても現状では各ユニットを10kg以下にすることが難しいのであきらめ、高強度の一体型アルミ製フレーム構造を採用することにした。

 10時間走行に必要な水素量は約2.1立方メートルで、30MPaの高圧水素を積載するには7L程度の容器が必要になる。重量、容積、コスト、安全性の法規制、開発に要する時間等を考えて、取り扱いが容易な1MPa以下で使用する水素吸蔵合金の選択が最良と判断した。

 250W出力の内、50W程度を送風機、電磁弁、排気弁などの補機類の駆動に消費する。走行停止時には2次電池(ニッケル・水素電池)への充電を優先的に行う。2次電池は起動時や登坂時の電力補助に使う。

 スタックの最上部には反応空気のリサイクルで生成水を加湿に使うプレート型の加湿器が設置され、省スペース・軽量化が図られている。セル間には多数の空気溝が設けられたセパレータが挿入されている。スタックの温度が一定の範囲を超えると冷却ファンが作動する。排熱は水素吸蔵ボンベに供給され、水素ガス発生の吸熱反応に利用される。制御回路は、流量/圧力調整装置の動作、スタックに流入する水素および空気の制御、水素圧の検出、送風機、電磁弁、排気弁、スタックの動作のモニターを行う。

 栗本鐵工所は鉄管(上下水道、産業用配管)、流体制御バルブ、建材、土木、鉄構(橋梁、水門)、加工機械などの事業のほか、近年、環境機器の分野に事業を進めており、小型輸送機用の燃料電池の開発を目指して2000年に台湾で設立されたAPFCTと技術提携した。APFCTは米国・カリフォルニア州アナハイムに研究所を設け、燃料電池と水素吸蔵合金キャニスターの開発を進めている。台湾は電動スクーターの盛んな市場でメーカーも多く、日本にも低価格品が輸入されている。APFCTも定格1kWの燃料電池搭載のスクーター「ZES?」(第4世代ゼロ・エミション・スクーター)を開発している。主な仕様は、全長1576mm×全幅440mm×全高1087mm、109kg、前後輪3.0-10インチ、最高速度35km/h、最大登坂能力12km/h(10度)、燃料消費量1.6グラム/km,DCブラシレスモーター・CVT変速、24V、最大電流85A,水素吸蔵合金キャニスター交換3分。
 
●教育用・デモ用装置を発売(写真は『燃料電池パワー』に)

 APFCTは現在、定格100W、250W、1kW、10kWの燃料電池を開発しているが、栗本鐵工所はこのほど100W機を組み込んだ教育用・デモ用装置「FCED」(燃料電池教育用デモンストレーター)を発売した。

 スタックは、セル面積50平方センチメートル、12セル、最大出力150W、水冷式、動作温度範囲10〜50℃、カソード側で膜方式の生成水利用の加湿器(ヒーターおよび温度調節器付き)を使用。出力モジュールは110V,150Wインバーター、デモ用負荷は100W用アダプターおよび18W小型蛍光灯ランプ、電子負荷装置は最大出力300W/60A、データ収集システムはAPFCT開発の制御ソフトウエア、電圧監視モジュールを搭載、主な機能は、電流/電圧曲線の自動測定、連続運転試験(定電流モード、定電圧モード)、電流、電圧、出力のリアルタイム表示および履歴保存、燃料電池温度の自動制御、燃料電池を用いた交流負荷作動デモ、出力に応じて燃料ガスの流量自動制御、燃料電池スタックの各セルの電圧の個別監視、水素供給源として高圧水素タンクおよび水素吸蔵合金ボンベを使用可能、未利用水素の循環供給。市販デスクトップPCに接続。標準価格700万円。

注:「燃料電池搭載型電動車いすの開発」(栗本鐵工所・FCプロジェクトチーム・マネージャー福井茂雄、本間琢也監修『図解・燃料電池のすべて』工業調査会発行所収)

 栗本鐵工所・事業企画室FCプロジェクトチーム:Tel.06-6538-7623(沼崎英夫)

■WEB LINK NEWS
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04/05/27 DJ-加ハイドロジェニックスが高い、シェブロンとの発電所共同建設で(ダウ・ジョーンズ)

 ニューヨーク(ダウ・ジョーンズ)26日の米ナスダック市場で、燃料電池システム開発を手掛けるカナダのハイドロジェニックス(Nasdaq:HYGS)が値上がりした。ハイドロジェニックスがこの日、水素エネルギーを利用した発電所建設を石油大手の米シェブロンテキサコ(NYSE:CVX)と共同で行うと発表、買い材料になった。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040527-00000030-dwj-biz

04/05/27 エコカーの祭典『ツール・ド・ソル』、今年も開催(WIRED)

 水素自動車部門で賞を得たのは、太陽光や風力もあわせて利用する自動車(写真)を製作したウィスコンシン大学マディソン校の2人の学生だ。この2人は1人乗りの電気自動車を改造して、水素燃料電池だけでなく、ソーラーパネルと風力タービンも搭載し、水素、太陽光、風、のいずれからもエネルギーを得られるようにした。折り畳み式のソーラーパネルと風力タービンを設計し、車のトランクに収納できるようにしたのだ。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040527-00000007-wir-sci

04/05/31 東葛工業、工業用特殊ホースの風力などエコ市場開拓へ(日刊工業新聞)

 東葛工業は風力発電設備の効率向上や、定置用燃料電池の蓄電率アップに向け、高品質、高信頼の流体搬送ニーズが増えるとみている。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040531-00000021-nkn-ind

04/05/31 北極の温暖化が急進展、別の地域では水不足が深刻に(WIRED)

 世界8ヵ国からなる研究チームが今週、北極圏では地球の他の地域と比べて、温暖化が2倍の速度で進行しているとの報告を発表した。北極では通常、氷が膨大な量の日光を反射しているため、とくに変化の影響が大きい。氷が減れば、日光が反射されず、色の濃い海や地面に吸収される割合が増大する。その結果、海や地面の温度が上がり、ますます氷が融けるという悪循環が繰り返される。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040531-00000003-wir-sci

04/06/01 再生可能エネルギー普及で協議=143カ国集い独ボンで国際会議(時事通信)

 【ベルリン1日時事】ドイツのボンで1日午前(日本時間同日午後)、「再生可能エネルギー国際会議」が開幕した。143カ国・33機関から閣僚や代表らが参加し、非政府組織(NGO)の関係者などを含め約3000人が集い、太陽や風力、水力といった再生可能なエネルギーの普及推進について4日間にわたって協議する。 
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040601-00000307-jij-int

04/06/02 住商と新日鉄など、SOFCの小型商業用システムを共同開発(日刊工業新聞)

 住友商事と新日本製鉄、三洋電機は米アキュメントリクスが電池本体を開発する固体酸化物形燃料電池(SOFC)の小型商業用システムを共同開発することで合意した。国内販売に向けて、ア社と住商、新日鉄が共同でアキュメントリクス・ジャパン(東京都中央区)を設立。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040602-00000024-nkn-ind

04/06/02 DJ-ディストリビューテッド子会社、燃料電池開発でNRLから拠出金(ダウ・ジョーンズ)

 ニューヨーク(ダウ・ジョーンズ)ディストリビューテッド・エナジー・システムズ(Nasdaq:DESC)の子会社プロトン・エナジー・システムズは1日、高性能燃料電池の技術開発プロジェクトに関連し米海軍研究所(NRL)から100万ドルの追加的研究拠出金を受けたと発表した。発表によると、拠出金はプロトンの宇宙・防衛関連用の1キロワット型電池に関するフェーズ1、2段階の研究開発費に充てられる。このプロジェクトは、米国防総省の研究・開発部門である高等研究計画局(DARPA)がプロトンの技術を採用する「ウォーター・ロケット」プログラムのひとつ。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040602-00000025-dwj-biz

■海外ニュース(中国)
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●ベンツの水素燃料電池バス 北京に来年お目見え

 新エネルギーの水素燃料電池を採用したベンツの大型バスCitaro(シターロ)3台が来年、北京の大通りを走る。排気量ゼロの公共交通車両を市民も体感できるようになる。開発した自動車メーカーのダイムラー・クライスラー社と中国科学技術部が26日、契約に調印した。

 この公共交通車両は同社が欧州10都市の定期バス路線に投入し、営業運転している燃料電池バス30台の一部。北京で走らせる目的は、世界のさまざまな道路状況での実際の走行経験を得るためだ。
「人民網日本語版」2004年5月27日

■海外ニュース(5月ー4)
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<輸送>
●HydrogenicsがSunLine Services GroupにAPUを供給

 Hydrogenics Corporationは、SunLine Services Group(SSG))に2基の10キロワット級燃料電池モジュールを供給する契約を落札した。2基の燃料電池モジュールは独立、内蔵型補助電源装置(APU)用に設計され、クラス8ピータビルト型トラクターに搭載される。
http://www.hydrogenics.com/ir_newsdetail.asp?RELEASEID=132899

<定置用電源>
●丸紅が16基の燃料電池発電プラントを発注

 FuelCell Energy, Inc.のアジア太平洋地域戦略的パートナーである丸紅は、4メガワット級Direct FuelCellィ (DFCィ)燃料電池発電プラントの新規発注を行った。FuelCell Energyがユニットを製造し、2005年に丸紅の顧客に納入する。丸紅の発注内容は、顧客の要求を満足するため、16基のDFC300A発電プラントとDFC1500級、DFC3000級とからなっている。
http://www.fce.com

<ポータブル/バックアップ電源>
●Protonexが米国空軍との契約を落札

 Protonex Technology Corporationは米国空軍研究所から、長期陸上作戦において個々の兵員に必要となる革新的な電源ソリューションの開発を推進するための、260万ドル(約2億8600万円)の契約を落札した。ProtonexのNGen PortablePower Systemは、PEM燃料電池発電システムに水素化化合物水素貯蔵システムを組み込んだものである。Millennium Cell, Incが、同社のHydrogen On Demandェ貯蔵技術を、現存するProtonexとの共同開発、利用許諾契約の下で提供する。
http://www.protonex.com/Protonex%20PR%20Air%85eb%20Final_r2.pdf

<燃料/改質器/貯蔵>
●DOEがブラジルとの水素研究合意を公表

 米国エネルギー相スペンサー・アブラハム氏とブラジル鉱山エネルギー相ジルマ・ローセフ氏は、水素エネルギーの研究、開発、実用化推進のための協力合意を発表した。米国及びブラジルの政府当局者及び専門家からなる共同チームは、ブラジルにための水素エネルギー技術ロードマップの開発で協力を開始する。
http://www.energy.gov/engine/content.do?PUBLIC_ID=15621&BT_CODE=PR_PRESSRELEASES&TT_CODE=PRESSRELEASE

●Shell HydrogenとHoward Universityが水素燃料電池教育のパートナーに

 Shell Hydrogenは、Haward 大学工学部との水素燃料電池教育推進のためのパートナーシップを発表した。Shellは、Haward大学の工学プログラム学部生に対する経済的支援を目的とするShell Hydrogen奨学プログラムに資金援助する。加えて、プログラムには水素燃料電池プロジェクトの学生研究への資金提供も含まれる。2年間のプログラムへの援助額は総額3万ドル(約330万円)。
http://media.prnewswire.com/en/jsp/latest.jsp?resourceid=2658044&access=EH

●www.hydrogenhighway.com サイトが立ち上がる

 PCD Technologies, LLCは、エネルギー需要をクリーンで再生可能な供給源から供給する将来像を描くための、米国及び国際社会の想像力を刺激するためにデザインされた新規インターネットサイト(http://www.hydrogenhighway.com)を立ち上げた。

<燃料電池コンポーネント>
●Hastest Solutionsいすゞ製作所の製品の拡販

 Hastest Solutionsは、米国、カナダ、メキシコにおける、いすゞ製作所系列の実験室及び環境テストチャンバーの営業、販売、技術サポート、アフターサービス権を獲得した。
http://www.hastest.com/

<報告/市場調査>
●軍用燃料電池市場(Military Fuel Cell Markets)

 Fuel Cell Todayは、成長する軍用燃料電池市場の最新の調査分析を発表した。レポートによると、当セクターでは、軍需品や無人車両から潜水艦や新規技術まで、非常に幅広い装置、機器向けに燃料電池が開発されるとしている。
http://www.fuelcelltoday.com/FuelCellToday/FCTFiles/FCTArticleFiles/Article_756_MilitarySurvey0404.pdf

<その他>
●CelaneseがPEMEAS Fuel Cell Technologiesを設立

 Celanese AGとConduit Venturesが主宰する投資コンソーシアムは、高温高分子電解質膜型燃料電池用の膜電極組み立て部品の供給を目的とするPEMEAS Fuel CellTechnologiesを設立した。

●FuelCellStore.comが日本サイトを立ち上げ

 FuelCellStore.comは日本のMoubic Incと共同でFuelCellStore Japanを立ち上げた。
http://www.fuelcellstore.jp

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■燃料電池ワールド
 □毎週水曜日発行
 □編集・発行:燃料電池NPO法人PEM−DREAM 

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