□燃料電池ワールド
■□□□□□□□□□
■Vol.139 2004/05/12発行
◆燃料電池NPO法人PEM−DREAM
■お知らせ
□□□
☆中野区環境行動の日のボランティア募集
出展3回目となる中野区の環境行動の日が、6月5日(土)に開催されます。PEM−DREAMは今年も燃料電池自転車を始め、燃料電池を出展します。当日のボランティアを募集しますので、協力OKの方は、info@pem-dream.com にご連絡ください。
☆岩谷産業が水素サイトをHPに開設
水素ステーションの建設や燃料電池車への水素供給などで水素インフラの構築に注力している岩谷産業株式会社はこのほど、同社のホームページ上に「水素サイト」を開設しました。まだ完成していないようですが、水素についての情報がいろいろ載っています。ぜひ一見を。
http://www.iwatani.co.jp/jpn/h2/index.html
☆『燃料電池パワー』Vol.39の内容
◇「WEM2004」より5枚。 写真提供=沼崎英夫氏
1.学生が2か月で自作した燃料電池(写真中央)を搭載した日本初の燃料電池レースカー・武蔵工業大学「武蔵E.E.」。
2.水素ボンベ2本(上)と燃料電池〈下)の間に水素バブルに“湯浴み”させる加湿器(ブルーの筒体)を外挿したチームAshidaの「TGMY2004」を整備中のオーナー芦田隆氏。
3.初出場のチームDAIDOの「WING04」は、「製作講習会」での高木武久講師(大同メタル工業・製品企画室)の推奨モデル通りの2階建てアクリル製ワンボックスのユニットを搭載。ボンベを上に2本並べ、下に燃料電池をセットし排熱と太陽熱によるボンベの「温室効果」を狙った。電圧計、温度計を搭載。
4.14周目で燃料電池とキャパシターとコントローラーのマッチング不全でドライバーが自力で調整中のチームAshida。
5.予選終了後、回収した各チームのボンベの水素消費量を計測中の大同メタル社員。防振台上に設置した精密電子天秤で水素吸蔵合金ボンベの重量を計測。減量から小数点以下2桁の消費量(NL)を換算できる。現状の技術では高圧水素ボンベよりも高精度に計測できる。
◇JARIの防爆火災試験施設。5枚。 写真提供=沼崎英夫氏
1.完成したJARIの燃料電池自動車安全性評価試験棟。世界初の全天候型防爆火災試験ドームと強度試験室(手前)、水素試験室(右)。
2.円筒形のドーム内部。耐火レンガ床上の高圧水素容器。架台の下からLPGバーナーで加熱試験を行う。
3.水圧試験室の120MPa増圧機。隣棟の試験ピット内の高圧容器に高圧水を供給する。4.4個の高圧容器のサイクル試験を行っているピット。
5.−40℃〜85℃の範囲で高圧容器のガス透過試験、容器付属品温度試験を行うチャンバー。
【沼崎英夫/技術レポート】
◇「WEM秋田2004」燃料電池部門(1)
◇燃料電池車70MPa時代に対応の試験施設ーー国家戦略に対応してJARI移転に先行
※このメールマガジンは、より専門的な情報をPEM−DREAM会員に提供していま
す。サンプルは、http://www.pem-dream.com/conts.html
※『燃料電池ワールド』と同様に、次号は5月12日号になります。
■燃料電池グッズ【ご注文はメール info@pem-dream.com でどうぞ】
☆「燃料電池+ミニカー」組み立てセット〔再掲)
資源エネルギー庁のエネルギー教育用教材キットに取り上げられたセットです。自分
で組み立てた燃料電池をミニカーにセットして、水素を供給して走らせることができ、直線で20メートルくらい走ります。燃料電池単独でも使えます。NPO特別価格15000円(税、送料込み。PEM−DREAM会員は1割引))です。写真は
http://www.pem-dream.com/kit.html でご覧ください。
※激走―そして激突!? 燃料電池ミニカーの23秒ビデオ 鳥取県の信原一郎さんが、ミニカーの激走ぶりをビデオで撮影してくださいました。
http://www.pem-dream.com/move.html
☆「ソーラー+燃料電池」学習キット(再掲)
太陽光発電、水素の製造、燃料電池について、中学から高校生程度の物理と化学の基
礎知識を学びながら、30種類の実験を進めるキットです。再生可能な循環型エネルギーの仕組みを理解するのに最適です。
100頁の英文テキストと和訳テキストつき。販売価格24000円(税、送料別)の
ところ、NPO特別価格23000円(税、送料込み。PEM−DREAM会員は1割
引)で提供します。写真は http://www.pem-dream.com/kit02.html でご覧ください。
■燃料電池関連イベント
□□□
☆自技会春季大会の燃料電池関係の発表・展示(『燃料電池パワー』5月26日付でレポート予定)
自動車技術会の「2004春季大会」が5月19日〜21日、「パシフィコ横浜」で行われる。燃料電池・水素関係の発表は以下の通り。
◇フォーラム「燃料電池自動車と水素インフラ開発の現状」(5月19日10:00〜16:05、アネックスホールF201+F202、入場無料、資料¥3000、大会終了後・会員外価格・送料別¥4200)
・燃料電池自動車開発の動向と各国における実証試験の現状(日本自動車研究所・丹下昭二)
・水素製造・供給に関する各国の将来計画(エンジニアリング振興協会・小関和雄)
・燃料電池実証試験の意義とJHFCの進め方(東海大・神本武征)
以下、GM(ゼネラルモーターズ・アジア・パシフィック・ジャパン・GeorgeP.Hansen)、ホンダ(本田技術研究所・川口祐治)、日産(日産自動車・萩原太郎)、トヨタ(トヨタ自動車・河合大洋)各社の開発の取組みの報告。
◇学術講演会(参加登録費・会員外¥15,750、前刷集各セッション毎分冊・会員外@¥1150,送料¥180、2〜5冊¥300)
◇セッション「燃料電池自動車」(5月20日9:30〜11:35、5階502)
・多孔質触媒担持ファイバーコンポジットの開発ーメタノール改質反応場としての効果(エフ・シー・シー・友田昭彦他)
・燃料電池の劣化メカニズムに関する基礎研究(山形大・内藤健)
・直接メタノール形燃料電池の性能と効率の特性(武蔵工大院・小竹智仁他)
・ガソリン改質反応特性解析(豊田中研・久保修一他)
・触媒表面反応シミュレーションーガソリン改質反応への適用(豊田中研・山内崇一他)
◇セッション「EV・HEV・FCEV?ー車両システム」(5月21日9:30〜12:10、5階小ホール)
・新型燃料電池車の開発(日産自動車・福田卓弥)
・FCVにおけるFCとバッテリの電力分担に関する考察(日産自動車・釜田忍他)
・ハイブリッド車・燃料電池車における最適充放電制御の開発(日産自動車・小宮山晋他)
◇セッション「EV・HEV・FCEV?ー要素・評価」(5月21日13:00〜15:05、5階小ホール)
・FCV駆動システムにおける振動抑制技術開発(日産自動車・大久保孝仁他)
・FCV駆動システムにおけるインバータ実装技術開発(日産自動車・渋谷彰弘他)
・水素燃料電池自動車の燃費計測手法の検討ー流量法(第2報)(日本自動車研究所・平田秀徳他)
◇セッション「天然ガス・水素エンジン」(5月19日9:30〜11:35、3階311)
・The Advanced Hydrogen Internal Combustion Engine:Clean,Powerful, andEfficient(BMW・Raymond Freymann)
◇「人とくるまのテクノロジー展」(5月19〜21日、10:00〜17:00、パシフィコ横浜・展示ホール、入場無料)
296社・682小間(過去最多)、自動車メーカー(14社、燃料電池車など)、部品メーカー、情報機器・ソフト、材料メーカー、試験計測機器、カーエレクトロニクス他。
◇展示会問い合わせ Tel.:03-3262-8214,E-mail:tenjikai@jsae.or.jp)
◇ホームページ http://www.jsae.or.jp/2004haru/index.html
☆第7818回特別研究セミナー
石川島播磨重工業株式会社
『溶融炭酸塩形燃料電池(MCFC)』開発の最新状況と実用化
−平成17年愛知万博で採用予定、高効率・大容量発電が期待される「燃料電池」−
◇講 師 小澤政弘氏 (石川島播磨重工業株式会社電力事業部開発部長兼燃料電池グループ長)
◇日 時 5月24日(月)14:00〜16:00
◇会 場 JPIカンファレンススクエア(千代田区有楽町)
◇参加費 一人:¥24,590
【優待参加費(1社で複数名、同時申込の場合に限ります)】
1社2名 ¥44,590 1社3名 ¥59,590
☆第7854回特別研究セミナー
〜初の民間単独水素ステーション開設〜
東邦ガス株式会社
水素供給ステーションの最新開発動向と水素ビジネスの取り組み
◇講 師 石川秀征氏(東邦ガス株式会社都市エネルギー技術開発部燃料電池・水素技術グループ課長)
◇日 時 6月10日(木) 14:00〜16:00
◇会 場 JPIカンファレンススクエア(千代田区有楽町)
◇参加費 一人:¥24,230
【優待参加費(1社で複数名、同時申込の場合に限ります)】
1社2名 ¥44,230 1社3名 ¥59,230
※両回とも詳しくは当研究所のホームページをご覧ください。
(ホームページからもお申し込みができます)
http://www.jpi.co.jp/semi-enrg/20040524_7818.html
◇問い合わせ
(株)日本計画研究所 担当/千島(ちしま)
〒100-0006千代田区有楽町1-2-14 紫ビル
TEL 03-3508-9070 FAX 03-5512-9429
E-mail:chishima@jpi.co.jp
☆セミナー「家庭用燃料電池ビジネスの展開」
◇趣 旨 現在実証実験が行われている家庭用燃料電池、実用化のときを
迎えようとしているが、次世代ビジネスとしての方向を探る。
◇日 時 5月27日(木)13:00−16:30
◇場 所 東京証券会館8階会議室(東京都中央区茅場町1−5−8)
◇講 演
1.「家庭用燃料電池ビジネスの現状と方向」
日刊工業新聞社編集委員 駒橋 徐氏
2.「燃料電池ビジネスの本命・住宅市場」
日本総合研究所副主任研究員 井上真壮氏
◇参加費 18、000円(資料代含む)
◇問い合わせ E−mail:taoistyi@ops.dti.ne.jp
会社名、部署、ご氏名、faxをご記入の上e-mail又はfaxで
お問い合わせ下さい。 (faxまたはe-mailにて案内書送付します)
◇主 催 インターフォーラム
東京都千代田区内神田1−18−11東京ロイヤルプラザ1014
TEL:03(5921)1908
FAX:03(5280)1558
■PEM−DREAMニュース
□□□
☆ミツバ、ホンダの急追かわし2連勝ーー第2回WEM秋田・燃料電池部門で
5月3,4両日、秋田県南秋田郡大潟村の多目的走行スポーツ施設である「ソーラースポーツライン」で、電気自動車の2時間耐久レースである「ワールド・エコノ・ムーブ」(WEM)が行われ、燃料電池部門で14チームが出場した。
今年10回目となるWEMは、全長3.0m、全幅1.2m、全高1.6m以内の車両で、モーターの制限はない。ドライバーの重量が70kg未満の場合は差分のバラストを搭載する。トランシーバーの使用は禁止されているが、携帯電話、PHSの使用は認められており、音声通話でピットに状況を伝え、データの読み上げを行い、指示を求めたり、指示を受けたりするのは常態となっている。iモードによるテレメトリをやっているチームもある。
主催者が用意した定量充電の鉛蓄電池で2時間を限度に走破した距離を競うエコノミーラン。近年、人気上昇中で、高校チームを中心にガソリン車のエコランから移行するチームが増えつつあり、今年は滋賀、秋田、宮城、山形、愛知(豊田)、和歌山、愛知(幸田、以上開催時期順)の7戦が開かれ、内6戦がグランプリシリーズを組んで通算の得点でグランプリ・チームを決める。レギュレーションは各大会ごとに異なる。秋田のWEMは最も古く、ガソリン車のエコランの1つであるシェル石油主催のマイレージマラソンが休止されたこともあって今年はジュニア・クラスに40チーム(内1チーム不出走、昨年は34チーム)、オープン・クラスに43チーム(内1チーム不出走、昨年は44チーム)が出場した。
昨年の大会で燃料電池部門が新設され、世界初の燃料電池車レースにジュニア、オープン両クラスに各7チームがエントリーし、各6チームが出場した。燃料電池部門は車両規則は鉛電池部門と同じで、容量60NLの水素吸蔵合金ボンベ(全長200mm、50mmφ、重量約900g)に30℃、0.9MPaの内圧で約55NLの水素が充填された2本が支給される。理論的には1本分で2時間完走は可能であるが、昨年は未知の大会であるため、大事をとって2本支給とした。実施結果で1本分の水素で走行可能であることが判ったが、一方、大同メタルの研究結果では、燃料電池スタックと水素吸蔵合金ボンベを1つのケースに収納してスタックの排熱を利用し保温を行った場合、ボンベ1本使用時には10〜45分程度で水素供給圧力、発電電力が急減したのに対して2本使用時には圧力、電力共にほぼ一定値で2時間程度持続し、2本使用の妥当性が実証された(1月31日「エコノムーブ、ソーラーカー、ソーラーバイシクル製作講習会」で発表)。これらの事情から本来の燃料経済性と共に、競技のスピード性を評価して2本支給を踏襲した。コースは鉛電池車が往復6km、燃料電池車が往復1.1kmのコースで、燃料電池車の上位は2〜3分で戻ってくるので観戦の興味がひとしおである。
昨年は全出場車が大同メタル工業製の燃料電池を搭載した。内訳は正味出力50W(発電電力60W以上、10個の送風ファンの消費電力10W)のHFC-1250搭載が7チーム(内1チームが2個搭載)、正味出力75W(発電電力85W以上、送風ファン12個)のHFC-1275搭載が5チーム(内1チームが2個搭載)であった。
今年の出場チームと搭載燃料電池の機種は次の通り。(チーム名の●印は03年出場)
★オープン・クラス(大会当日18歳以上のドライバーのクラス)
[チーム名] (所属)燃料電池の順
Team DAIDO(大同メタル工業)HFC-1275
●早稲田大学理工学部機械工学科永田研究室 HFC-1275
●チーム″ヨイショット!″ミツバ(株式会社ミツバ)HFC-1275
●Team TGMY Ashida(芦田 隆)HFC-1250×2個
NEO-EVER-BLUE(ホンダエンジニアリング)HFC-1275×2個
中日本自動車短期大学 HFC-1275
武蔵工業大学e-プロジェクト 自作燃料電池
●育英高専はぐれ放送部 HFC-1250
東海大学FCプロジェクト HFC-1275
★ジュニア・クラス(大会当日15歳以上18歳未満のドライバーおよびメンバーを主体とするクラス。もしくは学校名でのエントリーでドライバーを含む半数以上が学生のチームのクラス)
宮城高専 HFC-1275
秋田工専エコレース部 HFC-1275
●栃木県立宇都宮工業高校 HFC-1250×2個
●秋田工業高校 HFC1275
八戸工業高校定時制省エネ研究部 HFC-1275
以上、HFC-1250搭載が3チーム(内2個搭載が2チーム)、HFC-1275搭載が10チーム(内2個搭載が1チーム)、自作燃料電池搭載が1チームであった。
今回初出場は、大同、NEO-EVER-BLUE、中日本自短、武蔵工大、東海大、宮城高専、秋田工専、八戸工高の8チーム。ただし、東海大FCプロジェクトは、昨年出場した東海大翔洋高校の出身者がコアになっている。昨年出場したチームDDWは、本田技術研究所のコンポーネント開発の東朝霞研究所の社員で構成され、ホンダ・グループの工機部門のホンダエンジニアリングとは異なる。茨城県の電線コード被覆材のメーカーの社員の同好会のチーム・アンリミテッドは、エネルギーの利用に種々の工夫を凝らした優れものであったが、今回出場しなかった。
昨年の大会で本選のスタート直前にキャパシターの配線トラブルのため、不作動にしてキャパシターなしで堂々2位に入った長野工高、同じ33周ながら34周目の距離の差で4位になったチームDDWと5位になった岐阜県立高山工高は今回は不出場。高山工高には中京テレビ・クルーが同行して特番をつくった。本誌のPEM-DREAMチームはヤマハPass改造の唯一の2輪出場で、HFC-1250を2個搭載で製作したが、気化潜熱による水素吸蔵合金の弁の氷結で対応に手こずり、1個搭載で出場、製作の遅れと整備不良による出力不良で苦戦、予選はやっと周回できたが、本選では最下位ながら7周した。今年は雪辱を目論んだが、燃料電池を入手できず、エントリーを取り下げた。結局、差し引き2チーム増で、燃料電池部門はガソリン車、バッテリー車のエコランのように手軽に出られるモータースポーツには今1歩である。
WEM2003の後、8月に同所で「ワールド・ソーラーカー・ラリー・イン秋田」(WSR)があり、その学生部門である「全日本学生ソーラーカー・チャンピオンシップ」(JISC)で燃料電池部門を設け、玉川大学、東京電機大学、信州大学繊維学部の3チームが出場した。部分的に登・降坂がある往復25kmのロングコースでの3日間大会であり、3チームとも出力100数十W以上の燃料電池を搭載した。バラード社のNexaを搭載した玉川大はDC-DCコンバーターの不良で振るわず、中国製「AGV」を搭載した電機大は燃料電池の故障でリタイヤし、大同製4個を搭載した信大が優勝した。
「無事、これ名馬」
世界初となったWEM2003の燃料電池部門は、今年と同じ5月3日に予選,4日に本選が行われた。本選ではミツバ・チームが予選の記録に10周を積み増しした独走の50周をマークしたほか、2位の長野工高が37周、予選では周回できなかった育英高専、PEM-DREAMの両チームも含めて、全チームが予選を上回る記録を残した。これは予選で実走行体験ができたこと、各チームの予選での水素消費量が公表され、さっそくチューニングや走行方法ーエネルギーマネージメントの見直しに役立ったこと、高温の予選日と打って変わって本選日が冷涼で多湿となり、燃料電池には好環境であったことの複合効果であった。
今回の予選日も冷涼・多湿であり、連続出場チームには大きな経験があり、シミュレーションは一層豊富に高精度になった。初出場チームにとっても手探りの第1回とは比べ物にならない利点があった。前回ベストラップ2分13秒を出したミツバは今回同じ車を手直しし、機能・性能共に大幅にアップした市販前のDD(ダイレクトドライブ)モーターを駈ってベストラップ2分9秒051を出し、50周目に3分5秒26かかった以外は2分台をキープ、前年の記録に1054mをプラスした56km59.50mをマーク。ちなみに鉛電池部門で優勝の東海大木村研究室は13周(6km・ロングコース)80km253.90m、ジュニアクラス優勝の栃木県立今市工高は11周・66km762.35mであった。
鉛電池部門もオープンクラスはベスト3が13周、ジュニアクラスのベスト4が66km台の熾烈なバトルであった。ホンダエンジニアリングは第1周で2分38秒807,28周目に2分51秒772を出した以外は、2分台前半をキープし、ミツバを超えたラップタイムが15あった。51周目の240余mが両者の差となった。ミツバは「貯金」で1度もホンダの後背を見ることがなかったが、本選が行われていたら両者共持てる全力を投入してどうなっていたか分からないほどの接戦であった。自社製のミツバ、ホンダ(DDWモーター)のインホイール・モーターに対して、特殊電装製の市販DDブラシレスモーターのチェーン駆動で初出場の大同メタルは、ほとんど2分台後半のラップタイムで3分台は皆無という安定した走行で44周で3位を占めた。上位3チームはノーブレークで出入りの少ないラップを淡々と刻み、「無事、これ名馬」を体現した。
昨年3位の宇都宮工高はほとんど2分台後半と3分台前半のラップであったが、2周目9分弱、3周目6分台のブレークが祟って昨年より1周多い36周で終わった。
伏兵は初挑戦の中日本自短で、大半のラップで2分台前半を出しながら、4周目36分、25周目15分の大ブレーク2発で30周5位に。WEM秋田(01〜03)、WEM豊田(02
〜03)、エコデン(2000〜03)参加のレース経験が生きた。
以下、初出場の宮城高専(25周)、秋田工専(23周)が連続出場のアシダ(23周)、早稲田大(20周)を越えた。初出場の八戸工高(16周)、武蔵工大(11周)、東海大(7周)が、昨年12周の地元・秋田工高(今回3周)、14周の育英高専(今回不出走)に勝った。大会の記録とフォトギャラリー(取材中の記者と本誌も紹介されている)は公式サイトのhttp://www2.ogata.or.jp/を参照されたい。
今回のハイライトは自作の固体高分子型燃料電池で初出場した武蔵工大。いずれ大学チームで自作電池が登場すると期待されていたが、1年で出てきたのは燃料電池大国・日本の環境の然らしめたものであろう。今後のWEM、JISCへのインパクトが見ものである。同チームはWEM2004の特別賞10賞の中、燃料電池部門では唯一の受賞となり、「ベスト・エンジニア賞」に選ばれた。
武蔵工大以外のチームで前年に引き続き独壇場となった大同メタル工業製の2機種は昨年のスペックのまま、今回の大会向け価格が改定された。HFC-1250は売り切り44万円で、レンタル(1万6千円/月)はなくなった。HFC-1275は売り切り55万円(旧50万円)、レンタル5万5千円/月(最小2か月、旧2万円/月)に。目下、特殊用途の非量産工業製品であるからこういう価格体系はやむを得ないのだろうが、学生、アマチュア・チームは2の足を踏むところもあろう。
(技術レポートと車両写真は「燃料電池パワー」に掲載。沼崎英夫)
☆JARIのHy-SEFが完成ーー世界初の全天候型防爆火災試験施設
財団法人・日本自動車研究所(JARI、宗国旨英理事長)が施設導入を進めていた「燃料電池自動車安全性評価試験棟」(Hy-SEF:Hydrogen and Fuel Cell VehicleSafety Evaluation Facility)が茨城県東茨城郡常北町に完成し、5月12日に竣工式が行われた。
JARIはこれまで燃料電池自動車に搭載される高圧水素容器の防爆火災試験をカナダのブリティッシュ・コロンビア州や米国のカリフォルニア州、アーカンソー州の山地や砂漠のオープンスペースに施設のあるの試験研究機関に委託し、日本から人員と計測器を送って実施してきたが、天候等の自然条件および地理的条件により、再現性のあるデータの取得や効率的な研究実施に大きな制約を受けてきた。今回、関東地方に世界初の全天候型の屋内試験施設の完成により、効率的・効果的に試験・研究を進められる条件が整備され、日本での燃料電池自動車の早期導入・普及、国際標準化・規制整備に寄与することが期待される。
(詳報と施設写真は「燃料電池パワー」に掲載。沼崎英夫)
■WEB LINK NEWS
□□□
04/05/07 DJ-加ハイドロジェニックス、1−3月期は大幅減収で損失幅拡大(ダウ・ジョーンズ)
ニューヨーク(ダウ・ジョーンズ)燃料電池システム開発を手掛けるカナダのハイドロジェニックス(Nasdaq:HYGS)は6日通常取引開始前、1−3月期(2004年12月期第1四半期)決算を発表した。1−3月期売上高は前年同期の840万ドルから410万ドルに大幅減少、中でもテスト業務の売上高は700万ドルから250万ドルに65%減少した。純損失は240万ドルから750万ドルに、1株損失は5セントから12セントに拡大した。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040507-00000016-dwj-biz
04/05/07 東京で開催の燃料電池シンポジウムに参加=米インテグリス(ビジネスワイヤ)
*マテリアル品質保持管理技術の米インテグリス(NASDAQ:ENTG)は、今月18―19日東京で開かれる第11回燃料電池シンポジウムに参加すると発表した。同社の圧縮成形加工による固体高分子型燃料電池用セパレーターは、携帯型・定置型・輸送型燃料電池に対応し、スタックの信頼性を高めるとともに、開発コストを低減させる。同社はまた、燃料電池のバランス・オブ・プラント(BOP)のサブアセンブリーや搬送パッケージの提供を通じて、燃料電池開発業者をサポートしている。同社はミネソタ州チャスカのほかに、山形県米沢市に敷地面積約600平方メートルの工場施設を保有している。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040507-00000018-jij-biz
04/05/07 三洋電機家庭用燃料電池を05年度に発売=価格未定(時事通信)*三洋電機は7日、天然ガスやプロパンガスを使い、発電と温水供給ができる家庭用燃料電池を、2005年度から販売すると発表した。価格は未定。同社はコスト削減で、10年には当初価格を大幅に下回る45万円程度に引き下げたいとしている。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040507-00000115-jij-biz
04/05/08 「ワールド・エコノ・ムーブ」ジュニア部門 今市工高と宇都宮工高が優勝 /栃木(毎日新聞)
◇燃料電池部門・今市工、3度目の挑戦で栄冠
今市工は、科学研究部による3回目の挑戦。昨年は2台が2、3位と一歩及ばず、今回はモーターの効率向上がポイントだった。このため、12人の部員は顧問の秋羽孝行教諭(35)の指導で、昨年末から放課後や休みを利用して改良に努めた。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040508-00000001-mai-l09
04/05/10 DESSコンソーシアム、集合住宅で家庭用燃料電池の技術検証(日刊工業新聞)
日本総合研究所が出光興産、荏原、松下電器産業など33社の参加を得てスタートしたDESSコンソーシアムは、家庭用燃料電池(FC)のネットワークビジネスを目指す05年度のプロジェクト立ち上げに向け、マンションなどの集合住宅を対象に差別化モデルの設定に乗り出す。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040510-00000013-nkn-ind
04/05/11 京セラ、送電端効率40%の家庭用燃料電池を10月までに完成へ(日刊工業新聞)
京セラは高位発熱量(HHV)で送電端効率40%を実現する1キロワット級の家庭用固体酸化物形燃料電池(SOFC)システムを10月までに完成、長期耐久試験を始めると共に、05年度中にエネルギー企業と組んで準商用機としてモニター販売に乗り出す。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040511-00000022-nkn-ind
04/05/11 東邦ガス、年内めどに固体酸化物形燃料電池の単セルを量産化(日刊工業新聞)
【名古屋】東邦ガスは年内をめどに、日本触媒と共同開発した固体酸化物形燃料電池(SOFC)の単セルを国内で初めて量産化する。セルの反応部分である電解質の材料に高い靭(じん)性と導電率を両立するセラミックスを採用。発電性能と耐久性を高めたほか、白金を使用した場合に比べ低コストで大量生産ができるのが特徴だ。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040511-00000023-nkn-ind
04/05/11 環境にやさしい“未来の車”(毎日小学生新聞)
◆子(こ)どもたち乗(の)せ街(まち)をスイ〜
「未来(みらい)の車(くるま)に乗(の)ったよ!」――。東京都港区立赤坂(とうきょうとみなとくりつあかさか)子(こ)ども中高生(ちゅうこうせい)プラザで約(やく)五十人(にん)の子(こ)どもが、四月(がつ)二十八日(にち)、環境(かんきょう)にやさしい燃料電池自動車(ねんりょうでんちじどうしゃ)に試乗(しじょう)して街(まち)を走(はし)りました。
http://news.kids.yahoo.co.jp/20040511-00000005-maiel-kids.html
■海外ニュース(韓国)
□□□
●現代自、次世代車開発に総力[車輌]
現代・起亜自動車が、米国の国策事業である燃料電池自動車事業の施行者に選定された。11月から米国内で燃料電池車のテスト事業を展開する。環境配慮型の自動車分野で技術力が世界レベルに達した証であり、現代自側は「次世代車市場を主導する礎になる」と期待している。
国内企業が米国の国策事業の施行者として選定されるのはこれが初めて。現代自の林テウォン・燃料電池開発チーム部長は「今回のテスト事業者選定を契機に、次世代技術分野でゼネラル・モーターズ(GM)やフォード、トヨタなど世界メジャーと肩を並べられるようになるだろう」と語る。
同社が開発した水素燃料電池車は、1回の充電(水素燃料)で300kmの走行が可能。また、燃料の特性上、最も難しいとされる「コールドスタート(冷始動)」問題も解決した上、燃料効率は既存のガソリンエンジンより2倍以上優れている。自動車の力を示す出力は80kW(106万馬力)で、これだけの性能があれば、商用化もそれほど難しくないと会社側は説明している。(2004年4月30日)
■海外ニュース(5月ー1)
□□□
<輸送>
●サンフランシスコ市がホンダFCX2台を受領
カリフォルニア州サンフランシスコ市は2台の水素燃料電池FCXを受領した。月500ドルの1年リース契約で2年目はオプションとなる。サンフランシスコ市は市職員による車両の日々の運行にサポートするため、水素再充填インフラを作る計画である。
http://www.hondabeat.com/news_details.php?ID=127
<定置用電源>
●FuelCell EnergyがSierra Nevada Brewing Co. に燃料電池を供給:OceanCommunity Collegeでの設置を完了
FuelCell Energy, Inc.とAlliance Powerとは、2005年末から2006年初に4基の250キロワット級Direct FuelCellィ(DFCィ)発電機をSiera Nevada BrewingCo.に販売するための契約を締結した。FuelCell Energy and Alliance Powerのジョイントベンチャーは、燃料電池が納入されるまでの間、醸造所の生産活動に必要な電力と熱源を供給する。
FuelCell Energyとその米国内での販売パートナーであるPPL Energy Plusとは、ニュージャージー州のOcean County Community College (OCC)へのDFCィ発電機の設置を完了している。燃料電池は、OCCの教育棟、講義ホール、看護技術棟の電力の約90%を供給すると同時に、これら3棟に加え、総務棟、図書館、Robert J. Novins記念プラネタリウムへの暖房の20%も供給する。
http://www.fce.com
<ポータブル/バックアップ電源>
●BallardがHeliocentris, Sanmina-SCI Corporationと契約
Ballard Power Systemsは、同社のAirGenェ携帯燃料電池発電機及びNexaィ燃料電池発電モジュールの北米及び欧州の販売店として、Heliocentris Energy Systemsを指名した。Heliocentrisは、同社の中間業者向け品揃えに組み込むために向こう2年間バラードのシステムを購入する。更に、BallardはSanmina-SCI Corporationとの間で、営業、販売、製品開発のための契約趣意書も締結した。BallardとSanmina-SCIとは、通信産業向けに燃料電池補助電源システムの商業化、販売活動を共同で行う。システムは、バラード社のNexaィ RMシリーズ燃料電池モジュールをSanmina-SCIが製造する野外用エンクロージャーに組み込んだもの。
http://www.ballard.com/pdfs/Heliocentris.pdf
http://www.ballard.com/pdfs/04%20NexaRM%20Sanmina%20FINAL.pdf
<燃料/改質器/貯蔵>
●Praxairが一般向けにロサンジェルス国際空港に水素ステーションを建設
ロサンジェルス国際空港(LAX)は米国初の、一般向け圧縮水素ステーションの本拠地となる。ステーションの建設費は150万ドル(約1億6,500万円)、面積600平方フィート(約17坪)。Praxair, Incが、設備の設計、エンジニアリング、装置導入、建設及び操業を担当する一方、自らも設備の建設に55万ドル(6,050万円)の資金提供を行う。また、カリフォルニア州南岸大気管理局から351,000ドル(約3,860万円)、米国エネルギー省から499,948ドル(約5,500万円)、British Petroleum(BP)から18万ドル(約1,980万円)の助成を受ける。新設の充填ステーションは、最近、大手自動車会社によって開始された水素燃料電池車の実証と、Los Angeles WorldAirports が使用する燃料電池車両のその他の車両との統合も支援する。
http://www.lawa.org/lax/htmlaf/lax_show_news1.asp?news=586
●Shell HydrogenがワシントンDCでの水素ステーションを着工
ShellはワシントンDC北東部で、地域では同社初となる水素ステーションの建設に着工した。施設は、既存のBenning Roadのスタンドに統合される形で建設され、ゼネラル・モータースの6台の燃料電池車に気体及び液状の水素を提供する。
https://www.piersystem.com/external/index.cfm?cid=566&clientID=381292
<報告/市場調査>
●Illinois 2H2 PartnershipがHydrogen Highway Reportを発表
The Illinois 2H2 Partnershipは「The Hydrogen Highway: Illinoisユ Path to aSustainable Economy and Environment.」(水素ハイウェイ:イリノイ州の持続可能な経済活動と環境のための道筋)と題したレポートを発表した。レポートは以下のリンクから無料でダウンロード可能。
http://www.ilcoalition.org/FUSION/FTF/AttachDisplay?FILENAME=HydrogenHighway&ID=42500&U=1083599425109.
<その他>
●DOEが3億5000万ドルの水素プロジェクト資金援助を発表.
米国エネルギー相スペンサー・アブラハム氏は、水素経済構築のための科学研究プロジェクトを米国全土で支援するため、3億5000万ドル(約385億円)の資金援助をすると発表した。3億5000万ドルという額は、水素及び燃料電池技術を実験室レベルからショールームに並ぶまでにするための研究資金援助を目的とした12億ドル(約1320億円)の大統領公約の3分の1に相当する。プロジェクトには30の主要組織に加え、100を超すパートナーが参加し、便益評価と競争によって選ばれる。産学及びDOEの研究所が援助対象となる。
http://www.energy.gov/engine/content.do?PUBLIC_ID=15725&BT_CODE=PR_PRESSRELEASES&TT_CODE=PRESSRELEASE
──────────────────────────────────────
■燃料電池ワールド
□毎週水曜日発行
□編集・発行:燃料電池NPO法人PEM−DREAM
□解除:「まぐまぐ」と「melma!」から直接ご購読の方が解除される場合は、「まぐまぐ」か「melma!」から直接解除の手続きを行ってください。PEM−DREAMでの代行はできません。
まぐまぐ http://www.kaijo.com/
melma! http://www.melma.com/taikai/
□連絡先: info@pem-dream.com
□マガジンID:0000065319(まぐまぐ) m00039824(melma!)
◆メールマガジンの退会・解除はこちら↓ by melma!◆
http://www.melma.com/taikai/
**H2**