燃料電池ワールド (2003/06/04 09:00)

水素チャンネル Home

□燃料電池ワールド
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■Vol.096 2003/06/04発行

                   ◆燃料電池NPO法人PEM−DREAM

                        ◇http://www.pem-dream.com/

■お知らせ
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☆6月14日(土)「中野区環境行動の日」のPEM−DREAM
場所:中野区環境リサイクルプラザ(東京都中野区中野5−4−7)
・Gゲージを燃料電池で走らせます

 線路幅45mm上を走る鉄道模型「Gゲージ」、1:22.5サイズの迫力で大人も楽しんでいます。このイベントでは、日本Gゲージクラブのご協力をいただき、燃料電池で走らせようと準備しています。
日本Gゲージクラブのホームページは、http://homepage1.nifty.com/lgb-train/

・ボランティア募集(再掲)

 PEM−DREAMは東京都中野区のイベントに参加します。14日(土)午前10時〜午後5時まで、大潟村で走った燃料電池自転車の試乗体験や展示を行いますが、会場が2か所に分かれるために要員が不足してしまいました。

 そこで、来場者に展示物の簡単な説明を行うボランティアを募集します。説明内容は打ち合わせを行いますので、どなたでもできます。当日、中野区環境リサイクルプラザ(中野駅から徒歩10分)に来れる方で、ボランティアを願える方がいらっしゃいましたら、事務局までご連絡ください。メールアドレスは、info@pem-dream.comです。

☆「遊んで作る燃料電池100円実験キット」と材料提供(再掲)

 日本中、どこでも誰でも、手軽に、安全に、安上がりに燃料電池の原理を実験できる「遊んで作る燃料電池100円実験キット」。このキットの材料と製作ストーリーを書いた資料をメールで無料で差し上げています。ご希望の方は、
info@pem-dream.com までお申し込み下さい。

 また、すでに資料を請求された方から、材料として使うLEDと電線が入手しにくいので対応できないかとの相談がありました。そこで、私たちが常備している中から、希望する方に提供することにしました。

 内容は、LED3個と電線20cmくらいを2本です。ご希望の方は、切手200円分(郵送料含む)を事務局までお送り下さい。折り返し郵送します。
・宛先 〒198−0032 東京都野上町4−3−4ベルドール河辺201
    燃料電池NPO法人PEM−DREAM

■燃料電池関連イベント
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☆水素・燃料電池会議と展示会(カナダ・バンクーバー)6月8日〜11日(再掲)

 2003年6月8日から11日までの4日間、カナダBC州のバンクーバー市で「水素・燃料電池会議と展示会」が開催される。会期中は基調講演、本セッション、分科セッション、ポスターセッション、そして企業視察や展示会などが予定されており、この中で日本からの参加者による報告もある(外務省、(社)日本ガス協会、横浜国立大学、東京工業大学、Uchiyama Thermostat Co.,LTD等)。イベントの詳細は以下のページをご覧ください。
◇公式ページ(英語)
Hydrogen and Fuel Cells Coference and Trade Show
http://www.hydrogenfuelcells2003.com/en/welcome.htm
◇水素・燃料電池会議と展示会(日本語)
http://www.r21.ca/info/fuelcell.html
◇参加代行とレポート作成サービス
スイモン・カナダではイベントに参加できない方のために参加代行、レポート作成サービスを提供している。お問い合わせ、お申し込みはこちらまで。Suimon Engineering Canada Ltd.(スイモン・カナダ)
URL: http://www.suimon.com
URL: http://www.r21.ca (レインボウ21)
Mail: info@suimon.com

☆講演会「燃料電池における材料技術の現状と課題」(再掲)
◇日 時 7月10日(木)9:30〜18:30
◇場 所 大阪市立工業研究所講堂
◇主 催 (社)大阪工研協会
◇参加費 当協会員 17,000円、協賛団体 22,000円、一般 27,000円
◇プログラム
〈基調講演〉
1.固体高分子形燃料電池の開発の現状及び今後の課題  

   三菱電機(株)先端技術総合研究所エネルギー変換技術部主席研究員 光田憲朗氏
2.クリーンエネルギー自動車の現状と将来展望−燃料電池車を中心に−
  ?本田技術研究所栃木研究所主任研究員 佐藤 登氏
〈要素技術実用化のポイント〉
1.高強度カーボンモールドセパレータの開発と応用事例

   日清紡?開発事業本部燃料電池事業部開発課・営業課長 斉藤一夫氏2.固体高分子形燃料電池セパレータ用ステンレス材料開発の現状     
   住友金属工業?総合技術研究所部長研究員 樽谷芳男氏
3.マイクロDMFC

   (株)日立製作所日立研究所環境・パワ―センタ燃料電池部技術主幹 加茂友一氏
4.固体高分子形燃料電池(PEFC)用電極触媒の開発現況と課題

   田中貴金属工業(株)技術部プロジェクトリーダー 多田智之氏 〈ミキサー〉講師の先生方を囲んでの、また、参加された方々同士の情報交換
◇申し込み・問い合わせ
(社)大阪工研協会 http://www008.upp.so-net.ne.jp/oira/

    電話 06−6962−5307、FAX 06−6963−2414
E-メール oira@fa3.so-net.ne.jp

■PEM−DREAMイベント
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☆6月の燃料電池市民講座(再掲)
「固体高分子型燃料電池の手作りモニター教室」
ゲスト=佐藤昌史氏(東京都立墨田工業高校自動車科教師)

 「遊んで作る燃料電池100円実験キット」を考案された佐藤さんが、今度は固定高分子型燃料電池の手作りキットを開発しました。固体高分子型燃料電池は自動車や家庭用の燃料電池に使われているタイプで、燃料電池のリーダーです。このキットはスケルトンタイプで、その構造を、高分子膜、電極(白金も使っています)、セパレータのバラバラな部品から自分で組み立てることによって理解できます。今回は、その開発のお話を伺い、キットを組み立ててみようと思います。キットは近く限定販売(材料が限られているため)の予定ですが、市民講座の参加者にはその価格(予価6500円)よりも安く提供しますので、ぜひご参加ください。
○日 時 6月21日(土)午後2時から
○場 所 岩谷産業株式会社本社会議室(新橋駅から徒歩約10分、地図をお送りします)
○参加費 5000円(今回は参加者全員に負担願います)
○申し込み方法 メールまたはFAXにて、「6月の燃料電池市民講座」と明記の上、氏名、連絡先、電話番号をご記入の上、お送り下さい。
 メール info@pem-dream.com 
※この市民講座の生録CDと配付資料をPEM−DREAM会員に提供します。ご希望の方はぜひご入会ください。

■燃料電池GOODS
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【ご注文はメール info@pem-dream.com でどうぞ】
☆パソコンで聞く生録CD『カナダ燃料電池2003』を発売(再掲)

 PEM−DREAMが3月に行ったカナダ燃料電池業界視察の記録をCD−ROMで発売します。訪問先のプレゼンテーションと質疑応答の生録音をデータにして、日本語テキストと、撮影を許可された写真をそれぞれ収録しています。燃料電池と水素技術のトップを行くカナダの最新情報を、生の音声で知ることができるでしょう。

 収録した訪問先(録音時間)は以下の5カ所です。
・フュエルセル・カナダ(約105分):企業、研究機関、行政が集まっている国立の非営利団体。カナダの戦略を練っている。フュエルセル・カナダの活動内容や具体的な計画が語られ、カナダの全般的な状況を知ることができる。
・パワーテック・ラボ社(約70分):BC州水力発電公社の高圧ガスシステム研究機関として、電力と天然ガス、水素の研究開発を行っている。天然ガスと水素をブレンドする話や日本との協力、水素ステーション計画などを知ることができる。
・マグパワー・システムズ社(約130分):水素を使わない「マグネシウム/空気燃料電池」と水素インヒビター技術について、詳細な説明がなされた。それらの適応分野や日本企業との関係なども、質疑の中で語られた。
・パルキャン社(約80分):プレゼンはなく、質疑応答のみ。水素吸蔵合金と燃料電池を駆使して商品化を進めるベンチャー企業の息吹が伝わる。自転車や車椅子、それらの中国での生産計画など、カナダ発燃料電池製品のひとつのモデルである。
・グリーンライト社(約110分):ハイドロジェニックス社と合併直後の同社は、燃料電池試験装置製造会社として燃料電池の評価事業に特化している。日本にはない評価サービスについて、なぜ事業として成立するのかという話など、日本と違うカナダの業界を理解する一助となる。

○価格 それぞれ1カ所につきCD−ROM3枚組 8000円(税・送料込み。PEM−DREAM会員は5000円)
○付録として、バラード社の本社・工場の外観と燃料電池バス「シターロ」の写真、視察旅行に参加された沼崎英夫氏の視察レポートを添付します。全ての写真は著作権フリーです。
○ご注文の際は、ご希望の企業・団体名、およびお使いのパソコンの種類(Windows/Mac)をご記入ください。

☆『水素経済革命』(山本寛著、新泉社)(再掲)

 定価1400円(税、送料別)のところ、税、送料込みで1500円(PEM−DREAM会員は1割引))で提供します。ご注文は、郵送先と冊数をお書きの上お申し込みください。

☆「燃料電池+ミニカー」組み立てセット〔再掲)

 資源エネルギー庁のエネルギー教育用教材キットに取り上げられたセットです。自分で組み立てた燃料電池をミニカーにセットして、水素を供給して走らせることができ、直線で20メートルくらい走ります。燃料電池単独でも使えます。NPO特別価格15000円(税、送料込み。PEM−DREAM会員は1割引))です。写真は
http://www.pem-dream.com/kit.html でご覧ください。
※激走―そして激突!? 燃料電池ミニカーの23秒ビデオ 鳥取県の信原一郎さんが、ミニカーの激走ぶりをビデオで撮影してくださいました。
http://www.pem-dream.com/move.html

☆「ソーラー+燃料電池」学習キット(再掲)

 太陽光発電、水素の製造、燃料電池について、中学から高校生程度の物理と化学の基礎知識を学びながら、30種類の実験を進めるキットです。再生可能な循環型エネルギーの仕組みを理解するのに最適です。

 100頁の英文テキストと和訳テキストつき。販売価格24000円(税、送料別)のところ、NPO特別価格23000円(税、送料込み。PEM−DREAM会員は1割引)で提供します。写真は http://www.pem-dream.com/kit02.html でご覧ください。

■PEM−DREAM NEWS
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☆5月燃料電池市民講座「大潟村燃料電池カーレース体験談ーー結果はビリでも完走」の報告

 会場が半年ぶりに岩谷産業株式会社に戻った。半年前に比べると同社は業務が活発化しているようで、人の出入りも格段に多かった。そういう中で私たちに会議室を提供してくださっていることに感謝します。

 今回のメーンイベントは、燃料電池自転車の試乗である。参加者全員にこもごも乗っていただき、感想などを話し合った。その前段として、カーレースのチーム・メンバーである坂本、佐藤、柏原氏からレクチャーがあった。坂本氏は、自転車の改造と現地の写真を映しながら全体の流れを説明した。佐藤氏は自転車改造のコンセプトと体験を、柏原氏は改造の技術的問題について説明した。

 カーレースについてはこれまでメルマガで報告してきているので、今回の報告は、資料として配付した沼崎氏のレポートをもって最終報告に代えたいと思う。ワールド・エコノ・ムーブ(WEM)と当日のレースの全体像、PEM−DREAMチームの位置づけなどについてまとめてあり、市民講座で話題となったことについても触れているのでお読みください。長文のため、「燃料電池毎・レポート」コーナーに3回に分けて掲載します。

 なお、市民講座の生録CDと配付資料は、今回からPEM−DREAM会員に提供することになりましたので、ご希望の方はぜひご入会ください。

■燃料電池マイ・レポート
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☆「世界初の燃料電池自動車レース――PEM-DREAMチーム・pas2号も2時間で7.7kmを走破 第2回」(季刊『ソーラーシステム』沼崎英夫)
○決勝ラウンド

 5月4日、午前6時半、コース開放。手持ちのガスボンベがあればフリー走行は可能である。一夜で手直し後のデバックに貴重な時間である。

 2日目の公式ボンベ2本支給、これを使って練習走行するわけにはいかない。

 今日は昨日よりも大分気温が低い。ピットを一巡すると、「低温の方が有利。昨日よりも距離が伸びそうだ」という声がほとんどで、低温による水素ガスの放出が鈍ると心配する向きはなかった。

 8時半コース閉鎖、FC車グリッドイン、走行前車検の済んだ車からプリチャージを始める。
 9時、出走式。9時半、FC車決勝開始。

 昨日、ラップタイムの発表がなかった(1周できなかった)pas も育英高専もスタートし、周回を刻んでいった。

 「低温有利」の各チームの予想どおり、最初から高速レースに突入、本来スピードレースではないのだが、過保護? のボンベ2本の余裕を2時間で生かし切らなければ、と電力を距離に変えてゆく飛ばしよう。ミツバは2週目に驚異の2分13秒、その後も2分台前半のラップを重ねて50周目を終えようとした直前にタイムアップの旗が振られて、規定により、そのまま惰力走行でフィニッシュラインを越え、作戦奏功の大台に乗せた。ちょうど pas が7周目を終えてゲート下を通過したのと同時で、優勝と43周遅れの最下位が並んでテレビに映る奇観だった。

 2位に入った長野工高は予選よりも1周増やして37周でフィニッシュ。実は配線のトラブルでスタート直前にキャパシターを切ったという。これで最下位の pas とブービーの地元の秋田工高にキャパシターなしがもう1台増えた。ハンディを背負ってのこの実力は大したもの。

 2周遅れの3位・宇都宮工高は、先輩・後輩の縦構造の組織と見受けたが、全員が燃料電池車の原理・特性を理解した上での今、どういう状態か、自分は何をすべきかをわきまえた自発的な行動が見られた。一人の上級生を中心に動いていて、先生主導のチームではない。監督の先生は、車がグリッドに入ったところで要所要所をチェックするのが役目。ボンベの下に化学カイロが敷いてあったのを見つけて、「何をするのか」とつまみ出した。担当の生徒が「今日は気温が低いので、スタート前の保温のために」というと、「レギュレーションではボンベの加温は禁じられている。失格になったらどうするのか」と叱正。「チームワーク賞」を受賞したのはうべなるかな、である。

 同じ32周ながら、33周目の距離の差で、本田技研研究所東朝霞研究所のチームが4位、高山工高が5位となった。

 ホンダ・チームは車名の通り、かつて生産し、農機など向けに外販していたホイールインモーターのDDWを搭載し、前1輪を駆動輪とするタイプ。かつて栃木研究所のプライベート・チームがこの様式のソーラーカーで、アモルファス・シリコン太陽電池で、8日間でワールド・ソーラー・チャレンジ(WSC、ダーウィン〜アデレード間3000 km )を走破した偉業を成し遂げたことがある。

 高山工高は1年前から部活で燃料電池車を始めたという。エコノ・ムーブの燃料電池部門新設から始めた大半のチームとは1日の長がある。予選では、電池のトラブルで周回10分台、22分台を出し、13周で終わったが一夜でほぼ3分台キープにリフレッシュした。

 同チームの部活を番組にするために、中京テレビの撮影クルーが来村した。もし、エントリーした岐阜県立岩村高校が出場していたら、1県から2校出場した唯一の高校対決のストーリーが組まれたかもしれない。

 車体はエコノ・ムーブ出場チームから旧型を貸与されて使用、金はかけていない。

○早大永田研もたつく

 89年に創部し、93WSCでは初優勝のホンダ、ディフェンディング・チャンピオンのビエル工科大学(スイス)、京セラに次いで4位を達成、ファクトリー・チームのトヨタ、日産自動車の顔色を奪った早稲田大学永田研究室(理工学部機械工学科)のソーラーカーチームはその後休部中であるが、電動エコランのエコノ・ムーブで中堅どころで活躍中。

 エコノ・ムーブでデバック済みの車体は予選でトップを引いて飛び出したが、5周目でパンク。これで初体験の燃料電池系の問題点を見つける間もなくリタイヤ。

 決勝では、プリチャージが効いた3周目までは2分台のラップで好調だったが、以後、3分台から4〜5分台に後退、まだ4割残っていた水素の供給が思うに任せず、26周で終わった。原因はレギュレーターに接続する標準カプラーの繋ぎ具合が、かねて試走用に大同メタルから購入したボンベと、支給された公式ボンベでは微妙に違うようで、公式ボンベからの水素の供給が滞り、ガス欠になったという予期しなかったトラブルに見舞われたという。予選では早すぎるリタイヤで発見できなかった。

 75W燃料電池を搭載したこともあって、過熱対策にファンを付加したが、送風ではなく吸い出し用で、大同メタルの送風用ファンと相殺するような機能で問題を残した。

 チーム・アンリミテッドは、茨城県南部の電線コード被覆材のメーカーの社員有志の同好会で、燃料電池の冷却を重視、反応熱の放熱を良くするため、ボンベ室を分け、後者は前者の上段にアクリル樹脂の温室に設置した。漏洩水素パージのための規定の排気孔は設けたが、太陽熱による温室効果でボンベの加温、保温を行った。排熱とは逆に吸熱を良くするために大型の逆ヒートシンクをつくり、その中にボンベを収納した。

 また、プリチャージ用と回生制動用のキャパシターを2系統設け、走行中の燃料電池からの充電と制動による電力の回生の向上を図った。

 予選は12周で終わったが、決勝は23周と伸ばした。ともにトラブルがあり、デバックでさらに伸びる余地がある。

 東海大学翔洋高校(清水市)は、高校ソーラーカーの伝統校で、前身の工業高校時代に日本からWSC(オーストラリア)出場高校の先駆けを成した。東海大系普通高校と合併後は出場は難しくなっているが、前回(01年)は、指導の熱血先生・山田修司氏が単身で東海大学チームに参加、今年はオーストラリアの高校チームとの合同チームを模索しているという。今回は、WSC出場車でいち早くキャパシターを電力貯蔵に採用し、燃料電池とキャパシターの相性の良さを指摘した(「カーグラフィック」01年9月号、No.486、171頁)木村英樹氏(東海大学ソーラーカーチーム監督、電子情報学部エレクトロニクス学科助教授)がアドバイザーとして協力した。

 予選では後半、燃料電池のオーバーヒート気味で電力不足に陥り、12周で終わったが、決勝では後半、周回6〜7分台に後退したがほぼ4分ラップで21周した。

○燃料電池2台が裏目のチーム・アシダ

 四国一周電気自動車ラリーなどで知られる芦田隆氏(大阪府八尾市)のプライベート・チーム、チーム・アシダは、当初予定の倍増のボンベ2個支給に呼応して大同メタル工業製の75W燃料電池2個を搭載、過熱対策に送風用と吸い出し用と2個の大型送風ファンを追加、大半が50W装備の中で、150Wの大出力で周回稼ぎを狙い、高速で効いてくる空気抵抗を下げるために弾丸型の体をデザイン、制作は時間切れでGFRP製の仮ボディーで出場、燃料電池でモーターを回したのが現地入りの5月2日、試走は3日の車検後。転がり抵抗を減らすため金型制作費負担でタイヤを特注、ミシュランの電気自動車レース用タイヤに比べて前輪(2輪)で20%、後輪(1輪)で10%抵抗計数が少ないという。その他、各要素ごとに芦田氏ならではの徹底ぶりで作り上げた。

 大電流でのプリチャージが効いて、周回3分台前半で好調な出だしであったが、4周目に45分余の大ブレーク、原因がわからなかったが、オフィシャルからの指摘で過負荷で燃料電池出力のブレーカーが働き、プリチャージだけで走り、切れたところで停車、リセットスイッチを入れなかったためと判明、以後、2分台の驚異的なラップで飛ばしたが14周目で落ち、復旧後、水素を使い切って15周で終わった。110リットル支給で101弱の使用は、12チーム中の最大消費量であった。

 決勝ではガス欠を警戒して絞り、プリチャージ切れの4周目で8分台を出したが、回復後はミツバに次ぐ2分台後半の快速も18、19周は3分台に落ち、20周目のゲート先のバンクでストップ、回復せず、時間を余してリタイヤ、ボンベ計量では2本とも等量であった唯一のチームで、使い切ったことを示した。消費量は100リットル弱で、前日よりも約1リットル少なかったのは気温が低かった影響であろう。

 微差で消費量が最大であったアンリミテッドとの違いは、時間当たりのガス放出率とボンベ温度の違いであろう。

 チーム・アシダの快走後の突然のリタイヤは大方には意外だったようで、大会放送も「原因が分かったら知らせて」とアナウンスした。トーク・コンビの羽深藍さん(育英高専電気科OG、本田技術研究所東朝霞研究所勤務)と小林大蔵氏(農業、地元のソーラーカーチーム潟郎)ともWSC遠征等で貴社と旧知の間柄で、連日、長時間の戦況放送のつなぎの話題探しに苦労していたので、以上を取材して放送席にメモを差し入れたところ、早速、羽深さんは「どうも大食いが祟ったようです」と放送した。

 とことん究明の芦田氏は、次はカーボン製の車体でさらなる軽量化と剛性強化を図るといい、現在の車体(今回、「グッドデザイン賞」受賞)と、金型まで起こした特注品の前・後輪タイヤは販売するという。

 1周目15分台、8周目16分台、13周目10分台と電気系のアンバランスに喘ぎながらも、それ以外は5〜7分台で14周した育英高専も、前日1周目の折り返し直後のカーブでコースアウトして、学校の近くを走る西武鉄道の電車の縮尺模型の黄色い車体を路側にのし上げて無記録で終わった予選の雪辱を果たした。

 キャパシターなしで、抜かれるままに辛抱に辛抱を重ねた地元の秋田工高も、予選で周回35分余の大ブレークが響いた9週目以後、10分台前後のラップをキープ、8割の水素を使って2桁台の12周に乗せた。
(以下次号)

■WEB LINK NEWS
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03/05/29  <経財諮問会議>平沼経産相が経済活性化策を提出 (毎日新聞)

 例えば、燃料電池自動車を20年までに500万台導入する計画では、まず水素供給施設の設置規制の緩和などを行い、政府調達と供給体制の整備を進める。10〜20年にかけて、民間主導で市場拡大させるとしている。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030529-00002129-mai-bus_all

03/05/30 30日三井鉱山がS安、債務超過転落を嫌気(ラジオたんぱ)

 同社株は、コークスの市況改善や燃料電池用セパレータを手掛ける点などが材料視され、1月安値の39円に対して4月22日には高値117円を付けていたが、悪材料の表面化を受けて失望売りが膨らんでいる。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030530-00000202-rtp-biz

03/05/30 関西ペがサッシにも付けられる太陽電池を開発(ラジオたんぱ)

 フィルムは透明化や色彩化も可能なので、透明にして家のサッシを太陽電池化することや、着色して自動車のボンネットに搭載して燃料電池車の補助燃料にすることなどの活用法が期待されている。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030530-00000100-rtp-biz

03/05/30 環境保全へエネ研を新設 1日から同大・京田辺キャンパス(京都新聞)

 工学部教員と学外の共同研究員計28人で構成。現在の主動力源であるエンジンを低公害化する基礎研究や、燃料電池の体系的研究、新しいエネルギー貯蔵技術の研究などを行う。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030530-00000101-kyt-kin

03/05/31 風力発電機ブレード開発 内装材のビルドス(中日新聞)

 【石川県】航空機・鉄道車両の内装材メーカーのビルドス(石川県小松市)は、軽量で強度が高い特殊なハニカム素材を使った風力発電機用ブレード(羽根)を開発した。第一弾として、ごみの燃焼プラント向けに製作。今後は開発依頼を受けて、地球温暖化対策として注目される燃料電池用の水素の生産プラント向けに実験を重ね、三年以内の実用化を目指す考えだ。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030531-00000011-cnc-l17

03/05/31 新エネルギー検討の都留市、消費総量の7%を代替可能−−太陽熱など /山梨(毎日新聞)

 報告書は利用可能な新エネルギー導入を具体化するための重点事業として、公共施設での太陽光発電や小型風力・水力発電システムの設置、燃料電池の導入検討――などを挙げた。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030531-00000002-mai-l19

03/06/01 <エコカーフェア>ハイブリッド車など展示 東京・代々木公園(毎日新聞)

 環境月間(6月)に合わせて、環境にやさしい自動車をPRする「エコカーワールド2003」が31日、東京都渋谷区の代々木公園で開かれた。会場には、ハイブリッド車をはじめ、電気や燃料電池で動く自動車やバイクなど約90台がずらり。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030601-00002080-mai-bus_all

03/06/01 豊橋でバッテリーカーの性能競う「エコテクノレース」(読売新聞)

 レースは、1周約2・7キロの周回コースを、2・5キロ・グラムの蓄電池を使い、1時間でどれほど走れるかを競う「二輪車」「三、四輪車」の部門に加え、今年は水素を燃料に次世代の動力源として期待される「燃料電池」(60ワット)を搭載した部門も新設され、観衆の注目を集めた。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030601-00000505-yom-soci

03/06/02 世界最小の燃料電池開発 三菱重工、家庭普及目指す(共同通信)

 新燃料電池はエアコンの室外機程度の大きさ。配管などを工夫し従来型の半分程度で、高さ1メートル、幅60センチ、奥行き30センチ。都市ガスなどから水素を取り出す方式だが、将来は灯油など他の燃料も利用できるようにするという。出力は1キロワット。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030602-00000148-kyodo-soci

03/06/03 G8、新型肺炎制圧へ協力=燃料電池車開発も−エビアン・サミット開発討議(時事通信)

 また、経済成長と環境保護を両立させるため、科学技術を活用することで一致。具体策として、20年以内に市場性を備えた燃料電池車を開発することや、水素エネルギー利用技術の開発などでG8が協力することで合意した。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030603-00000371-jij-int

■海外ニュース(5月ー4)
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<ポータブル・バックアップ電源>
●アビスタ・ラボとハブパワーが販売契約に署名

 アビスタ・ラボ社は、メリーランド州のハブパワー社と販売契約に署名した。この契約によりハブパワー社は、州、郡そして市の交通無線のための通信基地にアビスタ・ラボ社の Independence? 燃料電池を購入する。これらの設備に要求される発電能力は、75Wから5kWの範囲である。ハブパワー社は現在、無線基地でのアビスタ・ラボ社の技術使用を指定されたメリーランド州と契約しており、2003年5月に最初の設備が予定されている。
http://biz.yahoo.com/prnews/030501/sfth013_1.html

<燃料・改質器・貯蔵>
●州議会議員によって通過したモンタナ州水素エネルギー計画

 モンタナ州政府は、州の経済発展の鍵となるモンタナ水素未来プロジェクトの設立を含むモンタナ水素エネルギー計画を議決を経て通過させた。
http://data.opi.state.mt.us/bills/2003/billhtml/HJ0026.htm#About

<燃料電池コンポーネント>
●Pdcマシーンズがダイヤフラム・コンプレッサーを発売

 Pdcマシーンズ社は、1台の自動車デモ用から、1日当たり25台またはそれ以上の自動車に燃料を供給できるように設計されたダイヤフラム・コンプレッサー・システムのモデルを持っている。Pdc社は、水素、圧縮天然ガス(CNG)、またはそれらをブレンドした燃料で発電する自動車とバスのためにダイヤフラム・コンプレッサーの製品群を開発し、設置している。
http://www.pdcmachines.com/fuel_cell.htm

<報告・市場調査>
●自動車用燃料電池

 アライド・ビジネス・インテリジェンス社は、乗用車からバスおよびトラックを含む自動車用燃料電池の市場機会を分析した新しい報告書『自動車用燃料電池:世界市場の課題、技術の発展そして主要な企業』を発表した。これには、(ある場所から他の場所に行って戻ってくる)フリート走行と空港内で使われる自動車を含んだニッチ市場についても述べられている。この研究では、市場/経済と環境という両方の視点から技術的な挑戦とその機会について詳述している。産業界の主要企業は、近い時期――2002年から2012年まで――における彼らの技術と商品化間近な製品とともに描かれている。
http://www.alliedworld.com/servlets/ResearchDetails?productid=AFC02

<その他>
●SECAが2つの新しい燃料電池プロジェクトを発表

 米国エネルギー省(DOE)の「固体エネルギー変換アライアンス」(SECA)は、そのプログラムに二つの新しいプロジェクトを加えたと発表した。フュエルセル・エナジー社とアキュメントリクス社が中心となる2つの新しいチームは、SECAですでに参加している他の4つの産業開発チームに加わることになる。
http://www.fossil.energy.gov/techline/tl_fuelcell_seca2sel_print.html

●イリノイ州が燃料電池産業の構築へ

 イリノイ州政府の産業経済省(DCEO)とイリノイ連合は、初めての「イリノイ燃料電池産業の構築」会議を持った。DCEOと連合は、次の5年間でイリノイ州の燃料電池産業を発展させるために、産業、行政と学術のリーダーによる協力関係を促進させている。
http://media.prnewswire.com/en/jsp/latest.jsp?resourceid=2437347@access=EH

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