□燃料電池ワールド
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■Vol.067 2002/10/16発行
◆燃料電池NPO法人PEM−DREAM
■お知らせ
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◇11月の燃料電池市民講座――大同メタル工業株式会社の燃料電池事業〜技術と背景(再掲)
2000年11月15日、大同メタル工業株式会社は、米国の燃料電池ベンチャー企業 Enable 社の親会社であるDCH社( DCH Technology )と折半出資の合弁企業ニューウェーブ社を設立した。燃料電池とは畑違いの大同メタル工業は、なぜこうした事業展開を選んだのか。また、Enable 社のPEM型燃料電池は、セパレーターを使わないセル構造を持つ「パッシブ型」と呼ばれる燃料電池である。PEM−DREAMが販売している組み立てキットは、このミニ版であるが、この技術はどういうものか等々、さまざまな話題を大同メタル工業様にお話ししていただきます。
なお、今回から会場が株式会社守谷商会様に変わります。これまで会場を提供して下さった岩谷産業株式会社様に、この場を借りて御礼申し上げます。
○日 時 11月30日(土)午後2時から
○場 所 株式会社守谷商会(東京駅八重洲口から3分、地図をお送りします)
○参加費 会員は無料。非会員は2000円。
○申し込み方法 メールまたはFAXにて、「11月の燃料電池市民講座」と明記の上、氏名、連絡先、電話番号をご記入の上、お送り下さい。
メール info@pem-dream.com FAX 03-5408-3252
◇「環境博覧会すぎなみ2002」のボランティア募集(再掲)
10月19日(土)20日(日)に行われる「環境博覧会すぎなみ2002」では、PEM−DREAMは燃料電池体験教室などを行います。当日、会場でサポートして下さるボランティアを募集しています。ご協力いただける方はメールでご連絡下さい。info@pem-dream.com
会場:高井戸地域区民センターおよびセンター前広場(京王電鉄井の頭線高井戸駅前)
◇「遊んで作る燃料電池100円実験キット」と材料提供(再掲)
日本中、どこでも誰でも、手軽に、安全に、安上がりに燃料電池の原理を実験できる「遊んで作る燃料電池100円実験キット」。このキットの材料と製作ストーリーを書いた資料をメールで無料で差し上げています。ご希望の方は、
info@pem-dream.com までお申し込み下さい。
また、すでに資料を請求された方から、材料として使うLEDと電線が入手しにくいので対応できないかとの相談がありました。そこで、私たちが常備している中から、希望する方に提供することにしました。
内容は、LED3個と電線20cmくらいを2本です。ご希望の方は、切手200円分(郵送料含む)を事務局までお送り下さい。折り返し郵送します。
・宛先 〒105−0004 東京都港区新橋4ー28ー3 新正堂ビル2階
燃料電池NPO法人PEM−DREAM
◇ワンカップの瓶もごみ?
「遊んで作る燃料電池100円実験キット」には日本酒のワンカップの瓶が使えますが、読者の方から次のような情報をいただきました。これなら、お酒を飲まなくても大丈夫? ですね。
「ワンカップのガラス瓶のことなのですが
近くの酒屋さんへ一度聞いてみる事をお薦めしてください。
私は、酒取扱いのコンビニを営んでいるのですが
ワンカップを購入されるお客様の中にはその場で飲み干されるお客様も多く販売店にとっては、カメラ店のフィルムケース同様、
処分しなくてはならないゴミの一つです。
ただし、キャップ部分と分別で捨てられていると思いますので
タイミングによっては、キャップだけ無い場合もあります。」
◇企業のプレスリリース
燃料電池をめぐる中部電力のプレスリリースを3本掲載します。
------------------------------------------------------------------------平成14年10月1日 中部電力株式会社
世界初!ナノテクノロジーによる水素分離膜の開発について
〜水素利用技術の大幅効率アップに期待〜
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当社は、ノリタケカンパニーリミテド(社長:岩崎 隆氏、住所:名古屋市西区則武新町三丁目1番36号)と共同で、世界で初めて、ナノサイズの微細孔を有するセラミックス分離膜の開発に成功いたしましたので、お知らせいたします。
例えば、燃料電池へ水素を供給する場合は、メタンなどから水素を分離し取り出すといったガス分離工程が必要となります。
微細孔(ふるいにかけ水素を分離するための小さな穴)を有する多孔質膜を使用したガス分離は、他の方法に比べ連続運転が可能で、装置の小型化が図れ、処理量を大きくとれる等の特徴があります。また、耐熱性および耐腐食性セラミックス分離膜の場合、適用範囲が大幅に広がるため世界各国で開発が進められています。
従来の分離膜の製造方法では、その過程で大きな孔が生成されてしまうことから、高い分離性能が得られませんでした。
今回、当社では、世界で初めてナノサイズの微細孔しかないセラミックス分離膜の開発に成功し、分子ふるい※1という理想的なガス分離機構を実現しました。
※1 分子ふるい: 細孔より小さい分子のみを透過させるガス分離方法で、非常に高い分離性能が得られる
今回開発した分離膜は非常に高い分離性能を持っているため、メタンの改質ガス、石炭ガス、石油精製所の排ガス等からの水素分離など種々の適用が考えられます。
燃料電池の水素ガス供給にこの分離膜を適用した場合、水素の分離が高純度かつ大量に行われるため、燃料電池発電システム全体として大幅な効率アップが期待できます。
今後は燃料電池等の改質器への適応に向けて集合化・大型化技術の開発を行い、3年以内の実用化を目指します。
研究期間 平成11年4月から平成14年3月
研究費用 約1億円
<別 紙>
1.研究の背景
微細孔を有する多孔質膜を使用したガス分離は、他の方法に比べ連続運転が可能で、装置の小型化が図れ、処理量を大きくとれる等の特徴があります。
加えて、耐熱性および耐腐食性に優れた材料でこれを実現できれば、適用範囲が大幅に広がるため、世界各国でセラミックス製の分離膜の開発が進められています。
当社は平成12年にポリシラザンと呼ばれる有機ケイ素化合物を用いて耐熱性に優れたセラミックス分離膜を開発し、従来不可能であった800℃という高温での使用を可能としました。
ここで、多孔質膜の開発において、ガス分離性能の向上が重要な課題となります。ガスを分離する機構は細孔の大きさにより主に以下の2つに分類されます。(1)クヌッセン流れ
分子を超える大きさの細孔の場合、細孔を透過する際の抵抗がガスの透過性能に影響を与えます。このため、質量が軽く、飛び回る速度の速い分子ほど孔を透過する際の減速が小さくなり、優先的に透過します。
その透過のし易さの差を利用することで、ガスの分離を行うことが出来ます。(2)分子ふるい
分子と同程度となるナノサイズの細孔の場合、孔より小さな分子だけが選択的に透過することが出来るため、高いガス分離性能が実現されます。
分子ふるいはナノサイズの細孔を持つ分離膜を実現すればできるのですが、従来の分離膜ではサブミクロンクラスの穴がどうしても存在してしまうため不可能な分離方法でした。
多孔質膜での主なガス分離機構
(注:この図は中部電力のHP
http://www.chuden.co.jp/press/saisin/fr_hamaoka.html を参照)
2.開発の概要
開発を進めている水素分離膜は、ポリシラザンと呼ばれる有機ケイ素化合物を利用して、高温・腐食に強く、機械強度も高い窒化ケイ素(Si3N4)で、基材と分離膜が一体に作製された分離膜で、現在、高温(800℃)で使用可能な唯一の分離膜です。
ガス分離に必要な細孔は、ポリシラザン中に含まれる有機成分が、熱分解時に分解し、窒化珪素として結晶化する際に、ナノサイズの空隙を残すことを利用するものですが、従来、ポリシラザン中の有機成分が偏って気化してしまい、大きな孔が発生していました。
今回、特殊な還元性ガスを用いて熱分解を行うといった、通常の熱分解手法では用いられない製膜方法を開発するにより、有機成分を均一に気化させることに成功し、ナノサイズ以下の細孔からなる画期的な分離膜を実現することが出来ました。
今回の分離膜は、分子ふるい領域でのガス分離が実現し、飛躍的に高い分離性能※2が得られています。
※2 水素と窒素の混合雰囲気中において、(水素の透過量)/(窒素の透過量)=120
3.開発の成果
今回開発した分離膜は非常に高い分離性能を持っているため、メタンの改質ガス、石炭ガス、石油精製所の排ガスからの水素分離など種々の適用が考えられます。
水素は燃焼時に二酸化炭素を発生しないクリーンなエネルギー源として、特に21世紀のエネルギーシステムとして期待されている燃料電池には不可欠な資源です。
今回開発した分離膜を、燃料電池の水素ガス供給に適用した場合、水素の分離が高純度かつ大量に行われるため、燃料電池発電システム全体としての効率が大幅に向上します。例えば、火力発電以上の発電効率を持つ溶融炭酸塩型燃料電池(MCFC)にこの分離膜を適用できた場合、従来と同じ温度で反応の効率が高まるため、更に約5%のシステム効率の向上が可能となります。
さらに、水素は石油化学工業等において欠かすことのでない重要な原料ガスです。今回開発した分離膜を製造プロセスに適用することにより、水素のみを選択的に供給することが可能であることから、製品の製造効率の大幅な向上が期待できます。
4.今後の進め方
今後は燃料電池等の改質器への適応に向けて集合化・大型化技術の開発を行い、3年以内の実用化を目指します。
------------------------------------------------------------------------平成14年9月30日 中部電力株式会社
固体酸化物形燃料電池(SOFC)の開発について
〜平板形SOFC として世界初の50kW商用機の開発に着手〜
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当社は、三菱重工業株式会社(社長:西岡 喬氏、住所:東京都千代田区丸の内2−5−1)と共同で、平板形の固体酸化物形燃料電池(SOFC※1)としては世界初の50kW機の開発に着手しました。平成15年には商用化を目指した50kWのSOFCコージェネレーションシステムとしての評価試験を開始します。
固体酸化物形燃料電池(SOFC)は、構成材料が全てセラミックスで燃料電池の中で最も高い温度(1000℃)で動作します。このため、高い発電効率が得られるとともに、高温の排熱を利用して蒸気を供給できるので、冷熱需要にも対応可能で、数10〜数100kWの業務用コージェネレーションシステムとして期待されています。
また、内部改質※2が可能(改質器が不要)であるので、コンパクト化が図れるとともに、電池材料に液体状のものを含まないので耐久性にも優れています。
SOFCの形状は、平板形と円筒形に大別されます。当社と三菱重工業株式会社は、平成2年より平板形の一種である独自構造の一体積層(MOLB※3)型SOFCの開発を進め、平成12年には平板形SOFCとしては世界最高の15kWの発電と7,500時間の運転に成功しております。
今回、これまでの成果を活用して、平板形SOFCとして世界初の電気と熱(蒸気)を供給できるSOFCコージェネレーションシステムを開発することとしました。
< 目標性能>
(1)出 力 50kW
(2)発電効率 45%
(3)排熱回収効率 40%
(4)燃 料 天然ガス
平成15年に初号機を完成し、当社の電力技術研究所で評価運転を実施して、SOFCコージェネーションシステムの実用化を目指します。
また、開発した50kW機をベースに50kW〜200kW程度までのシリーズ化を図り、これをエネルギーソリューションの重要なツールとして位置づけ、今後事業化について三菱重工業株式会社と共同で検討を進めていきます。
※1SOFC :[Solid Oxide Fuel Cell(固体酸化物形)]
※2内部改質 :電池内部で燃料(メタン等)から水素への改質反応が起こること
※3MOLB :[MOno-block Layer Built(一体積層型)]
(別 紙)
1.研究の背景
SOFCは全て固体で構成されるため形状に自由度があり、大別して平板形と円筒形の2種類があります。当社と三菱重工業株式会社は、平成2年より平板形の一種である独自構造の一体積層(MOLB)型SOFCの開発を進めてきました。平成10年には世界最高の出力密度0.35W/cm2を達成し、さらに平成12年には平板形のSOFCとしては世界最高の15kWの発電と7,500時間の運転に成功しております。
今回、これまでの成果を活用し、平板形SOFCとしては世界初の電気と熱(蒸気)を供給できるコージェネレーションシステムを開発します。
当社と三菱重工業株式会社が開発を進めるMOLB型SOFCは、以下に示す特長があります。
(1) 低コスト化が可能
? 電池の製造工程において、切断加工や切削加工が不要であること、連続生産が可能な湿式法による製造方法を確立していることから量産化による低コスト化が期待できる。
? 電池材料は全てセラミックスで特に高価な材料を使用していない。(2) コンパクト化に有利
? 動作温度が高いため、燃料となる天然ガス(メタン)の水素への改質反応が電池内部で起こる「内部改質」が可能であるので、改質器が不要でコンパクト化が可能。? 電池の中の発電に寄与する電解質に三次元化したディンプル構造を採用することにより、出力密度を向上させることに成功しており、コンパクト化に有利。(3) 長寿命
? 電池材料が全てセラミックスで、時間の経過とともに減少したり変化したりしやすい液体状のものを含まないので、耐久性に優れている。
<MOLB型SOFCの構造>
(注:この図は中部電力のHP
http://www.chuden.co.jp/press/saisin/fr_hamaoka.html を参照)
2.研究の概要
(1)50kW級パッケージ型システムの開発
電池モジュールの設計、電池モジュールへの燃料、空気の供給方法の検討、電池モジュールおよび排ガスからの排熱回収方法の検討等を実施し、電気と蒸気を供給できる50kW級パッケージ型システムの開発を行います。
< 目標性能>
(1)出 力 50kW
(2)発電効率 45%
(3)排熱回収効率 40%
(4)燃 料 天然ガス
(2)試験評価
開発した50kW級パッケージ型システムを当社の電力技術研究所に設置して運転し、性能評価を実施します。(15年度下期から16年度の予定)
3.今後の進め方
今回開発する50kW 機をベースに、50kW〜200kW程度までの小容量SOFCコージェネレーションシステムのシリーズ化を図り、これをエネルギーソリューションの重要なツールとして位置づけて、今後事業化について三菱重工業株式会社と共同で検討を進めていきます。
<開発機のイメージ図>
(注:この図は中部電力のHP
http://www.chuden.co.jp/press/saisin/fr_hamaoka.html を参照)
<MOLB型SOFCの単位ブロック>MOLB型SOFCの単位ブロック(1kW級ブロック 4個)(注:この写真は中部電力のHP
http://www.chuden.co.jp/press/saisin/fr_hamaoka.html を参照)------------------------------------------------------------------------平成14年9月18日 中部電力株式会社
溶融炭酸塩形燃料電池(MCFC)商用型1号機導入
〜廃棄物ガス化装置との組合せ研究を実施〜
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当社は、300kW級溶融炭酸塩形燃料電池(MCFC)の商用型1号機を新名古屋火力発電所構内に導入し、廃棄物ガス化装置との組合せ研究に着手しました。
MCFCと廃棄物ガス化装置との組合せ研究において、商用レベルのMCFCを用いて実証試験を行うのは、全国で初めてのこととなります。
今回導入する300kW級MCFCは、国のプロジェクトとして溶融炭酸塩型燃料電池発電システム技術研究組合(MCFC研究組合)が、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)から委託を受けて当社の川越火力発電所構内で現在試運転を実施している300kW級MCFCの技術を適用したものです。
このたび、300kW級MCFCの新名古屋火力発電所構内への設置がほぼ完了し、今後は付帯工事および試運転を実施して年内には発電を開始する予定です。
高温で作動するMCFCは、白金触媒を使用していないので一酸化炭素(CO)による触媒被毒の問題がなく、CO濃度が高い廃棄物ガスも燃料として利用することができます。
当社は、平成11年度から廃棄物ガスのMCFC燃料としての利用に関する基礎研究を実施してきましたが、いよいよMCFCが実用化段階になってきましたので、平成14年度から平成16年度までの3年間の計画で廃棄物ガス化装置と組合せた実証研究に着手しました。
当面は、廃棄物ガスを模擬したガスでの発電試験を石川島播磨重工業株式会社(社長:伊藤 源嗣 本社:東京都千代田区大手町二丁目2番1号)と共同で実施し、15年度以降に実際の廃棄物ガスと組合せた運転研究を行う予定です。
また、廃棄物ガス化とMCFCを組合せたシステムの実証試験を、平成17年の愛知万博会場において実施する方向で考えています。
近年、資源循環型社会の構築が重要な課題となっていますが、廃棄物発電を行ってエネルギーを回収している廃棄物処理施設は全体の一割程度に過ぎません。
これは、従来の蒸気タービンによる発電方式では、大規模な処理施設でないと十分な発電効率が得られないためです。その点、当社が提案する廃棄物ガス化とMCFCの組合せによる廃棄物発電では、小規模でも高い発電効率(40%以上)が得られるので、廃棄物の持つエネルギーを電気エネルギーと熱エネルギーに効率良く変換することができ、CO2削減にも有効な技術であると考えます。
<別 紙>
1.研究の背景
(1)燃料電池の種類と溶融炭酸塩形燃料電池(MCFC)の特徴
燃料電池には構成材料や動作温度の違いにより、溶融炭酸塩形、固体酸化物形、リン酸形、固体高分子形などの種類があります。
昨今話題になっている燃料電池自動車や家庭用燃料電池は、固体高分子形を利用したもので、燃料電池の中で最も低い温度(80℃)で動作するので扱いやすい反面発電効率はあまり高く得られません。また、使用している白金触媒が一酸化炭素(CO)で被毒されるので、CO濃度が高い廃棄物ガスの利用は困難です。
これに対して650℃で動作する溶融炭酸塩形燃料電池(MCFC)は高温の排熱を利用した複合発電が可能であるので、50〜65%の高い発電効率が得られます。また、MCFCは主要構成材料が金属であるため、燃料電池の中で最も大容量化に適しています。さらに高温で作動するMCFCは、白金触媒を必要としないので一酸化炭素(CO)による触媒被毒の問題がなく、CO濃度が高い廃棄物ガスも燃料として利用することができます。
燃料電池の種類と特徴
(注:この表は中部電力のHP
http://www.chuden.co.jp/press/saisin/fr_hamaoka.html を参照)
(2)溶融炭酸塩形燃料電池(MCFC)の開発
MCFCの開発は、溶融炭酸塩型燃料電池発電システム技術研究組合(MCFC研究組合)が、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)から委託を受けて国のプロジェクトとして進めてきました。当社は川越火力発電所構内に試験サイトを提供してMCFC研究組合の中で中心的な役割を果たしてMCFC開発をリードしてきました。
平成12年度〜16年度までの予定で実施中の第三期プロジェクトでは、将来の大容量化に向けた基本単位となる高性能モジュールと早期実用化を目指した300kW級小型発電システムの開発を進めており、300kW級小型発電システムは現在システムの試運転を実施中で、今年10月には川越火力発電所構内で発電を開始する予定です。
今回、当社の新名古屋火力発電所構内に導入する300kW級MCFCはこの技術を適用した1号機です。
MCFCの開発計画 (年度)
(注:この図は中部電力のHP
http://www.chuden.co.jp/press/saisin/fr_hamaoka.html を参照)
2.開発の概要
(1)廃棄物ガス化とMCFCの組合せ研究
廃棄物をガス化する方法としては、木材やプラスチックなどの可燃性廃棄物を部分燃焼させて水素と一酸化炭素を取り出す方法と、生ごみなどの有機性廃棄物をメタン発酵させてメタンガスを取り出す方法の2つがあります。
当社はこの2つのガス化方式について、平成11年度からMCFC燃料としての利用に関する研究を実施してきましたが、いよいよMCFCが実用化段階になってきましたので、300kW級MCFCの商用1号機を新名古屋火力発電所構内に導入して平成14年度から3年間の計画で廃棄物ガス化装置と組合せた実証研究に着手しました。
新名古屋火力発電所で実施する300kW級MCFCとの組合せ研究は、可燃性廃棄物から水素と一酸化炭素を取り出すガス化方式で実施する計画です。生ごみなどのメタン発酵に関しては、現在名古屋市他との共同研究を名古屋市の鳴海工場で進めております。
さらに、平成17年の愛知万博において、これら2つのガス化方式とMCFCの組合せシステムの実証試験を実施する方向で考えております。
(参 考)
<可燃性廃棄物の部分燃焼によるガス化>
(注:この図は中部電力のHP
http://www.chuden.co.jp/press/saisin/fr_hamaoka.html を参照)
<有機性廃棄物のメタン発酵によるガス化>
(注:この図は中部電力のHP
http://www.chuden.co.jp/press/saisin/fr_hamaoka.html を参照)
(2)研究の進捗状況と今後の予定
今年7月から300kW級MCFCの新名古屋火力発電所構内への設置工事を開始し、現在は、主要機器の設置がほぼ完了しました。今後は付帯工事および試運転を実施して、年内には発電を開始する予定です。
第一段階として天然ガスで運転してMCFCの基本性能を確認した後、廃棄物ガスを模擬したガスでの発電試験を石川島播磨重工業株式会社と共同で実施し、15年度下期以降に実際の廃棄物ガスと組合わせた発電試験を行う予定です。
新名古屋火力MCFC設置状況の写真
(注:この写真は中部電力のHP
http://www.chuden.co.jp/press/saisin/fr_hamaoka.html を参照)
■イベント紹介
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☆PEM−DREAMが参加するイベント(再掲)
・10月19日(土)20日(日)
環境博覧会すぎなみ2002
会場:高井戸地域区民センターおよびセンター前広場
参加自由です。組み立て教室や、ミニ燃料電池自動車にも乗れますよ。
・10月24日(木)
都市基盤整備公団総合研究所技術センター特別公開
場所:東京都八王子市石川町2683−1
参加自由です。詳しくは下記のHPで。
http://www.udc.go.jp/research/
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○燃料電池市民講座 http://www.pem-dream.com/citizen.html
○EVENT INFORMATION http://www.pem-dream.com/event.html
○燃料電池マイ・レポート http://pem-dream.com/report.html
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■世界のニュース〈10月)
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<輸送>
●パイパーがマイクロキャブ用の駆動系とサスペンションを提供
パイパー・インタナショナル・デザイン・グループは、マイクロキャブという新しい水素駆動燃料電池自動車用に設計された駆動系とサスペンションを提供する。このマイクロキャブは排気ゼロの三輪タクシーで、乗客を2人まで乗せることができ、最高時速30マイルのスピードを出す。
<定置型電源>
●DODが燃料電池システムを設置予定
米国国防総省燃料電池試験評価センター(FCTec)は、プラグパワー社製5kW住宅用の熱電併給型燃料電池システムを購入し、近々設置する予定である。このシステムは、幾つかの異なる製造メーカーのシステムの最初のもので、全米農村電化共同組合協会と提携して住宅用燃料電池の試験法を有効にし、発展させるためのDOD計画の一部として、FCTecによって購入、テストされる。
<携帯・予備電源>
●ヴァージン・アトランティックとエール・フランスが充電器を提供
エレクトリック・フュエル社は、ヴァージン・アトランティックとエール・フランス両社が Instant Power(TM)3-in-1携帯電話用充電器を2002年10月から乗客に提供すると発表した。この INSTANT POWER 3-in-1充電キットは、自動車用アダプターとUSB用アダプター、及び電気が利用できない場所で使う交換式の空気亜鉛パワーカートリッジの3つの機能がひとつになっている。また、これら3つのパワー源を利用者の携帯電話やPDAに接続するためのスマートコード(対応モデル用)もセットされている。
<燃料・改質器・貯蔵>
●ヘイクルーがGVBへ水素ステーションを供給
ヘイクルー社はハイドロジェン・システムズ社と、北アムステルダム市交通局(GVB=公共バス輸送機関)の水素燃料ステーション用設備として、ハイドロジェン・システムズ社の水素発生装置「IMET」を設置する契約を締結した。GVBは来年初めに、「ヨーロッパにおけるクリーン都市交通(CUTE)プロジェクト」に参加して、水素燃料の燃料電池バス3台を運行する。
注)IMET:Inorganic Membrane Electrolysis Technology 無機交換膜電解(IMET)小型水素発生装置。日本では住友商事とエア・ウォーター株式会社が出資する住商エア・ウォーター株式会社(旧住商ファインガス)が、ベネルックス住友商事会社を通じて取得した(2000年)日本における独占輸入権を持つ。同社は今後、既存の水素事業に加えて同装置を使ったミニオンサイト方式による水素販売や一部装置販売も行い、総合的な水素ガス事業を展開する。
<燃料電池コンポーネント>
●SwRIがMEAパイロット・プラントを開設
サウスウエスト研究所(SwRI)は、陽子交換膜(MEAs)と燃料電池システムの重要部品である燃料電池電極の大量生産のためのパイロット・プラントを開設した。このプラントは、米国エネルギー省の資金1200万ドルの契約の一部によって建設された。SwRIやW.L.ゴア&アソシエーツ社、ゼネラル・モーターズも資金援助を行っている。
<提案募集>
●DOEが燃料電池に関する提案募集
DOE(米国エネルギー省)は、定置用と自動車用燃料電池技術の研究開発に関する提案を募集すると発表した。この募集ではチームでの提案もできる。資金交付の対象には、DOEは選出された計画に対し2003年会計年度に700万ドルの割り当てを予定している。この募集に対する政府資金は、実証終結までに総額でおよそ7000万ドルにのぼる。この募集は2002年10月中旬まで受け付けている。
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■燃料電池ワールド
□毎週水曜日発行
□編集・発行:燃料電池NPO法人PEM−DREAM
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