燃料電池ワールド (2002/03/20 16:40)

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□燃料電池ワールド
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■Vol.041 2002/03/20発行

                   ◆燃料電池NPO法人PEM−DREAM

                        ◇http://www.pem-dream.com/

■お知らせ
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◇今週の新着『マイ・レポート』
・アメリカ・ドイツ燃料電池取材紀行・その3(富永良治)
○燃料電池マイ・レポート http://pem-dream.com/report.html

・宇宙空間で再生型燃料電池の利用(沼崎英夫)
・水素方式と改質方式の併用で共通スタンス――GMとトヨタ(沼崎英夫)
・アメリカ・ドイツ燃料電池取材紀行・その1(富永良治)
・アメリカ・ドイツ燃料電池取材紀行・その2(富永良治)

◇PEM−DREAM第3期事業計画懇談会(再掲)

 PEM−DREAMの第3期事業計画案について、皆さまからご意見が寄せられています。それらを元に、さらに多くのご意見をいただく懇談会を行います。ぜひ、ご参加ください。
・日時 3月23日(土)午後2時から
・場所 岩谷産業株式会社本社会議室(新橋)
・参加ご希望の方はメールでお知らせください。info@pem-dream.com

○2002年度(第3期)事業計画案
1.普及活動
(1)燃料電池教室(新規)
・4月から毎月1回開催。6か月を1クールとして事前に日程を発表する。
・テーマは自由で、楽しめるものにする。
例えば、
「燃料電池と私」「○○社の燃料電池」「定置型燃料電池の見学会」「番組制作現場で見た燃料電池」「燃料電池と学問」「水素と安全性」など。
・簡単なお話をしていただいて、参加者と自由懇談形式。
(2)燃料電池研究(新規)
・不定期で開催する。テーマは、教室よりも専門的・技術的なものとし、各種団体や研究機関等の方にお話していただく。その後、自由懇談。
(3)無料メルマガ『燃料電池ワールド』の発行(継続)
・これまで通り、メルマガの発行を行う。
・毎週水曜発行
(4)ビジュアル版メルマガ『燃料電池コンテンツ』(仮称)の発行(新規)
・燃料電池のビジュアル情報を、PDF形式の画像としてメルマガで配信する。
・不定期刊とし、毎回テーマを設定して発行。(例「東京モーターショウ」「水素ステーション」等)
・1コンテンツ毎にPEM−DREAMから送信。
・著作権フリーとする。
(5)HPの再開と充実(継続)
・HPを再開し、内容もデータ的な充実を図る。
(6)燃料電池体験キットの貸し出しと出張実演(継続)
・燃料電池体験キットを希望者に貸し出し、利用していただく。
・要望があれば、出張実演も行い、イベントにも参加する。
(7)「素人が取り組む燃料電池の制作」(新規)
・燃料電池を作ってみようというプロジェクトチームを作る。
・コアメンバーは10名程度とし、監修者を置く。
・協力企業を募り、助言や材料の提供などをお願いする。
・期間は1年とし、定例会を持ち、会合は公開する。
・運営その他すべてをチームで決めていく。記録を取る。
(8)燃料電池バスのキャンペーン(継続)
・燃料電池バスの早期運行を目指し、キャンペーンを強化する。
(9)燃料電池普及テキストの作成
・PEM−DREAM版燃料電池普及テキストを作成する。
(10)小学生向け宣伝物の作成
・6月の中野区環境フォーラムにあわせ、小学生向けの宣伝物を制作する。2.組織整備
(1)会員の拡大・財政基盤の拡充を図り、事務局体制と組織的運営を充実させる。(2)PEM−DREAMの新しい案内パンフレットを作る。
(3)2003年からの事務所を探す。

◇映画『猿の惑星』と燃料電池
映画『猿の惑星』の第1作は、1967年に製作され、翌年公開された。チャールストン・ヘストン主演で、猿のメーキャップや猿が人間を支配するという斬新な発想、そして衝撃的なラストシーンなどが話題となった。

当時のアメリカはベトナム反戦、人種差別反対闘争で揺れ動き、冷戦によって核軍備は拡大し続け、自然破壊や大気汚染などの環境問題も広がりつつあった。世界中で学生運動が激化し、日本でも東大闘争を始め多くの大学が閉鎖されていた。『猿の惑星』は、そうした文明をゆったりと批判したことで硬派SFの名作となり、4本の続編と2本のテレビ・シリーズが作られた。ショッキングなシーンといえば、チャールストン・ヘストンが全裸で登場したことくらいだろう(アーノルド・シュワルツネッガーも『ターミネーター』で全裸で登場した)。特別な戦闘シーンがあったわけではない。

昨年、同名の映画が公開された。『猿の惑星』21世紀バージョンである。猿のメーキャップはさらに精密になり、500種類の違う猿のマスクが登場する。宇宙飛行船がある惑星に不時着し、そこでは猿が人間を支配しており、不時着した主人公が猿の軍団と戦うというストーリーの骨組みは同じだが、ディティールは変わっている。

このリメーク版にFUEL CELLが登場していた。2029年に米空軍の深宇宙スペース・ステーション、オベロン号が宇宙探査基地を飛び立って2年が過ぎたところから映画は始まるのだが、その宇宙船に燃料電池が使われており、不時着した宇宙船にはたまたま燃料が残っていて、それを爆発させて猿軍団と戦う設定だ。

アメリカの有人宇宙船は初めから、電力と飲料水供給用に燃料電池が使われている。スペースシャトルの燃料は、大きいロケットには液体水素と液体酸素が、小さいロケットには過塩素酸アンモニウム(酸化剤)とアルミニウ ム粉末(燃料)をブタジエン合成ゴムでねって固めたものが使われている。映画のオベロン号は「永久核動力源」という訳がスクリーンに出ていたので、核物質が燃料とされているように思えるが、映画では燃料計のところに「FUEL CELL」と書かれていて、この文字がアップで映し出されるシーンもある。そして、その燃料を爆発させる。爆発の様子からガス爆発だということは理解できた。そうなれば燃料は当然水素だと思っていたら、爆発した炎は赤かった。水素の炎は青なのに。

2029年頃には燃料電池がかなりのウエイトを持って社会に存在しているだろう事を、ハリウッドは2001年の時点で観客に知らせているようにも思える。日本の燃料電池の導入目標は、2020年頃には、自動車が約500万台、定置用が約1000万kW、市場規模は約8兆円、雇用規模は約18万人とされており、その後の10年にはさらに導入が進んでいることだろう。アメリカの目標数値は聞いたことがないが、映画にも登場するところを見ると、市民の間では「FUEL CELL」の言葉と意味がかなり普及している状況だと考えられないだろうか。

赤い炎からは、GMとトヨタ、エクソンモービルが進めているCHF(クリーン・ハイドロカーボン燃料)を連想した。ガソリンエンジンにも燃料電池にも使える新しいガソリンとして開発されているCHFがもし実用化されていけば、ちょうどこの頃にはかなり普及しているはずだ。これがオベロン号にも積まれていて爆発したので、炎は赤かった?(そんなはずはないだろうが・・・) まあ、作り物の世界だからあまり考えるのは無意味かもしれない。

昨年、米エネルギー省(DOE)の「エネルギー効率と再生可能エネルギー・ネットワーク」(EREN)のホームページ(http://www.eren.doe.gov/hydrogen/)で、止まっている燃料電池自動車に他の自動車がぶつかって燃料漏れを起こした場合の実験写真を見たことがある。ガソリン車はガソリンが流れ出て火がつくので、火が回る形になり、燃料電池車の方は水素ボンベから高圧水素ガスが漏れて、火がついても上に噴出する炎となる。これは都市ガスの炎と同じ形で、青かった。

これを見て、水素の方が安全なようだと思っていたが、この実験は止まっている車に対してのものであり、炎の広がりに差があることは確かめられたが、乗員の安全とどうつながってくるかはもう少し解析が必要だと教えられた。

『猿の惑星』を機に、もう一度見てみようとアクセスしたが、見つけることはできなかった。こちらが下手だったのかもしれない。興味のある方は上記のアドレスから探してみることをお奨めするが、見つかるという責任は持てません。

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■イベント紹介
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 今週からメルマガの情報量を整理するために、イベント紹介のシステムを次のように変更します。
・新着のイベント情報は、1回目の週だけ内容を全文メルマガで紹介します。
・再掲となるイベントは、HPにイベント紹介コーナーを設置して公開しましたので、メルマガではタイトルのみ紹介し、内容はHPでご覧ください。
●シンポジウム「次世代エネルギーとこれからの暮らし」(3月27日)

 ポスターの画像をHPに掲載しました。なお、予約無しで当日のご参加もできます。
●レスター・ブラウン氏の講演会&エコ・ネットワーキングの会(5月12日)
●第9回燃料電池シンポジウム(5月15〜16日)

○EVENT INFORMATION http://www.pem-dream.com/event.html

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■世界のニュース〈3月)
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<輸送>
●UTCと日産が開発契約に調印〔アメリカ・日本〕

 UTCフュエル・セルズ社は日産自動車との開発契約に調印し、自動車向けの燃料電池コンポーネントの共同開発を行う。この契約により日産の提携会社であるルノーも開発プロジェクトに加わる。

<定置型電源>
●UTCがブラジルで燃料電池を設置〔アメリカ・ブラジル〕

 ブラジルの石油・ガス・エネルギー会社であるペトロブラスは、リオ・デ・ジャネイロにある調査開発センター(CENPES)にUTC PC25TM燃料電池パワープラントを1基設置した。このユニットは200kWの電力と毎時90万Btusの有効熱量を発生させるもので、CENPESの設備に確実に動力供給できる。

●プロトンが住友商事との共同開発同意書に調印〔アメリカ・日本〕

 プロトン・エナジー・システム社は住友商事と、PEM型を基本とする再生型燃料電池と、水素発生システムの開発・販売・アフターサービスに関する共同開同意書に調印した。これには、プロトンの HOGENR, UNIGENR, and FuelGen 製品の日本市場への販売・アフターサービスも含まれる。

<携帯電源>
●ニア・パワー・システムズが資金提供を受ける〔アメリカ〕

 ニア・パワー・システムズ社は先週、フレイジャー・ベンチャーズ・アンド・アルタ・パートナーズの第2期資金提供で500万ドルを受け取った。この資金は、携帯電源装置の分野でリチウム・イオン・バッテリーに代わるものとして期待されているバッテリーサイズのダイレクト・メタノール型燃料電池の開発目的に使用する、とニア・パワー・システムズ社は述べている。同社は最初の燃料電池製品のマーケティングを、2004年までに開始する計画である。

●ペンシルバニア州がDCH遠隔操作燃料電池を購入〔アメリカ〕

 ペンシルバニア州環境保護省(DEP)は、2基の30W級 DCH Enable TM 遠隔操作システムを購入した。大気質サンプリング機器とデータ測定器と、利用価値のある州内の2つのサイトでのワイヤレス接続設備への電力供給が目的である。配置予定はこのシステムの今月の支払い完了後である。

<燃料電池コンポーネント>
●EVIが燃料電池の大発見を発表〔カナダ〕

 エナジー・ヴァージョン社(EVI)は、ダイレクト・メタノール型燃料電池(DMFC)開発プログラムにおいての大発見を発表した。新デザインの電極実験により燃料電池のパワーと効率を向上させることが可能であるとわかり、2002年春の軍事利用向け試作スタックに、この新デザインの電極を取りつけて実演を行う予定である。

<提案要求>
●CERLの機関公募〔アメリカ〕

 米国陸軍エネルギー構築調査研究技術部隊(CERL)は、軍事施設内の居住地区向けに開発された国産のPEM型燃料電池の実演に関する提案を広く一般より受け付けている。対象はあくまでも国産の1〜20kWまでの住居向けPEM型燃料電池のみである。2002年会計年度に利用可能な約300万ドルの資金があり、希望している企業からの事前提案の期日は3月29日である。

<その他>
●スペリアー・プロパンがグローバル・サーモエレクトリックとエンブリッジとのMOUに調印〔カナダ〕

 スペリアー・プロパン社は、グローバル・サーモエレクトリック社とエンブリッジ社が結んでいる協力関係に加入する覚書(MOU)に調印し、カナダでのグローバル社の固体酸化物型燃料電池(SOFC)開発を担当する。この覚書によって、スペリアー社とエンブリッジ社は、スペリアー社が、グローバル社が開発するプロパン共用型SOFC製品の担当となることで、サブライセンス協定を進展させたいとしている。

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■燃料電池ワールド
 □毎週水曜日発行
 □編集・発行:燃料電池NPO法人PEM−DREAM 

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