燃料電池ワールド (2002/03/06 13:20)

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□燃料電池ワールド
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■Vol.039 2002/03/06発行

                   ◆燃料電池NPO法人PEM−DREAM

                        ◇http://www.pem-dream.com/

■お知らせ
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◇PEM−DREAM第3期事業計画懇談会

 PEM−DREAMの第3期事業計画案について、皆さまからご意見が寄せられています。それらを元に、さらに多くのご意見をいただく懇談会を行います。ぜひ、ご参加ください。
・日時 3月23日(土)午後2時から
・場所 新橋周辺の予定
・参加ご希望の方はメールでお知らせください。info@pem-dream.com

●2002年度(第3期)事業計画案(再掲)
1.普及活動
(1)燃料電池教室(新規)
・4月から毎月1回開催。6か月を1クールとして事前に日程を発表する。
・テーマは自由で、楽しめるものにする。
例えば、
「燃料電池と私」「○○社の燃料電池」「定置型燃料電池の見学会」「番組制作現場で見た燃料電池」「燃料電池と学問」「水素と安全性」など。
・簡単なお話をしていただいて、参加者と自由懇談形式。

(2)燃料電池研究(新規)
・不定期で開催する。テーマは、教室よりも専門的・技術的なものとし、各種団体や研究機関等の方にお話していただく。その後、自由懇談。

(3)無料メルマガ『燃料電池ワールド』の発行(継続)
・これまで通り、メルマガの発行を行う。
・毎週水曜発行

(4)ビジュアル版メルマガ『燃料電池コンテンツ』(仮称)の発行(新規)
・燃料電池のビジュアル情報を、PDF形式の画像としてメルマガで配信する。
・不定期刊とし、毎回テーマを設定して発行。(例「東京モーターショウ」「水素ステーション」等)
・1コンテンツ毎にPEM−DREAMから送信。
・著作権フリーとする。

(5)HPの再開と充実(継続)
・HPを再開し、内容もデータ的な充実を図る。

(6)燃料電池体験キットの貸し出しと出張実演(継続)
・燃料電池体験キットを希望者に貸し出し、利用していただく。
・要望があれば、出張実演も行い、イベントにも参加する。

(7)「素人が取り組む燃料電池の制作」(新規)
・燃料電池を作ってみようというプロジェクトチームを作る。
・コアメンバーは10名程度とし、監修者を置く。
・協力企業を募り、助言や材料の提供などをお願いする。
・期間は1年とし、定例会を持ち、会合は公開する。
・運営その他すべてをチームで決めていく。記録を取る。

(8)燃料電池バスのキャンペーン(継続)
・燃料電池バスの早期運行を目指し、キャンペーンを強化する。

(9)燃料電池普及テキストの作成
・PEM−DREAM版燃料電池普及テキストを作成する。

(10)小学生向け宣伝物の作成
・6月の中野区環境フォーラムにあわせ、小学生向けの宣伝物を制作する。

2.組織整備
(1)会員の拡大・財政基盤の拡充を図り、事務局体制と組織的運営を充実させる。(2)PEM−DREAMの新しい案内パンフレットを作る。
(3)2003年からの事務所を探す。

◇第2回燃料電池自動車国際シンポジウム報告(前半)

 昨年の第1回シンポジウムからちょうど1年、同じ日(3月1日)に、同じ場所(国連大学)で2回目が開催された。300余の席は満杯で、20代、30代の若い人が増えた気がする。

 この1年の間に、アメリカでは「カリフォルニア燃料電池パートナーシップ」が始まり、16台の燃料電池自動車が走行試験を行っている。今年はサクラメント、リッチモンド、パームスプリングスなどに水素ステーションが建設され、水素の実用化に向けた実証試験がさらに拡大される。ヨーロッパでは欧州連合によるCUTEプロジェクト(詳細後述)が、昨年11月から開始されている。そして日本でも、燃料電池自動車が公道を初めて走った。燃料電池開発の世界3拠点で、それぞれ実用化に向けた試みが前進している。

 今年のシンポジウムでは、新しい経験を踏まえた報告と今後の課題についての考察が述べられた。
 まず、プログラムを紹介しよう。
◇プログラム
[特別セッション]国内外における燃料電池自動車の実用化・普及への取組
・燃料電池自動車の将来―2010年以降の従来車との共存と競合に向けて―

  早稲田大学理工学部教授               大聖 泰弘
・カリフォルニア州における燃料電池自動車の普及:
 カリフォルニア州燃料電池パートナーシップ 他の最新情報

  米国カリフォルニア大気資源局チェアマン       アランC・ロイド
・欧州連合における燃料電池自動車の推進
  欧州委員会エネルギー・運輸総局

   新エネルギー・需要管理担当局長          ギュンター・ハンライヒ
[セッション1]燃料電池自動車実走行実証試験の動向
・燃料電池自動車導入への課題

  (独)交通安全環境研究所環境エネルギー部長     小高 松男
・トヨタの燃料電池自動車開発について

  トヨタ自動車株式会社FC企画室室長         河合 大洋     
    
・Hondaの燃料電池車・開発の現状と課題
  株式会社本田技術研究所

   和光基礎技術研究センター上席研究員        川口 祐冶
・マツダ・プレマシーFC−EVの紹介と公道走行試験について
  マツダ株式会社プラットフォーム・プログラム開発推進本部

   第5プラットフォーム・プログラム開発推進室主査  柏木 章宏
・GMの燃料電池自動車プログラム
  ゼネラル・モーターズ世界代替動力源センター

   日本事務所マネジャー               ジョージP・ハンセン[セッション2]パネルディスカッション
【テーマ】実用段階に来た燃料電池自動車の市場投入に向けた課題と今後の方策について
  ○コーディネーター

   早稲田大学理工学部教授              大聖 泰弘
  ○パネリスト

   米国カリフォルニア大気資源局チェアマン      アランC・ロイド

   欧州委員会エネルギー・運輸総局担当局長      ギュンター・ハンライヒ

  (社)日本自動車工業会安全・環境技術委員会電動車両技術部会

    燃料電池自動車分科会副分科会長         田村 英之

   自動車評論家、日本EVクラブ代表         舘内 端

   (独)交通安全環境研究所環境エネルギー部長    小高 松男

   国土交通省自動車交通局技術安全部長        宮嵜 拓郎

 実質6時間にわたったシンポジウムで理解できた主なことは、次の諸点である。
・燃料電池自動車はガソリン低公害自動車と共存競合の関係になるだろう。
・現状では自動車として走らせることができたというレベルで、商品として競争力を持たせるには技術的な課題がまだまだ多い。
・燃料については、圧縮水素を圧力を高めて使っていこうという傾向が世界的に強まっている。
・水素の供給インフラ整備に多くの投資が向けられ始めた。
・社会的な認知度を向上させることが急務であり、燃料電池バスの役割に熱い視線が集まっている。

 世界の自動車メーカーからいろいろな燃料電池自動車が発表されていて、そうしたデータを整理したものや、これまでの開発経過と到達点などが、豊富な写真と数字で報告された。

 最も具体的だったのは、マツダの走行試験データの報告だ。プレマシー1.8LモデルをベースにしたプレマシーFC−EVは、サイズはほとんど変わらないのに、重量は1300kgから1850kgへと重くなったこと、モーターは65kWの出力だったが、一般の公道走行には支障のない出力だったこと、しかし加速性能においては商用車(ガソリン車)の中位の性能で、乗用車としてはもう少し性能が欲しかったこと、アクセルを踏み込んだときはスピードが出るまで1〜2秒かかり、ストレスとなること、排気ガス中の湿度がとても強かったこと、アンケートでは振動・乗り心地面では良かったが、指導性と加速性能ではもうひとつという結果だったこと等々、実測データをもとに説明された。そして、燃料電池車はガソリン車が使っていなかった材料をたくさん使っているので、リサイクルを考えて市場投入しなければならないという課題も提起された。

 欧州連合のハンライヒ氏からは、CUTEプロジェクトの詳細が語られた。CURTとは、Clean Urban Transport for Europe の略で、EUが1984年から始めた研究開発枠組計画(RTD)の第5次計画(1999〜2002)で立ち上げられ、2001年11月から5カ年計画で始められた。元はエネルギー部門の非原子力の技術実証プログラムで行われた。ヨーロッパの9都市で水素ガスによる30台の燃料電池バスを走らせる、総額5200万ユーロの実証走行プロジェクトである。

 このうち、27台が3年間、公共輸送機関で使われる。アムステルダム、バロセロナ、ハンブルグ、ロンドン、ルクセンブルグ、マドリッド、ポルト、ストックホルム、シュトゥットガルトという立地や気候の異なる都市で、燃料電池バスがどんな性能を出すのか、それらを科学的に比較するためである。これにはヨーロッパの主要なガス・石油会社も参加し、水素供給インフラを整備する。水素を作るためのエネルギー源には、風力(10%)、太陽光(10%)、水力(20%)、天然ガス(40%)、原油(20%)が使われる。

 ハンライヒ氏は、「現段階での焦点は、公共のフリート(輸送)だ。水素インフラの整備は高価でむずかしい。燃料電池バスのような車両で、毎日車庫に戻ってくる車、それなら燃料の供給もでき、データも取れる。安く、確実にできる。第6次計画ではバス以外の車も行うが、始まりはバスがいい。ローカルなところでもクリーンな輸送機関を持とうとしており、支援したい。実例を市民に見せることが大事だ」と語った。(以下、次号)
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■イベント紹介
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●シンポジウム「次世代エネルギーとこれからの暮らし」
◇日 時 3月27日(水)13時開場、13時30分開演
◇会 場 ウィルホール(ウィルあいち・愛知県女性総合センター4F、名古屋市東区上竪杉町1番地)
◇内 容
基調講演:「地域づくりと次世代エネルギー」
       芝浦工業大学教授   平田 賢 
パネルディスカッション:「次世代エネルギーとこれからの暮らし」
   パネリスト  東京農工大学大学院教授   柏木 孝夫
          WE-NET推進室長      岡野 一清

          女優            中野 良子   
     愛知県産業労働部長     宮本 武史
   コーディネーター  NHK解説委員     小出 五郎
◇申し込み方法:はがき または電話、FAXにて3月12日(火)までにお申し込み下さい。 
〒461-0005 名古屋市東区東桜1-13-3 NHK名古屋放送センタービル13F
(株)NHK中部ブレーンズ シンポジウム「次世代エネルギーとこれからの暮らし」係

  TEL 052-952-7381 FAX 052-952-7370
 尚、定員になり次第申し込み受け付けを終了いたします。

●第9回燃料電池シンポジウム
◇主 催 燃料電池開発情報センター(FCDIC)
◇会 期 5月15日(水)〜16日(木)受付9時から
◇懇親会 5月15日(水)18:00〜20:00
◇会 場 池之端文化センター(東京上野不忍池畔)
◇講演内容 燃料電池関連分野の研究・調査・試験結果・新しい企画・製品紹介など

 (プログラム概要は3月25日頃FCDICホームページに掲載予定)
◇参加登録予約期限 4月26日(金)
 (満員になり次第締め切る場合があります)
◇参加申込方法

 1.FCDICホームページから「第9回燃料電池シンポジウム参加申込書」をダウンロードする。
    FCDICホームページ http://www.fcdic.com
 2.必要事項を記入する。

 3.参加費の振込票兼受領書(郵便振込)、または振込金受領証(銀行振込)等のコピーを添えて、

 4.FAXまたは郵送にて申し込む。(Webによる受付はしておりません)

 5.申し込み後に、「参加証」および「プログラム概要」が郵送される。
◇参加費
・シンポジウム(予稿集1冊の代金を含む)
       参加登録    予約期限以降
       予約の場合   および当日
  会 員  8000円  10000円
  準会員 10000円  12000円
  非会員 15000円  17000円
  学 生  8000円  10000円
・懇親会は、一律10000円
(準会員とは、共催・講演・協賛団体の会員と職員)
◇参加費・懇親会費支払方法(払込手数料は負担してください)
・銀行振込
  銀行名:第一勧業銀行/神田支店
  普通預金口座:007-1719510
  口座名:燃料電池シンポジウム
・郵便振替
  口座番号:00120-2-766945
  加入者名:燃料電池シンポジウム
*一旦支払った参加費の払い戻しはしません。また、請求書が必要な場合は、申込書の通信欄にその旨を記入すること。
◇申込先・問い合わせ先
 燃料電池開発情報センター
  〒101-0052 東京都千代田区神田小川町2-1-7
                 日本地所第7ビル5階

  TEL 03-3296-0935 FAX 03-3296-0936
  E-mail fcdic@po.iijnet.or.jp

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■世界のニュース〈2月)
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<輸送>
●トヨタが燃料電池リサーチセンターを設置〔日本〕

 トヨタ自動車は、自社の燃料電池開発をサポートするための燃料電池リサーチセンターを設置する。この新しいセンターは、社内の各部門で処理されている現在の調査研究を統合するためのもので、450人の従業員によって運営される事になっている。

<定置型電源>
●プロトンがNASAとの契約を完了〔アメリカ〕

 プロトン・エナジー・システムズ社はNASAと、先進的な固体1kW級UNIGENの一体再生型燃料電池システム(URFC)に関する契約を完了した。NASAは、プロトン社のUNIGEN一体再生型燃料電池システムを無重力や微小重力環境下でのエネルギー貯蔵技術の実験用に選択した。

 この先進的な燃料電池システムは、ファンやコンプレッサー、ポンプのような回転部品を除いて合体させており、この開発はベンチャー企業育成の新システム(SBIR)プログラムの一部として、NASAと60万ドルで契約されて実施された。

●テレダインがDOEとの契約を修正〔アメリカ〕

 テレダイン・エナジー・システムズ社は、エナジー・パートナーズ社によって始められた継続的研究のもとでの米国エネルギー省(DOE)へのPEM型燃料電池システムの供給に関する契約の修正を行った。2002年の供給は予定より遅れているが、7kW級試作システムは天然ガスを供給され、自動車用と定置用の両方が直面する似たような操作状況下でのPEM型燃料電池システムの操作特性をDOEは評価することになる。

<燃料・改質器・貯蔵>
●テレダインが水素発生装置を出荷〔アメリカ〕

 テレダイン・テクノロジーズ社は、H20asis水素ガスステーションを披露した。これはオンサイト水素生産向けに開発されたもので、来月にはユニットの出荷を予定している。H20asisは、5000ポンド/平方インチまでの圧力のもとで1500scf/時間以上の水素を発生させることができる。(注:scf:standardcubic feet=0.028m3)

<燃料電池コンポーネント>
●NRELが燃料電池プロジェクトの請負契約を獲得〔アメリカ〕

 コロラド・スクール・オブ・マインズ(注:コロラド州の州立大学)は、固体高分子膜型燃料電池用の新しい電極触媒の開発のために国立再生可能エネルギー研究所を選び、110万ドルの請負契約を結んだ。

●DHCが水素センサーを供給〔アメリカ〕

 DHCテクノロジー社は、発電事業におけるサプライヤーのアプライド・アナリティクス社と、12基のH2SCANセンサーシステムの契約を結んだと発表した。アプライド社はこのシステムを、大型タービン発電装置の冷却用に使われる水素をチェックする新しいセンサーとして、古いものと交換して使用するとしている。

<提案要求>
●DGとCHPプロジェクトに利用できるNYSERDA基金〔アメリカ〕

 ニューヨーク州エネルギー調査・開発局(NYSERDA)は、分散型電源(DG)システム、コンポーネント、関連する電源システム技術を支援する新製品開発の新規プログラムに向け、多様な資金共有契約に1000万ドルまで提供する。NYSERDAは、新製品開発のための初期投資として400万ドルまで分配し、新コンバインド・ヒート&パワー発電(CHP)の実証のために残りの差額分を分配する予定だ。分散型電源の技術には、燃料電池、マイクロタービン、レシプロエンジンなどがふさわしいとしている。

<その他>
●CASがPEM型燃料電池プログラムに着手〔中国〕

 中国科学院(CAS)は、固体高分子膜(PEM)型燃料電池プログラムに3カ年計画で総額100万元(1200万ドル)以上の投資を行い、開発に取り組む計画をしている。燃料電池の工業生産と商品化、特に中規模の溶融炭酸塩形燃料電池パワープラントなどが主な対象となる。

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 □編集・発行:燃料電池NPO法人PEM−DREAM 

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