山之内 秀一郎「なぜ起こる鉄道事故」

     

評価・状態: 得られるものが秀逸・多量な本★★★



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この本からの引用、または非常に関連する記事

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記事ページ 発行:

 

阪急神戸線六甲駅列車衝突事故

記事ページ 発行: 2007年04月13日

鉄道事故 - Wikipedia

>阪急神戸線六甲駅列車衝突事故
1984年(昭和59年)5月5日 11時30分頃
阪急神戸本線六甲駅構内で、本線に出てきた上り回送列車(山陽電鉄3050系4両編成)に、同駅を通過していた上り特急列車(阪急電鉄2000系8両編成)が衝突。特急電車の前部3両と、回送列車の4両が脱線し、負傷者72名を出した。回送列車の運転士(山陽電鉄の運転士)が故意に自動列車停止装置(ATS)のスイッチを切り、車掌の合図と信号を無視して定刻より早く発車したことが原因。ゴールデンウィーク中であったため、特急列車は満員状態であった。また事故時には、反対方向へ向かう普通列車が同駅に向かって走行しており、衝突した特急列車の運転士(阪急電鉄の運転士)が異常を知らせるために重傷を負いながらも線路上を大阪方へ向かって走ったことにより、二次的事故を免れたとされる。当該車両のうち、損傷の酷かった阪急2000系2050号車が廃車となった。



関連:
山之内 秀一郎「なぜ起こる鉄道事故」
http://star1ban.blog18.fc2.com/blog-entry-272.html

2005年 4月25日、JR福知山線脱線事故に関して(fuk_0512110) @ みんちか
http://www.h5.dion.ne.jp/~wing-x/ezhtml/ezh/fuk_0512110.html

 

鉄道会社に就職する人へのおすすめ本

記事ページ 発行: 2008年03月20日

ある人から来たメールの返答として、鉄道会社に就職する人へのおすすめ本を書いてみる。

なお、私は、鉄道業界関係者ではない。鉄道ファンの一人である。比較的広い視野で鉄道をとらえていると自負している。


● 安全第一。

山之内 秀一郎「なぜ起こる鉄道事故」


前述のとおり、私は鉄道業界関係者ではないのだが、就職活動の際に何社か鉄道会社の採用選考を受けている。JR貨物の採用1次試験(合格)の作文で、「鉄道貨物輸送の利点のひとつは、その安全性だ」という内容の文章を書いた。

その論を今、発展させ、言語化する。商業輸送というのは、必要とされる場所に、必要とされる財を配置することによって、価値を上げる(:社会の生産性をあげる)行為なのだが、それ自身は生産行為ではない(無から有を生じさせる行為ではない)。

事故が、時間のロスや物品の損失にとどまるならば、それは、輸送行為によって高められた生産性と相殺可能かもしれない。しかし、人が怪我したり、死亡したりすれば、生産行為可能なものをある期間あるいは永久に減じめることになり、それは、生産性を向上させた成果では相殺できない。

現在の鉄道は統計的な見方をしても事故がほとんど起こらないので、鉄道事故に関する実感を養うのは難しい。阪神大震災前の関西人が、地震に対して備えなかったどころか地震そのものを全く考えていなかったようにである。

鉄道事故に関して、知識を備える必要がある。

「なぜ起こる鉄道事故」には、過去の事故が、鉄道発展の歴史とともに紹介されており、現在の鉄道の安全対策の起源がわかる。


● 最新の鉄道技術を知る。

月刊誌「鉄道ジャーナル」
「鉄道ジャーナル」公式

鉄道技術とは車両の機械・電気技術にとどまらず、列車の運行技術などを含む。月刊誌「鉄道ジャーナル」がよい。カラー面が多く、写真が多用されており(紙も高品質である)、鉄道ファンでなくても「こんな世界があったのか」*と楽しめる。読んでいく中で、気になったところを深く調べればよいであろう。

* 「こんな世界があったのか」というのは、大学院時代に研究室でいわれた言葉。研究室の雑誌置き場に「鉄道ジャーナル」を置いていた。


● 鉄道に関わる行為は「組み合わせ」である。

ジェームス W.ヤング「アイデアのつくり方」


鉄道の現業に関わらない場合、自社路線を活用させる仕事、つまり鉄道を利用する仕事をすることになると思う。

鉄道を利用するとは、鉄道と鉄道、あるいは鉄道と他の何かを組み合わせる行為である。「組み合わせ」の行為こそ「アイデア」にあたるのだと知る上で、本書は有益である。

関連:
鉄道は、行為として、知的で文化系である


● 就職先の会社の直近の過去を知る。

インターネットの利用が便利

会社の設立経緯や名経営者に関して知っておくのは損ではないが、すぐさま役立つものではない。必要なときに調べればよいし、調べるのは比較的容易である。それよりも、ここ10年ぐらいの、その会社の方針・施策・事件について知ることが役立つと思う。

入社したときに、上の人たちはその知識を前提として話をしているだろう。新入社員に対しては簡単な説明をつけてくれるだろうが、上の人同士では当然説明なしで話がされる。もし、その知識をもっていれば、上の人同士の話を理解でき、血肉にできるのだ。

このような直近10年ぐらいの、特定鉄道会社の方針・施策・事件を知るにはどうしたらよいか。「直近10年ぐらい」という点において、書籍は不向きである。「特定鉄道会社の」という点で、雑誌で調べるのは骨が折れる。ある程度の期間のバックナンバーを探し、その中から目当ての鉄道会社の記事を探さねばならない。

インターネットの利用が便利である。沿線には、その鉄道会社を観測し、ネットに情報を蓄積している人がいるものである。なお、「○○駅に特急を止めろ」などの沿線民エゴに、耳を貸す必要はない。

手前みそだが、みんちかりぶ [図書館] 〜関西民鉄・地下鉄のニュースアーカイブ〜では、関西私鉄の 2001年3月〜2003年 6月におけるニュースをほぼ網羅している。

 

事故は体系的、戦略的に対策を打てば減る

記事ページ 発行: 2008年08月15日

山之内 秀一郎 : なぜ起こる鉄道事故 (朝日文庫, 2005) p.305.

>事故は体系的、戦略的に対策を打てば減るのである。

山之内氏の文章は、「体系的、戦略的」で一つの意味を為している。

「体系的、戦略的」とは、トップダウン形態であることを意味する。

それには、以下の3項目が必要だと考える。

  • マスタープランやロードマップを策定する。 *1
  • 上級管理者を資源 *1 として投入する。
  • 資源を集中投入する *2 。

*1 :
戸部 良一, 寺本 義也, 鎌田 伸一, 杉之尾 孝生, 村井 友秀, 野中 郁次郎 : 失敗の本質―日本軍の組織論的研究 (中公文庫, 1991) pp.344-345.

>組織の戦略とは、外部環境の生みだす機会(opportunities)や脅威(threats)に適合するように、組織がその資源を蓄積・展開することである。

>そのためには、まず組織はその戦略的使命(ストラテジック・ミッション)を定義しなければならない。つまり、軍事組織として環境要因のなかにいかなる機会・脅威が潜在的に存在するかを主体的に洞察し、彼(敵)と我(味方)の強みや弱みを相対的に分析し、いかなる方向と領域で我の資源を最も効果的に展開するかについての基本的なデザインを描かなければならない。

*2 :
クラウゼヴィッツ=著 篠田英雄=訳: 戦争論 (上) (岩波書店, 1968) p.314.

>戦術と戦略との差異に関する結論は、―― 戦術は兵力を小出しに(継続的に)使用しても差支えないが、戦略は兵力を必ず同時的に使用せねばならない、ということである。


 

「事故は体系的、戦略的に対策を打てば減る」にもう一つの解釈

記事ページ 発行: 2008年08月15日

山之内 秀一郎 : なぜ起こる鉄道事故 (朝日文庫, 2005) p.305.

>事故は体系的、戦略的に対策を打てば減るのである。

私は、山之内氏の意図とは反するが、「体系的」という言葉のみを取り出すことにより、別の考えをもった。

  下層構成員のボトムアップ思考により、事故を減少する

である。

下層構成員が眼前の事故原因ではなく、事故原因の上位階層にある問題を見つけ、対処する *1。

なぜを n 回繰り返し(n=5, 6)、事故原因の上位階層にある問題を見つける。

その問題に対処する。

すると、同時に複数の問題(:事故)を解決できる。
*1 :
畑村 洋太郎 : 畑村式「わかる」技術 (講談社現代新書, 2005) p.126.

>あなたが課題設定でいちばんに目指すべきは、目の前の問題をすぐに課題にすることではなく、上位にある大きな問題を課題だと設定することです。


 

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