燃料電池ワールド Vol.2018 (2015/12/24 09:22)

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□燃料電池ワールド Vol.2018
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■2015年12月24日発行

                    ◆燃料電池NPO pemdream

                    ◇http://pemdream.com

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■世界のヘッドライン(11月27日)
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2015/11/27 パシフィック・ノースウェスト国立研究所とプロトン・オンサイト社、1つの装置で水素の製造と貯蔵

〔訳注〕パシフィック・ノースウェスト研究所(Pacific Northwest National Laboratory:PNNL)とプロトン・オンサイト社(Proton OnSite)の研究者たちは、「フロー・セル(flow cell)」と呼ぶ新しい技術の最初の試作品を開発中である。「フロー・セル」は、プロトン交換膜型電解槽(proton exchange membrane electrolyzer)とレドックス・フロー電池(redox flow battery)の2つの確立された技術を構成要素として結合する。エネルギー先端研究計画局(Advanced Research Projects Agency-Energy:ARPA-E)の2015資金調達オープン・プログラム(ARPA-E’s OPEN 2015 program)でそれぞれ約1億2500万ドルが、プロジェクトの合計で3年間約2億5000万ドルが授与された。

2015/11/27 家庭や商業ビルに設置された燃料電池ベースのマイクロ熱電併給ユニット、電力網に不可欠なネットワーク・サービスを提供できる

〔訳注〕今年10月11日に公開された最新のエネ・フィールド(ene.field)プロジェクト報告書は、エネ・フィールド・プロジェクトの他のパートナーとともにデンマーク工科大学(Technical University of Denmark:DTU)によって編集された。産業界と欧州委員会(European Commission)の燃料電池水素共同実施機構(Fuel Cells and Hydrogen Joint Undertaking:FCH-JU)が共同出資している「エネ・フィールド」プロジェクトは、欧州諸国11カ国の家庭に1000基の燃料電池マイクロ・コージェネを配置する。2012年から2017年の間実施されるプロジェクトは、暖房とエネルギー産業の26のパートナーが参加し、2600万ユーロのEU資金が投与されるヨーロッパ最大のプロジェクトである。過去6カ月間にプロジェクトは、合計300以上のユニットを設置した。

2015/11/27ITMパワー社、高度な水素燃料補給プロジェクト「パイドロス」を完了

〔訳注〕ITMパワー社(ITM Power)は、電解によるオンサイト生産を含む全ての電気化学的水素供給ステーションの開発に焦点を当てた3年間の「パイドロス(Phaedrus)」プロジェクトの完了を発表した。同社は、高電流密度で75%までのシステム効率と、高圧で水素を200kg/日を配送することができる電解槽の設計を開発した。

■2015年12月22〜23日のWEB LINK NEWS

2015/12/22 温暖化対策で米国がまた身勝手を言いそうな理由 米国の環境対策はどんな力学で動いているのか?(JBpress 桃田 健史)
■ 環境対策でイニシアチブを取れない連邦政府

 CO2規制などの環境問題を管轄する連邦政府の機関は、エネルギー省(DOE)だ。

 これまでの筆者の米国での経験から、DOEが全米規模の環境対策を打ってきたとは思えない。メーカーや研究機関の開発に対する補助金はばら撒くが、DOEが自ら率先してEVや燃料電池車、さらにはスマートグリッドに対する具体的なアクションをとることはなかった。

 様々なカンファレンスで登壇するDOE関係者は皆一様に学者が描くような「理想論」と「ありモノの数字」を並べることが多い。

 また連邦政府には、環境保護庁(EPA)があるが、彼らも自動車の燃費の表示方法などの法整備は行っても、率先して何かをするということはない。むしろ全米50州の「取りまとめ役」という印象が強い。

 結局、アメリカにおいて環境対策を行うのは、50あるそれぞれの州である。

 その代表例が、ZEV(Zero Emission Vehicle)規制を掲げるカリフォルニア州だ。州法に過ぎないZEV規制が50州のいくつかと連携するという現状は日本人には違和感があるだろうが、アメリカではカリフォルニア州環境局と連邦環境局による「ダブルスタンダード」に近い「奇妙な関係」が長年にわたり継続している。

 また、自動車関連の環境対策では、アメリカ自動車技術会(SAE)の存在が大きい。なかでも特にゼネラル・モータース(GM)が大きな影響力を発揮している。

 アメリカが、自動運転、燃料電池車、EVの充電インフラなどについて日本や欧州と協議する際、アメリカ側代表者の主役となるのがSAEである。アメリカでクルマ関連の法規制を行うのは、運輸省(DOT)と、DOTが所管する道路交通安全局(NHTSA)だが、対外的な交渉ではSAEが先頭に立ち活発に活動するという構造だ。

 要するに、アメリカで温室効果ガスを主体とする環境問題を推進する場合、連邦政府の実行力は相対的に弱いのである。各州政府がそれぞれの産業特性や州税の大小によって政策を立案する。そして、各種業界団体が州政府および連邦議会に対するロビー活動を繰り広げている。

 一枚岩ではないアメリカ。今後、連邦政府は各方面からの「働きかけ」によって「パリ協定」に対する「修正案」を提示せざるを得ない状況になるかもしれない。
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20151222-00045578-jbpressz-bus_all

2015/12/22 トヨタが子ども向けに本気で作った燃料電池車、運転免許なしで乗れる(MONOist)
●燃料電池の仕組みを知らない人々と2020年の水素社会

 燃料電池車が走る仕組みを知らない、あるいは誤解している人は少なくない。アムラックストヨタ 運営企画室 商品訴求グループの和田真氏は「特別クルマに詳しくない限り、水素でどうやって燃料電池車が動くか知らない人は多い。水素が爆発して走るという誤解もよく聞く。学校の理科の実験でのイメージが強いのかもしれない」という。

 政府は2020年の東京オリンピック・パラリンピックまでに水素エネルギーシステムを普及させ、水素社会として世界にアピールする方針だ。燃料電池車もその1つ。ただ、水素社会で暮らすであろう当人たちが燃料電池の仕組みを正しく知らないのでは、本当に水素社会を実現できるか疑問符が付く。

 そのため「走行体験の対象とする子どもたちや、その保護者に燃料電池車について理解してもらいたい。また、水素も一般的なのエネルギー源の1つで、燃料電池車は特別なエコカーではないという感覚を持って大人になってもらえれば」(同氏)との狙いで、メガウェブで燃料電池車の走行体験を始める。

 メガウェブには「ライドスタジオ」という子ども向けの走行体験コースがあり、運転免許なしで運転できる車両を使った試乗イベントを実施している。2015年11月の1カ月間で3000人が参加したという人気イベントだ。ライドスタジオでは1人乗りの電気自動車(EV)「PIUS」など複数のタイプの車両で、未就学児から小学生、親子でも運転を体験できる機会を提供してきた。2015年12月26日から、この走行体験用の車両にFC-PIUSが加わる。
●子ども用だと侮れない本物の燃料電池車

 モディーが開発したFC-PIUSは、子ども用とはいえ、れっきとした燃料電池車だ。水素タンクと燃料電池セルスタックは、燃料電池の研究開発会社、FC-R&Dが提供した。外観デザインはトヨタ自動車の「MIRAI」に似せているが中身は異なる。トヨタ自動車が無償開放している燃料電池関連の特許技術は使っておらず、開発にはかなりの時間を要したという。

 MIRAIの燃料は圧縮水素だが、FC-PIUSは水素吸蔵合金を使用する。水素吸蔵合金は「金属の粉末に水素を染み込ませたもの。タンクの中に水素を吸ったスポンジがあるイメージ」(和田氏)。トヨタ自動車が2001年に発表した「クルーガー」ベースの燃料電池車「FCHV-3」でも採用されていた方式だ。

 トヨタ自動車は燃料電池車への水素の搭載方法を模索する中で、水素吸蔵合金やメタノール改質型、ガソリン改質型、圧縮水素を比較し、最終的に実用性の高い圧縮水素を選んだ。FC-PIUSでは「圧縮水素よりも安全性が高く、水素タンクが危険物扱いにならない水素吸蔵合金を選んだ」(同氏)という。
●子どもに燃料電池車を体感させるために労力を惜しまない大人たち

 FC-PIUSに採用した水素吸蔵合金は安全性が高い。その一方で、クルマとしての作り込みは難しくなった。水素吸蔵合金から燃料電池セルスタックに水素を供給する際、水素の供給量を増やそうとするとタンクの温度が下がり過ぎて効率が悪化する。しかし、子ども用の車両とはいえ、車体は255kgもあり発進時には大きな負荷がかかる。そこで、モーターの出力や電流を調整して最適な駆動システムを完成させた。

 FC-PIUSの水素タンクはカートリッジ式で、専用の装置で水素を充填し、およそ8時間を目安に交換する。タンクは一般的な消火器を二回り小さくしたサイズだが、重量は4kgと見た目に反して重い。

 FC-PIUSのサイズは全長2535×全幅1233×全高1070mmで後輪駆動方式。燃料電池セルスタックの定格出力は360W、瞬間最大出力が500W。最高速度は時速5km。身長115cm以上の小学生が対象となる。身長160cmの筆者ではステアリングに膝がぶつかり、座席はかなり窮屈だった。動かし方は運転免許が必要なクルマと同じで、シフトレバーや方向指示器も使用できる。

 ライドスタジオで走行体験に参加するには、初心者講習の受講が必要になる。受講後、運転免許証を模したスタンプカードが発行され、乗車の回数が増えると“ゴールド免許”に切り替わる。FC-PIUSに乗車するには、ゴールド免許の取得と、ライドスタジオで実施する燃料電池教室の受講が条件となる。

 燃料電池教室では、燃料電池で駆動するラジコンカー「RC Car MIRAI」を使用する。ラジコンカーメーカーの京商が開発したもので、市販されていない。実験キットで化学反応を学んだあと、水素タンクと燃料電池セルスタックの組み合わせでラジコンカーが走る様子を確認し、講座を修了する。

 モディーと京商は、これらの子ども向けの燃料電池車に関連する利益は見込んでいない。採算を度外視してでも取り組むのは「燃料電池車について正しく知ってもらいたいと思うから」(モディー デザイングループの橋本崇宏氏)だという。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20151222-00000010-it_monoist-ind

2015/12/22 【オートモーティブワールド16】革新パッケージFCVで描く、水素社会へのアプローチ…本田技術研究所 清水潔氏インタビュー(レスポンス)

 ホンダは燃料電池車(FCV)『クラリティ フューエル セル』を2016年3月から販売を開始する。トヨタ自動車のFCV『MIRAI』に1年3か月遅れでの市販化となるが、開発責任者を務める本田技術研究所の清水潔主任研究員は「将来の普及に向けた大きな一歩」と自信を示す。

 清水氏は「こういう車は普及しないと意味がない技術。使い勝手やパッケージング、動力性能を含めた性能の面でもガソリン車と遜色のないような車にしていかないと、置き換わっていけない」と指摘。

 その上で「クラリティ フューエル セルでは、ボンネットの中にFCシステムを納めたので、エンジンに代わるパワートレインとして存在できる可能性がでてきた。V6エンジンが載る車であればFCシステムを載せられるので、将来の普及に向けての必要なステップを踏み出せたのではないかと考えている」と語る。

 さらに「セダンはやはり5人乗れないとセダンと呼べないのではないか。そうした意味でもクラリティ フューエル セルのパッケージというのは革新的で、将来を見据えた形といえる」と強調する

 クラリティ フューエル セルは国内では自治体や企業向けリース販売が先行する。「難しい技術なので、すぐに年間何万台という大量生産にはなかなかいけない。まずは少量からスタートし、2016年度は日本向け200台で始める。ステップ・バイ・ステップでと、ホンダは考えている」と清水氏は話す。

 その200台も「補助金などの施策を展開する地方自治体や企業との事前に話し合いを進めてきている中で、すでにほぼ埋まっている」という。さらに清水氏は「(先代の)『FCX クラリティ』はグローバルで販売台数が100台程度だった。そうした意味ではケタの違う台数をクラリティ フューエル セルでは出していく形になる。MIRAIの受注状況をみると、ホンダは1年遅れで出すことになるが、ある程度の需要は見込める」とみる。

 また「次の年度に向けては一般ユーザーの方にも販売していく。最初は企業向けなどと同様にリースでの販売になるが、その先については売り切っていくようなところまで、ステップとしては考えている」とも。

 クラリティ フューエル セルは世界で初めてFCシステムをボンネット内に収納することを実現したが、清水氏は「システムをさらに小型化して、もう少し小さいサイズの車にも積めるようにしたい」と明かす。というのも「クラリティ フューエル セルやMIRAIだけで何十万台も普及させるのは難しい。ある程度のバリエーション展開を考えないといけない時期がいずれ来る」からだ。

 また「周辺のシステムを含めたコストはまだまだ高くて、燃料電池システム特有な例えば空気を送り込むポンプ、コンプレッサーひとつとっても、燃料電池パワートレイン用に専用開発しているものが多いので、そうしたもののコストも下げていかなくてはならない」ことも課題としてあげる。

 一方、ホンダはFCVの普及に向けて車両だけではなく水素ステーションでも独自の取り組みを進めている。高圧水電解システムを採用したパッケージ型の『スマート水素ステーション(SHS)』がそれで、清水氏は「SHSを世の中に設置をすることで、これまで商業の大型水素ステーションが無い場所でも、FCVを出していける環境を整えていく考え。SHSと一緒にFCVを出すことによって国の補助がでていない地域でも導入の可能性がでてくる。そういう意味でも普及拡大に向けたひとつの取り組みとしてホンダ特有な動き方と思っている」と解説する。

 清水氏は2016年1月15日に東京ビッグサイトで開催されるオートモーティブワード2016の専門技術セミナー『FCVの普及期に向けた各社の最新技術と展望』に登壇、「Hondaの新型燃料電池自動車の概要とその開発への取組み」と題した講演をおこなう。このセミナーでは清水氏のほか、トヨタでFC技術・開発部主査を務める小島康一氏、独ダイムラーでFCダイレクターを務めるChristian Mohrdieck氏も列席、各社の戦略が披露される見通し。

 清水氏は同セミナーで「クラリティ フューエル セルの開発にあたり、何を狙ってきたか、その狙いを達成するための技術的な進化や工夫。さらにはホンダが燃料電池自動車以外のところも含めて水素社会に取り組む考え方も紹介したい」と語っていた。

 オートモーティブワード2016の開催は、2016年1月13?15日。会場は東京ビッグサイト。専門技術セミナーは事前申し込みが必要。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20151222-00000025-rps-bus_all

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