燃料電池ワールド Vol.1350 (2013/02/26 10:34)

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□燃料電池ワールド Vol.1350
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■2013年02月26日発行

                  ◆燃料電池NPO法人PEM-DREAM
                  ◇http://www.fcworld.jp

■02月25日のWEB LINK NEWS
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2013/02/25 リチウムイオン電池はどうなるか――「787」トラブルの大きな余波(フォーサイト)
■2006年のノートパソコン炎上事件

 事故を受けてバッテリーメーカー各社はリチウムイオンバッテリーの設計変更や過充電防止などの制御システムの改良などに取り組み、パソコン用バッテリーのリスクは薄れた。その後、携帯電話などでも一時、バッテリーの炎上でユーザーが火傷を負う事故などもあったが、小型の電子機器に関してはリチウムイオンバッテリーの問題点はほぼ解消されたようにみえた。

 だが、今、再びリチウムイオンバッテリーへの不安が高まっているのはなぜか?
■自動車への搭載で「巨大化」

 最大の要因はリチウムイオンバッテリーの容量大型化、搭載規模の急拡大だ。エネルギー蓄積密度の大きいリチウムイオンバッテリーは、従来の鉛蓄電池やニッケル水素電池に代わって、ハイブリッド車、電気自動車など自動車で使われるようになってきた。
■航空機にとっては致命的な欠陥
■短い寿命と莫大な交換コスト

 リチウムイオンバッテリーは電気自動車で別の課題を解決できないままだ。寿命と交換コストの問題だ。パソコンや携帯電話を使っていれば3年もたつとバッテリーの保ちが悪くなることを実感する。最近はフル充電をさせないモードなどでバッテリーの寿命を長くする技術も現れているが、5年が限度といわれる。それがパソコンや携帯電話であれば買い換えとなるが、高額な電気自動車となればそう簡単ではない。日本では自動車の買い替え時期は平均8年超となっており、リチウムイオンバッテリーの寿命は車体寿命より明らかに短い。となれば、バッテリー交換が必要になるが、そのコストは日産の「リーフ」で200万円近くになるといわれる。オーナードライバーにとっては悩ましい問題であり、数年後には電気自動車の限界として明らかになってくるだろう。これまで電気自動車の限界は航続距離にあるといわれたが、むしろバッテリー交換こそ最大の問題なのだ。
■再び注目される燃料自動車

 ところが、期待の星だった電気自動車やリチウムイオンバッテリーに大きな課題が生じたことで、燃料電池車と水素への期待が再び高まっているわけだ。1月28日、日産・ルノーは米フォード、独ダイムラーと燃料電池の基本システムの共同開発で合意した。新技術で17年までに燃料電池車の発売にこぎつけるという。日産はリチウムイオンバッテリーの開発、電気自動車の販売で先行しており、電気自動車にさらに力を入れるとみられていただけに燃料電池の共同開発は意外感がある。裏側からみれば、日産自身がリチウムイオンバッテリーの将来に不安を感じていることを示しているともとれる。それに先だって24日には燃料電池で先行するトヨタはBMWと燃料電池技術の共同開発を発表している。脱リチウムイオンバッテリーの流れがどこかで始まった気配もある。
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20130225-00000303-fsight-soci

2013/02/25 積水ハ 四国でダブル発電の戸建て住宅街(住宅新報)

 積水ハウスはこのほど、全戸に太陽電池と燃料電池を備えた戸建て分譲地「スマートコモンシティ林町」(全43区画)のまちびらきを行った。全区画に建築するすべての住宅をダブル発電住宅とし、EVコンセントも標準装備する。さらに、そのうち約2割は蓄電池やHEMSも搭載する計画。

 43世帯で発電する電力量は年間335メガワット時で、余剰電力は電力会社に売電する。供給電力量は年間181メガワット時で、一般の33世帯分に相当するという。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130225-00000004-jsn-ind

2013/02/25 九大、CNTを利用した高性能燃料電池触媒の作製に成功(マイナビニュース)

 九州大学(九大)は、カーボンナノチューブ(CNT)を利用した高性能燃料電池触媒の作製に成功したことを発表した。

 同成果は、同大 大学院工学研究院 カーボンニュートラル・エネルギー国際研究所(I2CNER)の中嶋直敏 教授、同 藤ヶ谷剛彦 准教授らによるもの。詳細は、Wileyの「Advanced Materials」オンライン版で発表された。
白金の反応効率を高めながら、長寿命化を図るためには、ナノサイズ化した白金粒子を電極の上に均一にかつ長時間担持させる必要があるが、電極に用いられている炭素でできた粉末(カーボンブラック:CB)が、動作中に溶解してしまうため、白金を長時間担持することができず、結果として電池の長寿命化の妨げとなっていた。

 そこでCBの代替材料として、より強固な構造を持つカーボンナノチューブ(CNT)に期待が集まっているが、その構造は白金を担持しにくい性質であるため、従来は白金を担持するために構造に欠陥部を導入して担持を行っており、それがCNTが持つ耐久性を失わせてしまっていた。

 これまで研究グループでは、CNT表面に白金担持の「のり」となる高分子をコーティングし、白金担持を行う手法を考案していたが、今回の研究では、電子を通さないポリマー「ポリベンズイミダゾール(PBI)」をCNT表面に数nmのレベルで均一にコーティングすることで、触媒反応に必要な電子の受け渡しが行われ、白金のほぼ100%が担持されることを確認したほか、白金のサイズ均一性や分布の均一性に優れることが確認されたという。

 また、従来の触媒構造では反応に必要な水素イオンを運搬する電解質が白金表面を厚く覆っているため、反応に必要な水素や酸素などの燃料ガスが白金表面に到達しにくかったが、PBIでは酸をドープすることで水素イオンを運搬できる特長があるため、耐久性に優れたCNTの構造を維持しつつ、触媒反応を有利にする構造を作製可能な触媒作製法「ボトムアップナノ集積法」を確立したという。

 さらに、従来の水素イオン運搬高分子では加湿を必要とし、かつ80℃以下の低温での発電だったのに対し、PBIは加湿を必要とせず、触媒反応に有利なより高温(100℃以上)でも水素イオンを運搬できることから、より安価かつ高効率な発電システムが実現できるようになるという。

 なお研究グループでは、燃料電池の実用化には高価な白金を大量に使用することが問題となっているが、長寿命化や単位白金あたりの活性を向上させることで、白金使用量の低減が可能となり、それにより実用化が進むことが期待できるとしており、今後は、本格的な実用化を視野に入れた実証試験を進めていく計画としている。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130225-00000117-mycomj-sci
※関連写真あり

■海外ニュース
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<定置用電源>
●フュエルセル・エナジー社、ポスコ社と製造契約 (2012年11月05日)

 フュエルセル・エナジー社(FuelCell Energy)は韓国のパートナー、ポスコ・エナジー社(POSCO Energy)と、アジアにおける定置用燃料電池発電プラント市場の拡大をみこして戦略的イニシアチブの連続実施を発表した。これには、ポスコ・エナジー社が韓国でフュエルセル・エナジー社の燃料電池発電プラント「ダイレクト・フュエルセル(DFC)」を製造し、アジアに販売するためにポスコ・エナジー社とのライセンス契約が含まれている。

 生産設備は、初期に期待される70MWの年間生産量を達成できる機材とともに、韓国の浦項(ポハン)にあるポスコ・エナジー社の敷地内に建設する予定で、2013年の早い時期に始められる。そして、2014年後半か2015年前半には、毎年140MWの燃料電池構成部品の生産が始まる予定である。

 ライセンス契約金は合計1800万ドルで、1000万ドルの頭金は2012年11月に支払われた。ポスコ・エナジー社は今後15年間、DFC発電プラントを製造し販売する毎にフュエルセル・エナジー社に3%のライセンス使用料を支払う。そしてこの契約は、双方の合意の元にさらに5年間の2度の追加的延長があるかもしれない。
http://fcel.client.shareholder.com/releasedetail.cfm?ReleaseID=718546

■燃料電池関連イベント(初出後1週間を経過した情報はこちらに移動しました)
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☆FC EXPO 2013(第9回国際水素・燃料電池展)【再掲】
http://www.fcexpo.jp/
◇日 時:2月27日(水)?3月1日(金)
◇場 所:東京ビッグサイト
◇主 催:リード エグジビション ジャパン株式会社
◇共 催:水素エネルギー協会(HESS)、燃料電池開発情報センター(FCDIC)

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