燃料電池ワールド Vol.651 (2010/03/26 09:01)

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□燃料電池ワールド Vol.651
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■2010年03月26日発行

                  ◆燃料電池NPO法人PEM-DREAM
                  ◇http://www.fcworld.jp

■Blog ニュース ウェブサイトにも掲載しました。
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☆燃料電池車と電気自動車は何が違うのか?

 燃料電池車に乗って住宅街を夜中に走ったら、警察に止められたという話が、レスポンスという自動車専門のサイトの記事に載っていた(3月23日)。もちろんこの記事は、当方のウェブリンクニュースでも紹介している。日産自動車の副社長の体験談だから、余計にニュースになったのかもしれないが、「エンジン音がしなかったから」疑われたというのは、さもありなんというところだろう。

 ところで、ニュースの内容はこれだけの短いものだが、私は文中の用語の使い方にちょっと引っかかりを感じたので、何度も読んでみた。

 まず、タイトルには「EV走行中に」とある。次いで文中には、「電気自動車などのエコカーが普及する未来」「燃料電池自動車を自宅に持ち帰り」「EVや燃料電池車を早く認知させていく必要」という具合に使われている。燃料電池車は電気自動車(EV)ではないのか?

 2004〜05年頃、燃料電池自動車がもてはやされた頃のことだが、車が近づいても音がしないので危険だ、という議論が盛んにされていた。今の電気自動車について言われていることと同じ問題である。燃料電池自動車は純粋な電気自動車なのだから当たり前のことだ。

 ではどこが違うのか? 今、電気自動車として言われている車は、電気をエネルギー源としてモーターで車輪を回す車であるが、その電気は系統電源からの充電でまかなうものである。つまり、バッテリー電気自動車なのである。それに対して燃料電池車は、搭載した水素を燃料に自家発電して走る燃料電池電気自動車だ。この違いを昨今のジャーナリズムは、バッテリー電気自動車を単に「電気自動車」と言い、燃料電池電気自動車を燃料電池車と使い分けていることが多い。

 この記事では、その使い分けが中途半端になっているから、燃料電池車と電気自動車が同じもののようであり、違うもののようでもあり、読者の頭の中に混乱を生じさせることになっている。混乱しないできちんと意味をくみ取って読めるのは、燃料電池車が電気自動車であることを理解している人だろう。そのような人はまだ少ないのではないだろうか。何も電気自動車などと言わずに、すべて燃料電池車で書けば混乱は生じないはずだ。

 この用語の使い方は、燃料電池車にとってとても迷惑に感じる。意図的に使われているのかもしれないが、もともと燃料電池自動車の存在意義は、ガソリンなどの石油燃料を使わないことにあった。自家発電対内燃機関という違いを電気対ガソリンとシンボリックに表現していたのであり、その中間として両方のいいとこ取りをしたのがハイブリッドで、ガソリンから電気への架け橋とトヨタも言っていた。それが、燃料電池の開発ができない会社が軽自動車を使ってバッテリー電気自動車を推進しだした。とたんに電気自動車という単語があふれ出し、電気自動車はバッテリー電気自動車の代名詞になったのが日本の状況だ。

 自動車は将来的に電気自動車になっていく。何より石油がなくなってしまえば走ることができなくなる。今の水素がない燃料電池車と同じになる。自動車業界はそれは織り込み済みで、バッテリー電気自動車と燃料電池電気自動車が共存する棲み分けを合意している。だがそうした報道は極端に少ない。

■2010年03月25日のWEB LINK NEWS
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2010/03/25 パナソニック、リチウムイオン電池生産の主力工場が竣工(レスポンス)

 パナソニックは25日、リチウムイオン電池の主力生産工場として位置づける住之江工場の竣工式を実施した。

 リチウムイオン電池は、パソコン・携帯電話などのモバイル機器に加えて、環境対応車向け、太陽光発電や燃料電池と組み合わせた家庭での蓄電システム、バックアップ電源として需要の拡大が見込まれている。2018年度の市場規模は、現在の5倍以上の3.2兆円に膨らむと予測されている。同社では、住之江工場をリチウムイオン電池の主力生産拠点として位置づけ、今後の旺盛な需要に対応する。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100325-00000028-rps-bus_all

2010/03/25 市場の話題(1)やっぱり物色の柱は「電気自動車」関連(サーチナ)

 東京株式市場の関係者の間では、「原発」関連と並んで「電気自動車」関連が物色の柱になるとの見方が強い。「息の長いテーマ」で、折に触れて物色されやすいためだ。予測されている市場規模が膨大で将来的な「画(え)」が描きやすいことが要因だ。

 大和証券SMBC(現在の大和証券キャピタル・マーケッツ)が09年11月に出した見通しによれば、電気自動車(EV)、ハイブリッドカー(HEV)、プラグインハイブリッドカー(PHIV)などエコカー(環境対応車)の年間需要は2008年の530万台から2020年には8300万台になる見込みだ。年率15%の伸びになる計算だ。急激な伸びは08年は市場に電気自動車、ハイブリッドカーも出回っていないためだが、特に電気自動車は08年のゼロからわずか12年後の2020年には1300万台に達する見込みだ。

 従来のガソリンなどに代わり、電気が“燃料”になるため、最も恩恵を受ける業種が、電池メーカーや電池材料メーカーとみられる。年間1億台と言われる世界の新車販売台数の1%(100万台)が電気自動車やハイブリッド車になったとした場合、「現在の世界中の電池メーカーの生産を合計してもとても足りない。環境対応車向け電池は『作っただけ売れる』状況」(業界関係者)になっている。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100325-00000019-scn-biz

2010/03/25 温暖化阻止へ7つの解決策:砂漠緑化
(ナショナルジオグラフィック 公式日本語サイト)

 二酸化炭素など大気中の温室効果ガスを閉じ込める方法として注目を浴びているのは砂漠の緑化である。この地球工学的アイデアはアフリカで既に実践段階に入っている。

 例えば、植林による“緑の長城”がアフリカの13カ国で建設中である。サハラ砂漠の拡大を防ぎながら、同時に炭素を吸収しようとする取り組みである。また「サハラ緑化プロジェクト」は、巨大な再生可能エネルギー複合施設を建設し周囲に木を植える野心的なプランで、世界中の砂漠を対象としている。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100325-00000001-natiogeop-int.view-000
※写真あり

■海外ニュース
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<燃料/改質器/貯蔵>
●カタセル社、ノーステック革新賞を獲得(2010/02/16)

 カタセル社(Catacel Corporation)は、水素生産の最も重要な進歩と命名するスタッカブル構造炉(Stackable Structural Reactor;SSR〓)で、先進的エネルギーと電力の推進部門における2010年ノーステック革新賞(NorTech Innovation Award)を受賞した。カタセル社は、北東オハイオの製造業や産業、医学、革新的産業から推薦された40以上の候補者のうちの一社である。同社のSSRは、少ない石油燃料の消費と地球温暖化ガスの排出で、水素ガスを生産可能にする触媒を塗布した金属箔構造をしている。
http://www.catacel.com/media/CAT_NorTechInnovationAward_Release_2.16.10.pdf【燃料電池ワールドの過去記事】
Vol.235 2006/05/28発行「Catacelは燃料電池コンポーネント開発で助成金を受ける(2006/04/05)」

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