燃料電池ワールド (2002/12/04 20:20)

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□燃料電池ワールド
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■Vol.073 2002/12/04発行

                   ◆燃料電池NPO法人PEM−DREAM

                        ◇http://www.pem-dream.com/

■お知らせ
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◇水素ステーション見学会の記事の訂正とお詫び

 11月6日号のPEM−DREAMニュース『「都市公団セミナー」「水素ステーション見学会」「燃料電池バス」報告』の記事中、正確ではない記載がありました。

 なぜ、鶴見曹達株式会社の敷地なのか? それは、同社の食塩電解で得られる副生水素を利用するからである。副生水素はこれまでは使い道がなく空気中に捨てられていたが、燃料電池の実用化とともにこれの利用が課題となってきた。副生水素は、食塩電解の工場や石油プラント、鉄鋼プラントなどで発生しており、この有効利用は水素供給の大きなテーマとなっている。

 上記の文章では、鶴見曹達株式会社は、自社のプラントから出る副生水素が「空気中に捨てられている」と読めますが、同社では全て有効利用されております。確認を取らずこのような曖昧な表現で鶴見送達株式会社様にご迷惑をおかけしたことをお詫びして、以下のように訂正いたします。

「なぜ、鶴見曹達株式会社の敷地なのか? それは、同社の食塩電解で得られる副生水素を利用するからである。食塩電解の工程で発生する水素は、塩酸合成等の化学原料ならびにボイラー燃料として自家消費されるほか、外販されており、日本の外販水素市場の6割を超えている。

 燃料電池の実用化、特にその導入期においては、既存の水素インフラを如何に活用するかが鍵となる。つまり、鶴見ステーションは、既存の水素インフラを活用したオフサイト型水素ステーションのモデルとなるものである。副生水素は、食塩電解の他、石油プラント、鉄鋼プラントなどでも発生しており、この有効利用は水素供給の大きなテーマとなっている。」

◇12月の市民講座はお休みします。

◇カナダ燃料電池業界の視察旅行参加者募集

 来年の春、カナダのバンクーバーに視察旅行を計画しています。日本とは違った背景を持つカナダでは、バラード社を始め数多くの燃料電池と水素関連の企業が生まれ、活動しています。研究開発の現場で先進的な技術を見て、活発な企業活動の話を聞いてきたいと思います。大まかな計画は以下の通りです。
○日程 2003年3月4日(月)〜8日(金)このうち、3日間を視察にあてます。
○人数 20名以内
○費用 25万円以内
○宿泊 1人1室
○通訳 現地のAグレードの通訳をつけます。
○主催旅行代理店 日本通運株式会社
○訪問先(10月のカナダ大使館「燃料電池シンポジウム2002」で、以下の企業の了解を取りました。現在、詳細を打ち合わせていますが、変更があるかもしれません)
・バラード・パワー・システムズ社:PEM型燃料電池のトップリーダー企業。社内視察は昨年から禁止されているが、本社と工場の外観を見学。
・パワーテック・ラボ社:BC州水力発電公社の高圧ガスシステム研究機関として、電力と天然ガス、水素の研究開発を行っている。
・メタネックス社:世界最大のメタノール生産企業。ダイレクト・メタノール燃料電池を始め、メタノール改質型燃料電池自動車をサポートしている。
・グリーンライト・パワー・システムズ社:燃料電池試験装置製造会社として、バラードの初期の頃から関わっている。今年4月、東陽テクニカと契約している。
・マグパワー・システムズ社:水素を使わない「マグネシウム/空気燃料電池」の開発を行っているベンチャー。2003年に最初の商品を出す予定である。
・ジュエネラル・ハイドロジェン社:バラード社の創立者であるバラード博士が設立し、燃料電池の技術開発と投資を行っている。バラード博士との面会を調整中。

◇「エコプロダクツ2002」に出展(再掲)

 12月5日(木)〜7日(土)まで、東京・ビックサイトで開かれる 「エコプロダクツ2002」展示会に、PEM−DREAMは昨年に続いて出展します。今年の出展テーマは、燃料電池グッズ。会場においでの方は、ぜひお寄りください。東6ホールのNPO・NGOコーナー、小間番号N−13でやっています。

◇グッズ第2弾「ソーラー+燃料電池」学習キットを新発売(再掲)これは、株式会社のもとが Thames&Kosmos から輸入している燃料電池学習キットです。1台のミニカーを使って、ソーラーカー、水の電気分解による水素製造器、そして、それらをつなげた燃料電池カーとして、いろいろな実験ができます。メーターの計測で数字で確認することができるので、学習に最適です。それぞれの特徴を比較しながら、再生可能な循環型エネルギーの仕組みが理解できます。ソーラーと水素で動く夢の燃料電池ハイブリッドカーが作れます。

 100頁の英文テキストと和訳テキストで、30種類の実験のやり方とテーマの内容について詳しく解説しています。海外の先進的な教材をお使いください。販売価格24000円(税、送料別)のところ、NPO特別価格23000円(税、送料込み。PEM−DREAM会員は1割引))で提供します。
 ご注文はメール info@pem-dream.com でどうぞ。また、写真は
http://www.pem-dream.com/kit02.html でご覧ください。

◇「燃料電池+ミニカー」組み立てセットを発売(再掲)

 この大同メタル製のセットは、資源エネルギー庁がエネルギー教育用教材キットに取り上げました。基本部品の3セルPEM型燃料電池と水素ガス缶、LEDに、スケルトンのミニカーがセットです。

 自分で組み立てた燃料電池をミニカーにセットして、水素を供給して走らせることができます。直線で20メートルくらい走ります。燃料電池単独でも使えます。楽しみをプラスした燃料電池セットは、NPO特別価格15000円(税、送料込み。PEM−DREAM会員は1割引))です。
 ご注文はメール info@pem-dream.com でどうぞ。また、写真は
http://www.pem-dream.com/kit.html でご覧ください。
※激走―そして激突!? 燃料電池ミニカーの23秒ビデオ 鳥取県の信原一郎さんが、ミニカーの激走ぶりをビデオで撮影してくださいました。チョロQのようなユーモラスな走りっ振りに大笑い。どうぞ、ご覧ください。(データが少し重いです)
http://www.pem-dream.com/move.html

◇「遊んで作る燃料電池100円実験キット」と材料提供(再掲)

 日本中、どこでも誰でも、手軽に、安全に、安上がりに燃料電池の原理を実験できる「遊んで作る燃料電池100円実験キット」。このキットの材料と製作ストーリーを書いた資料をメールで無料で差し上げています。ご希望の方は、
info@pem-dream.com までお申し込み下さい。

 また、すでに資料を請求された方から、材料として使うLEDと電線が入手しにくいので対応できないかとの相談がありました。そこで、私たちが常備している中から、希望する方に提供することにしました。

 内容は、LED3個と電線20cmくらいを2本です。ご希望の方は、切手200円分(郵送料含む)を事務局までお送り下さい。折り返し郵送します。
・宛先 〒105−0004 東京都港区新橋4ー28ー3 新正堂ビル2階
    燃料電池NPO法人PEM−DREAM

■PEM−DREAMニュース
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○雑誌『ムー』の燃料電池批判と11月の市民講座報告

 まず、学研が発行している雑誌『ムー』の話から始めよう。12月号に久しぶりに燃料電池の記事が載っていた。「最先端科学こぼれ話」として、「夢の次世代エネルギーの光と影 独占資本に支配される燃料電池社会の悪夢」というタイトルだ。筆者・天野隆史氏が6ページにわたって書かれている。

 氏は燃料電池の原理について簡潔に述べられたあと、「燃料電池の負の側面」に言及する。燃料電池の問題点として3つ挙げている。

 ひとつは、「燃料電池が依然として化石燃料をベースにしていること」である。「厳密に言えば、燃料電池はこの一次エネルギーを電気(二次エネルギー)に変えるエネルギー変換装置」であり、一次エネルギーとは「基本的には石油や天然ガスといった化石燃料」だとしている。

 一次エネルギーと二次エネルギーについてよく知ろうと思い、(財)エネルギー総合工学研究所のホームページを見た。「中高生のためのエネルギー情報ポータルサイト ?を!にするエネルギー講座」(http://www.iae.or.jp/energyinfo/index.html)があった。中高生としているが、中高年のための講座でもある。

 エネルギーの分類にはこう書いてある。「使いやすいように形を変えることを[転換]といい、転換前のエネルギー(を発生させるもの)を[一次エネルギー]といい、転換後のエネルギー(を発生させるもの)を[二次エネルギー]といいます。一次エネルギーには石油、石炭、天然ガス、原子力、水力、地熱などがあり、二次エネルギーには電力、ガソリン、都市ガスなどがあります」。

 天野氏は水素を二次エネルギーに分類していたので、分類ではどこにあるかと思って探したら、石油代替エネルギーのところにあった。「石油に代わるエネルギーの総称で、原子力、石炭、LNG、太陽エネルギー、地熱エネルギー、バイオマスエネルギー、水素エネルギーなどがあります」。よく分からなくなってきた。一次エネルギーである化石燃料から二次エネルギーとして取りだした水素を燃料電池で使って、二次エネルギーである電気を発生させる、ということ?

 もう少しHPを見ていたら、エネルギー源の種類というところがあった。そこでは、「日常利用しているエネルギー源には[化石エネルギー][原子力エネルギー][自然(再生)エネルギー]などがある」として、
・化石エネルギー
  直接燃料……石炭、石油、天然ガス
  間接燃料……ガス化・液化燃料、燃料電池
・非化石エネルギー
  原子力エネルギー……核分裂、核融合
  自然エネルギー……水力、地熱、太陽、波力、風力
   (太陽、波力、風力は新エネルギーとも呼ばれている)
  その他……廃棄物、バイオマス
と書いてある。なんと燃料電池は化石エネルギーの間接燃料に位置づけられていて、天野氏の指摘通りである。でも、ここは水素という方が正確ではないだろうか?

 では、新エネルギーの定義はというと、以下のようになっている。今度は法律だ。
・1997年に施行された「新エネルギー利用等の促進に関する特別措置法」から引用された文章

 新エネルギーとは「技術的に実用化段階に達しつつあるが、経済性の面での制約から普及が十分でないもので、石油代替エネルギーの導入を図るために特に必要なもの」として、「そのため、実用化段階に達した水力発電や地熱発電、研究開発段階にある波力発電や海洋温度差発電は、自然エネルギーであっても新エネルギーには指定されていません」との説明が加わっている。
・新エネの種類は、新エネ法の政令により「太陽光発電 、風力発電 、廃棄物発電 、バイオマス発電 、太陽熱利用 、廃棄物熱利用 、温度差エネルギー 、バイオマス熱利用等 、クリーンエネルギー自動車、天然ガスコージェネレーション 、燃料電池」の11種類である。

 新エネルギーとは石油代替エネルギーのことを指しているのかと思っていたが、どうも違う。「石油代替エネルギーとして使える技術」のことらしい。そう考えれば、ここに燃料電池として位置され、水素が登場しないのも理解できる。天野氏が言うとおり、燃料電池は装置であって、水素のようなエネルギー源ではないのだから。なるほど、「新エネルギー等の促進に関する特別措置法」ではなかったわけだ。

 くどいがもう一度、この講座のエネルギーの分類で新エネルギーの説明を見てみよう。
「石油代替エネルギーの中には、太陽光発電やゴミ発電など在来型のエネルギーとは異なったエネルギーがあります」(新エネルギー説明の全文)。あ〜〜〜〜、ますます分からなくなってきた。

 科学的な知識としてのエネルギーの分類と、政策的な方便としての法律的な分類と、同じエネルギーという言葉を使っていても意味は違うようだ。エネルギー問題をややこしくしているのは、これを分かりやすく整理して説明していないからではないだろうか。それとも頭が悪いのか???

 回り道をしたが、『ムー』に戻ろう。問題点の第2は「コスト」であり、「燃料電池の開発は、ベンチャー企業の資本力では手の届かないところに来ているのだ」「まさに資金力のある者だけが開発に参加でき、特許を押さえていくという構造になっているわけで、やがては独占化や寡占化の道を辿る可能性も少なくない」。

 そして、「さらに憂慮すべき事態がその先に控えている」という第3の問題点は、「貴金属と投資に関する問題」である。

 固体高分子膜の触媒に白金が使われることは、燃料電池を少し勉強すれば知ることができる。天野氏は言う。「貴金属が投機の対象となった場合、価格の変動は石油の比ではない。貴金属が高騰すれば、燃料電池自動車産業は一気に破綻をきたすことになりかねないのである」「オイルショックをきっかけに、世界は本格的な原子力時代に突入した。原子力産業は大きく成長し、同時に高騰する石油価格によって大きな利益を得た者もいた」。

 白金の販売権を握るのが、イギリスの貴金属商ジョンソン・マッセイ社である。同社は94年にはバラード社と共同研究を開始した。一方、98年、国際石油資本のロイヤルダッチシェルはバラード社と資本提携をした。これらの動きは別々に見えるが、実はその背後には明確な一本の線が見える。・・・ロスチャイルド家。

 こうして、天野氏は「反原発を説く広瀬氏が称賛してやまない燃料電池の心臓部は、すでに『赤い楯』の掌の上に乗りつつある。・・・燃料電池自動車が市街を走るためには、莫大な公共投資をして、水素供給インフラを整える必要がある。それだけの投資をして、実用化に辿りついた先が独占資本による支配というのでは,悪夢というほかはあるまい」という結論を下している。広瀬氏とは広瀬隆氏であり、大著『赤い楯―ロスチャイルドの謎』は「南アフリカの鉱物利権が限られた一族に独占されている事実を指摘」している。(広瀬隆氏には『燃料電池が世界を変える』という著作がある。昨年NHK出版からだされたもので、ものすごく面白かった。初めて知ることも多く、分かりやすい。燃料電池に関心のある方にはすすめたい1冊である)

 天野氏が指摘された燃料電池の陰の部分は、何も燃料電池に限ったことではない。客観的な社会構造として現存する事実だし、現実の世界にはそうした構造から生まれた陰の類例はいくらでもある。いつでも問題はあり、必然性を持って解決される。燃料電池が要求されているのもそうした必然性からで、その技術も今ある産業の技術が基礎となっている。

 むしろ、筆者が思うには、こちらの方が怖い。12月2日のYAHOO!JAPAN NEWSに、時事通信社が配信したこんなニュースが載っている。(転載の了解をいただきました)

●水からガスと電気発生=米ジェネシス・プロジェクト〔BW〕
*民間の研究開発機関、米ジェネシス・プロジェクトは、通常の水からガスと電気エネルギーを発生させる画期的な技術、コード名「エジソン・デバイス」を公開すると発表した。これは全米の400人以上の研究開発者が一昨年来、一丸となって科学理論上のみで可能だった水中の水素と酸素の分子から、クリーンで豊富なエネルギーを発生させることに秘密裏に取り組んできた。

 発表内容は同技術の科学的裏付け、将来の化石燃料使用との絡みなど。発表日時は12月5日(木)午前10:30(現地時間)、場所はアイダホ州ボイジーのボイジー
・センター。席の予約は電話番号1―208―345―4143のダイアナ・エチェベリア氏まで。〈BIZW〉(ビジネスワイヤ) 【編注】この原稿は、米ビジネスワイヤ社の提供によるものです。英語、日本語の原文をご希望の際はアデックス03(3263)4522、またはbizwire@adex―japan.comへ。

 この発表は、日本時間では6日午前3時30分頃なので、6日の朝刊には間に合わないかもしれない。アメリカは結構オーバーな表現を使うことがあるので、中身を見ないと何とも言えないが、筆者はかつて、水から電気を直接取り出している実験を見たことがあり、その時思ったのは「単なる水から直接電気を取り出すことが実用化できれば、燃料電池はどうなるのかなー」ということだった。2年前、ある技術者から聞いた言葉がよみがえったものだ。「燃料電池が実用化する以前に、もっと優れた技術ができれば燃料電池は要らなくなる。その見極めがつかずに技術開発を進めるのは、とても不安だ」。

 閑話休題。独占資本も元はベンチャーだったように、逆に燃料電池―世界的なエネルギー潮流の転換―が30年経ったら、ある独占資本にとっては悪夢だったということにもなりかねないだろう。それは私たちにとっての選択でもあると思うので、経済社会の変動とともに、消費者の選択眼も磨こうという活動をPEM−DREAMは続けている。

 その一つの試みが市民講座で、11月30日に開かれた。会場は今回から株式会社守谷商会に変わった。テーマは「大同メタル工業株式会社の燃料電池事業」で、ゲストには同社の商品企画室長・名和昭司氏をお招きした。参加者は17名。

 この会合で、資源エネルギー庁が大同メタル製の「燃料電池+ミニカー」組み立てセットを全国の中学校2500校に無料配布することになったと教えられた。PEM−DREAMで普及しているあのミニカーである。この数は、中学校4〜5校に1校の割合で、密度が濃い。先日、三菱総研から応募の案内が発送された。希望校は先着順なので、お早めに。

 大同メタルは今年1年、私たちの活動にいろいろ協力していただいた企業である。ただし、失礼ながら独占企業ではない。自動車などの精密部品を作っていて、その技術力を生かして燃料電池に取り組んでいる名古屋のメーカーだ。アメリカの燃料電池ベンチャーであるエネイブル・フュエル・セル・コーポレーション(DHCテクノロジー社の100%子会社)と2000年に合弁会社を設立し、燃料電池の開発、製造、販売を行っている。

 燃料電池の姿を知りたかったら、実際に燃料電池をいじっている人に聞くのが一番分かりやすい。だが、燃料電池の開発・製造はブラックボックスとなっている中で大同メタルは、もちろん秘密は存在しているが、比較的開放的な企業である。この日の名和さんのお話は、企業紹介、燃料電池の特長、原理、歴史、種類、課題、大同メタル燃料電池の特長、構造、展開という具合に100分の盛りだくさんの話になったが、表現がリアルで、とても分かりやすかった。来年早々には文書化する予定だ。

 大中小と企業規模はさまざまでも、それに関わっておられる方々は「独占支配」を目指して仕事をしているのではない。社会人としての立場と責任で燃料電池と関わり、私たちとも知り合った。そして、未来に向けて少しずつネットワークを広げている。みな、より充実した人生を望んでいるのであり、いろいろな問題と取り組んでいる。仕事もその一つであり、私たちがそれに協力するのは当然のことだと考えている。後日、非鉄金属系企業に勤める松本博志さんから、次のような感想をメールでいただいた。

 「一応、技術屋なのですが、先端技術であります燃料電池については無知の極みでありました。他セミナー等調査しても非常に難解な説明ばかりで困っていました。一般の方を交えて自由に発言、質問のできるこのような講座があること、そして参加できたことに非常に感謝しております」。

 いろいろな分野、職種、立場の方々の話をお聞きできるのは、こちらこそ感謝したいことだ。世にはあらわれない燃料電池の実際の姿も垣間見ることができ、そうした話し合いが燃料電池に対する底を厚くしていくのだと思っている。

 それにしても、これからの12月は、なんと燃料電池に関する会合が多いことだろう。
・5日 日本金属学会関東支部「燃料電池とその技術戦略―目前に迫った実用化」
・11日 第2回燃料電池技術評価審査委員会「固体高分子形燃料電池システム化技術開発」
・11日〜12日 第22回水素エネルギー協会大会「水素エネルギーシンポジウム」
・16日 「クリーン&クリーン:水素エネルギー社会と原子力」シンポジウム
・18日〜20日 JEVA電気自動車フォーラム
・20日 第14回日本MRS学術シンポジウム

 とても一人じゃ、回りきれんわい!

■イベント紹介
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☆「クリ−ン&クリーン:水素エネルギー社会と原子力〜水素の長期、安定的生産・供給への課題と展望〜」
○日 時 12月16日(月)9:30〜17:30
○会 場 経団連会館14階 経団連ホール(東京・大手町)
○主 催 日刊工業新聞社/(社)日本原子力産業会議/日本原子力研究所
○参加費 無料
○プログラム
・基調講演/21世紀を担う水素エネルギー社会への誘い

 「2次エネルギーとしての水素の重要性」加納時男(参議院議員/自民党石油等・エネルギー調査会事務局長)

 「水素エネルギー社会への課題と展望」本間琢也(筑波大学名誉教授 燃料電池開発情報センター常任理事)
・講演/原子力による水素生産のマクロ的アプローチ

 「原子力水素生産の国際動向・米欧が開発に着手」堀雅夫(原子力水素生産研究会代表)

 「高温ガス炉熱利用技術の確立と水素社会への貢献」馬場治(日本原子力研究所大洗研究所長)
・パネル討論会1/原子力を利用した水素生産の可能性・夢、他方式との比較
 議   長:秋山守(エネルギー総合工学研究所理事長)
 パネリスト:
  岩井龍太郎(日揮理事、技術・ビジネス開発本部本部長代理)

  魚谷正樹(電力中央研究所狛江研究所原子力システム部上席研究員・部長)
  尾本彰(東京電力原子力技術部長・技術開発本部副本部長)

  可児吉男(核燃料サイクル開発機構大洗工学センターシステム技術開発部長)
  塩沢周策(日本原子力研究所大洗研究所核熱利用研究部長)
・パネル討論会2/水素エネルギー社会定着の条件:水素生産、インフラ整備に向けた競争と協調
 議   長:木元教子(評論家・原子力委員会委員)
 パネリスト:

  秋元勇巳(日本原子力文化振興財団理事長・三菱マテリアル会長)
  岡野一清(水素エネルギー協会理事)
  近藤駿介(東京大学大学院教授・原子力研究総合センター長)
  齋藤 伸三(日本原子力研究所理事長)
  宅間 正夫(日本原子力産業会議専務理事)
○お問い合わせ 日刊工業サービスセンター「クリ−ン&クリーンシンポジウム事務局」 TEL 03−3262−8801 FAX 03−3230−1671
○お申し込み http://www.nikkan.co.jp/port/clean_clean/index.html

☆JEVA電気自動車フォーラム(公開講座は下に)
○日 時 12月18日(水)〜19日(木) 国際連合大学
○会 場 東京・国際連合大学
○主 催 財団法人日本電動車両協会
○定 員 フォーラム300名 公開講座150名(定員になり次第締切)
○登録料 会員15000円 非会員20000円 学生8000円
     JEVA公開講座は無料
○フォーラム・プログラム
・1日目 12/18(水)
10:00 開会挨拶 (財)日本電動車両協会 理事長 宗国旨英
10:10 来賓挨拶 経済産業大臣 (予定)
10:20 基調講演1:燃料電池政策の位置付けと国際協力

 米国エネルギー省 エネルギー効率・再生可能エネルギー計画ディレクター
  Tom Gross 欧州連合
 経済産業省製造産業局
11:50  基調講演2:JHFCプロジェクトの目的と意義
 実証試験推進委員会副委員長 慶應義塾大学 教授 石谷久
14:00 パネルセッション?:FCV実用化へのカウントダウン
 司会  慶應義塾大学 教授 石谷久
 パネリスト

  General Motors Erhard Schubert DaimlerChrysler 燃料電池プロジェクト統括副社長 Ferdinand H. Panik
  ?本田技術研究所 上席研究員 川口祐冶
  経済産業省自動車課
16:10 パネルセッション?:水素・燃料電池社会を目指して
 司会  慶応義塾大学 教授 茅陽一
 パネリスト
  早稲田大学 教授 大聖泰弘
  トヨタ自動車? 技監 中村徳彦
  コスモ石油? 取締役研究開発部長 近藤直正
  経済産業省新エネルギー対策課
 バックアップパネリスト

  米国エネルギー省エネルギー効率・再生可能エネルギー計画ディレクター
   Tom Gross 欧州連合
・2日目 2/19(木)
09:00 EVS-19参加報告 (財)日本電動車両協会 常務理事 増永邦彦
09:20 EVS-19基調講演 本田技研工業(株)  専務取締役 萩野道義
09:40 EVS-19セッション?:EV
  司会  東京電機大学 藤中正治

 「平面状の床面と電子制御用インターフェイスを有する超小型多目的EVの開発」慶應義塾大学 大前学

 「センサレスベクトル制御駆動・トランスミッションレスEVの開発」神奈川大学 新中新二

 「ピューズ21小型電気自動車駆動システム」?東京アールアンドデー 大沼伸人
 「1充電走行700kmの実用EV」東京電機大学 藤中正治

 「EVのフリート使用におけるエネルギー効率」東京電力? 丸橋隆志

 「駆動輪のモータ制御によるEVの2次元運動安定化」宇宙科学研究所 坂井真一郎
12:55 EVS-19セッション?:HEV
  司会  東京大学 堀洋一
 「超小型HEVの開発と性能評価」早稲田大学 大聖泰弘

 「小型トラック用シリーズ/パラレル式ハイブリッドシステムの開発」三菱自動車工業? 梁瀬尚志

 「HEVの燃料消費率試験法:精度の確認と改善について」産業技術総合研究所 清水健一

 「HV駆動用PMモータのフェールセーフ技術に関する検討」トヨタ自動車? 佐々木正一

 「4ドアセダン用モータアシストシステムの開発」?本田技術研究所 渋谷篤志

 「トヨタ・クラウンマイルドHV用駆動インバーターとパワーキャパシタの開発」日本ケミコン?  大田完治
15:00 EVS-19セッション?:電池、FC
  司会  産業技術総合研究所 清水健一

 「電動駆動用アドバンストVRLA電池の開発と商品化」松下電池工業? 梶川哲志
 「HEV用Li-Mn電池制御技術」?日立製作所 江守昭彦

 「クラウンマイルドHV用電池システムの開発」トヨタ自動車? 鈴井康介

 「FCVにおける燃料ガス中の不純物がもたらす悪影響について」群馬大学 紙屋雄史

 「車載用ダイレクトメタノール形燃料電池システムの比較」信州大学 山田興一
16:50 EVS-19セッション?:キャパシター他
 司会  武蔵工大 高木靖雄

 「バス・トラック・FCV用キャパシタハイブリッドシステムECS」岡村研究所 岡村廸夫

 「ISG/アイドリングストップ用エナギー・キャパシタ・システム(ECS)」?パワーシステム 三井克司
 「EV/HEV用Nd-系磁石の強度特性」?本田技術研究所 梛木孝昭

 「超小型EVのLCI及びライフサイクルコスト分析」三井情報開発? 小高博章
 「EV・HEVの購入費補助事業」日本電動車両協会 武石哲夫
18:20 閉会挨拶 (財)日本電動車両協会 専務理事 榎本陞
☆JEVA公開講座
○日 時 12月20日(金)
○会 場 虎ノ門パストラル
10:00 日本の環境・エネルギー問題 専務理事 榎本陞
10:40 電気自動車・ハイブリッド車概論 展示広報G長 岩瀬修
                    技術研究G長 広瀬久士
11:40 燃料電池自動車概論 FCEVセンター 長 丹下昭二
12:20 普及への取組み 常務理事 増永邦彦
○お問い合わせ・お申し込み
フォーラム、公開講座とも
 (財)日本電動車両協会 技術研究グループ 高橋雅子
  〒105-0001 東京都港区虎ノ門1-22-15 虎ノ門NSビル2階

  電話03−3503−3781 FAX03−3503−8493
  E-mail takahasi@gw.jeva.or.jp

☆第22回水素エネルギー協会大会「水素エネルギーシンポジウム」(再掲)
○日 時 12月11日(水)12日(木)午前9時15分〜午後5時30分
○会 場 東京工業大学ディジタル多目的ホール
     東京都目黒区大岡山2-12-1
○内 容 基調講演
1.経済性のあるCO2ゼロエミッション型水素製造
   玉浦裕氏(東京工業大学炭素循環エネルギーセンター教授)
2.米国に置ける水素社会構築の戦略と展望
   Dr. Venki Raman (米国の水素業界のリーダー)
3.PEFC用材料開発の現状

   Dr. Oumarou Savadogo (カナダのPEFC開発研究の第一人者)4.日産自動車に置ける燃料電池自動車開発の現状と課題
   三枝省五氏(日産自動車株式会社環境・安全技術部主管)
その他に、Aセッション(水素製造、水素インフラ、水素利用技術)20講演Bセッション(燃料電池技術、水素の安全性、水素貯蔵技術)20講演19のポスターセッション、を予定しています。
○会 費 参加費 会員8000円 非会員1万円 学生3000円
     懇親会 4000円 学生1000円
○申込締切  11月20日(先着400名まで)
○申し込みと問い合わせ
申し込みは、FAXによる申込用紙が必要ですので、下記にメールでお申し込みください。
 横浜国立大学教育人間学部 谷生研究室内
 水素エネルギー協会大会実行委員会
   E-mail: secretary@hess.jp

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○燃料電池市民講座 http://www.pem-dream.com/citizen.html

○EVENT INFORMATION http://www.pem-dream.com/event.html

○燃料電池マイ・レポート http://pem-dream.com/report.html

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■世界のニュース〈11月)
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<輸送>
●Hパワーが鉄道用の調査に燃料電池を出荷

 Hパワー社は、日本における鉄道用ディーゼルエンジンの代替品を調査するために、マーケティング・パートナーである三井物産株式会社と共同でPEM型燃料電池を出荷した。Hパワーは、鉄道用電源の試作品へ適用するために、初期開発段階用に4基の7kW級PEM型燃料電池を提供した。日本政府が資金提供しているこのプロジェクトは、JRグループの研究開発部門である(財)鉄道総合技術研究所と、産業機材とガスのリーディング・サプライヤーである(株)鈴木商館によって実施されている。

<定置型電源>
●プラグパワーが「GenSys?5C」に待機機能を追加

 プラグパワー社は、5kW級熱電併給燃料電池システムの「GenSys?5C」に待機機能を追加した。この待機機能は、燃料電池が電力系統と連携する時に電力の限界負荷を与えることができる。「GenSys?5C」は、需用者の設備が常時発電できるように電力系統とともに運用するよう設計されており、系統からはずれている間はこのシステムは、限界負荷に対して電力供給が途切れないように自動的に待機モードになる。系統連携への復帰には、ノーマル・グリッド・パラレル・モードの操作でできる。

<携帯・バックアップ電源>
●アビスタの燃料電池がCSAの認証

 アビスタ・ラボ社は最近、「インディペンダンス500」燃料電池でカナダ規格協会(CSA)インターナショナルの認証を受けた。1kW以下の燃料電池では初めてのCSA認証である。「インディペンダンス500」は、ユーザーの大きなバッテリーパックへの依存が減りつつある充電の伸びを見込んで、バッテリー充電用機器のために設計されている。

●メタリック・パワーが亜鉛空気燃料電池の出荷を開始

 メタリック・パワー社は今月、自社の亜鉛空気燃料電池技術で開発した最初の製品の出荷を始めた。この燃料電池は1〜5kWの電力を必要としているバックアップ電源を提供する。基本的な仕組みは、亜鉛燃料電池―いちど外部電力に使われた燃料を自動的にリサイクルする亜鉛燃料タンクと亜鉛再生器で構成されている。この再生プロセスは、バッテリーの充電と似ている。全システムは、単一の完全なパッケージに作られている。

<燃料・改質器・貯蔵>
●VHSとBPが水素供給ステーションを計画

 バンデンボロ・ハイドロジェン・システムズ社(VHS)はブリティッシュ・ペトロリアム社(BP)と、スペインのバルセロナに建設する水素供給ステーションのためのIMET(注:商品名)水電解システムの供給契約を結んだ。この水素ステーションは、CUTE(Clean Urban Transportation for Europe)プロジェクトの一環である。

●研究者が水素補足法を開発

 ロス・アラモス国立研究所、シカゴ大学、ワシントンのカーネギー研究機構地球物理研究所の科学者たちは、彼らが水素ハイドライド状態になっている水―氷構造の内部で水素ガスを補足できることを示した。研究者たちは、室温で海面気圧を約2000時間同じようにかけた水素と水が混じり合ったものを対象とした。混じり合ったものが華氏11度まで冷やされたとき、この2つのものが反応し、ひとつの固体化合物となった。

<燃料電池コンポーネント>
●UQMテクノロジーが追加発注を獲得

 UQMテクノロジー社は、北米とヨーロッパの燃料電池取引先から、合計150万ドルに達する複数の契約を獲得した。それは、完全な圧縮機サブシステムのような進歩した電気モーターとそれに対応する電子制御を含めた、燃料電池における空気と水素マネジメントのキーとなるさまざまな部品の供給と開発のためである。

●SMPが水素技術研究を発展させる

 スーペリオ・マイクロパウダーズ社(SMP)はシェブロン・テキサコ・テクノロジー・ベンチャーズ社と、水素時代の技術を発展させるために長期にわたる開発契約に調印した。契約は、進歩した触媒物質と燃料改質器の製造をリードする複数のプログラムの進展を可能にする。SMPは、水素時代の製品に使う触媒システムを開発し、製造する。

●プラグ・パワーとオールバニー・ナノテックが触媒ナノ構造で

 プラグ・パワー社とオールバニー・ナノテック(ANT)は、燃料電池電極における触媒性能を向上させるためにナノテクノロジーと陽子交換膜型(PEM)燃料電池技術を結合する目的で、研究開発パートナーシップを結んだと発表した。5年間で500万ドルをかけるこのプロジェクトは、極小物質を扱う技術者に次世代燃料電池の触媒ナノ構造とPEM型燃料電池の膜ー電極接合体(MEA)の基本性能を特注し、開発、構築する。

(注:オールバニー・ナノテック(ANT) 米国ニューヨーク州が推進する、ニューヨーク州立大学オールバニー校 (University at Albany, State University of NewYork : UAlbany)の施設を利用した研究開発推進支援プログラム。日本の大手半導体製造装置メーカーである東京エレクトロン株式会社も参加している)

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