燃料電池ワールド (2002/09/18 13:00)

水素チャンネル Home

□燃料電池ワールド
■□□□□□□□□□
■Vol.063 2002/09/18発行

                   ◆燃料電池NPO法人PEM−DREAM

                        ◇http://www.pem-dream.com/

■お知らせ
□□□

◇9月の燃料電池市民講座――原発による水素製造の話も準備(再掲)「燃料電池と水素エネルギー」 ゲスト=山本 寛氏(技術ジャーナリスト)

 「さようならエンジン 燃料電池こんにちは」「さようなら原発 水素エネルギーこんにちは」(ともに東洋経済新報社刊)の著者でいらっしゃいます山本寛氏が今回のゲストです。山本氏は上記の著書の中で、燃料電池について分かりやすく書かれています。また、この秋には「水素経済革命」を上梓される予定です。最新の情報も加えた面白いお話が聞けると思います。できれば本をお読みの上、ご参加下さい。常温核融合も飛び出すかもしれません。
○日 時 9月28日(土)午後2時から
○場 所 岩谷産業株式会社本社会議室(新橋駅から徒歩10分くらい。地図をお送りします)
○参加費 会員は無料。非会員は2000円。
○申し込み方法 メールまたはFAXにて、「9月の燃料電池市民講座」と明記の上、氏名、連絡先、電話番号をご記入の上、お送り下さい。
  メール info@pem-dream.com  FAX 03-5408-3252

☆「遊んで作る燃料電池100円実験キット」と材料提供(再掲)

 日本中、どこでも誰でも、手軽に、安全に、安上がりに燃料電池の原理を実験できる「遊んで作る燃料電池100円実験キット」。このキットの材料と製作ストーリーを書いた資料をメールで無料で差し上げています。ご希望の方は、
info@pem-dream.com までお申し込み下さい。

 また、すでに資料を請求された方から、材料として使うLEDと電線が入手しにくいので対応できないかとの相談がありました。そこで、私たちが常備している中から、希望する方に提供することにしました。

 内容は、LED3個と電線20cmくらいを2本です。ご希望の方は、切手200円分(郵送料含む)を事務局までお送り下さい。折り返し郵送します。
・宛先 〒105−0004 東京都港区新橋4ー28ー3 新正堂ビル2階
    燃料電池NPO法人PEM−DREAM

■PEM−DREAMニュース
□□□

◇燃料電池産業を迎え入れたいーー北九州市の経済特区構想

 7月末、北九州市の企画政策室の方が見えられた。同市の経済特区構想で、燃料電池に関する企業誘致を望んでいるという話だった。なぜ、北九州市が……? それを理解するために幾つかのポイントを調べてみた。

 経済特区は、政府が6月から「構造改革特区」として規制緩和による地域活性化を狙って検討をすすめているもので、日本では沖縄県名護市の金融特区が唯一の実例。海外では、中国深セン市が有名だ。8月末に締め切られた提案は、225自治体などから415件が寄せられた。北九州市も「国際物流特区」構想で応募した。

 末吉興一市長が特区指定に向けた取り組みを発表したのは、4月24日だった。当時、政府内部で論議が交わされていた時期である。北九州市のキーワードは「規制緩和」。それは、市北部の若松区響灘地区で整備が進められている大深度コンテナ港を核とした地域経済活性化戦略に、どうしても欠かせないテーマだった。

 かつての鉄鋼と石炭の街は、いま最先端の環境産業の街として再生を図ろうとしている。「環境・リサイクル産業の振興を一つの基軸とする持続的発展可能な社会の実現に先導的な役割を果たす」という理念の基に、国の地域指定を受けた(1997年)北九州エコタウン事業が一つの基礎となっている。

 北九州エコタウン事業は、教育・基礎研究、技術・実証研究、事業化という3本柱の総合的展開を進めている。市ではこれを「北九州方式3点セット」と名付け、先日、第2期計画が発表された。目標像はさらに大きくなって、「アジアにおける「国際資源循環・環境産業拠点」都市」とうたわれる。

 現在のエコタウンは響灘東地区に、「総合環境コンビナート」「響リサイクル団地」「実証研究エリア」の3区域が展開している。総面積約42haは特区構想が実現すればその一部分となる。特区構想の中の「リサイクル特区」は約700ha。まだ埋め立てが続いているが、ここではすでに事業化が決まったPCB廃棄物処理事業も行われる。これは、中四国、九州全域の17県のPCB廃棄物を処理するものだ。

 実証研究エリアには、福岡大学資源循環・環境制御システム研究所を中心に20の研究施設と関連施設がある。ここは、筑豊本線と鹿児島本線が交差するJR折尾駅の北方に位置する北九州学術研究都市と連携を深めている。

 学術研究都市は、大学や研究機関を集積し、産学連携を促進することで産業の高度化及び新産業の創出を狙いとしている。現在、北九州市立大学国際環境工学部を始め、九州工業大学大学院、早稲田大学大学院、早稲田大学理工学総合研究センター、福岡県リサイクル総合研究センター、英国クランフィールド大学、ドイツ国立情報処理研究所(GDM)などが進出しており、新エネルギー実用化技術、マイクロ・ナノ化技術、半導体や情報工学などが研究されている。2001年7月に学術研究都市オープン記念事業が行われ、その一環の「産学連携フェア2001」では環境分野の先端技術として燃料電池が紹介された。

 こうした施策と並行して北九州市は、「北部九州」が国から中枢国際港湾として位置づけられたことを受けて北九州港「響灘環黄海圏ハブポート構想」を策定した(1996年)。響灘に大型コンテナターミナルを建設し、西日本や環黄海圏地域から発生する北米・欧州向けのコンテナ貨物を中継する機能を持つ、ハブポートとなることを目指す。2003年秋に供用開始予定の「ひびきコンテナターミナル」は、北米へ2日早い日本海ルート上に位置することが売りの一つだ。

 響灘ハブポートは、今回の特区構想の中核となっている。関門海峡に面した現在の北九州港は1998年、国際貨物取扱量の九州トップの座を博多港に奪われ、年々その差は広がっている。世界第3位の取扱量を誇る対岸の韓国・釜山港は、港湾使用料が東京港や神戸港の約6割であり、通関などの時間も短い。「365日、24時間、日本一安いポートチャージ」を目指す響灘が国際競争力のある港となるためには、これら港湾関係の規制緩和が避けられない。

 構造改革特区は、日本の中に2つの制度を認めることになる。特区内では規制緩和されるが、それ以外の地域では現在のままであり、規制緩和の実験といわれる所以でもある。北九州市は特区で、響灘の後背地約2000haと八幡地区約200haに「持続可能な環境型産業集積」を狙う。集積業種として挙げられているのは、(1)リサイクル産業(自動車・家電・家具等リサイクル、自動車競売所など)(2)自動車部品産業(中国市場をにらんだモジュール部品等)
(3)省エネルギー関連の新産業(ハイブリッド・システム、燃料電池等)(4)IT関連産業
(5)上記に県連する研究・開発施設
である。そのための規制緩和項目には、
(1)港湾の通関・検疫業務の24時間化
(2)土地利用規制の緩和(用途変更・立地規制)
(3)電気・水の規制見直し(独立発電業者による配電)
(4)保税区(仮称)の設置
を挙げている。

 この規制緩和によって、例えば(3)では、「電力1kW/h10円以下、水1t27円程度というアジア主要都市の最低水準」を実現し、企業の進出コストを低減しようとしている。

 企画政策室の職員の方は、「自動車のように100年続くであろうような産業を誘致したいのです。燃料電池はその候補だと思います」と語った。だが、日本では燃料電池の量産化は数年先でなければ始まらないだろうし、世界でもカナダのバラード社が手がけ始めたばかりである。追い風が吹き始めたとはいっても、産業としての未来にはまだ不透明感が漂う。それを払拭して成長していくためには、燃料電池の企業努力だけでなく、社会のいろいろなところからのアプローチがなければ難しい。

 北九州市は戦前から、八幡製鉄所や筑豊炭田に代表される重化学工業地帯として日本の産業を支えてきたが、1960年代に「七色の煙」といわれた大気汚染や「死の海・洞海湾」の水質汚濁などの公害が深刻化した。その時代に培われた「モノづくり」の伝統と、公害を克服した歴史は、市のバックボーンとなっている。地域の再生をかけた特区構想で、市は指定第1号を目指して国へアプローチしているが、果たしてどうなるか。

 「燃料電池バスも早く走らせたいと思っているんですよ」。と言われたからではないが、北九州市の努力にはエールを送りたいと思う。

■イベント紹介
□□□

☆燃料電池開発情報センター(FCDIC)第16回講習会(再掲)「注目を集める定置型PEFC」
◇日 時 9月25日(水)10:00〜16:00
◇会 場 アルカディア市ヶ谷(私学会館)
    〒102-0073 東京都千代田区九段北4-2-25
    TEL 03-3261-9921
◇プログラムおよび講演内容
1.250kWPEFCコージェネレーションシステムのフィールドテスト

   日本電信電話(株)NTT通信エネルギー研究所燃料電池プロジェクト
   主任研究員      工藤 一樹氏
2.家庭用1kW級PEFCシステムの開発
   東芝インターナショナルフュエルセルズ(株)機器開発部
   主務         宮原 秀夫氏
3.家庭用小型PEFCコージェネレーションシステムの開発
   松下電器産業(株)くらし環境開発センターFC事業開発室
   グループマネージャー 山本 義明氏
4.PEFC利用小型発電システムの開発
   松下電工(株)FCGプロジェクト事業化推進グループ
   課 長        安達 淳治氏
5.NEDOーJAGプログラムにおけるHパワー社製HPAC
   三井物産(株)通信機械・電線部
              河井 太志氏
※都合により、演題・講師および講演順序等が変更されることもあり得ます。
◇定 員 160名(定員になり次第締切)
◇参加費(テキスト代含む)
  FCDIC会員、大学、公共団体等 12000円
  非会員 24000円  学生 6000円
◇申込方法 燃料電池開発情報センターのホームページで確認の上、手続きに従ってお申し込み下さい。
        http://www.fcdic.com/ja/yokoku.html
◇お問い合わせ 
  燃料電池開発情報センター事務局(担当:天池・宮原)
   TEL:03-3296-0935
   FAX:03-3296-0936

☆PEM−DREAMが参加するイベント(再掲)
・10月19日(土)20日(日)
 環境博覧会すぎなみ2002
  会場:高井戸地域区民センターおよびセンター前広場
  参加自由です。もうすぐ、杉並区のHPに案内が載ります。

・10月24日(木)
 都市基盤整備公団総合研究所技術センター特別公開
  場所:東京都八王子市石川町2683−1
  参加自由です。詳しくは下記のHPで。
  http://www.udc.go.jp/research/

──────────────────────────────────────

○燃料電池市民講座 http://www.pem-dream.com/citizen.html

○EVENT INFORMATION http://www.pem-dream.com/event.html

○燃料電池マイ・レポート http://pem-dream.com/report.html

──────────────────────────────────────

■世界のニュース〈9月)
□□□

<輸送>
●GMが「Hy-Wire」披露の準備

 ゼネラル・モーターズ・コーポレーション(GM)は、新型自動車「Hy-Wire」を公開した。これは、by-wire技術を特徴とする運転可能な燃料電池自動車である。この「Hy-Wire」は、今年初めに披露されたGMのAUTOnomyコンセプトカーに初めて搭載された特徴を組み込んでいる。

 X-driveは、極めて重要な自動車機能を持つ電子機器モニターを装備しており、自動車の全幅一杯に張った横軸を左右に往復する。94kW燃料電池スタックは車台の後に設置され、前輪駆動の電動モーターは車輪の間に横に取りつけられる。Hy-Wireは2002年9月26日のパリ・モーターショーにて一般公開される予定だ。

<定置型電源>
●Hパワーが大阪ガスとDGPから受注、合意契約

 Hパワー社は現在、2つの商業的な水素駆動生産ライン用の注文を受けている。EPAC-500?は内臓型500W燃料電池電源である。この組み立てユニットの生産ラインは、屋内でも屋外でも利用可能なように設定することが出来る。出荷時期は9月を予定している。

 もう1つのニュースとしてHパワー社は、日本の大阪ガス株式会社とライセンス契約を交わした。この契約のもとでHパワー社は、自社のFCシステム使用時に大阪ガスの燃料改質システムを製造・統合・改良する権利を取得した。

 また、Hパワー社は、NY州スケネクタディにあるダイレクト・グローバル・パワー社(DGP)とも代理契約をかわした。これによりDGPはHパワー社のEPAC(TM)−500とHCORE(TM)−500の両電源システムの販売機会を取得し、展開していく責任を負う。

●FCEとPPLがNJカレッジにFC Systemを設置

 フュエルセル・エナジー社(FCE)はPPLエナジー・サービス社と共同で、ニュージャージー州トムズ・リバーにあるオーシャン・カウンティー・カレッジに250kW級燃料電池プラントを設置する予定だ。この天然ガスシステムは熱電併給として使われ、カレッジのキャンパス内にある3つの建物に電力と熱を提供する。

<燃料電池コンポーネント>
●フュエルセル・エナジーがMTUから追加受注

 フュエルセル・エナジー社は、ダイムラー・クライスラーの関連会社MTUユニットから、250kW級溶融炭酸塩形燃料電池ユニット6基用のコンポーネントに関する追加注文をうけた。

●AMIがグローバル・サーモエレクトリックにテストステーションを追加提供

 グローバル・サーモエレクトリック社はアドバンスト・メジャーメンツ社(AMI)に、固体電解質型燃料電池(SOFC)テストステーションを2002年秋に更に14基納入する契約を交わした。

──────────────────────────────────────

■燃料電池ワールド
 □毎週水曜日発行
 □編集・発行:燃料電池NPO法人PEM−DREAM 

 □解除:「まぐまぐ」と「melma!」から直接ご購読の方が解除される場合は、「まぐまぐ」か「melma!」から直接解除の手続きを行ってください。PEM−DREAMでの代行はできません。
 まぐまぐ http://www.kaijo.com/  
 melma! http://www.melma.com/taikai/
 □連絡先: info@pem-dream.com
 □マガジンID:0000065319(まぐまぐ) m00039824(melma!)


**H2**

<前の号 次の号>

TAKAGI-1