燃料電池ワールド (2002/07/11 16:50)

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□燃料電池ワールド
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■Vol.054 2002/07/11発行

                   ◆燃料電池NPO法人PEM−DREAM

                        ◇http://www.pem-dream.com/

■お知らせ
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◇トヨタの燃料電池自動車販売についてのリリース全文
2002年7月1日
トヨタ、燃料電池ハイブリッド乗用車の限定販売計画を前倒し
――本年末を目処に日米で限定販売を開始――

 トヨタ自動車(株)(以下トヨタ)は、このほど燃料電池ハイブリッド乗用車の公道走行試験が1年の節目を迎えることを機に、当初の開発計画を早め本年末を目処に、日本および米国で限定販売を開始することとした。

 トヨタは、FCHV―4(Fuel Cell Hybrid Vehicle:燃料電池ハイブリッド乗用車)による公道走行試験を昨年6月より日本で、続いて7月より米国で開始し、これまでの1年間で公道およびテストコースを合わせ、延べ約11万kmの走行試験を行って来ており、今後も継続することとしている。

 今回の決定は、この成功裏に進行している走行試験の盛夏を踏まえた上、社会要請に、より早く応えることを念頭に、当初計画の前倒しを図るものである。

 今回限定販売を予定している新型燃料電池ハイブリッド乗用車では、FCHV―4のシステムの信頼性や、航続距離など脂溶性を一段と高めることで、市販車に求められる性能レベルを確保する計画である。

 しかしながら、コスト面や、氷点下の低温適応性などに課題が残るため、その販売は、台数を日本向けと米国向けを合わせ、向こう1年間で20台程度とするとともに、販売先は、政府関係者、研究機関、エネルギー関連企業などに限定し、地域も水素供給体制、点検整備体制など必要なインフラが整っていることを確認できた一部地域に限定し、行う予定である。

 今回の販売は、将来の燃料電池車普及に向けた企画・基準づくり、インフラ整備、そして水素燃料の社会的受容醸成に向けたテストマーケッティングと位置づけている。

 本格的な市場導入には、こうした基準、インフラが整い、水素燃料に対する理解が浸透するという社会基盤ができることが必要で、その時期は早くとも2010年以降になるものと予測している。

 なお販売方法はリース販売とするが、リース料、リース条件などは今後決めて行く計画である。

                                  以  上参考資料
【新型燃料電池ハイブリッド乗用車 主要緒元(計画値)】
車  両  ベース車両         クルーガーV
      全長/全幅/全高(mm)   4735/1815/1685
      重量(kg)        1850
      最高速度(km/h)     150以上
      乗車定員(人)       5
燃料電池  種 類           固体高分子形
      出 力(kW)       90
モーター  種 類           交流同期電動機
      最高出力(kW(PS))  80(109)
      最大トルク(N・m(kg・m)) 260(26.5)
燃  料  種 類           純水素
      貯蔵方式          高圧水素タンク
      最高充填圧力(MPa)   35
2次電池  種 類           ニッケル水素電池

■PEM−DREAM NEWS
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◇第4回燃料電池市民講座「コスト100円の燃料電池で何ができるか」報告

 メルマガでは第5回と回数を間違えてしまった第4回市民講座は、教育を語り合う場となった。ゲストをお願いした東京都総合技術教育センターの佐藤昌史氏が本来教えているのは自動車技術。当初はディーゼル黒煙減少装置を自分たちで作り、それを高校の機械科教育に応用したいというプランを進めていたが、東京都の財源難に会い、予算がとれなくなってしまった。そんなときに燃料電池を知り、大気汚染と内燃機関のつながりを調べていく中で、今回の100円で作れる燃料電池に行き着いたという。

 燃料電池の知識は、自動車整備士の試験にも出てこない。しかし、今資格を取った整備士が、30〜40年後にも同じ自動車の整備をしているだろうか。化石燃料がなくなったときの技術対応として、燃料電池の知識は必要ではないか。また、小学生のうちから教えていかなければ燃料電池自動車は広がらないだろう。こうした問題意識から、学校教材としての燃料電池に取り組んだ。

 都の学校教材を一人一人の生徒に買わせるには、300〜500円が限度だ。そのコストを追求するためにすべて手作りで進めた。電解液にこだわったのもそのためだ。そして、生徒が自分たちで作ること、発想して、想像させて、自分自らが作って形をなしていくというものづくりの原点を大切にした。

 東京都総合技術教育センターにはいろいろな分野の科があり、先生方もそろっているし、小さな自動車工場そのものとも言える器具もそろっている。佐藤氏は機械科の先生でものづくりは得意だったが、今回は化学や電気の知識・技術も必要となった。燃料電池を作り、理解していくためには総合的な科学知識が必要だった。アイデアを実現するための苦労もあったが、それもコストを下げるためのもの。材料の選択、それで何が教えられるか、そこからどう広げていけるか等々、試行錯誤の末に100円の燃料電池は出来上がった。

 理科教育の中から水の電気分解がなくなっているということも話された。ボール盤という工作機械を使うようにしたのも、ものづくりや動力に対する興味を持って欲しかったからだ。性能や効率は企業のテーマであると明確に割り切ったのも良かった。

 こうした佐藤氏の話を元に、懇談では、さらに改良するためのヒントや経験談に花が咲いた。そして、毎回のことながら参加者が強く抱いている願望――固体高分子膜型の燃料電池そのものを手作りでやってみたいし、できるのではないかというところで時間切れとなった。

 誰でも作れる100円の燃料電池についての詳しい情報は、佐藤氏のご厚意で公開しますので、ご希望の方はメールで、info@pem-dream.com までお申し込み下さい。

■PEM−DREAM NEWS 番外編
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◇六ヶ所村異聞(中)

 選挙は思ったより静かに進んだ。相手陣営は強大な組織力を持っている。村の人はしがらみにしばられていて、集会をセットしても誰も出てこれないし、街頭演説をしても家の中で聞くしかないことは、もともとはっきりしていたことだった。そして、実際そうだった。告示の日から3日連続で、3カ所しかない公民館を使った政談演説会を組んだが、7人、5人、27人だった。

 27人に増えた地域は候補者の地元だからだが、この泊という地域の有権者は3000人もいる村最大の票田である。村の北のはずれに位置する漁港で、いろいろな問題を抱えている。切実な要望は、病院と道路だ。泊から村の診療所まで行くには、車で20分はかかる。診療所には薬剤師が配置されていない。昨年の冬、大雪が降ってガケ崩れが起き、泊の住民が閉じこめられるという事態が起きた。泊と他の地域を結んでいる道路は、国道338号線1本しかなく、泊を挟んで両側が崩れてしまったからだ。

 このような事態を、私は想像することができなかった。東京では、大雪が降っても移動することはできる。移動で一番困るのは、突発的に起きる電車の人身事故だ。だがそれも振替輸送とやらで何とかなるし、いざとなれば身銭を切ってタクシーという手もある。泊では逃げ道がない。多分、昔から同じ問題は起こっていたに違いないが、全く解決していないし、解決しようとしているのかどうかさえ定かでない。

 また、泊の町並みは雑然としている。地形は熱海と似ていて、海岸線からすぐに急勾配の傾斜地となる。その間のほんのわずかな平坦な土地と、坂の途中や上の方に人々はひしめきあって住んでいる。部落の中心ともいえる商店の連なった旧道に沿ったあたりは、歯が欠けたようにシャッターが降りっぱなしだった。コンビニは1軒あったが、東京のような品ぞろえとは違うし、24時間営業でもない。本屋はあったかどうか、確認していない。

 漁港の街の朝は早い。東の太平洋から、今ごろだと3時半には明るんでくる。早速イカ釣りに出港だ。そして夕方戻ってきて市が立てられる。富山で見たイカ釣りは夜だったが、ここでは昼間だ。豊漁の時もあれば不作の時もある。海が荒れていなけれは出港する。いつ、どこでお宝と巡り会うか分からないからだ。都会ではパチンコやスロットで生活費を稼ぐ人を見かけるが、生活基盤の博打性は似たようなものだ。連続して5日間、霧のために出港できない日が続いた。卓上からイカ刺しが消えた。歯ごたえがあって甘い味の好物だたのに・・・。選挙の投票日がもし大漁となる日だったとしたら、それを見送って投票に行くのだから金で代替えしても当たり前だ、という理屈を聞いた。今回は金は出ないだろうから、投票率が下がるとも言われていた。

 そもそも一家3名の有権者がいる家族の場合の買収額15万円は、どんな額なのだろうか。家のストーブはほとんど灯油だが、そして今の時期も一日中ついているのだが、約半年に及ぶ冬の期間の燃料費に匹敵するという。これが4年に2度、村長と村議の選挙で入ってくれば、ほとんどボーナス状態だ。だが、今回は金が出ない。半年前の村長選挙で使い果たしてしまい、軍資金がないという事情とともに、金のために村長が自殺したことを村中が知っているからだ。

 選挙戦の3日目の朝、私は生まれて初めて、男の人が目の回りを赤く染めているのを見た。目が血走るなんてものではなく、それ以上に興奮の極地にいたのだろう。こうなると対話なんて不可能だ。村の人を軽蔑しているのではなく、私は異なる意見に対する寛容さが少ないと感じていた。だから自己主張は結構大変なことなのだ。選挙になれば他人に対して無関心ではいられなくなる。90%以上の投票率で村を2分した戦いともなれば、敵か味方かしかいなくなる。何をしゃべるかで色分けされ、そのしこりは後々まで残る。そんな状況の中に放り込まれたら、私だって口が重くなって慎重になり、異なる意見を簡単には受け入れないだろう。

 その一つの例となるかとうかは分からないが、こんなこともあった。O候補が村の教育に言及した。原燃が六ヶ所村にやってきて初期の頃、六ヶ所高等学校ができた。それまで村に高校はなく、近隣の三本木高校などへ就学していたが、原燃は六ヶ所高校の卒業生を優先的に採用することになった。しばらくはそうした状態が続いたが、そのうちに他の高校からの卒業生を採用するようになった。他の高校の方ができが良かったからだ。O候補はそうした現状を批判し、もっと魅力的な教育をして原燃にも採用させ、村の人口減少をくい止めたいと訴えた。それに対して校長名の文書が出回った。村の教育を誹謗中傷したというのである。与野党統一候補は前の教育長だから、教育行政の関係者が個人的に動くことは当然予想できたが、まさか校長名で選挙に介入するとは考えなかった。その文書を父兄に配ったのだから、立派な地位利用ではないか。そしてO候補が指摘したことは事実なのだ。(来週に続く)

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○燃料電池市民講座 http://www.pem-dream.com/citizen.html

○EVENT INFORMATION http://www.pem-dream.com/event.html

○燃料電池マイ・レポート http://pem-dream.com/report.html

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