燃料電池ワールド (2002/06/19 14:10)

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□燃料電池ワールド
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「」Vol.052。。2002/06/19ネッケヤ

                   ◆燃料電池NPO法人PEM−DREAM

                        ◇http://www.pem-dream.com/

■お知らせ
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☆第5回燃料電池市民講座 7月6日(土)午後2時から(新規)
「コスト100円の燃料電池で何ができるか」 ゲスト=東京都総合技術教育センター
 佐藤昌史氏

 佐藤氏の専門は自動車技術。ディーゼルの排ガスで出てくる煤煙を使って触媒を作り、手作りの燃料電池で発電した。この時のアイデアが元になって、コスト100円で燃料電池の原理を教える手作りキットが考え出された。当日は、着想から完成に至るまでの試行錯誤や、このキットを使ってどういう勉強ができるのかなどについてお話を戴きます。燃料電池を教育現場で教えようという先生には特におすすめの講座です。
○場 所 岩谷産業株式会社本社会議室(新橋駅から徒歩10分くらい。地図をお送りします)
○参加費 会員は無料。非会員は2000円。
○申し込み方法 メールまたはFAXにて、「第○回燃料電池市民講座」と明記の上、氏名、連絡先、電話番号をご記入の上、お送り下さい。
  メール info@pem-dream.com  FAX 03-5408-3252

■PEM−DREAM NEWS
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◇中野区環境行動の日「環境保全活動交流会」報告

 イベントにもいろいろな顔つき、身体つきがある。ビックサイトなんかで催されるものは、さしずめお見合いか結婚式のように厳粛さと期待感がただよっているが、アースデイのような野外イベントはピクニックかハイキングで、開放感といい加減さが同居している。中野区環境プラザのイベントは、いわばマイホーム型だった。

 準備は相当早くから行われ、区役所の組織と区民の実行委員会が協同して進められた。PEM−DREAMは、2000年の発足時点で中野区に事務所をおき、ボランティアセンターが主催するNPO懇談会に参加していたこともひとつのキッカケで、この日の予定は以前から決まっていた。だが、だが、だが・・・と書けば、メルマガの読者の方はもう予想がつくだろう。事務局はお定まりのバタバタ劇を演じてしまった。

 どうやら「計画性の無さ」というのが、わが事務局の特徴のひとつであることは間違いない。短時間に集中して片づけるやり方は、時には精神的にも肉体的にもつらいことがある。が、「仕事が好きねー」というささやきが耳に入る事だってある。いずれにしても、予定を片づけなくては前に進めないのであるから、今回も気合いでやった。

 地域のイベントは、昨年の杉並区に続いて2度目だ。どういう人が来るか分からないが、こっちの準備はいつもと同じだ。燃料電池のキットとチラシなどの宣伝物は事前に持ち込んだが、パネルは当日の朝、出力センターに取りに行くことになった。予定の9時30分、「出来てますか」と引き取りに行った。「A1サイズのパネルを11枚」と説明すると、窓口の人は「さーて、そんなもの、どこに置いてあるかなー」といぶかしげな顔をして探し出す。ない? 彼の動きがだんだんせわしくなる。ついに奥まで聞きに行った。二人がかりになった。こっちの頭は真っ白だ。出来上がっていないはずはないが、当日の朝では打つ手が見つからない。

 突然、解決した。こちらにとってはA1のパネルになるべき品物だったが、彼らにしてみれば、パネルとは裏張りをしてフレームに入った完成品を指していた。こちらが頼んだのは単なる紙への出力というわけだ。とにかくそれを持って中野区環境リサイクルプラザへ向かう。すでに実行委員の方々が集まって最後の打ち合わせをしていた。大同メタルの加藤さんがアースデイに引き続きお見えになって下さったので、燃料電池のサンプルをセットして会場の形を作る。10時。開場と同時に「燃料電池はどこ?」と、地域のおじさんがやってきた。

 子どもたちも続いてやってきて、何か工作ができるらしいとやる気満々だ。手作りキットの準備ができていなかったので、燃料電池ミニカーに乗せて時間稼ぎ。ミニカーは幼児が乗って動かすおもちゃの車を燃料電池で動かすようにしたものだ。座席の下に燃料電池を組み込み、小さいながらもハンドルで曲がることができるし、前進後進もスイッチの切り替えでできる。子どもたちにとっては何で動いているかは全く関係なく、乗って楽しめることが一番だ。付き添いの大人に説明をする。

 工作の準備もできたので、「はい、1列に並んで」と説明に取りかかる。実行委員の方が集めて下さったフィルムケースのふたに、電気ドリルで穴をあけさせることからやらせた。ドリルの刃に手を近づけてはいけないと注意をすると、子どもたちは緊張した。その緊張感からか、初めてさわる機械の故か、おそるおそる穴を開け始める。失敗することなどあり得ないくらい簡単な作業だが、ここから自分で作っていく工程が子どもたちの興味と関心を育てるのだろう。あけた穴に鉛筆の芯を差し込ませる。「入らないよ」とすぐに言ってくる子どもがいる。そんなことは百も承知だ。「いろいろやってご覧。そのうち入るから」と軽くいなして放っておけば、そのうち「入った、入った」ということになる。フィルムケースに食塩水を入れてふたをして、乾電池で電気を通して水の電気分解だ。少ししてからLEDを電極(鉛筆の芯)に接触させると光った。

 「おっ」と声が出る。複数でやると光る子、光らない子の違いが起きる。それからが勉強だ。様子を見ていると、競争が始まった。光る時間の長さを比べているのだ。電気分解して作った水素の量で光り方が違うから、一人の子どもが乾電池を持つ時間が長くなる。そうなったらしょうがない。乾電池を5個、買いに行った。

 大人からすれば何でこんなことに集中するのだろうというようなことが、結構子どもの世界では大切なファクターとなって、遊んでいる。自分で電気を起こして光らせていることが楽しいが、大人だとこうはいかない。乾電池で電気分解したエネルギーと、それから発電したのとでは、どちらが効率がいいかとか、電気で電気を作ったって意味がないじゃないかなどという質問? が飛んでくる。子どもたちにはそんなことはどうでもいいことで、自分で穴をあけて組み立てたキットがLEDを光らせたり、オルゴールを鳴らしたことが楽しいのだ。やがて、このキットを考案した佐藤さん(彼は、7月6日の第5回市民講座でゲストをして下さる)もやってきて、年長の子どもに他の子に教えてあげるよう指導していた。

 午後、一番のイベントである「環境保全活動交流会」が始まった。やよい幼稚園、桃園第三小学校の生徒、江古田の森で「森の学級」活動をしている方々、野方商店街復興組合が、それぞれこの1年間に行った環境への取り組みを発表した。PEM−DREAMも時間をいただいて、燃料電池の話をさせていただいた。

 夕方の反省会では、手作りキットの工作が面白かったという子どもたちのメッセージがあったが、大同メタルの加藤さんは「企業で出展しているイベントとは全く違う雰囲気で、私も初めてでしたが、燃料電池を知っていただくためにはこうした地域からの活動が大切だと思った」と述べられた。

 ここでの展示は7月17日まで続けられる。PEM−DREAMの燃料電池と大同メタルの製品が展示されているので、実物をご覧になりたい方はJR中野駅まで足を運ばれたい。
●展示の問い合わせは
 中野区環境リサイクルプラザ(担当:藤崎さん) 
  中野区中野5-4-7 電話03-3389-0060

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○燃料電池市民講座 http://www.pem-dream.com/citizen.html

○EVENT INFORMATION http://www.pem-dream.com/event.html

○燃料電池マイ・レポート http://pem-dream.com/report.html

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■海外ニュース(6月)
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<輸送>
●日産がバラードのMark902モジュールを追加注文

 バラード・パワー・システムズ社は、日産自動車からMark902燃料電池モジュールとサポートサービスの200万ドルの追加注文を受け、2002年中にこれらを提供する。

<定置型電源>
●NYPAが水族館にUTCの燃料電池を設置

 ニューヨーク・パワー・オーソリティー(NYPA)は、NY水族館にブルックリン初の燃料電池を設置した。このPC25燃料電池はUTCフュエル・セルズによって開発されたもので、200kWの電力と70万Btuの熱量をほぼ公害ゼロで発生可能。PC25は天然ガス駆動で、水族館で必要な電力の約20%をまかなう事が出来る。燃料電池から出る熱は、管理棟ボイラーの湯沸しやシステムタンクの補助に利用される。

●プラグ・パワーがHARCの燃料電池を設置

 ヒューストン・アドバンスト・リサーチ・センター(HARC)によって組織されているある団体は、プラグ・パワー社によって設計・製造された5kW級固体高分子膜(PEM)型燃料電池システムを無事に設置したと発表した。このシステムは、燃料電池が安全・クリーン・有用なエネルギー源として実現可能か実演する為のプロジェクトの一貫としてテストされる。

●カマタがHパワー製ユニットの実地試験を開始

 カマタは日本におけるプロパンの主力販売会社で、80万もの顧客を抱えている。そのカマタが、日本の御殿場市にある自社従業員施設にHパワー製4.5kW住宅向け再生ユニット(RCUs)を実地試験用に設置した。今回の設置は、プロパン駆動の固体高分子膜(PEM)型システムを日本の住宅市場へ送り込むための最初の実地試験として注目される。

<携帯電源>
●SAITが燃料電池を開発

 サムソン・アドバンスト・インスティチュート・オブ・テクノロジー(SAIT)は、カードサイズの携帯電話用燃料電池を開発した。ダイレクト・メタノール燃料電池で、出力比重は32mW/cm2 で、2004年から2005年の間に発売予定である。

●ECOがHパワーのEPACシステムを注文

 エナジー・コーオポチュニティー(ECO)は、最近発売されたHパワー社製EPAC-500純水素燃料電池システムを50基注文した。ECOは2月初旬に行われた事前販売時よりEPACを実演しており、グループの一員として早い段階での注文となった。このEPAC−500は500ワットの燃料電池発電機を搭載しており、屋内外で兼用できるよう設計されている。

●DCHが携帯技術で特許を取得

 DCHテクノロジーは、自社のDHC Enable燃料電池発電機の動力を、安全性を保ったままで1.5倍に向上させるといった重要な燃料電池技術で特許を取得した。

<燃料・改質器・貯蔵>
●リンカーン・コンポサイトが1万Psi水素燃料タンクを披露

 アドバンスト・テクニカル・プロダクツのリンカーン・コンポサイト部門は、TUFFSHELL水素燃料タンクの電圧1万Psi(700バール)の実験に成功した。

●スコッティッシュ島が水素パワーを検討

 スコッティッシュ燃料電池協会(SFCC)の科学者らの最近の発表によると、スコットランドのアイスレー島民が水素を重要な動力源として利用開始する事を検討しており、ビジネスチャンスだとしている。小さな島を舞台に水素燃料に取り組む事は良いケーススタディーになり、またモニターも比較的見つけやすいとSFCCは述べている。

<燃料電池コンポーネント>
●テレダインがテストステーションの契約を獲得

 テレダイン・テクノロジーズの子会社のテレダイン・エナジー・システムズは、あるPEM型燃料電池コンポーネント製造で有名な会社との契約を取りつけ、32MEDUSA RDテストステーションを提供する事となった。このシステムは長期契約のもとで供給され、利用者のテスト結果によっては契約が拡大され、PEM型燃料電池製造時に必要なコンポーネントの開発に利用される。
http://www.teledyne.com/news/medusa2.asp

<報告・市場調査>
●ビル向け燃料電池

 アメリカン・ソサエティー・オブ・ヒーティング・リフレッジレイティング・エアコンディショニング・エンジニアリングは先ごろ、『ビル設備向け燃料電池』を出版した。その目的は、燃料電池アプリケーションが経済的にも環境にも有益である事をビル設計者らに認識させるのに必要な情報を提供するためである。
http://www.ashrae.org/NEWS/2002_fuel.htm

<その他>
●サンラインがベータテストを開設

 サンライン・トランジット・エージェンシーは、燃料電池自動車や水素発生装置、燃料貯蔵技術を含む先進輸送技術のテストセンターを開設予定である。

●GMが燃料電池施設を建設予定

 GMは、NY北部地方に8万平方フィート規模の燃料電池調査施設を開設予定である。この施設では多くの燃料電池製品を開発し、50から100人の従業員が働く予定だ。

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 □編集・発行:燃料電池NPO法人PEM−DREAM 

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