燃料電池ワールド (2001/12/12 10:00)

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□燃料電池ワールド
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■Vol.028 2001/12/12発行

                   ◆燃料電池NPO法人PEM−DREAM

                        ◇http://www.pem-dream.com/

──────────────────────────────────────PEM−DREAMへのご連絡は、電話03−3229−0062か、FAX03-3382-3388をご利用ください。
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■報告
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☆34人の方と燃料電池の話を――「ぼらんてぃあ・めっせ」は快晴だった

 初冬なのか、本格的な冬になっているのか、12月8日(土)の東京・代々木公園での「ぼらんてぃあ・めっせ」は、快晴でおだやかな天気の下での屋外イベントとなった。東京ボランティアセンター・市民活動センターがボランティア国際年を締めくくる記念事業として主催したものだ。客層も、我々が訓練してもらったアースデイやアースガーデンとは若干違うように感じた。穏やかな天気に誘われて、少し体を動かそうかという人も参加していたに違いない。そんなに混雑せず、かといってぱったり途切れることもなく、ゆったりと時間が過ぎていった。

 PEM−DREAMは、太陽光発電で水を電気分解し、その水素を燃料電池に送って模型のトンボを動かすキットを使って実演した。トンボの羽のユーモラスな動きは、お客の目を十分に惹きつけていた。晴れていたので、一度水をセットしてしまえばずーっと発電してトンボを動かしている。説明に集中できるので、これほど楽なことはない。冬至を2週間後に控えたこの日、午後4時近くなると太陽電池の発電は弱まり、燃料電池もダウンした。

 自然エネルギーとジョイントして燃料電池が動くのはまだ先のことなので、我々がこのキットに付けた名前は「20年後の循環型発電システム」だ。いくら理論的に優れていても、経済的に競争できなければ新しい技術は広まらないことと、燃料電池は水素の生産・供給が課題となっていることを説明したかったのである。この日、1日で説明したのは34人、燃料電池CD−ROM画像集も2セット売れた。

 教材用の小さなキットではあるが、一応本物の燃料電池である。音もなく、動きもしないで確かに発電しているのを初めて見た方は、「本当に発電している。すごいなー」と、しばし見とれていた。私も同じ経験がある。バラード社で初めて本物を目にしたとき、四角い箱のようなスタックが誰にも気づかれずに働き、電球を明るく光らせているのが不思議でならなかった。と同時に、実に気持ちがよかった。燃料電池のオーラを感じてしまったのだろう。

 ある若い女性からは、一通りの説明をした後、「電気分解した酸素はどこに行ってしまったの?」と質問された。こんな時は当意即妙に答えるしかない。「水素が発電の仕事を終えるでしょう。その後に酸素とくっついてまた水になるから、プラマイゼロになるんじゃないですか」と、学問的に正しいかどうか分からない怪しい説明だったが納得してくれた。どなたか、もっと良い答え方がありましたら教えて下さい。

 午前中は「水素は危ない」という意見が多かった。50代以上の戦後世代の方たちだ。若い人からはこの質問はあまり出ない。むしろ、原子力発電への代替として理解している人が多かった。

 多くの方から励ましを受け、サーバー問題の未解決から起きる憂鬱がすっ飛んでしまった。「来年になったら……」と何回言ったことか。団体の案内文書も30部がはけた。この方たちにはHPが見れなくなっていることを説明できなかった。不手際でごめんなさい。

 次は、13日から3日間、東京ビックサイトで「日経エコプロダクツ2001」が始まる。何人かの方と、会場でお会いする約束をした。客層も違うだろう。PEM−DREAMはNPO・NGOコーナー(小間番号N−11)で、トンボの羽をふるわせています。お出かけになったら、ぜひお立ち寄り下さい。
    
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■世界のニュース〈11月〉
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<輸送>
●メタリック・パワーがSLAQMDに燃料電池のプロトタイプを供給メタリック・パワー社が西海岸大気特性管理地域(SLAQMD)に、燃料電池駆動の芝刈機と、2kWの芝土と園芸のための携帯型システムを供給することを発表した。硫化大気燃料電池には、トロ・カンパニー社の規範的電動モーターが組み込まれている。

●パルカンが燃料電池自転車でチャンヤン社、フォーエヴァー社とMOUに調印パルカン・フュエル・セル社が、燃料電池駆動の自転車の共同開発におけるチャンヤン社との合意規約(MOU)に調印した。また、パルカン社は、同社のパルパック携帯型燃料電池装置を、フォーエヴァー社の電動自転車と電動スクーターに一貫して取りつけることで上海フォーエヴァー社とも調印した。

●プロトン社が海軍との契約を了承
アメリカ海軍の調査研究所は、DARPA“Water Rocket”プログラムの一部としてプロトン・エナジー・システムズ社と620万ドルの契約を結んだ。このプログラムは、プロトン社のPEM形燃料電池技術を最新の宇宙開発とエネルギーシステムに応用するものだ。プロトン社の今回の契約チームには、ジェネラル・ダイナミックス社、ATK Thiokol社、Schafer コーポレーションとマイヤーズ・マニュファクチュアリング社が含まれる。

●アメリカ陸軍がピッツバーグ・エレクトリック・エンジンに290万ドルを授与アメリカ陸軍はピッツバーグ・エレクトリック・エンジン社に対し、燃料電池の開発資金として290万ドルを授与した。伝統的なタービンと燃料電池の技術を組み合わせて行われるエンジン開発は、12月より開始される。

●ドイツでの燃料電池開発者の協力
EME社、MVV社、Ruhrgas AG社とVNG AG社は2005年に向けて、住宅向けと産業市場向けの燃料電池開発に共同で取り組んでいる。これらの企業は2つの公社と2つのガス輸入供給業者で、各々の資源を燃料電池技術の調査・開発・実行のため結合させる。

●CERLがプラグ・パワーと燃料電池の契約
プラグ・パワー社は、ニューヨーク州にあるWatervliet兵器工場に10の燃料電池システムを供給するため、アメリカ陸軍技術者部隊技術建設調査研究所(CERL)から120万ドルを授与された。システムの取りつけは12月に完成予定だ。

●スチュアート・エナジーがChuang KongとのLOIに調印スチュアート・エナジー社は、6億カナダドル以上の売り上げが見込めるアジア太平洋地域でのバックアップ用水素発電機の販売に関するChuang Kong社との7年間の合意文書(LOI)に調印した。この文書は2004年春までに、最低でも2750機の水素ベースのビル用発電機を引き渡すことをめざしている。

●グローバル・サーモエレクトリックがシチズン・ガスとのMOUを発表グローバル・サーモエレクトリック社とインディアナ州のシチズン・ガス・アンド・コーク・ユーティリティ・オブ・インディアナポリス社は、グローバル社の住宅向け固体酸化物電解質形燃料電池(SOFC)製品の変更を考慮に入れた委託販売の送り状に合意する契約(MOU)をした。

<定置型電源>
●マンハッタン・サイエンティフィックス社とミハマ社が日本での燃料電池の協力とパワーホルスターの実演
マンハッタン・サイエンティフィックス社は、日本のミハマ社と共同作業することで提携した。その作業とは、マイクロ燃料電池技術の開発に参加して、その商業的成果をあげられるよう準備するために、日本における産業チームを設立することである。この共同作業においてミハマは、アンプルの密閉で動く新しいパワーホルスターの携帯型充電器を提供している。これは1Wの電力目標を達成し、今までにない携帯電話の通話時間だけでなく他の携帯型電子機器の使用拡大をもたらす。

●ジェネラル・ダイナミックスがアキュメントリックスより燃料電池を受け取るジェネラル・ダイナミックス・コミュニケーション・システムズ社は、アキュメントリックス社が開発した管状の固体酸化物電解質形燃料電池(SOFC)を受け取った。ジェネラル・ダイナミックス社は、スタックをいろいろな最新技術の要素である発電機や付加的パワーユニットに統合する予定である。

<燃料/改質器/貯蔵>
●ディフェンス・R&D・カナダがEVIのDMFCを調査
ディフェンス・R&D・カナダが、いくつかの軍事利用においての評価のために、エネルギー・ビジョンズ社(EVI)のDMFC技術についての研究を計画している。当面の利用方法の関心のひとつは、兵士の充電パックを充電できる携帯式動力装置である。

<燃料電池コンポーネント> 
●TMIがクラッドメタルを改良
テクニカル・マテリアルズ社(TMI)は、さまざまな燃料電池に対応できるクラッドメタルシステムの開発で重要な段階に達した。TMIは、クラッドメタルが顕著な延性とすばらしい粘性を持つことから、他の塗装技術より優れていることを発見した。

<報告・市場研究>
●GMの持続可能な報告書
ゼネラル・モーターズ社(GM)は、第8期経済・環境・社会的事業をまとめた『2000-2001年持続可能報告書』を発表した。報告の内容は以下のアドレスにて。
http://www.gmsustainability.com

<提案要求> 
●アメリカ空軍が求める次世代先進技術
アメリカ空軍調査研究所は、戦争以外に予想外に起こる影響の指導と、操作を容易にする先進技術に関する提案を興味深く受け入れている。その内容は、可動性・信頼性・効率を高めた新エネルギー技術と実用的システム技術の開発である。特に動力発電機と動力調節システム、配電システムには強い関心がある。

<その他> 
●シーメンスが燃料電池製造設備を建設
シーメンス・ウェスティングハウス社がピッツバーグ近郊のペンシルバニア州ムンホールに、燃料電池製造設備の建設を開始した。シーメンスは2003年までに、固体酸化物電解質形燃料電池(SOFC)製造ラインを市場に送り出す予定である。

●燃料電池テキサス商業協議会が公式に発足
燃料電池商品化を進める新しい商業協議会である「フュエル・セルズ・テキサス」が2001年9月、正式に発足し、年4回開かれる会議のうちの第1回会議を11月2日に行うと発表した。会議では、テキサス州エネルギー管理局によって近く指名される燃料電池審議会の意見を聞き、共同で開催される。フュエル・セルズ・テキサスについての情報は512−480−2218番のダナ・ショワルターまで。

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■お知らせ
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☆PEM−DREAMの出典イベント

 実演『燃料電池発電体験』と、『燃料電池CD−ROM』の販売を行います。

・「エコプロダクツ2001」
日時 12月13日(木)〜15日(土)午前10時〜午後5時
場所 東京ビッグサイト 東展示場
主催 (社)産業環境管理協会、日本経済新聞社

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■燃料電池ワールド
 □毎週水曜日発行
 □編集・発行:燃料電池NPO法人PEM−DREAM 

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