社会が適切な解答を導き出す仕組みや能力 に関して思案するうちに、 解答を導き出す過程がどのようなものであるかについて考察した。私が考えるに:
解答を導き出す過程
解答を導き出す過程は、収束過程と発散過程からなる。 ● 収束過程 A 暗黙知・情報 ↓a 演繹・帰納・アブダクション B 知識(形式知) ↓b 構造化 C 論 ↓c 選抜(フィルタリング) D 戦略 ● 発散過程 D 戦略 ↓d 展開 E 戦術 ↓e 展開 F 行動 ※註 ・この過程すべてを個人が行う場合もあれば、複数人の人々が行う場合もある。 ある部分だけを行う人がいる場合もある。 ・戦略(D)・戦術(E)という語は、概念的な意味で使用している。 ・構造化(b)や、戦略から行動への展開(d)が、省かれる場合がある。解答を導き出す過程を3つに分ける
解答を導き出す過程は、知識との関連という視点において、以下の3つに分けられる。 ・知識を生産する過程 ・(知識を生かして)意思決定をする過程 ・(知識を生かして)社会をよくする過程知識を生産する過程
A 暗黙知・情報 ↓a 演繹・帰納・アブダクション B 知識(形式知) ↓b 構造化 C 論(知識を生かして)意思決定をする過程
C 論 ↓c 選抜(フィルタリング) D 戦略 ↓d 展開 E 戦術(知識を生かして)社会をよくする過程
E 戦術 ↓e 展開 F 行動 ――これは、知識の体化に関する。解答を導き出す過程を改良する
解答を導き出す過程を改良する場合に、人間が持つ ・科学者的な性質 ・技術者的な性質 ・執政者的な性質 が果たすことができる役割について記す。 これら3つの行動様式は、クックパッドの創業者・佐野氏があげる世界を変える 3つの要素 * の動作主体を指している。筆者は、 世界を変えるとは、世界がより適切な解答を選択できるようにするということである と考えている。 * 上阪 徹 : 600万人の女性に支持されるクックパッドというビジネス (角川SSC新書, 2009) p.37. >「いろいろ考えて、世の中を動かす要素って、三つじゃないか、と思ったんですね。 >ひとつはテクノロジー。例えば電話ができた、車ができた、テレビができた、と。 >そしてもうひとつは、個人の認識が変わること。みんながこうだ、と思ったら、 >そっちの方向に変わっていくでしょう。そしてもうひとつが、政策、だと思ったんです。 >道の幅はこれにしましょう、右側通行にしましょう、と決めた瞬間に世の中は変わる」 本文章では、テクノロジーに関わる、人間の性質を「科学者的な性質」と「技術者的な性質」 と捉えた。また、個人の認識・政策に関わる、人間の性質を「執政者的な性質」と捉えた。改良における科学者的性質の役割
解答を導き出す過程を改良する場合における、科学者的な性質の主な役割は、以下である。 ・予測に役立つ知識を生産する A 暗黙知・情報 ↓a 演繹・帰納・アブダクション B 知識(形式知) に関わる。 科学者が生産する知識は、予測 に役立つ。 即ち、 ・三段論法の大前提になる。 ・知識が組み合わされても、組み合わせの結果を狭い範囲に予測できる。組み合わせの 結果が発散しないので、知識の構造化を進めることができる(組み合わせの結果が 発散すると、それぞれの結果が生じた場合についてその後を考えなければならない。 思考の資源を分散しなければならないため、踏み込んだ構造化ができない)。 その他の役割については、「学術は、適切な解答を導き出す社会の仕組みを改良する」 を参照すること。改良における技術者的性質の役割
解答を導き出す過程を改良する場合における、技術者的な性質の役割は、以下である。 ・前例をつくる B 知識(形式知) の生産に関わる。 実例(実物)は、最も高い予測精度を得られるシミュレータである。 ・知識を取り込んだ行動をする 即ち、知識を体化する。 E 戦術 ↓e 展開 F 行動 に関わる。改良における執政者的性質の役割
解答を導き出す過程を改良する場合における、執政者的な性質の役割は、以下である。 ・選択し、割り振る C 論 ↓c 選抜(フィルタリング) D 戦略 ↓d 展開 E 戦術 に関わる。
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