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4次元変分法

 
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データ同化 

 数値予報モデルの精度向上には、最適な初期値を観測データから作成することが 重要である(13)。 一般に、数値予報モデルの格子点数に比べて観測データ数は不足している。また、 観測データは、時間的にも空間的にも不均一に分布する。このような観測データ から全ての計算格子点について初期値を求めなければならない。 その目的を実現するためには、数値予報モデルから得られる第一推定値に して、統計学的推定論を用いて観測データを同化する。この方法を「データ同化」 (Data assimilation)と呼ぶ。

4次元変分法 

データ同化のひとつが4次元変分法( 4-dimensional variational data assimilation, 4D-VAR )である。4次元変分法の「4次元」とは、東西・南北・高さの3次元に、 時間の次元が加わっていることを意味する。 4D-VARでは、東西・南北・高さの3次元に関し、解析する物理量と線形関係にない 観測値もデータ同化する。 時間に関しては、第一推定値 の確率密度関数と、任意の時刻の観測値を数値予報モデルに よって時間発展させた確率密度関数の両方から導かれる推定値の確率密度関数を最大に する最尤推定値から、解析値を求める(14)。 これらの解析値が、数値予報モデルの初期値に使われる。 時間に関して付け加えると、(観測時刻, 観測値)の組は複数でもよい。よって、 ウインドプロファイラのように短時間間隔で観測値を出力する機器の観測データを 無駄にしない(A1)。 4D-VARは、現在世界最高レベルの数値予報をしているといわれる ECMWF(ヨーロッパ中期予報センター)により全球モデルの解析に導入され、大きな成果を あげた(16)。気象庁メソ数値予報には2002年3月に導入された。RSMには2003年6月に導入 された。 なお、4D-VARでは、背景誤差と観測誤差はいずれもGauss分布に従うという仮定がおれる。 この仮定は、上下限のある相対湿度では成り立たず、また降水量でも成り立たないことが 経験的に分かっている(14)

文献 

(13) 吉崎正憲&露木義: メソ対流系の発生・発達のメカニズム解明とその予測, http://www.mri-jma.go.jp/Topics/Houkokukai2003/report2.pdf (14) 新堀敏基, 領域解析への4次元変分法の導入について, 天気, 50-9, 21-27 (2003. 9) http://www.s-ws.net/tenki/pdf/50_09/p021_027.pdf (16) 気象庁の新解析予報サイクル (2002) http://www.d3.dion.ne.jp/~jwagtail/seirei/monolog/4dvar.html (A1) 気象庁, 全球数値予報モデルの改善について〜高度な初期値解析手法 「4次元変分法」の導入〜 (2005. 2.16) http://www.jma.go.jp/JMA_HP/jma/press/0502/16a/4jigen.pdf

この文章について 

この文章については、管理人の大学院「熱システム工学特論」期末レポート 『気象庁メソ数値予報の発展について』の 4次元変分法 関連部分に一部加筆・修正を 行ったものです。 戻る
 
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