日本のフリーゲージトレイン開発が難航している理由
記事ページ 発行: 2017年04月30日
フリーゲージトレイン「試乗」で見えた問題点 | 鉄道ジャーナル | 東洋経済オンライン
なるほど、1067mm軌間(狭軌)では狭すぎて、独立車輪方式にできないのか。独立車輪方式は、蛇行動抑制にもなるのにね。
同記事 4/4ページ 軌間可変台車を備えた列車としては、昔からスペインの「タルゴ」が有名である。1969年から動力を持たない客車が存在し、機関車を付け替えて異軌間の直通運行をしていたが、高速新線の整備・進展にあわせて2006年には電車方式(動力台車方式)も登場している。すなわち、すでに10年の実績がある中、なぜ日本では実現できないかという疑問がある。
これは、実は日本の在来線が1067mm狭軌であることが大きな足枷となっている。すなわち、スペインは1668mmの広軌在来線と1435mm標準軌高速新線の直通運転であり、日本の場合に比して車輪間に大きなスペースがある。スペインの動力台車は車輪直接駆動・独立車輪方式を採用しており、軌間可変台車には同方式が有利なこともわかっている。しかし、狭軌の車輪の間に、その複雑な機構やブレーキ装置を収めることが非常に困難だった。このため1次車の段階から同方式を断念し、平行カルダン方式で開発が進められてきた。この日本の宿命的制約から、現在までの長期の研究開発期間が費やされているのである。
史絵., 梅原 淳 : 進化する路面電車 超低床電車はいかにして国産化されたのか (交通新聞社, 2010 〈底本は、交通新聞社新書(2010)〉) 位置No. 1529/1771.元来、独立車輪は蛇行動の低減に効果があるという。かつての国鉄が東海道新幹線の開業に当たって0系新幹線電車を開発した際、超高速域で発生する蛇行動を軽減するために独立車輪の採用を検討していた話は関係者の間では有名だ。
初出:
Facebook 2017/4/25
補足:
1067mm軌間(狭軌)での超低床路面電車の開発については、史絵., 梅原 淳 : 進化する路面電車 超低床電車はいかにして国産化されたのか (交通新聞社, 2010 〈底本は、交通新聞社新書(2010)〉) 第3章・第5章 に詳しい。
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