知的ネット社会がもつべき大きな仕組み
記事ページ 発行: 2013年05月12日
ふと、電車の中でまとめてみた。
知的ネット社会は、以下の大きな仕組みをもつべきである:
・不特定多数に、情報を提供することができ、不特定多数が、複数の情報を参照・利用できる仕組み。
ここにおける情報とは、例えば、気づきの前提知識・気づきの情報・カウンター情報(流布された情報に対する情報)に関する形式知を指す。
・偏りのない(次善として、多様な)母集団の意見を集約できる仕組み。
・言論・表現の自由と、心象の秘密が保証される仕組み。
「知的ネット社会がもつべき大きな仕組み」に関連して、実行すべき行動として以下がある:
(1) 同仕組みを整備し、維持し、有効性の継続的な改善をすること。
加えて、同仕組みを活用するために、以下をするべきである。
(2) 不特定多数が参照・利用できる形で、情報を公開すること。
(3) 偏りのない(次善として、多様な)母集団の意見を集約すること。誤った意見集約がなされないように、反対だけでなく、賛成も表明すること。
(4) 言論・表現を自由快闊に行い、また、心象の秘密を大事にすること。
補足:
心象の秘密の保証に関しては、西垣 通 : 集合知とは何か - ネット時代の「知」のゆくえ (中公新書, 2013) 第5章 において、不安定な社会を生む傾向を指摘された、意見などの行きすぎた公開を防止するために、項目に加えた。
同書 p.176-177. しかし、前節でのべたシミュレーション結果は、「オープン」な社会がかならずしも望ましくないことをしめしている。つまり、人間が自律性を失って開放システムに近づくと、社会がいわば透明になりすぎ、外部環境の変動にともなって、「絶対的リーダーへの一極集中/多極化/完全な無秩序」といった諸状態のあいだをぐるぐる彷徨することになりやすいのだ。構成メンバーのあいだでは一様な価値尺度が速やかに行き渡るにせよ、構成メンバー同士の対話によってそれがはげしく変動するので、不安定状態がうまれてしまう。
これに対して、人間(生命体)本来の閉鎖性が保たれていれば、それぞれが自律的で唯一の価値尺度は存在しないにもかかわらず、社会のなかに一種の「慣性力」がはたらいて安定したリーダーが生まれ、そのもとで一定の権威をもつ質疑応答がおこなわれる。
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