渡辺 利夫「新脱亜論」

     

評価・状態: 得られるものがあった本★★☆



購入: 2008/12/13
読了: 2009/ 1/14

新 脱亜論 - 池田信夫 blog

ブクログ - web本棚サービス


この情報は2024年6月現在の情報です。現在の状態はこちら

この本からの引用、または非常に関連する記事

全 5 件

出来ることと出来ないことの見境をつける

記事ページ 発行: 2009年02月03日

渡辺 利夫 : 新脱亜論 (文春新書, 2008) p.120.

 柴五郎の一生を、深い哀惜の念を込めて描いた名作に村上兵衛『守城の人――明治人 柴五郎大将の生涯』(光人社、一九九二年)がある。... 村上は、柴の指揮下に入ったB・シンプソンという当時二三歳のイギリス義勇兵の一人に次のように語らせている。

「... しかし、日本軍は素晴らしい指揮官に恵まれていた。公使館付武官のリュウトナン・コロネル・シバである。彼は、他の日本人と同様、ぶざまで硬直した足をしているが、真剣そのもので、もうすでに出来ることと出来ないことの見境をつけていた。



 

NHKスペシャル「JAPANデビュー」第4回 軍事同盟 国家の戦略 参考書籍

記事ページ 発行: 2009年06月28日

Abstract: Recommendation of books relatded to the NHK's TV program "Japan debut, part 4, Military alliances and national strategies", which was on air on June 28, 2009.

2009年6月28日に放送されたNHKスペシャル シリーズ「JAPANデビュー」 第4回 軍事同盟 国家の戦略の内容に深く関連がある書籍を紹介します。

渡辺 利夫「新脱亜論」





渡辺 利夫 : 新脱亜論 (文春新書, 2008) p.220.

> しかしアメリカはなお諦めることなくワシントン会議において日本孤立化を求めて懸命に働きかけ、ついには日英米仏による四国条約を大正一〇(一九二一)年一二月一三日に日英に飲ませることに成功。四国条約の成立と同時に日英同盟は破棄されてしまった。同条約第四条は「本条約ハ締約国ノ憲法上ノ手続ニ従ヒ、成ルヘク速カニ批准セラルべク、且ツ華盛頓(ワシントン)ニ於テ行ハルベキ批准書寄託ノ時ヨリ実施セラルベシ。千九百十一年七月十三日倫敦ニ於テ締結セラレタル大不列顛国(グレートブリテン)及ビ日本国間ノ協約ハ、之ト同時ニ終了スルモノトス」である。

 ここについに日露戦争後の日本の安全を保障してきた最も大切な「資産」である日英同盟は終焉のやむなきにいたった。今後はアジア太平洋問題において紛争が発生した場合には、第一条にいうごとく「該締結国ハ共同会議ノ為、他ノ締結国ヲ招請シ、当該事件全部ヲ考量調整ノ目的ヲ以テ、ソノ議ニ付スベシ」となり、日英の同盟関係は解体された。日本は欧米列強の国際システムから排除され、独力でアジア太平洋問題に対処せざるを得なくなったのである。


徳田八郎衛「間に合った兵器」


Amazon

第五章 英国の知恵と米国の生産力

 1 これぞ天の配列
 2 防空レーダーの開発
 3 マイクロ波レーダーで海を制圧
 4 ペニシリンなき日本将兵の悲劇
 5 戦時下なるがゆえに開発できたペニシリン

徳田八郎衛 : 間に合った兵器 (光人社NF文庫, 2002) p.208.

> 単なる天然資源の提供であれば、往々にして欲張りのお客様が征服に乗り込んでくるが、知恵の提供国を滅ぼしては金の卵を生む鶏を殺してしまうことになる。それに相互の信頼を前提として行われる知恵の共有は、同盟国に対する最大の信頼の保障でもある。



 

アングロ・サクソンかスラブか

記事ページ 発行: 2009年11月12日

渡辺 利夫 : 新脱亜論 (文春新書, 2008) p.124

>幕末以来の「アングロ・サクソンかスラブかの選択」(『小村寿太郎とその時代』)

これは、日本に限ったことではなかった。

19世紀に、アングロ・サクソン(大英帝国)とスラブ(ロシア帝国)は、は中央アジア(アフガニスタン)をめぐって熾烈な争いをした。グレート・ゲーム(第I期)である。

 

日本外交を整理する

記事ページ 発行: 2009年11月12日

「東アジア共同体」という言葉が取り上げられていることを機会に、これまでの日本外交を整理してみたい。

日本外交における主な登場"民族"は、アングロ・サクソン、スラブ、漢民族である。

● アングロ・サクソン

 中心国: アメリカ合衆国
 中心国の人口: 3億人
 世界覇権: 19世紀以来、覇権を保有している(ベルサイユ前は英国、ベルサイユ以降は米国)
 主導する国家連合: 北大西洋条約機構
 日本との近さ: 文明的に近い (梅棹 忠夫「文明の生態史観」 )

● スラブ

 中心国: ロシア連邦
 中心国の人口: 1億4千万人
 世界覇権: 冷戦期に覇権保有経験がある。
 主導する国家連合: 独立国家共同体集団安全保障条約機構
 日本との近さ: シベリアを通じ、地理的に近い。

● 漢民族

 中心国: 中華人民共和国
 中心国の人口: 14億人
 世界覇権: 歴史的に覇権保有経験がある。覇権志向は強い。
 主導する国家連合: 上海協力機構
 日本との近さ: 地理的に近い。


次に、外交政策について記す。なお[]内は参考文献である。

● 日韓併合・中国東北部権益

 対ロシア(スラブ)=「朝鮮半島における敵対勢力の阻止は近代日本の「国是」」[新脱亜論, p.282]
 [2009/11/14追記] 日英同盟(アングロ・サクソン)の後ろ盾

● 満州国

 資源 [最終戦争論, p.106]
 対ソ連(スラブ+共産主義)
 空白域
 農地(人口の再配分)
 モデルケース

● 大東亜共栄圏

 資源
 東亜の欧米からの独立(対アングロ・サクソン)――「近代の超克」:欧米の帝国主義による世界秩序の打破 [近代の超克, p.136])
 支那事変(別称: 日華事変、日中戦争)(進展する日本による帝国主義の現実)を東亜解放(八紘一宇の理想)の一貫だと再定義する[近代の超克, p.133]
 経度方向の世界分割――日本中心の汎アジア(ハウスフォーファーのパン・リージョン理論) [戦争学概論 p.44]

● 開発外交(東南アジアとの外交)

 資源
 「経済的地平の拡大」[海洋国家, p.178]
 「脱植民地化によって生じた空白」[海洋国家, p.93]
 米(アングロ・サクソン)による日中引きはがし(資源を中共に頼らないように)。後に東南アジアの中共による共産化の防止。[海洋国家, p.59, 178]

● 自由と繁栄の弧

 リムランド
 冷戦期の「危機の弧」地域 [とてつもない日本, p.161] (冷戦後の空白域?)

■ 文献

本文では略称([]内に示す)を記した。

[新脱亜論]
渡辺 利夫 : 新脱亜論 (文春新書, 2008)

[最終戦争論]
石原 莞爾 : 最終戦争論 (中公文庫, 2001)

[近代の超克]
子安 宣邦 : 「近代の超克」とは何か (青土社, 2008)

[戦争学概論]
黒野 耐 : 「戦争学」概論 (講談社現代新書, 2005)

[海洋国家]
宮城 大蔵 : 「海洋国家」日本の戦後史 (ちくま新書, 2008)

[とてつもない日本]
麻生 太郎 : とてつもない日本 (新潮新書, 2007)

関連:
アングロ・サクソンかスラブか
http://star1ban.blog18.fc2.com/blog-entry-2789.html

中国は「東亜リムランド」における覇権を狙っているのではないか
http://www.h5.dion.ne.jp/~wing-x/ezhtml/inw3/inw_0710210.html#4

 

有為な海軍力

記事ページ 発行: 2009年12月28日

渡辺 利夫 : 新脱亜論 (文春新書, 2008) p.260,262.

 さて佐藤鉄太郎は明治二五(一八九二)年の処女作『国防私説』で「海陸両軍の帝国国防に対する要点」を上梓した。明治二五年といえばまだ日清戦争の開戦以前である。そこで佐藤は以下の一四項目を列記している。
...

十三 現今海国を攻撃するの法、先ず其の海軍を掃蕩し尽すにあり、故に少数の軍艦を備えるものは其の結果海軍なきに同じ


有為な海軍力を以下のように定義すると、有為な海軍力はそれぞれ以下のようにはじき出せる。

1. 有為でない海軍Aと戦っても、有為でない海軍にならない。

  → 有為な海軍力は、有為でない海軍Aの海軍力の2倍超である。

2. 有為でない海軍と戦って、さらに一等海軍国Bと戦っても、一等海軍国Bを有為でない海軍にできる。

  → 有為な海軍力は、一等海軍国Bの海軍力以上である。

 

↓下に表示している「関連書籍・記事」だけを新しいページに表示する:

|


© TAKAGI-1