日本外交を整理する
記事ページ 発行: 2009年11月12日
「東アジア共同体」という言葉が取り上げられていることを機会に、これまでの日本外交を整理してみたい。
日本外交における主な登場"民族"は、アングロ・サクソン、スラブ、漢民族である。
● アングロ・サクソン
中心国: アメリカ合衆国
中心国の人口: 3億人
世界覇権: 19世紀以来、覇権を保有している(ベルサイユ前は英国、ベルサイユ以降は米国)
主導する国家連合: 北大西洋条約機構
日本との近さ: 文明的に近い (梅棹 忠夫「文明の生態史観」 )。
● スラブ
中心国: ロシア連邦
中心国の人口: 1億4千万人
世界覇権: 冷戦期に覇権保有経験がある。
主導する国家連合: 独立国家共同体・集団安全保障条約機構
日本との近さ: シベリアを通じ、地理的に近い。
● 漢民族
中心国: 中華人民共和国
中心国の人口: 14億人
世界覇権: 歴史的に覇権保有経験がある。覇権志向は強い。
主導する国家連合: 上海協力機構
日本との近さ: 地理的に近い。
次に、外交政策について記す。なお[]内は参考文献である。
● 日韓併合・中国東北部権益
対ロシア(スラブ)=「朝鮮半島における敵対勢力の阻止は近代日本の「国是」」[新脱亜論, p.282]
[2009/11/14追記] 日英同盟(アングロ・サクソン)の後ろ盾
● 満州国
資源 [最終戦争論, p.106]
対ソ連(スラブ+共産主義)
空白域
農地(人口の再配分)
モデルケース
● 大東亜共栄圏
資源
東亜の欧米からの独立(対アングロ・サクソン)――「近代の超克」:欧米の帝国主義による世界秩序の打破 [近代の超克, p.136])
支那事変(別称: 日華事変、日中戦争)(進展する日本による帝国主義の現実)を東亜解放(八紘一宇の理想)の一貫だと再定義する[近代の超克, p.133]
経度方向の世界分割――日本中心の汎アジア(ハウスフォーファーのパン・リージョン理論) [戦争学概論 p.44]
● 開発外交(東南アジアとの外交)
資源
「経済的地平の拡大」[海洋国家, p.178]
「脱植民地化によって生じた空白」[海洋国家, p.93]
米(アングロ・サクソン)による日中引きはがし(資源を中共に頼らないように)。後に東南アジアの中共による共産化の防止。[海洋国家, p.59, 178]
● 自由と繁栄の弧
リムランド
冷戦期の「危機の弧」地域 [とてつもない日本, p.161] (冷戦後の空白域?)
■ 文献
本文では略称([]内に示す)を記した。
[新脱亜論]
渡辺 利夫 : 新脱亜論 (文春新書, 2008)
[最終戦争論]
石原 莞爾 : 最終戦争論 (中公文庫, 2001)
[近代の超克]
子安 宣邦 : 「近代の超克」とは何か (青土社, 2008)
[戦争学概論]
黒野 耐 : 「戦争学」概論 (講談社現代新書, 2005)
[海洋国家]
宮城 大蔵 : 「海洋国家」日本の戦後史 (ちくま新書, 2008)
[とてつもない日本]
麻生 太郎 : とてつもない日本 (新潮新書, 2007)
関連:
アングロ・サクソンかスラブか
http://star1ban.blog18.fc2.com/blog-entry-2789.html
中国は「東亜リムランド」における覇権を狙っているのではないか
http://www.h5.dion.ne.jp/~wing-x/ezhtml/inw3/inw_0710210.html#4
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