岡本綺堂 『半七捕物帳』 「おめえは三河町の吉五郎だろう。なんで俺を…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 岡本綺堂 『半七捕物帳』

現代語化

「お前は三河町の吉五郎だろ。なんで俺をこんなとこに連れてきたんだ」
「まあ、落ち着けよ。だんだん説明する」
「この間からうちの留がいろいろお世話になってるみたいだな……」
「いや、別にどうってことねえんだけど……」
「川に上がった死体は、御賄屋敷の瓜生さんの娘だろうね」
「ふーん」
「どうして死んだんだ」
「俺には分かんねえ」
「分かんねえのか」
「それはまあ分かんねえとして、昨日の夜中はどこに行ってたんだ」
「あの風が吹く夜中に、犬に吠えられながら2人でどこに行ったんだよ」
「俺にはそんな覚えはねえ」
「それじゃ人違いかな。お近さんの死体を運んでったのは、お前たちじゃなかったのか」
「お前らは普段からお近さんの世話になって、相当の小遣いももらってたんだろ。やむを得ず頼まれたとは言うけど、その死体を捨てる役を引き受けるってのは、あまり後生がいいとは言えねえだろ」
「何を言われても、そんな覚えはねえよ」
「そんなに喧嘩腰になんなよ。お互い仲良く一杯飲みながら話そうと思ってるんだ」
「目白坂下の寺はお前の屋敷の菩提寺か」
「そうじゃねえ」
「それじゃあ、お近さんの知り合いの寺か」
「俺には知らねえ」
「何を言っても『知らねえ知らねえ』じゃあ、あまり愛想が無さすぎるな」
「もう少し気の利いた返事をしてくれよ」
「気の利いたもクソもあるか。知らねえことは知らねえって言うよりほかはねえ。木刀を差していても、俺も屋敷の飯を食ってる人間だ。むやみにこの場で調べを受けるつもりはねえ」

原文 (会話文抽出)

「おめえは三河町の吉五郎だろう。なんで俺をこんな所へ連れて来たんだ」
「まあ、待ちねえ。だんだんに話をする」
「このあいだ中から内の留がいろいろおめえの御厄介になっているそうだが……」
「なに、別にどうと云うこともねえんだが……」
「川へ揚がった死骸は、御賄屋敷の瓜生さんの娘だろうね」
「むむ」
「どうして死んだんだね」
「おらあ知らねえ」
「知らねえかえ」
「それはまあ知らねえとして、ゆうべの夜なかにおめえは何処へ行ったえ」
「あの風の吹く夜なかに、犬に吠えられながら二人連れで何処へ行ったんだよ」
「おらあそんな覚えはねえ」
「それじゃあ人違いかな。お近さんの死骸を運んで行ったのは、おめえ達じゃあなかったかな」
「おめえ達はふだんからお近さんの世話になって、相当に小遣いも貰っていたんじゃあねえか。よんどころなく頼まれたとは云いながら、その死骸を捨てる役を引き受けちゃあ、あんまり後生がよくあるめえぜ」
「なんと云われても、そんな覚えはねえよ」
「そう喧嘩腰になっちゃあいけねえ。おたがいに仲よく一杯飲みながら話そうと思っているんだ」
「目白坂下の寺は、おめえの屋敷の菩提所かえ」
「そうじゃあねえ」
「それじゃあ、お近さんの識っている寺かえ」
「おらあ知らねえ」
「何を云っても知らねえ知らねえじゃあ、あんまり愛嬌が無さ過ぎるな」
「もう少し色気のある返事をして貰おうじゃあねえか」
「色気があっても無くっても、知らねえことは知らねえと云うよりほかはねえ。木刀をさしていても、おれも屋敷の飯を食っている人間だ。むやみにおめえ達の調べは受けねえ」


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