GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。
青空文庫図書カード: 岡本綺堂 『半七捕物帳』
現代語化
「ふーん。あの女たちの様子を見たら分かるよ」
「でも、俺の予想もそんなに外れてなかったよ。あの死体は寺で殺されたんじゃねえ。寺の小役人が莚を巻いた時、俺もそっと覗いてみたけど、死体の顔や首には傷みたいな跡は何もなかった。そもそも、他人に殺されたような顔じゃねえ」
「じゃ、ただの自殺かな」
「多分そうだろうな。寺で殺された女は他にいるはずだ」
「おい。兼、あそこで源蔵と喋ってる中間は、どこの屋敷の奴かって、さりげなく源蔵に聞いてみろ」
「はい、はい」
「あれは佐藤の屋敷の中間で、鉄造って言うんだって」
「そうか。留がいればよかったのに……」
「まあ、いい。俺が直接当たってみよう。お前はここに残って、検視官が来るまで見張っててくれ」
「おい、兄貴、悪いんだけど、ちょっとこっち来てくれないか」
「お前は誰だ」
「お前の知ってる三河町の留って奴だよ」
「三河町の……留……」
「その留がちょっと怪我をしたんで、俺が代わりに出張ってきたんだ。文句言わず、そこまで一緒について来てくれ」
「ふーん、そうなのか」
原文 (会話文抽出)
「死骸は瓜生さんの娘に相違ないそうですよ」
「むむ。あの女たちの様子で判っている」
「だが、おれの鑑定もまんざら外れたわけじゃあねえ。あの死骸は寺で殺されたんじゃあねえ。自身番の奴が莚をまくったときに、おれもそっと覗いてみたが、死骸の顔にも頸のまわりにも疵らしい痕はなんにも見えなかった。第一、人に殺されたような顔じゃあねえ」
「じゃあ、唯の身投げでしょうか」
「まずそうだろうな。寺で殺された女はほかにある筈だ」
「おい。兼、あすこで源蔵と立ち話をしている中間は、どこの屋敷の奴だか、そっと源蔵に訊いてみろ」
「あい、あい」
「あれは佐藤の屋敷の中間で、鉄造というのだそうです」
「そうか。留がいるといいんだが……」
「まあ、いい。おれが直かに当たってみよう。おめえはここに残っていて、検視の来るまで見張っていてくれ」
「おい、兄い、済まねえが、ちょいと顔を貸してくんねえか」
「おめえは誰だ」
「おめえは三河町の留という野郎を識っているだろう」
「三河町の……留……」
「その留がどうしたんだ」
「留が少し怪我をしたので、おれが代りに来たんだ。野暮を云わねえで、そこまで一緒に来てくんねえ」
「むむ、そうか」