GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。
青空文庫図書カード: 岡本綺堂 『半七捕物帳』
現代語化
「そんなわけないでしょ」
「そうじゃなきゃ4年も見つからないはずねえだろ。女は絶対どっか逃げ込んでたんだ。俺もよく調べなきゃ分かんねえけど、佐藤って旗本はお近が深川で売ってた頃から知ってたのかもしれねえ。留の言ってた話だと、佐藤は3年くらい長崎にいたみたいで、去年の秋に江戸に戻ってくると、お近はそのあとで出てきたって言うんだ。だとしたら、お近も長崎に行って、佐藤と一緒に帰って来たってことだろうよ。俺たちがどんなに探しても見つからないわけよ。相手ははるばる長崎の果てにいたんだから」
「なんか騒がしいな。火事かな」
「野次馬が走ってるみたいですね。何だろ。ちょっと見てきます」
「江戸川橋の下に死骸が浮いたみたいですよ」
「死骸が……」
「女か」
「若い女らしいですよ。18、9歳くらいで……」
「18、9歳か」
「すぐに会いに行きましょうよ」
「ふーん。俺もあとで行ってみるよ」
「お待たせして申し訳ございません。お食事はすぐに……」
「いや、飯の催促じゃないよ」
「お姉さん。そこの川に死骸が浮いたそうじゃないですか」
「そうみたいですね……」
「私は見に行きませんけれど、まだ若い女の子さんだそうで……」
「18、9歳だってよ」
「ええ。この辺りの人らしいという噂で……」
「この辺の人か……。お武家さんかい、町の人かい」
「お武家さんらしいって言ってました」
「そうか。俺たちはちょっと急ぎの用事ができたから、酒も飯もいらない。さっさと勘定してくれ」
「はい、かしこまりました」
原文 (会話文抽出)
「まったく斯うなりゃあ生洲の魚だ。そのお亀……お近という奴は今まで何処に隠れていたんでしょう。初めから佐藤の屋敷に忍んでいたんでしょうか」
「そうじゃあるめえ」
「それなら足かけ四年も知れずにいる筈はねえ。女は確かに草鞋を穿いていたに相違ねえ。おれもよく調べて見なけりゃあ判らねえが、佐藤という旗本はお近が深川にいる時からの馴染かも知れねえ。留の話によると、佐藤は三年ばかり長崎へお役に出ていて、去年の秋に江戸へ帰って来ると、お近はそのあとから付いて来たと云うのだ。してみると、お近も長崎へ行っていて、佐藤と一緒に引き揚げて来たのだろう。おれ達が鵜の目鷹の目で騒いでも知れねえ筈よ、相手は遠い長崎の果てに飛んでいたのだ」
「なんだか騒々しいようだぜ。火事かな」
「弥次馬が駈け出すようですね。なんだろう。ちょいと見て来ます」
「江戸川橋の下へ死骸が浮き上がったそうですよ」
「死骸が……」
「女か」
「若い女だそうです。何でも十八、九の……」
「十八、九か」
「なにしろ直ぐに行って来ましょう」
「むむ。おれも後から行く」
「どうも遅くなりまして相済みません。御飯は唯今すぐに……」
「いや、飯の催促じゃあねえ」
「姐さん。そこの川へ死骸が浮いたそうだね」
「そうだそうで……」
「わたくしは見に参りませんけれど、まだ若い娘さんだそうです」
「十八、九というじゃあねえか」
「ええ。なんでもここらの人らしいという噂で……」
「ここらの人だ……。お武家かえ、町の人かえ」
「お武家さんらしいとか申しますが……」
「そうかえ。わたしたちは少し急用が出来たから、酒も飯もいらねえ。直ぐに勘定をしてくんねえ」
「はい、はい」