GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。
青空文庫図書カード: 夏目漱石 『吾輩は猫である』
現代語化
「そんなことすると、せっかくの楽しみが台無しになっちゃうよ。賭け事に熱中してちゃ面白くない。勝ち負けは気にせず、雲が山から自然に湧き出るみたいに、のんびりと一局終えてこそ、将棋の本当の面白さがわかるんだ」
「また始まった。そんな難しいこと言われても困るよ。まるで仙人のようだ」
「琴を弾く代わりに将棋を指そう」
「無線でモールス信号を送ろう」
「とにかく、始めようか」
「君が白番?黒番?」
「どっちでもいいよ」
「さすが仙人だけあって、のんびりしてるな。君が白番なら、自然の理として僕は黒番だね。さあ、来い。どこからでも」
「黒番から打つのが普通だよ」
「なるほど。じゃあ控えめに、定石通りここからいこう」
「定石にそんな手はないよ」
「なくてもいいよ。新しい定石を作ればいいんだ」
原文 (会話文抽出)
「ただはやらない。負けた方が何か奢るんだぜ。いいかい」
「そんな事をすると、せっかくの清戯を俗了してしまう。かけなどで勝負に心を奪われては面白くない。成敗を度外において、白雲の自然に岫を出でて冉々たるごとき心持ちで一局を了してこそ、個中の味はわかるものだよ」
「また来たね。そんな仙骨を相手にしちゃ少々骨が折れ過ぎる。宛然たる列仙伝中の人物だね」
「無絃の素琴を弾じさ」
「無線の電信をかけかね」
「とにかく、やろう」
「君が白を持つのかい」
「どっちでも構わない」
「さすがに仙人だけあって鷹揚だ。君が白なら自然の順序として僕は黒だね。さあ、来たまえ。どこからでも来たまえ」
「黒から打つのが法則だよ」
「なるほど。しからば謙遜して、定石にここいらから行こう」
「定石にそんなのはないよ」
「なくっても構わない。新奇発明の定石だ」