夏目漱石 『吾輩は猫である』 「いやこう年をとっては駄目さね。人間もやき…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 夏目漱石 『吾輩は猫である』

現代語化

「歳とるとダメだねえ。もう若い人には敵わないよ。でも風呂だけは今でも熱くないと気が済まないんだ」
「おやじさんは元気ですよ。そのぐらい元気なら十分です」
「元気じゃないよ。ただ病気にならないだけさ。悪いことさえしなければ120歳まで生きられるんだって」
「へえ、そんなに生きるんですか?」
「生きるよ。120歳までは保証する。昔、牛込ってところに曲淵って旗本がいて、そこの下男が130まで生きたんだ」
「それはすごいですね」
「そう。生きすぎて自分の歳を忘れちゃったんだって。100までは覚えてたけど、それからは忘れちゃったってさ。だから俺が知ってる130歳の時には、それで死んだわけじゃない。その後どうなったのか分からないけど、もしかしたらまだ生きてるかもしれないよ」

原文 (会話文抽出)

「いやこう年をとっては駄目さね。人間もやきが廻っちゃ若い者には叶わないよ。しかし湯だけは今でも熱いのでないと心持が悪くてね」
「旦那なんか丈夫なものですぜ。そのくらい元気がありゃ結構だ」
「元気もないのさ。ただ病気をしないだけさ。人間は悪い事さえしなけりゃあ百二十までは生きるもんだからね」
「へえ、そんなに生きるもんですか」
「生きるとも百二十までは受け合う。御維新前牛込に曲淵と云う旗本があって、そこにいた下男は百三十だったよ」
「そいつは、よく生きたもんですね」
「ああ、あんまり生き過ぎてつい自分の年を忘れてね。百までは覚えていましたがそれから忘れてしまいましたと云ってたよ。それでわしの知っていたのが百三十の時だったが、それで死んだんじゃない。それからどうなったか分らない。事によるとまだ生きてるかも知れない」


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