夏目漱石 『吾輩は猫である』 「その鋏がどうして十四通りに使えます」…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 夏目漱石 『吾輩は猫である』

現代語化

「そのハサミってどうして14通りも使えるの?」
「今一つ一つ説明しますから聞いててください。いいですか。ここに三日月形の欠け口があるでしょ。ここへ葉巻を入れてパチンと口を切るの。それからこの根元に少し細工があって、これで針金をポツポツ切るの。次は平たくして紙の上に横に置くと定規になる。刃の裏には目盛りが付いているから物差し代わりにもできる。こっちの表にはヤスリが付いていてこれで爪を磨けるんだよ。わかる?この先をネジの頭に入れて回すと金槌代わりにもなる。ぐっと押し込んでこじ開けると、たいていの釘付きの箱とかの蓋が簡単に取れる。それから、こっちの刃の先は錐になってる。ここら辺は書き損じた字を削る場所で、バラバラに離すとナイフになる。最後が――さあ奥さん、この最後がすごいんです。ここにハエの目玉くらいの大きさの球体があるでしょ?ちょっと覗いてみて」
「いやですわ、またきっと馬鹿にするんでしょ」
「そんな信用できないなんて困ったね。でも騙されたと思って、ちょっと覗いてごらん。え?嫌ですか?ちょっとでいいから」

原文 (会話文抽出)

「その鋏がどうして十四通りに使えます」
「今一々説明しますから聞いていらっしゃい。いいですか。ここに三日月形の欠け目がありましょう、ここへ葉巻を入れてぷつりと口を切るんです。それからこの根にちょと細工がありましょう、これで針金をぽつぽつやりますね。次には平たくして紙の上へ横に置くと定規の用をする。また刃の裏には度盛がしてあるから物指の代用も出来る。こちらの表にはヤスリが付いているこれで爪を磨りまさあ。ようがすか。この先きを螺旋鋲の頭へ刺し込んでぎりぎり廻すと金槌にも使える。うんと突き込んでこじ開けると大抵の釘付の箱なんざあ苦もなく蓋がとれる。まった、こちらの刃の先は錐に出来ている。ここん所は書き損いの字を削る場所で、ばらばらに離すと、ナイフとなる。一番しまいに――さあ奥さん、この一番しまいが大変面白いんです、ここに蠅の眼玉くらいな大きさの球がありましょう、ちょっと、覗いて御覧なさい」
「いやですわまたきっと馬鹿になさるんだから」
「そう信用がなくっちゃ困ったね。だが欺されたと思って、ちょいと覗いて御覧なさいな。え? 厭ですか、ちょっとでいいから」


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