GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。
青空文庫図書カード: 夏目漱石 『吾輩は猫である』
現代語化
「そういえば、こないだ『ドングリの安定性について』っていう論文を書いて、ついでに天体の動きにも触れたそうだよ」
「ドングリとかいうものを大学で勉強するんですか?」
「俺も素人だからよくわかんないけど、寒月君がやるくらいだから、研究する価値があるんだろうな」
「話は変わるんだけど、このお正月に椎茸を食べて前歯を2本折ったって本当ですか?」
「そう。で、欠けたところに空也餅がくっついたらしいよ」
「色気のない人ですね。なんで楊子使わないんですかね?」
「今度会ったら注意しとくよ」
「椎茸で歯が折れるくらいなら、歯が相当悪そうだけど、どうなんでしょう?」
「いいとは言えないだろうな。ねぇ迷亭」
「いいことはないけど、ちょっと愛嬌があるよ。でも不思議なのは、まだ詰めないことだね。今だに空也餅を引っかける場所になってるよ。すごい光景だぞ」
「歯を詰めるお金がないから欠けたままなのか、それともあえて欠けたままにしてるのか?」
「ずっと前歯が欠けたままでいるわけじゃないんだから安心してくださいよ」
「何かおうちに、本人からのお手紙とかあれば見せてほしいんですけど」
「はがきならたくさんあるよ。見てみなよ」
「そんなにたくさんじゃなくて、その中の2、3枚だけ……」
「どれどれ、俺がいいのを選んでやるよ」
「これは面白そうだな」
「おや、絵も描くんだ。なかなかうまいね。どれ見せてよ」
「あらまぁ、タヌキだ。なんでわざわざタヌキを描いたんだろう?それでもタヌキに見えるんだから不思議だわ」
「その書き添えを読んでみてよ」
「旧暦の大晦日の夜、山タヌキが園遊会を開いて盛大にダンスします。その歌はこうです。『来いさ、としの夜で、御山婦美も来まいぞ。スッポコポンノポン』」
「何これ?人をバカにしてるんじゃないですか?」
「この天女は気に入らないですか?」
原文 (会話文抽出)
「そのほかになにか、分り易いものを勉強しておりますまいか」
「そうですな、せんだって団栗のスタビリチーを論じて併せて天体の運行に及ぶと云う論文を書いた事があります」
「団栗なんぞでも大学校で勉強するものでしょうか」
「さあ僕も素人だからよく分らんが、何しろ、寒月君がやるくらいなんだから、研究する価値があると見えますな」
「御話は違いますが――この御正月に椎茸を食べて前歯を二枚折ったそうじゃございませんか」
「ええその欠けたところに空也餅がくっ付いていましてね」
「色気のない人じゃございませんか、何だって楊子を使わないんでしょう」
「今度逢ったら注意しておきましょう」
「椎茸で歯がかけるくらいじゃ、よほど歯の性が悪いと思われますが、如何なものでしょう」
「善いとは言われますまいな――ねえ迷亭」
「善い事はないがちょっと愛嬌があるよ。あれぎり、まだ填めないところが妙だ。今だに空也餅引掛所になってるなあ奇観だぜ」
「歯を填める小遣がないので欠けなりにしておくんですか、または物好きで欠けなりにしておくんでしょうか」
「何も永く前歯欠成を名乗る訳でもないでしょうから御安心なさいよ」
「何か御宅に手紙かなんぞ当人の書いたものでもございますならちょっと拝見したいもんでございますが」
「端書なら沢山あります、御覧なさい」
「そんなに沢山拝見しないでも――その内の二三枚だけ……」
「どれどれ僕が好いのを撰ってやろう」
「これなざあ面白いでしょう」
「おや絵もかくんでございますか、なかなか器用ですね、どれ拝見しましょう」
「あらいやだ、狸だよ。何だって撰りに撰って狸なんぞかくんでしょうね――それでも狸と見えるから不思議だよ」
「その文句を読んで御覧なさい」
「旧暦の歳の夜、山の狸が園遊会をやって盛に舞踏します。その歌に曰く、来いさ、としの夜で、御山婦美も来まいぞ。スッポコポンノポン」
「何ですこりゃ、人を馬鹿にしているじゃございませんか」
「この天女は御気に入りませんか」