GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。
青空文庫図書カード: 夏目漱石 『吾輩は猫である』
現代語化
「まだよく調べてないけど、仲居は茶屋のウェイトレスで、遣手は娼家のサブリーダーみたいな感じかな」
「なるほど、仲居は茶屋に雇われてる人で、遣手は娼家に住み込んでるってことですね。で、見番って人間なの?それとも場所なの?人間であれば、男?女?」
「見番は男の人間だと思う」
「何の仕事してるの?」
「そこまではまだ調べてないや。後で調べてみる」
「朗読会に参加したのは君以外にどんな人?」
「いろいろいました。花魁をやっていた法学部のK君が、ヒゲを生やして女っぽい台詞を言ってて、ちょっと変でした。で、その花魁が怒るシーンがあるんですけど……」
「朗読会でも怒らなきゃいけないの?」
「表情が大事だからね」
「怒るの上手だったの?」
「怒るだけなら、第1回はちょっと無理だった」
「で、君はどんな役だったの?」
「船頭」
「へー、君が船頭」
「船頭は無理だった?」
「その船頭で、せっかくの会がグダグダになっちゃったんです。実は会場の隣に女子校生が4, 5人下宿してて、どう聞いたのかその日は朗読会があるって知って、会場の窓の下で聞いてたみたいなんです。僕が船頭の格好で調子に乗って、これなら大丈夫と思って得意になってやってたら……身振り過剰だったんでしょうね。それまで我慢してた女子校生たちが一度に笑い出しちゃって、ビックリしたし、恥ずかしかったし。それで腰が折れちゃって、どうしても続きができないから、結局そこで解散しました」
原文 (会話文抽出)
「仲居というのは娼家の下婢にあたるものですかな」
「まだよく研究はして見ませんが仲居は茶屋の下女で、遣手というのが女部屋の助役見たようなものだろうと思います」
「なるほど仲居は茶屋に隷属するもので、遣手は娼家に起臥する者ですね。次に見番と云うのは人間ですかまたは一定の場所を指すのですか、もし人間とすれば男ですか女ですか」
「見番は何でも男の人間だと思います」
「何を司どっているんですかな」
「さあそこまではまだ調べが届いておりません。その内調べて見ましょう」
「それで朗読家は君のほかにどんな人が加わったんですか」
「いろいろおりました。花魁が法学士のK君でしたが、口髯を生やして、女の甘ったるいせりふを使かうのですからちょっと妙でした。それにその花魁が癪を起すところがあるので……」
「朗読でも癪を起さなくっちゃ、いけないんですか」
「ええとにかく表情が大事ですから」
「うまく癪が起りましたか」
「癪だけは第一回には、ちと無理でした」
「ところで君は何の役割でした」
「私しは船頭」
「へー、君が船頭」
「船頭は無理でしたか」
「その船頭でせっかくの催しも竜頭蛇尾に終りました。実は会場の隣りに女学生が四五人下宿していましてね、それがどうして聞いたものか、その日は朗読会があるという事を、どこかで探知して会場の窓下へ来て傍聴していたものと見えます。私しが船頭の仮色を使って、ようやく調子づいてこれなら大丈夫と思って得意にやっていると、……つまり身振りがあまり過ぎたのでしょう、今まで耐らえていた女学生が一度にわっと笑いだしたものですから、驚ろいた事も驚ろいたし、極りが悪るい事も悪るいし、それで腰を折られてから、どうしても後がつづけられないので、とうとうそれ限りで散会しました」